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2013年7月30日 (火)

京大病院の未承認医療機器の実験に参加する

 京大病院の眼科で検査を受けました。これは、糖尿病内科から回された検査です。
 視力は昨夏の入院時とほとんど変化がありません。多少左目の視力が落ちているとのことでした。
 また、軽い白内障があるようです。しかし、大した問題ではないようです。

 診察後、よかったら新しい検査に協力してもらえないか、と声をかけられました。
 私は、自分の身体のすべてを、この病院に捧げています。先生方のさまざまな検査や実験に、積極的に協力しています。そんなこれまでのこともあっての、研究協力の要請だと思われます。

 3年前に胃癌の手術をしてもらった時にも、さまざまな情報を提供しました。
 昨夏は、1ヶ月にも及ぶ糖尿病の検査入院をしました。毎日毎日12回以上も血糖値を測定しました。休む間もなく、ひたすら血液を提供しました。それがどれだけ役立っているのか、今の時点では何もわかりません。一握りの情報にしか過ぎないものです。しかし、こうした情報が蓄積されれば、そこからまた何か新しい治療方法が見つかることでしょう。

 特に私は、胃と十二指腸がまったくないのです。食道と残された小腸が、鳩尾の上で直結されています。消化管のない身体での血糖値の推移は、得がたい情報となるはずです。ささやかながらも、少しでもお役にたてれば幸いだと思っています。

 普段取り組んでいる『源氏物語』の本文に関する研究は、非常に意義深いものだと私は思っています。しかし、やはりそれは、自己満足の域を出ないものだと思います。人の命を救ったり、人に何か影響を与えることもほとんど考えられない、あくまでも自分が生きることに向かって完結する、個人的な命題です。

 せっかく生まれてきたのですから、何か人のお役にたちたいものだ、と常日頃から思っていました。

 どう考えても、誰に聞いても、今ここに私が生きていることは考えられないことです。
 しかし、実際に、毎日このブログを書いているのは私自身です。毎夜、こうしてブログを書きながら、今日も書くことがあった喜びを噛みしめています。ありがたいことだと、妻をはじめとする私の周りのみなさまに感謝しています。素直に表現できないので、そんな気持ちは伝わっていないかと思いますが……

 その意味からも、自分の身体を今後の医学分野での調査や研究のために提供することは、些少なりとも世のため人のためになることにつながります。特に、今の私の身体は、消化管がないので、おもしろい人体実験ができると思われます。

 何度も命拾いをしたこともあり、自分で進んで自分の身体を、医学実験に提供しているつもりです。
 また、消化管がないのにどうして今も元気に日々を送ることができているのか、自分でも今もって不思議に思っています。主治医の先生も、いろいろと質問すると、まだわからないことが多くて、と仰います。

 いつ何があってもおかしくない状況の中で、とにかく毎朝スッキリと目が覚めます。そして1日中いろいろな活動をし、夜になると自然に眠くなって休みます。

 その間、1日に5、6回の食事を長時間をかけてします。特に夜は、食事に2時間をかけるので、勉強時間は極端に圧縮されています。
 しかも、仕事のペースダウンを意識的にしているので、多くの方々に迷惑をかけっぱなしです。本当に申し訳ないことです。

 そのおかげというのも変ですが、理由はわかりませんが、今日も元気に生きています。生き続ける限り、牛歩の歩みでも、一つずつ仕事はできるのです。
 数週間後に、私が編集した『もっと知りたい 池田亀鑑と「源氏物語」第2集』(新典社)が刊行されます。本当は、昨春の刊行だった本です。しかし、無理を言って延ばしてもらい、やっと来月できあがります。生きてさえいれば、形あるものを作り、残していけます。

 たくさんの仕事を抱えています。それらも、遅々として進みませんが、それでも一歩ずつ前に進むようにしています。気長に見守っていただくことをお願いするしかありません。

 さて、今日の医師からの提案は、「新型高分解能眼底観察装置による眼底イメージングの臨床的有用性に関する検討」というテーマへの協力依頼でした。私は喜んで研究に参加することを即答で伝え、眼科で1つの実験対象にしてもらいました。
 
 
 
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 実験に参加するにあたっては、まず、この研究の趣旨に関する説明がありました。どうやら、私は糖尿病による網膜症に関しての参加要請のようです。これを断っても、今後の診察などにはまったく影響がないことを、最初におっしゃいました。相手の心理的な負担を軽くしようとの配慮からのようです。

 今回の臨床研究は、新しい医療機器の有用性を調べるためのものでした。
 あらかじめ、京都大学医学部付属病院の倫理審査委員会において、参加する患者の人権の保護と安全性と科学性に問題がないかを審査し承認されたものだ、とのことです。

 そして、提示されている医療機器では、眼底の視細胞という非常に細かい部分を見ることで、早期診断や病状把握に資する情報が得られることが期待されるものでした。
 この医療機器は、京都大学とキャノンの共同研究だそうです。厚生労働省からはまだ認められていない、未承認医療機器です。

 この実験的な検査によって、私にもたらされる利益は今はないそうです。しかし、将来的に多くの方々によりよい医療が提供できるように、協力してほしいとのことでした。
 そして、もちろん患者である私の費用負担もなければ、謝礼もないと。また、この臨床研究によって新発見があっても、特許権などは患者にはないとのことです。

 こうしたすべての説明を受けてから、同意書を交わしました。

 実際の検査は、レンズの奥の光の点を見るだけでした。
 終了後、画像を見せてくださいました。網膜に、小さなツブツブのような白い点が確認できました。視細胞というものだそうです。
 これが、今後どのように展開していくのか楽しみです。
 私の取るに足りないこの身体の反応から得られる情報が、多くの病気にお役にたつのであれば本望です。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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