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2014年4月 1日 (火)

『日本古典文学翻訳事典 1〈英語改訂編〉』を発行しました

 平成26年度が始まりました。
 昨日は、平成25年度の科学研究費補助金・基盤研究(A)による研究成果報告書が完成し、納品されました。
 短い期間に、翻訳データの整理から印刷の段取りへと、慌ただしい日々の年末年始でした。
 多くの関係者のみなさんに、大変お世話になりました。
 この場を借りて、お礼を申し上げます。
 無理難題を聞き届けていただき、本当にありがとうございました。
 おかげさまで、ずっしりと重い報告書ができあがりました。

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 これから、発送の準備に入ります。
 科研費による発行のため、非売品です。
 印刷物は、公的機関や研究協力をしていただいた方々に優先的に配布します。
 ただし、科研のホームページ「海外源氏情報」(科研HP)で、本書のPDF版がダウンロードできるように準備をしています。
 さらには、文字列で検索して、画面上でブラウジングできるような仕掛けも用意します。
 用意が調いましたら、またアナウンスをしますので、今しばらくお待ちください。

 本報告書は、あくまでも暫定版です。
 この冊子が呼び水となり、追補すべき情報や、記述の補訂に関してご教示をいただくことにより、さらなる増補版が生まれればとの思いから、あえてこの時点で発行したものです。
 幅広い方々からのご意見や情報提供を、楽しみにお待ちしています。
 本ブログのコメント欄か、科研のホームページ「海外源氏情報」(科研HP)を通して、些細なことでも結構ですのでご教示を、よろしくお願いいたします。

 なお、本報告書の位置づけを明確にしておくためにも、参考までに巻頭に置いた前書きを、以下に引用します。


は じ め に

 —試行版としての事典であること—

 本報告書を作成することになった発端は、私がスペインで「“Spanish translation of the tale of Genji”(スペイン語に翻訳された『源氏物語』)」というタイトルで研究発表をする前日でした。
 2013年10月23日、現地マドリッド時間の朝7時に、国文学研究資料館内の科学研究費補助金担当の方から「25年度科研費の交付内定について(10/21追加内定)」というメールが届いたのです。4年間で3千2百万円の直接経費が認められた、とのことです。

 突然の朗報に驚くと共に、早速、提出書類である「交付申請書」と「交付請求書」を、マドリッドのホテルで作成しました。そして、同時に26年度分として申請を予定していた基盤研究(B)については、すでに事務に提出していたものが重複するため、その申請は取り下げることになりました。
 慌ただしい、科研費研究のスタートです。

 年度途中の追加配分であっても、補助金の使用にあたって特別なルールはないとのことです。4月に交付された場合と同様の扱いで、研究費の運用するのです。そこで、大至急研究体制を整えることになりました。

 この科研を支えてもらうプロジェクト研究員には淺川槇子さん、技術補佐員に加々良惠子さんという頼もしい2人の採用を経て、研究支援態勢を迅速に整えました。そのお陰で、こうして無事に、初年度の成果が事典という形に結実することになりました。

 本書は、数年前に発行され『日本文学研究ジャーナル』に掲載された記事を再確認し、情報を追補してまとめたものです。
『日本文学研究ジャーナル』は、科研費の基盤研究Aとして、平成21年から24年にかけて実施された研究の成果刊行物です。平成23年度までの3年間は前国文学研究資料館館長の伊井春樹先生が、平成24年度は私が研究代表者となって、当初の研究目的を達成した報告書です。

 今回その成果の中から、第2巻以降3回にわたって掲載された翻訳事典のデータをあらためて取り出し、追補修訂を加え、再編集してまとめ直しました。

 第4号の「はじめに」で、私は以下のように記しました。


特に、懸案だった「翻訳事典」が、不十分ながらも一つの形になって本報告書に収載できたことは、今後につながる成果だと言えるで しょう。この翻訳事典には、2006年4月23日にお亡くなりになった、国文学研究資料館名誉教授福田秀一先生から託されていたメモを最大限に活用しました。
 本科研では、英語に関する文献だけを対象としていることに留まらず、各項目のまとめ方も含めてまだまだ不備の多いものです。これを補訂し、さらに追加していくことで、よりよい事典に育てていきたいと思います。(3頁)

 また、その「あとがきにかえて」では、次のように記しています。


翻訳事典は、分量的な問題もあって、単独の編著作物とはなりませんでした。これは、今後につながるものとして、さらに項目と情報の拡充に努めたいと思います。(301頁)

 日本古典文学に関する翻訳事典としては、各項目の内容がいまだ未整理の状態にあります。今回、その見出し項目と表記上の体裁及び、内容に関する記述の統一をしようと試みました。しかし、いろいろな機会に、多くの方々に執筆していただいた原稿の集積であることから、不統一の感は免れません。各所に編者の判断で多くの手を入れました。しかし、あくまでも暫定的な処置に留まるものです。
 そのことを承知で、この時点で公開することにしたのは、これを叩き台にし、より良い情報の提供を受ける中で、さらに充実した事典に育てたいと思うからです。まさに、試行錯誤の中での暫定版としての事典です。
 みなさまからの情報提供により、各項目の精度を高めたいと思います。
 今後とも、ご理解とご協力を、よろしくお願いいたします。

2014年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
「海外における源氏物語を中心とした平安文学
 及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」
研究代表者
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
国立大学法人 総合研究大学院大学
国文学研究資料館 伊藤 鉄也


 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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