« 陽明文庫・名和修先生の講演会メモ | メイン | 【復元】映像は原作を超えられるか »

2011年9月20日 (火)

【復元】初夏の散策(9)萬葉の白毫寺

 先週、松本清張の『砂の器』がテレビドラマ化されたので、そのことを書きました。

「テレビドラマ『砂の器』を観て」(2011年9月12日)

 その後、松本清張の作品で映像化された、私が大好きな『球形の荒野』のことを思い出しました。
 本ブログに昨年書いた、次の2つがすぐに見つかりました。

「テレビドラマ『球形の荒野』は「後編」に期待」(2010年11月27日)

「テレビドラマ『球形の荒野』(後編)を観て」(2010年11月28日)

 しかし、もっと書いたように思ったのでさらに調べてみると、4年前にレンタルサーバーがクラッシュしたために無くなった文書の残骸の中に、DVDで見たときの記事が見つかりました。
 ただし、清張の作品については前半しか書いていません。

 なんとか復元できたので、以下に掲載します。

 まだ他にも、この作品について書いたものがあったように思うので、さらに調べてみます。
 
 
(※以下の記事は、平成19年3月に消失したブログの復元です。)
 
 
********************** 以下、復元掲載 **********************
 
2006年5月30日公開分
 
副題「花の寺からささやきの小道」
 
 
 映画『球形の荒野』をDVDで見ました。1975年の松竹作品で、監督は貞永方久でした。
 出演は豪華です。まさに、映画全盛時代の作品です。


芦田伸介 (野上顕一郎)
乙羽信子(野上孝子)
島田陽子 (野上久美子)
竹脇無我 (添田彰一)
山形勲 (滝良精)

 映画は、松本清張の原作小説とは違う設定となっています。
 小説では、芦村節子が奈良の唐招提寺で、芳名帳に叔父・野上顕一郎の筆跡を見たことになっています。そして、その筆跡を求めてすぐに飛鳥の橘寺へ、そして安居院(飛鳥寺)へ行き、予想通りそこでまた野上顕一郎の署名と出会います。

 これが映画では、野上顕一郎の娘である野上久美子が、唐招提寺で父らしい筆跡を見つけます。そして久美子は、唐招提寺からすぐに白毫寺へ行って、2つ目の署名を確認することになっています。映画は、人間関係の複雑さを整理し、事件の展開も最小限に留められています。

 20年以上も前に読んだ小説でしたが、映画を見ながら映画化に伴う変更に戸惑いました。唐招提寺がきれいに描写された小説だったので、過日行ったお寺を思い出して映画を観たのです。原作よりも、相当こぢんまりとした作品に仕上がっていました。特に、終戦前後の和平工作に関するところは、映画は消化不良となっています。こうした問題は、映像化が難しいからなのでしょう。内容はともかく、美しい映像は見る価値があります。

 さて、この映画を観て、すぐに白毫寺へ行きたくなりました。原作にない映画の中の白毫寺が、非常に印象的だったからです。
 行ってみて納得しました。映画に出て来た山門を見上げる構図は、まさに絵になるものでした。原作にはない設定ですが、なかなか考えられたロケーションだと思います。
 
 
 

110920_kyuukei1
 
 
 

 白毫寺は、慶雲2年(705)にインドの僧であった法道仙人によって開かれたお寺です。その境内に犬養孝氏による「万葉歌碑」が建てられています。歌碑には
  高円の野辺の秋萩いたずらに 咲きか散るらむ見る人無しに
と刻まれています。この歌は、志貴皇子が亡くなった霊亀元年(715)に笠金村が詠んだ歌だということです。

 白毫寺は眺望の良いところにあり、向かいには生駒連山から葛城山系が雄大に見やられます。この寺は、質朴で大いに気に入りました。

 白毫寺から春日大社まで散策しました。「下の禰宜道」とある道は、かつて「ささやきの小道」と言っていたところです。子どもを連れて、よくここに来たものです。
 飛火野を散策中の鹿も、ちらほらと木の間に見やられます。木洩れ日の中を歩く、すがすがしい小道です。
 
 
 
110920_kyuukei2
 
 
 

 この写真の中央に、キャンバスを立てて絵を描いている人が写っています。春日野の原生林を写生中、とおもいきや、なんと円と四角の抽象画でした。なぜこの景色の中で、この小道でサイケな絵を? この太古の自然の中で沸き起こる感情を、思うがままの色と形で表現したい方なのでしょう。絵と置かれている位置の場違いさに、新鮮な刺激をもらいました。

 春日大社では、神苑の萬葉植物を見たかったのですが、もっといい季節に来ることにし、その横にある「春日荷茶屋」でお昼をたべました。「大和名物膳」といって、萬葉の茶粥と柿の葉寿司と吉野葛などがセットになったものです。天気もよかったので、外の庭で食べました。
 
 
 
110920_kyuukei3
 
 
 

 その庭で食事中に、向こうにいた若い女性が立て膝で会席を食べておられました。写真の片隅にそのスタイルが写っていたので、拡大してみました。一つの文化として興味があります。これも、先ほどの絵描きさんの絵と一緒で、何となく気になった、それでいて印象深い風景です。
 
 
 
110920_kyuukei4
 
 
 

 最近の若者たちは、どのような姿勢が食事をしているのでしょうか。マンションに一人で生活していると、誰の目もないのですから、食事のマナーや作法はどうでもよくなるかもしれません。この女性は、食後にはテーブルの上で長い文章を書いておられました。旅行記なのでしょうか。非常に知的な感じの方だったので、その立て膝での食事スタイルに違和感を覚えました。これも新しい文化の一端なのでしょうが、私の時代は食事時の躾がうるさかったので、つい自分が育った目で人を見てしまいます。


********************** 以上、復元掲載 **********************
 
 
 この記事を掲載したら、お読みになった知人からコメントをいただきました。カイロでお世話になった方です。
 私の返事と共に、これも復元しておきます。
 


 こんにちは。
 立膝の女性は在日の方、或いは韓国の方だと思います。
 学生のころ、韓国人とアパートをシェアしたことがありました。彼女はとても礼儀正しい頭のいい女の子でしたが、食べる時、しっかり立膝をしていました。聞いたところ、お国では立膝座りは、日本の正座にあたるのだそうです。
 日本は散歩するのにいい季節でしょうか。カイロは火炎樹の燃えるような花が咲き、暑くなって来ました。地中海地方特有の昼寝と夜更かしの季節到来です。
 では、ご健勝で!
 
 ---------------------------------------------------------------------
 
 お隣の国の文化には思い至りませんでした。
 そういえば、昨年も韓国に2度行きましたが、立て膝スタイルでの食事風景を思い出しました。その可能性が大きいですね。
 その女性の手元の紙には、文字がびっしりと書かれていました。ハングルではなくて、日本語でした。留学生の方でしょうかね。それとも取材?
 私の仕事を手伝ってくれている留学生の方々の中に、韓国からの女性がいらっしゃるので、こんど聞いてみましょう。

 
 
 

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

Powered by Six Apart
Member since 07/2008