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2014年1月18日 (土)

京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第7回)

 京都では、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』の「蜻蛉」巻を読み進めています。

 ワックジャパンはどんなところですか、とよく聞かれます。
 中庭から町家の母屋を見ると、風情のある建物であることがわかります。

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 この2階の和室をお借りして、月に1度の勉強会をしています。
 今日は、男性2人と女性6人の8名で、いろいろと意見を言い合いながら読んでいきました。

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 休憩時間に出た今日のお茶菓子は、ちょうど今の季節にふさわしい椿餅でした。これは、平安時代からある古い餅菓子です。
 今日の椿餅は、三十三間堂の向かいにある七條甘春堂の和菓子でした。しかし、私が食べることに夢中になり、写真を撮るのを忘れてしまいました。そこで、「とらや」ホームページの「紫式部と椿餅」(掲載日︰2001年4月1日)にあった、きれいな写真をここに引かせていただきます。

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 『源氏物語』の第34巻「若菜上」に、蹴鞠の後の饗宴でこの椿餅が出てきます。『河海抄』によると、現在の道明寺粉のようなものを甘葛の汁で練って団子のようにして、それを椿の葉の間に俵形の餅を挟んだもの、とあります。今日みんなで食べた椿餅は餡が入っていました。しかし、平安時代は餡もなく、味ももっとさっぱりしていたのではないでしょうか。現代が砂糖漬けの食生活なので、この味から平安時代に想いを及ぼすのは難しそうです。
 京都のお茶席では京菓子として、冬から初春にかけて出されるようです。関東のお茶席ではどうでしょうか。いつか調べてみたいと思います。

 ひとしきり和菓子談義に耽った後、今回も字母の確認から進めていきました。
 参加者のみなさんも、字母に関する感覚が、少しずつわかってきたこともあり、順調に進みました。

 私があらかじめ作成して配布した資料に関して、説明を要する箇所がありました。それは、行末の右横に記された文字をどうするか、というものです。

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 3丁ウラ2行目行末と、後から2行目行末の「ニ」という文字は、補入か、傍記か、一行に書ききれなかった文字の書き添えか、ということです。

 結論としては、行末の追い込みとしての文字だと判断し、補入とも傍記とも異なるものだとしました。
 今日は、3丁ウラまで字母の確認を終えました。

 ここまでの本文の字母は、次のようになります。前回の資料に付け加えたものとして掲示します。
 また、末尾に字母別出現回数も添えておきます。


ハーバード本 52蜻蛉 字母版 その4(140118_確認済)

  [1]浮舟の失踪に大騒動となり右近と侍従は浮舟が入水した思う
                    【1931/12:520001】
[1]加之己尓者比登/\・遠波勢奴越・毛止免左者
个止可比奈之・毛乃可多里野/比&野・飛免幾三乃/免&飛・人尓・
奴春末礼堂良無・安之多乃・也宇奈礼八・久八
之宇毛・以比川遣須/川+川・幾也宇与利・安里之・
川可比乃・返寸・奈利尓之可葉・於保川可奈之止
天・末多・人・遠己世多里・末多・止利能・奈久二
奈无・以堂之多天左世・給部累登・川可比乃・
以不尓・以可尓・幾己恵无・免乃止与利・八之
女天・安八天末止不・事・可幾里・那之・思由留・
可多・奈久天・堂ゝ・左波幾安衣累遠・可乃・心・志礼留(1オ)」

登知那无・以三之宇・毛乃・思給部里之/之&部里・左末遠・
思以川留尓・身越・奈个・給部累可登・
於毛飛与利遣累・奈久/\・古乃・文遠・安遣
堂礼波・以登・遠本川可奈左尓奈无・思川ゝ・
末止呂末礼・八部良奴尓也・己与比八・由免尓堂
仁/多尓&尓堂・宇知登計天毛・身衣寸・越曽八礼川ゝ・
心知毛・礼以奈良須・宇多天・侍遠・奈越・以登・遠曽
呂之・毛乃部・和多良世・給八无・事波・知可ゝ
武奈礼登・曽乃・程・古ゝ尓・武可部・堂天末川利
个无/个〈判読〉=天・遣不・安免・不利奴部个礼葉奈登・有(1ウ)」

与部乃・加部利己登止毛・安計天・美天・右近・以
美之宇・奈久・左礼八与・己ゝ呂本曽幾・事八・幾
古衣・給比个利・王礼尓・奈止可・以左ゝ加・乃多末
不・己止乃・奈加利个无・於左那加利之・本止与利・
川由・己ゝ呂・越可礼・多天末川留・己止・那久・知利八
加利・遍多天・奈久天・奈良比多留尓・以末者・
可利乃/可±幾・三知尓之毛・我遠・ゝ久良加之・个之
幾越堂仁・之良世・給者左利計留可・川良支・
事止・於毛不尓・阿之寸利止・以不・己止越・之天・
奈久・左満・和可幾・己止毛乃・也宇奈利・以三之久(2オ)」

於保之多留・御个之幾八・三・多天末川利王
多礼登/波&登・加計天毛・加久・奈部天奈良須・於止呂/\
志幾・事・於保之与良武・毛乃止八・美衣給
者左利川留・人乃・御心左万越・奈越・以可尓・之
川留・己止仁可止・於保川可奈久・以美之・女乃止八・
奈可/\・毛乃毛於保衣天・太ゝ・以可尓・世无・/\止乃三
  [2]浮舟を心配して匂宮が文を遣わし従者は浮舟の死を伝える
                  【1932/18:520174】
曽・以者礼个留・[2]三也仁毛・以止礼以奈良奴御个之
幾奈利之・御返・以可尓・於毛不奈良无・王礼遠・佐
寸可尓・安以遠毛比多留左末奈可良・安多奈
留・心奈利止乃美・不可久・宇多加比多礼八・本可部(2ウ)」

以幾加久礼奈无止尓也・阿良无止・於保之左者幾
天・御川可比・阿利・安留・可幾利・奈幾万止不・本止二
天・御文毛・三・太天万川良須・以可奈留曽止・計
寸遠无奈尓・止部八・宇部乃・己与比・尓八可尓・宇世
左世・給比多礼八・毛乃毛・於保衣左世・給八春・多乃
毛之幾・人毛・於者之満左奴・於利奈礼八・多ゝ左不
良比・給・人尓八・毛乃尓・安多利天奈无・万止以・給
止・以不・己ゝ呂毛・不可久・之良奴・於乃己尓天・久者
之宇毛・止八天・末可利奴・加久奈无止・申左世多留二・
由女止・於保衣天・以止・安也之宇・以多宇・和川良不(3オ)」

止毛・幾可春・比己呂・奈也末之止乃三・阿利之
加登・幾乃不乃・加部利己止波・左利計毛奈久天・
川祢与利毛・於可之計尓加幾多利之毛乃越止・
於保之也留・可多・奈个礼八・止幾可多・以幾天・个之
幾美与/与〈ママ〉・多之可奈留・己止・止比幾个止・乃多末
部八・加乃・大将殿・以可奈留・己止可・幾ゝ・給・己止・八部
里个无・止乃以・寸留・毛乃・於呂可奈利奈无止・以
末之女・於保世良留止天・下人乃・万加利入遠・
美止可免止比・侍奈礼八・川久留/±己止・己止・奈久天・
止幾加多・末加利多良无越毛乃ゝ幾己衣侍良八(3ウ)」

【3ウまでの字母数】 総文字数,1114/使用文字数,65
止,53/奈,50/可,45/之,43/乃,37/利,35/多,34/毛,33/以,32/天,30/尓,28/幾,28/八,27/己,23/川,22/礼,22/留,21/良,21/於,20/久,20/左,20/末,18/比,18/加,18/部,17/无,17/不,15/ゝ,14/宇,14/个,14/登,13/越,12/安,12/給,12/遠,12/与,11/世,10/也,9/三,9/者,9/呂,8/衣,8/保,8/奴,8/美,7/計,7/堂,7/里,7/免,7/御,6/曽,6/知,6/寸,6/人,6/波,6/本,5/万,5/事,5/\,5/心,4/由,4/思,4/女,4/累,4/須,4/遣,4/阿,4/王,3/武,3/和,3/侍,3/古,3/那,3/二,3/春,3/仁,3/太,2/満,2/文,2/身,2/志,2/葉,2/返,2/飛,2/入,1/下,1/殿,1/将,1/大,1/祢,1/申,1/佐,1/支,1/我,1/遍,1/近,1/右,1/有,1/程,1/恵,1/能,1/+,1/無,1/野,1/勢,1

 次回は、3月1日(土)午後1時から、場所はワックジャパンです。
 本文異同の確認と、ここまでの解釈をすることになります。
 体験してみたい方は、いつでもお立ち寄りください。
 ただし、資料の準備がありますので、あらかじめ本ブログのコメント欄を利用して参加の希望をお知らせください。

 なお、ここワックジャパンの代表者である小川美和さんが、現在『京都新聞』の「オピニオン・解説」欄に「私の京都新聞評」として執筆中です。
 今日、1月12日付け紙面をいただきました。これは、第二回だそうです。第三回は来月2月9日に掲載されます。入手可能な方は、ぜひご覧ください。
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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