井上靖卒読(105)《拾遺詩篇》
井上靖の詩としては、460篇が確認されています(『井上靖全集』第1巻「解題」583頁)。
8冊の詩集以外と『井上靖全詩集』の中の「拾遺詩篇」などをまとめて、《拾遺詩篇》《未収録詩篇》として、ここではとりあげます。
井上靖の最初の詩とされているのは、昭和4年2月11日発行の『日本海詩人 2月号』(第4巻第1号)に「井上泰」の筆名で発表された「冬の来る日」だとされています。これは、昭和4年から11年までの井上靖20代の詩41篇を集めた『春を呼ぶな』(平成元年刊行)に収録されています。
明日か、明後日か、やがて巡り来ようとしてゐる
冬の最初の音づれの日よ、
冬の来る日よ。
(中略)
と始まります。
句読点が、すでに最初からあることに気づきます。
そして、これが後になると、この改行もされなくなります。
詩か文かが曖昧な表現形式となっていくのです。
『春を呼ぶな』の「あとがき」で、井上靖は次のように締めくくっています。
こんど一篇一篇を、丁寧に読んだが、さすがに若さというものを、美しく、眩しく思った。
初期の詩の中で、私は「蛾」「月明に吠ゆ」「みかん」「倒像」「嗤ふ」「手相」が気になっています。
「倒像」で「敬虔な地球の灯—夕顔が月にしろじろと咲いてゐる。」とあり、「嗤ふ」に「地球を代表して、夕顔が月にいぢらしい灯をかざしてゐる。」とあります。
この表現については、改めて調べてみたいと思っています。
井上靖全集1︰詩篇
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