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2012年5月 3日 (木)

京洛逍遥(227)下鴨神社の流鏑馬神事

 葵祭の前儀の一つとして、毎年5月3日には下鴨神社の流鏑馬(やぶさめ)神事が糺の森の馬場で行われます。流鏑馬神事は、葵祭の道中を祓い清める行事とされています。公家の狩装束姿の騎手が、馬を走らせながら「陰陽」と声をかけながら、3つの的を鏑矢(かぶらや)で射ぬきます。
 矢を射る技術の高さだけでなく、その衣装に興味深いものがあります。特に最初の3人は平安の公家の服装なのでなおさらです。4人目からは江戸時代の装束になります。

 馬を走らせながら鏑矢を射ることから「流鏑馬」と言われているのです。明治時代初期までは、騎射(きしゃ)と呼んでいました。明治時代に一時中断したそうですが、昭和48年に復活し、今に至っています。

 社務所の裏では、馬の調教がなされていました。暴走すると危険なので、入念な調整が行われていました。
 
 
 
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 ちょうど同じ時間に、一の鳥居(南口鳥居)と楼門の間の社務所前では、神職などにより安寧を祈っての儀式が行われていました。みなさん、冠り物に葵桂をつけておられます。
 
 
 
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 今年は、一の的の前で見ました。鴨長明の『方丈記』800年記念で話題になっている河合神社が、ちょうど目の前にある場所です。

 馬場には、100メートルおきに的が置かれています。的は三つあるので、馬場は400メートルあることになります。正確には全長360メートルです。的は50センチ四方の杉の板です。
 私が待機したのはスタートしてすぐの場所なので、二の的や三の的のように加速した人馬一体の迫力には欠けます。しかし、当たる確率が高いと思って待機しました。

 下鴨神社では、諸役が平安装束に身を包んでの公家流鏑馬です。ここ以外の全国の流鏑馬は武家流鏑馬なので、これは平安装束の勉強の場にもなります。
 公家の流鏑馬は11世紀末あたりから始まり、武家の流鏑馬は平清盛が熊野詣での帰りに行なったのが最初だそうです。これは、糺の森に流れた解説による情報です。

 新緑に埋め尽くされた糺の森は、多くの観客でごった返しています。昨日の雨もすっかり上がり、日差しが強くなりました。しかし、緑の森に包まれ、吹き渡る風が心地よいので、立ったままで待っていても疲れません。
 ところどころで、脚立から降りろ、とか、子供を肩車するな、とか、お祭りにつきものの小競り合いがあります。

 例年のことですが、フラッシュ撮影は繊細な馬が驚くので危険だとの注意が繰り返しなされます。しかし、性能のいいカメラは普及しても、それを使いこなせない人が多いので、最後までフラッシュは至る所で発光しています。
 隣の人も、数十万円の最高級カメラのシャッターを切っておられます。ただし、フラッシュは頻繁に光っています。
 教えてあげた方がいいものか、相手の素姓が知れないので迷います。結局はご自分では発光禁止にできなかったのか、別の人が解除しておられました。間抜けな話です。
 事故が起こったらカメラメーカーの責任にすれば、その時に初めてメーカーも真剣に対策を立てることになるのでしょう。残念ながら人身事故待ち、というのが現状のようです。

 さて、今年の射手は優秀で、3つとも的に当てる人が何人もいました。中でも、2番目の方は特に美事でした。今年は撮影する角度を変え、射手を迎える角度で写しました。
 
 
 
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 流鏑馬は、飛鳥時代から記録があるそうです。その経緯の詳細は、2年前の記事で紹介した通りです。
 また、この当たりの的は記念に墨書きしてもらえます。

「京洛逍遥(137)糺の森の流鏑馬神事」(2010年5月 3日)

 今年も記念にするかどうか迷いました。しかし、2年前のものを大事に床の間に飾っているので、いただきませんでした。しばらくは、幸運の杉板を引き継いでいきます。
 
 
 

コメント

書き込み失礼します。
>鴨長明の『方丈記』800年記念で話題になっている河合神社
今まで意識していなかったのですが、『方丈記』成立の建暦二年は、最後の斎院となった礼子内親王が解斎御禊に赴き、「女房入水車破」した年でもあったんですね。(『明月記』建暦二年十二月十九日条)鴨長明が斎院制度終焉の時代に立ち会っていたとは胸が熱くなります。

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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