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2012年4月 5日 (木)

『インド国際日本文学研究集会の記録』が出来ました

 私がインドへ通い続けて、早いもので10年になります。
 この間に、「インド国際日本文学研究集会」を毎年開催し、今年の2月で7回目となりました。そして、この第7回がファイナルセミナーとなったのです。

 そうしたことから、これまでの記録をこの時点で整理して、1冊の冊子を編集作成することになりました。それが、『インド国際日本文学研究集会の記録』(非売品、伊藤鉄也編、国文学研究資料館発行、2012年3月31日、全89頁)です。
 
 
 
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 「インド国際日本文学研究集会」は、インドのニューデリーを会場として開催し、日本文学に関する情報交換と研究報告を通して、日本文学の理解を深め研究成果の共有を目指すものとして実施されました。また、日本文学に関するこれからの研究者や理解者を育成するために、大学院生と学部学生の参加を強く促す性格を持たせていたことも特徴の一つでした。

 「インド国際日本文学研究集会」がスタートしたのは、平成16年です。ネルー大学のアニタ・カンナ先生とデリー大学のウニタ・サッチダナンド先生と共に、〈インド日本文学会〉を設立し、この研究集会の母体として運営実施してきました。その内容は、講演と研究発表および研究報告や共同討議、さらには学生たちとの交流イベントです。日本から、研究の最先端で活躍中の先生や大学院生を、毎年2、3人お連れしました。

 各回の内容は、次の一覧の通りです。
 
 
 
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 平成24年2月19日の第7回をもって本研究集会は終了しました。
 私が最初にインドへ行った年が、ちょうど日本インド国交樹立50周年を記念する年です。そして今年は、日本インド国交樹立60周年です。記念すべき年と重なったことになります。

 これまでに、国文学研究資料館からは今西祐一郎館長(第5回、第6回)、入口敦志(第1回、第4回)・青田寿美(第2回)・陳捷(第3回)・江戸英雄(第5回)・相田満(第6回)・神作研一(第7回)・山田哲好(第7回)・伊藤鉄也(各回)が訪印して、日本文学の実情を語り伝えてきました。
 また、総合研究大学院大学文化科学研究科日本文学研究専攻の大学院生5名(金時徳・七田麻美子・張培華・陳可冉・佐々木比佐子)も現地へ足を運び、研究発表と学生との交流をしています。
 さらに他大学からは、スティーブン=ネルソン(法政大学教授)・菅原郁子(國學院大學大学院生)・神田久義(國學院大學大学院生)も同行して現地で研究発表を行っています。
 多彩な顔ぶれが、インドの地で日本文学について刺激的かつ啓蒙的な研究発表をしてきたのです。

 本研究集会では、2つの点でインドの方々と共通理解を持つことを目指しました。
 まず、お互いが持っている情報を共有し、このような研究集会を毎年継続して実施するために協力・努力したことです。国際交流基金の派遣事業プログラムや国文学研究資料館と総合研究大学院大学等の海外派遣経費によって日本側の研究者が現地に赴き、直接インドの先生方や学生たちと最新の研究成果や文学研究情報を語り伝える機会を得たことは、非常に有益であったと思います。また、国文学研究資料館の主導のもとに、インドのネルー大学やデリー大学との主催・共催・後援によって継続的に実施できたことは、インドにおける日本文学研究の基盤作りにおいて貴重な成果となっています。

 研究集会には、各回50人から80人の参加がありました。ほとんどがインドの先生と学生です。
 本報告書はインドの地で開催された「インド国際日本文学研究集会」の全7回分の記録を、日本側の資料を基にして整理してまとめたものです。併せて、集会に参加して研究発表を行った日本側の教員と大学院生の〈コラム〉を、各回に配して編集しています。研究集会の内容とその雰囲気が伝わるように、写真も多数収載した構成となっています。海外の方々が読みやすいように、印刷した文字も大きめで、ゆったりと紙面を作成しました。

 本書はあくまでも、日本側からの視点でまとめたものです。いずれ、インド側の記録や先生と学生の〈コラム〉を総合した報告書がまとめられたら、と思っています。
 そのためには、もう少し時間をください。

 目次は以下のようになっています。


《平成16(2004)年度〜23(2011)年度版》

目   次

インド国際日本文学研究集会一覧(平成16年度〜平成23年度)
はじめに ─「インド国際日本文学研究集会」の記録を整理して─………… (3)
【第1回 平成16(2004)年度】………………………………………… (7)
  コラム(0)「国際交流基金から助成を受けた第1回」 伊藤鉄也……(13)
【第2回 平成17(2005)年度】…………………………………………(15)
  コラム(1)「インド・国際交流レポート」 青田寿美…………………(23)
【第3回 平成18(2006)年度】…………………………………………(29)
  コラム(2)「インドに響く琴の音」 伊藤鉄也…………………………(35)
【第4回 平成20(2008)年度】…………………………………………(37)
  コラム(3)「みたびインドへ」 入口敦志………………………………(41)
【第5回 平成21(2009)年度】…………………………………………(47)
  コラム(4)「研究集会と展示」 伊藤鉄也………………………………(53)
  コラム(5)「インドで感じたこと」 陳可冉……………………………(57)
  コラム(6)「インド春宵」 佐々木比佐子………………………………(62)
【第6回 平成22(2010)年度】…………………………………………(65)
  コラム(7)「野良牛の消えた街で」 相田満……………………………(69)
【第7回 平成23(2011)年度】…………………………………………(75)
  コラム(8)「犀の角のように」 神作研一………………………………(83)
  コラム(9)「はじめてのインド」 山田哲好……………………………(86)
おわりに………………………………………………………………………………(89)

 残念ながら、本書は少部数の印刷に留まっています。いずれインドの記録と合わせた形での報告書を考えていますので、今は国会図書館や国際交流基金などで閲覧していただくことになります。

 在インド日本国大使館、国際交流基金、ネルー大学、デリー大学をはじめとして、インドの研究者の方々、研究集会の会場運営を献身的に手伝って下さった学生諸君は、さまざまな形で研究集会開催に向けて取り組んでいただきました。心より感謝いたします。

 ひとまず、このような報告書が完成した、ということをここに記しておきます。
 インドと日本の関係者のみなさま。ご理解とご支援をありがとうございました。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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