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2014年4月10日 (木)

読書雑記(95)伊藤新之介著『ネットが味方になる Webマーケティングの授業』

 親ばかですみません。息子が初めての本を刊行したので、ここに紹介します。  私のブログを読んでくださっている方には、この本は私とは違う分野のものなので無縁な情報かと思われます。しかし、我が家の日々の実録として、紹介を兼ねて記しておきます。
 昨日、『ネットが味方になる Webマーケティングの授業』(2014.3.28、秀和システム)という本が発売されました。

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 私がコンピュータに興味を持った今から30年も前から、この出版社の本は、さまざまな機会に手にして読み、勉強をしてきたものです。  今回の出版について、詳しいことは何も聞いていなかったので、この会社からの刊行であることを知り驚きました。一度は刊行したかった出版社だったからです。

 私が最初に本を書いたのは、『新・文学資料整理術 パソコン奮戦記』(桜楓社、1986年、昭和61年)でした。まだ35歳の時で、息子が生まれる2年前のことです。
 表紙絵や中の挿絵は、すべて妻が描いてくれました。

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 あれから28年経った昨日、息子の本を手にすることになったのです。
 私の本の帯には、次のように書かかれています。

煩雑な資料整理の労力が一挙に10分1になるパソコン活用術。 資料整理に苦しんできた著者が苦闘の末につかんだノウハウをやさしく全公開!! あらゆるジャンルの資料整理に活用できる本

 そして息子の本の帯には、次のように書かれています。

「ユーザーの心にガツンとくる言葉を発信し、それをネットで拡散させたい」あなたのために、頭さえ使えばタダでPRできるスキルを公開します。

 「公開」を意識した、よく似たキャッチコピーなので、ニヤリとしました。
 『新・文学資料整理術 パソコン奮戦記』では、文学研究にコンピュータを導入することを提唱しました。その予見は当たりました。
 また私は、日本文学関係では最初にホームページを開設しました。1995年9月の〈源氏物語電子資料館〉がそれです。
 その後も、『源氏物語』の本文および研究情報のデータベース化に取り組んでいます。
 今回の息子の本は、3人の先達から対談を通して教えを受ける、という設定でまとめてあります。まさに、専門家からマンツーマンで生きた授業を受けているのです。
 「Webマーケティング」というものを、私はまだよく理解できていません。しかし、インターネットを活用したビジネスの可能性は、私なりにイメージはできます。
 実におもしろい体験のできる本でした。
 今更ながら、我が子から啓発を受ける、いい本でした。
 参考までに、本書の目次をあげておきます。

目 次 はじめに 伊藤新之介

第1章
プロブロガー イケダハヤト
 時に炎上しながら 毎日のんびりやってます
  先行者優位は続かない? 先行と後続のサイクルから「意見」へ抜ける 読まれる企業ブログの運営に必要なのは、まず編集長 編集長とは誰か? 社内を巻き込むには? クラウドソーシングは使えるのか? 読者は企業? 消費者? ユーザーニーズがわかればコンテンツもわかる 読んでもらえる記事の作り方 「役に立つ」だけ? ビジョンを語らなければ独自性は出ない 現場はトップを巻き込め バイラルに可能性はあるか? ターゲットはインフルエンサーであると意識する 二つのバイラル マーケター? アーティスト? 長続きするのは意見を言うアーティスト寄りメディア

第2章
ネットニュース編集者・PRプランナー 中川淳一郎
 ネットでユーザーが食いつくPRの方法
  〜ネット民が欲しい情報と企業が伝えたい情報は全然違う
 ネットでウケるネタとは? 2ちゃん民に刺さるかどうか  2ちゃんねるの独特の「自虐」文化は奉仕の精神にも溢れている 「若者の○○離れ」はメディア嫌いの人たちが食いついてネットでウケる ネット民に「ルイ15世」は伝わるか? 知名度の問題と一瞬のインパクト 記者が食いつく見出し・読者が食いつく見出し 予算のない企業のPR方法 企画が面白ければ、大企業のキャンペーンもネットで記事になる スピード感も必要 一緒に遊ぶ感覚でライフネットは歓迎された 「いいね!」キャンペーンの錯誤 バイラル、いいんじゃない? 正しい2ちゃんねるの歩き方 ガリガリ君が成功したワケ お金をかけずにPRするなら泥にまみれろ 一緒に遊ぶ。見下す。応援する。

第3章
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長 兼 CEO 出口治明
 突き抜けたプロモーションは経営トップの判断から ウェブの使い方がうまいライフネット生命 手弁当で講演を続けた創業期 安さだけでは伝わらない 10人の力を10人分引き出してイノベーションを起こすのはダイバーシティ 「業界の常識」ではマーケティングができない マーケティングは経験ではない――相手の立場で考える 物欲がインセンティブにならない21世紀 女性とともに意思決定をしたか? 価格・人口・技術要因でプッシュからプルに移る マーケティングの実行フェーズは30代に任せる 「わからないから決断できない」という勘違い 正しい決断はインプットの総量による リーダーの条件 チームで補うリーダーシップ 商いの本質 ダイバーシティがなぜ必要か? 若者は皆、未経験者 「日本の市場」という発想が古い

「あとがき」に代えて 伊藤新之介
 筆者が実験したバイラルメディアの報告

 この本を読み、親としては唸ってしまいました。
 息子が小さいときには、毎朝、奈良県生駒郡平群町にある、長屋王と吉備内親王の古墳の横にある託児所に預けに行きました。
 小学校6年生の時には、2人でレンタカーを使って、イギリス・ドイツ・スイスの旅をしました。
 中学と高校時代には、私がそうであったように、軟式テニスに明け暮れる日々でした。
 高校卒業後のことは、何を考え、何をしていたのか、ほとんど知りません。ただ、茂木健一郎に憧れ、脳科学の話をしてくれたことは覚えています。
 私も、角田忠信の脳に関する本を読み漁った若き日がありました。
 親子ですから、なにがしかの影響が、成長過程であったのでしょうか。
 その子が、この本でいろいろなことを語っているのです。知りませんでした。知らない内に、自立していたのです。
 息子が、株式会社ビットギャザーを起業したのは、昨年の4月でした。
 私が、特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉を設立したのが、昨年の2月でした。
 共に同じ頃、新しい時代を見据えた組織を設立すべく、走り回っていたのです。しかし、これは期せずして時期が重なっただけのことです。何かを相談し、打ち合わせたものでもありません。
 息子の会社が都内の大森にある、というのも機縁です。
 私は高校卒業後、大森で新聞配達をしていたのですから。
 私が新聞を持って走り回っていた地域で、息子は起業して走り回っているのです。
 生きているということは、何と楽しくて、おもしろいのでしょう。
 これまでの息子との接点を、あれこれと思い出し、つなぎ合わせています。
 この1冊の本を手にしながら、旧懐の情とともに、嬉しさも入り交じった気持ちで、ほんのりとした甘さを噛みしめているところです。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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