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2012年6月10日 (日)

映画「わが母の記」のロケ地・伊豆湯ヶ島へ

 娘たちが今春3月の結婚式で、プレゼントとして私と妻に旅行ギフトをくれました。
 ゆっくりと旅行を楽しんでください、と。先方のご両親にはiPadでした。
 
 
 
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 それを使って、日頃の疲れを癒やすために温泉旅行に行きました。行き先は、新幹線と在来線とバスを乗り継いで、三島・修善寺経由で伊豆・湯ヶ島です。映画『わが母の記』の舞台となったところです。

 電車とバスの接続がギリギリです。電車の到着時刻とバスの発車時刻が一緒なのです。そこで、あらかじめバス会社に電話で確認をすると、三島駅から伊豆箱根鉄道の電車に乗る前に電話をしてくれたら、バスの発車を少し待たせておくから、とのことです。今時、そんなことをしてくれるのか、と何となく不安を抱えての道中でした。

 伊豆箱根鉄道の電車に乗ってから、運転手さんに、終点の修善寺でバスが我々が乗り込むまで発車を待っていてくれるということを伝え、前と後とどちらが改札に近いかを聞くと、前がいいとのことです。そして、座席に着いた我々のところにわざわざ来て、バスに待ってもらえてよかったよかった、と満面の笑みで少し話をして喜んでくださいました。

 最近はみなさん自家用車で伊豆を旅されるからでしょうか。こうした接続には駅員の方も慣れておられないようです。宿の方も、こうした電車とバスの接続についてはよく実態をご存知ないようでした。

 バスに乗り換えるだけの待ち時間がないところを、電話をしたことで待ってもらえるとは、今の日本では考えられないことです。実際に、電車で到着した我々をバスの運転手さんは待ってくださっていました。5分ほど遅れて発車です。

 乗る人も降りる人も地元の方ばかりなので、運転手さんと普通に挨拶をしておられます。運転手さんに、この日の宿である落合楼村上へ行くために降りるバス停を確認すると、ここでも親切に説明してくださいました。電車ばかりではなく、バスでも親切な運転手さんと出会えたのです。
 人の心が相手に寄り添う、優しさと思いやりが溢れる伊豆の旅がスタートしたのです。

 新宿というバス停で降りると、すぐ目の前が落合楼村上です。
 ここは、映画やテレビドラマなどでよくロケ地とされるところです。
 
 
 

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 宿は大正ロマンを感じさせる、木肌の温もりと職人さんの心意気を感じさせるところでした。建物の一部は、国指定登録有形文化財となっていました。

 先ずはお茶をいただいてから庭を散策です。
 落合楼村上の庭から川越しに架かる吊り橋は、現在上映中の映画『わが母の記』で、最初に伊上(役所広司)と八重(樹木希林)が話をするシーンとして出てきた場所です。
 
 
 

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 部屋も、いい雰囲気でした。ここでは、すべての部屋が違った造りだそうです。それぞれ別の大工さんが競って作ったとのことです。欄間や障子の細工が凝ったものでした。
 
 
 

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 夕食は、何と言っても地元のワサビです。
 サメ皮を貼ったおろし器で摺り下ろします。息子は小さいときから料理にうるさく、このおろし器を見ると、大阪難波の千日前道具屋筋商店街まで一緒に買いに行ったことを思い出します。
 
 
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 横に醤油があります。しかし、ワサビだけをお刺身にのせていただきました。思ったよりも丸みを帯びた味で、家庭用でよくある不自然な刺激はありませんでした。
 映画『わが母の記』でも、ワサビが印象的に点綴されていました。

 井上靖の小説によく出て来る狩野川と本谷川の合流地点にあるところから、明治14年に逗留中だった山岡鉄舟がここを「落合楼」と命名したとか。川の水音がやさしく聞こえてきます。
 いくつもの小部屋があり、一軒の家に泊まっている感じになりました。

 電話もインターネットも、手持ちのものがソフトバンクの回線なので圏外となってつながりません。ポケットWi-Fiも反応しません。現実に直面し、通信会社をソフトバンクにしていて後悔する場面です。Appleさん、こんな会社と契約するなよ、と口惜しい思いをすることしきりです。京都も立川も深川でも圏外なので、ここ湯ヶ島がつながらないのは覚悟の上で携帯を持って来ています。

 ブログをどうしようかと思案していると、入口に近い物書きのできるコーナーに電気スタンドがあり、その左後ろに、白くて四角いAppleの無線ルーターがあるのを見つけました。AirMacエクスプレスというものです。なぜこんなところに?
 部屋の雰囲気とはあまりに違う最先端機器を目敏く見つけた私は、逸る心を抑えて早速様子見です。
 
 
 

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 ランプはオレンジ色が点滅していたので、このままではつながりません。そこで、勝手知ったるアップルユーザーの本領発揮です。まずはリセットして再起動し、いろいろと試していると、なんとパスワードが書いてある場所を見つけました。フロントに確認する前に、難なくインターネットにつながったのです。ランプも緑色になっています。
 
 
 

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 持参のノートパソコンは、快適に情報を表示してくれています。
 これで、湯ヶ島での通信環境は完璧です。

 ゆったりと川のせせらぎを聞きながら、何度も露天風呂を往き来しました。
 家族用の露天風呂の横には、井上靖の『しろばんば』で洪作が登った木があります。この宿は、井上靖の作品にも出て来るのです。明日が楽しみです。

 伊豆の湯ヶ島での一夜で、心身共にリラックスして休むことにします。
 
 
 


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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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