« 『源氏物語』の翻訳史略年表の試行版 | メイン | 漱石の新聞連載小説『心』を本文異同の視点から読む »

2014年4月19日 (土)

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉第2回総会を終えて

 少し肌寒かった今朝、自転車で聖路加国際病院に隣接する東京都中央区明石町区民館へと向かいました。
 今日は、特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉の第2回総会がある日です。

 会場は、越中島の宿舎を出て相生橋と佃大橋を渡ってすぐの所にある施設なので、自転車で10分もかかりません。

 佃大橋から隅田川の上流を望むと、中央大橋の向こうに東京スカイツリーが見えます。

140419_sumidagawa1



 橋上から隅田川を振り返ると、目指す先である聖路加タワーの間に東京タワーが見えました。
 通りかかった遊覧船の左手奥には、ビルに挟まれて茶色い尖り帽子の明石町区民館が見えます。遊覧船の向かう先には、勝鬨橋も見えています。

140419_sumidagawa2



 自転車を漕ぎながら橋を渡るのが気持ちのいい朝です。

 会場である明石町区民館は、落ち着いた雰囲気の建物でした。

140419_kuminkan1



 その2階の一室で、総会を持ちました。

140419_kuminkan2



 詳しい内容に関することは、「NPO法人〈源氏物語電子資料館〉のホームページ」に譲ります。

 ここでは、私なりにその要点をメモとして残しておきます。

 昨年度の事業報告や活動決算と、今年度の案を確認しました。
 また、役員の内で理事2名の変更により、若返りを図ることとなりました。
 次の世代へと、確実にバトンタッチが行われています。

 私が昨秋より科研費の研究代表者となったため、今後のNPO法人の活動は科研と重複しないように、活動内容について慎重に検討を重ね、確認しました。
 それは、科研の研究期間と重なる今後3年間、NPO法人では『源氏物語』の本文に関するデータベースを構築することに専念する、ということが主たるものです。これは、科研費の研究内容である「海外源氏情報」(科研HP)と、その内容が被らないものだからです。

 公私混同と思われることを避け、経費の流用には十分すぎるほどに細心の注意を払い、それぞれの運営をしていくことになります。今回の理事の交代は、そのための対処でもあります。

 昨年の活動では、『源氏物語別本集成 続 第8巻』で扱うはずの第32巻「梅枝」と第34巻「若菜上」の翻字がほぼ終わった、との報告がありました。
 『源氏物語』の絵画における服飾関係の索引も、ホームページから公開しました。
 『源氏物語』のどの古写本が、現在どこに所蔵されているのか、ということの調査も一通り終わりました。これは、今年度の公開を目指してデータの整理をしていただいているところです。

 目に見える活動としては、東京と京都で『十帖源氏』の多言語翻訳のための現代語訳を作成するプロジェクトが、これまで通り順調に進んでいます。
 また、京都では、ハーバード大学本『源氏物語』「蜻蛉」巻の古写本を読む勉強会も、快調に回を重ねています。
 先月は、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の設立1周年記念の公開講演会も実施しました。

 こうした活動を振り返ると、弱小ながらも、よく組織として活発に動いていると思います。

 基本方針に、無償のボランティア活動にならないようにする、ということがあります。
 些少でも謝金をお渡しするように努力しています。

 しかし、如何せん、資金という面での背景も蓄積もないので、まだまだ努力目標です。写本を読んだり、古写本に関する情報を整理していただいても、十分な謝金が渡せないことを、申し訳なく思っています。
 それでも、苦しい資金繰りの中で、みなさんのご理解とご協力のもとに、着実に実績に結びつけることができていることに、感謝の思いを忘れないで運営をしているところです。

 いろいろなイベントをしたいと思っています。しかし、今のこのNPO法人〈源氏物語電子資料館〉には、体力も資金も乏しいのです。当初の目的を実現するには、程遠いことは事実です。
 しかし、これは理解が拡がり、そして深まれば、自ずと解消出来ることだと楽観的に構えています。

 NPO法人のホームページやブログのアクセス数も、しだいに多くなって来ているのは、明るい話題です。
 当分は、地道な活動とその広報で、本会の存在意義を訴え、理解を求めていきたいと思っています。

 現在の会員は27名です。
 正会員の年会費が1万円なので、本会の事業規模は推して知るべし、というところです。
 また、スポンサーもないので、これらは今後の大きな課題です。

 さらには、本会の会員の内で、『源氏物語』の研究者は私を含めて4名です。
 この研究者の少なさには、意外に思われることでしょう。
 これは、現在の『源氏物語』の研究が、『新編日本古典文学全集』に代表される活字校訂本文による研究が主流であり、それが実質的には9割以上を占めるという実態の反映である、と私は理解しています。
 つまり、『源氏物語』の古写本に関する情報は必要がない、という研究者の現実があるのです。
 しかし、活字校訂本文だけに頼った研究は、時流と共に変質していくと思われます。
 共通本文としては大島本しか流布していない『源氏物語』の本文の供給の実態は、それがいかに歪んだ研究環境にあるのか、ということに少しずつ疑問を持つ若手研究者が現れています。
 将来的に、本文に対する見方は変わってくる可能性が高いと言えます。
 また、そうあるべきです。
 活字校訂本文による読書感想文と、写本を基本とする本文研究の距離が、あまりにもありすぎます。現代人のために提供されている活字校訂本文による研究と、平安時代の物語を研究することの位相の違いを、もっと自覚したいものです。

 そのような中で、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉では、地球上に現存する『源氏物語』の写本すべてを翻字し、データベース化しようとしています。研究のための基盤を構築することが急務だと思うからです。まさに、『源氏物語』を研究するためのインフラの整備を、当面の課題としているのです。

 この件についての理解が行き届いていない現状は、まだこの会の存在を訴える力が弱いことも背景にあると言えます。広報と宣伝が不足していることは自覚しています。そのこともあり、今は身の丈に合った活動に留まっているのが実情です。

 今は会費のみの運営なので、思うような活動はできていません。
 しかし、古写本を読むことを中心として少しずつであっても実績を積み上げていれば、それが存在意義を理解していただくことにつながり、支援してくださる方々も着実に増えていくはずです。そのこと期待し、楽しみにしているところです。

 NPO法人〈源氏物語電子資料館〉では、『源氏物語』に関する基礎的なデータを、これからも構築し、ホームページを通して公開していきます。そして、それを若い世代に引き継いで行くことを、活動の根幹としていきます。

 コツコツと運営を続けていきますので、今後とも変わらぬご支援のほどを、どうかよろしくお願いいたします。
 
 

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

Powered by Six Apart
Member since 07/2008