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2012年6月20日 (水)

キーン先生と伊井先生の対談に陪席して

 台風一過、ドナルド・キーン先生と伊井春樹先生が対談なさるということで、写真撮影と録音役として私も陪席させていただきました。

 キーン先生は雨男を自認なさっています。台風が上陸し、昨夜は東京も大雨と大風で大変でした。しかし、一夜明けた今日は、からっとした好天に恵まれました。過日の東洋大学でのご講演の日が晴れたように、日本国籍をお取りになってからは雨男返上となっています。

 さて、本日は、伊井春樹先生が館長をなさっている逸翁美術館など阪急グループが出している『阪急文化』第3号の巻頭を飾る対談のためのインタビューです。その内容は、後日のお楽しみです。

 2006年12月にも、キーン先生と伊井先生の対談のお手伝いをしました。その時の内容は、『世界が読み解く日本 海外における日本文学の先駆者たち』(伊井春樹、2008.4.25、學燈社)に掲載されています。
 あれから6年ぶりにキーン先生と伊井先生の対談のお手伝いです。しかし、キーン先生はまったくお変わりなく、今日も元気に長時間お話をなさいました。

 一昨日は90歳のお誕生日で、賑やかにお祝いの会があったとか。
 それにしても、その記憶力の凄さには、いつものことながら感服しました。
 話題となった出来事の年月が正確に出てきます。また、人名が「えーっと、あの人……」ではなくて、はっきりと名前をおっしゃるのです。
 今日の3時間にも及ぶ伊井先生とのお話の中で、私がお役に立ったのは、安部公房の代表作につまられた時に『砂の女』と囁いたことだけでした。手元に用意していたパソコンで電子百科事典を引いたりインターネットに接続して確認することは、一度もありませんでした。これは、伊井先生にも共通することです。とにかく、強靱(?)な記憶力の持ち主お2人の会話が続くのです。

 対談後も、秘書である平井史朗さんを交えて、ご一緒にお食事をしました。
 
 
 
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 その時にも、話し忘れたことがまだまだあるとばかりに、さらに1時間近く貴重なご意見やお考えを伺えました。やはり、伊井先生との信頼関係があるからなのでしょう。日本文学に関して、上代から現代に及ぶ幅広い知識を駆使して、伊井先生の問いかけにストレートにお答えになり、私のような者にも教え諭してくださいます。もっと勉強をしなければ、という思いを強くしました。

 平井さんも、キーン先生のご本を翻訳なさっていることもあり、的確な対応をしておられました。身近で秘書として接していると、先生のお書きになるものを翻訳をする上でも、非常によくわかって訳しやすくなった、と語っておられました。翻訳という行為が抱える一面を垣間見た一瞬でした。

 上の写真にもあるように、目の前には私にとっては禁断のスイーツが、大きな皿にいくつも並んでいます。
 お付き合いということを理由に、糖質制限食を実践中であることはそれとして、少しだけいただきました。
 今日の食事では、洋食のフルコースの内、パン・スパゲッティ・カボチャ・スイーツ以外は、すべていただきました。和食よりも洋食の方が、炭水化物は少ない傾向にあるように感じました。もちろん、お店やメニューによって違います。しかし、以前フランス料理がそうであったように、おおよそ洋食の方がカロリーは別にして、糖質に関しては悩まなくていいようです。

 以下、あくまでも個人的な興味からのメモです。

・今朝の朝日新聞に、キーン先生へのインタビュー記事「67年前、私は沖縄の戦場にいた」が大きく掲載されていました。そこに添えてあった、先生が普天間で日本人捕虜に尋問なさっている写真で、捕虜が褌姿だったことについて、率直にお尋ねしました。すると、日本人は爆弾を背負って突撃してきたり手榴弾を隠し持っていたりしたので、お互いの命を守るために衣服を脱いでもらった状態で聞き取り調査をした、と教えて下さいました。伊井先生との対談が始まる前に、平和主義者キーン先生からタイムリーな話を伺うことができました。

・ご一緒にお食事をいただいていた時、井上靖がノーベル賞をもらえなかったことについてお尋ねしました。キーン先生のお考えでは、井上靖の作品にはいい翻訳がなかったことも、受賞できなかった理由の一つではないか、ということでした。文学作品が世界的な評価を得る上では、翻訳は大きな働きをするようです。

・『源氏物語』の外国語訳について。ブラジルのポルトガル語訳『源氏物語』は、ポルトガルで刊行されているものとはまた違うのだそうです。私は、いろいろな国で翻訳された『源氏物語』を集めています。ほぼ集め終えました。しかし、このことは知りませんでした。改めて再調査をしたいと思います。

・第4の『源氏物語』の英訳が刊行されるそうです。進行中であることは知っていましたが、具体的には情報が入っていませんでした。アメリカで近・現代文学を研究している方だそうです。お名前を教えていただきましたので、またの機会に報告します。

 対談の名手である伊井先生の巧みな進行で、キーン先生はたくさんのお話をしてくださいました。これが整理されて『阪急文化』に掲載される日を、心待ちにしています。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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