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2008年2月10日 (日)

京都大不満の会

 朝日新聞の正月25日版に、〈京文化「偽物」お断り〉という記事が掲載されました。

 記事を少し引用します。

 「本物」の京都を取り戻そう――。京の食や景観、観光、暮らしぶりについて率直に語り合おうと、随筆家や経営者、大学教授らが「京都大不満の会」を結成することになった。偽装ばやりの世の中、京からニセモノを追放するのが目的だ。
 提唱しているのは昨年末、新書本「京都大不満」(実業之日本社刊)を出したエッセイスト嵯峨徳子さん(45)=北区=だ。京都生まれで、企業の商品企画や出版編集顧問業などに携わってきたが、最近京都に関して「偽物」や誤った情報が氾濫(はんらん)しているのに不満を抱くようになった。
 「誰も知らない京都……」「秘密の……」などいわゆる京都本が大流行している。「でもほとんど審美眼も味もわからない人が書いています」と嵯峨さん。「私の知る限り、地道に研鑽(けんさん)している研究家や老練な書き手は職を失い、通ぶる好事家が書きまくっている感じです」
 一流出版社のガイド本にも「銀閣寺の銀沙灘(ぎんしゃだん)や向月台は東山文化の遺構として優れたもの」とあった。「でも銀沙灘と向月台は江戸時代の作品なのです」。さらに「京都・観光文化検定試験(京都検定)」の公式テキストブックにも74カ所の誤りがあった。
 京漬物もまずくなった。「調味液に漬けてつくられる昨今のものは甘みがゾッとするほど人工的」で、観光客や修学旅行生は名物と信じて、京都人が食べない粗悪品を買って帰ることになるという。
 都市景観については条例で規制するほど神経を使いながら、「市バスのデザインは何とかならないものでしょうか」とも指摘。京都に似合う色や車体をもっと論議するべきではという。
 「みんな自分で判断をせずに、他人任せなのです。京都を批評し、京都文化の偽装をなくすことが、結局は日本文化を見直すことになる」
 当面は知人の会社経営者や大学教授、会社員、主婦らに呼びかけ、定期的に集合。2月に行われる京都市長選など行政問題への不満も含めて、「言いたいことを言い合う会」を継続させたい意向だ。



 これを読んで、すぐに興味を持ったことを書いて、記事に掲載されていたアドレスにメールを送りました。

 律義な方のようで、すぐに、問い合わせが多いので、数日後に連絡をする、というものでした。たくさんの問い合わせがあったというのに、わざわざ私宛のアドレスに返信をくださったのです。私も、このような対応を心がけよう、と思いました。

 そして数日後、以下のメールをいただきました。これも、その一部を引用します。


 先週から風邪を引き寝込んでおりました。
問い合わせが殺到しているのに対応が追いつかず、お返事が遅れたことをお詫び申し上げます。

私たちは、企業家の経営の相談を受ける仕事を生業としております。
そのかたわら、日本の国の現状と未来について存分に語り合う場として「大不満の会」を主催しております。
その成立の事情と趣旨は以下のとおりでございます。
(中略)
社会の矛盾や問題点を指摘し、日本の文化の盲点を切り拓く。
大雑把にいえば、そういうことになりましょうか。それが「大不満の会」です。

そこでの話題は、日本の行政や経済のこと、世界の文化との比較など多岐に亘りますが、 この数年、巷にあふれる京都本に対する疑問が多く呈されるようになりました。
一冊に五千、一万という誤謬のある書籍に校閲資料と改善要求を付して、出版社に送るということを二十年ばかり続けてきております。その結果、昨今のものは多少、見られるようになってきました。
京都の地図も、東京主導で作られているため、見開き二ページで何百箇所もの間違いを抱えたものがございます。そうした改善策を出版社に要求することもしてきました。
このほか私共の仕事は多岐にわたり、以上はほんの一例に過ぎません。
様々な企業や団体に社会的な要望を伝えるのが使命と考えております。
そのための事務所を作る、お手伝いの人を雇うなど、多額の出費が必要ですが、それを会員の出資金の形で賄ってまいりました。ほとんど社会奉仕に近いものです。

近年、京都ブームとともに奇妙なスタイルの京都本が多く出版されています。
その制作事情の杜撰で無責任なことは比類ないもので、ほとんど一般に知られていません。
とりわけ京都に対するイメージが、特定の書き手によってだけ伝えられてゆくうちに、
奇妙な歪みが生じていくことに、会員一同は不信感と危機感を募らせておりました。
その問題は、京都本の著者が知識も経験もないままに書き連ねるところにあります。
その指摘と、学ぶべき方向性と達成レベルの要求書として、業界人に知らしめ、社会にその危険を報告する意味合いで出版したのが『京都大不満』でございます。
私共は数社の編集顧問を兼ね、数百人のライターを指導してきた実績と、その経験から、多くの心ある業界の方々の支持と後援を得た、満を持しての出版です。

会の設立は古くなりますが、この名称にしたのは昨年のこと。それもごく内輪のものです。
話し合ううち有意義な意見が多数集まり、かなりまとまった資料となりました。
つまり本の形で発表できる段階に入ったと判断いたしました。
『京都大不満』が第一号ですが、好評であれば第二号、第三号と続けてゆきたい所存です。

この活動の社会的な関わりは、出版や講演などによって情報を開示することにあります。
このたび中日新聞や朝日新聞、京都新聞などに掲載されたことで問い合わせが殺到し、内輪の会にとっては急な展開で、正直なところ戸惑っています。
形を整えるのに今しばらくの時間が必要です。
当面は内輪の会を不定期に催しますが、いずれ公のものにしたいので、
その折にはご協力をよろしくお願いいたします。

会の趣旨や方向性、考え方は『京都大不満』の本の中に書いてございますので、
お読みいただきたいと存じます。
今後ともよろしくご支援賜りますよう、お願い申し上げます。




 本当に丁寧な対応をしていただき、恐縮するばかりです。

 可能ならば、私も少しでもこの活動に協力したいとおもっています。

 久しぶりに、インパクトのある社会奉仕活動を知ることになりました。




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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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