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2014年6月25日 (水)

京洛逍遥(324)宇治市源氏物語ミュージアムの「市川海老蔵特別企画」

 先週は、短い時間を縫うようにして走り回っていました。宿舎のある江東区と職場がある立川市を結ぶ通勤線上に、中野区・新宿区・千代田区を交えた広域を秒単位で往き来した後、京都へと遠距離の地点間移動をしたのです。
 いずれ、折々の話の中に織り交ぜることで、日々の記録として残すつもりです。

 それにしても、広域を移動しながら感じるのは、Wi-Fi を活用した通信環境が、日本は非常に立ち後れていることです。これは、手持ちの iPad が電話回線を内蔵しない Wi-Fi タイプであり、ノートパソコンもWi-Fi を必要とするシーンが多いので余計に痛感します。

 仕方がないので、私はiPhone のテザリング機能を有効に活用するようにしています。しかし、これもあまり使いすぎると速度制限がかかり、通信が極端に遅くなります。画像のやり取りなどでは、使い物にならないくらいの遅さになるのです。
 日本の通信環境はこれでいいのか、と叫びたくなります。技術力のある日本のことなので、こんなに不便な状態のままという背景には、きっと窺い知れない理由があるのでしょう。しかし、それにしてもみっともないと思っているのは私だけではないでしょう。

 個人持ちの携帯電話の電波に依存した今の通信状況は、一日も早く先進国並みに個人に頼り切らないシステムになってほしいものです。
 海外からお出でになっている観光客の方々は、先進国と言われて来ながらも日本らしくないこの貧弱な実態に直面し、失望しておられることでしょう。こうした先端技術の立ち後れにめげることなく、日本文化の奥深さに免じて、日本批判の気持ちを抱いて帰国されないことを祈っています。

 さて、その先週の京都でのことをいくつか書き漏らしていたので、ここで掬い上げておきます。

 宇治市にある源氏物語ミュージアムでは「市川海老蔵特別企画」が開催中でした。

 しかし、何かと所用に振り回される日々だったこともあり、会期の平成26年4月24日(木)から6月22日(日)の内、その最終日にやっと足を運ぶことができました。


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 もっとも、見終わってすぐに上京という、地に足が着いていない、形ばかりの鑑賞に終わったことが残念でした。

 今回の企画展に関して、源氏物語ミュージアムのホームページによると、次のような案内文が掲載されています。


歌舞伎・オペラ・能楽による舞台「源氏物語」の世界が、千穐樂終了後、興奮も冷めやらぬまま、源氏物語ミュージアムに甦ります。舞台映像や衣装・かつら・小道具など、市川海老蔵による源氏物語の世界をお楽しみください。

 実は、この海老蔵の舞台も、私は観ることができませんでした。妻は観に行ったので、その伝聞としての記事を「海老蔵が〈人間浄瑠璃〉と言う『源氏物語』のこと」(2014年04月06日)で記すに留まりました。

 それだけに、せめてこの源氏物語ミュージアムの展覧会は観ておきたかったので、とにかく無理を圧して、小雨の中を行きました。

 海老蔵の舞台に関する展示は、企画展示室で開催されていました。


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 海老蔵が舞台で身に着けていた衣装は、衣紋掛けに設えられた飾り方だったので、舞台の実際をイメージするには時間を要するものでした。それでも、私は今春のNPOのイベントで直衣を着装(2014年03月23日)してもらった体験を思い出し、自分がこの衣装に身を包まれている状況を想像しながら拝見しました。

 なお、すでに終わった展覧会なのでいいのですが、あれっと思う展示がありました。
 それは、ガラスケースの中に置かれた経机の上に、硯と筆と巻紙があり、その紙に遊び書きの態で、首巻「桐壺」の冒頭をやや行が左に捩れた書き様で、次のように書きさしたままの様子で見せておられたことです。

 仮名漢字の表記だったところを、わかりやすいようにその字母で引用します。


以徒連乃御時尓可女御
 更衣安末以

 この書きさした最後の文字「い(以)」は、どのような意味を持たせているものか、首を傾げてしまいました。この部分の諸本の本文は、今私が確認できる37本すべてが「あまた」です。現存する『源氏物語』で、「あまい」とする本は一冊もないのです。あるいは、「あまい」と書き「い」を間違ったのでここで書きさした、という状況にした、という、いたずら心を込めた展示だったのでしょうか。
 それにしても、観覧者を軽視した、酷い展示だと思いました。

 帰りの新幹線まで少し時間があったので、映像展示室で映画2本を観ました。この映画は、1年半前にケンブリッジ大学のジョン・コーツ先生を宇治にご案内して以来です。その折のことは、「コーツ先生を宇治にご案内して」(2012年10月14日)をご笑覧ください。

 映画「浮舟」は岩下志麻の語りで、「橋姫」は緒方直人の語りで構成されています。
 「浮舟」の入水の場面は、物語では描かれていないものなので、人形による映像だったことも加わり、余計にリアルに感じられました。
 「橋姫」で、名月の下で楽器の演奏をする場面において、ナレーションでは大君が琵琶、中の君が筝と語っていたように思います。聞き間違いだったらすみません。この場面については、映写室を出てすぐ横の「宇治の間」における宇治八の宮邸の復元では、大君が筝、中の君が琵琶となっていました。


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 古来、この2人がそれぞれどの楽器を演奏していたのかは、異説がいろいろとあるので、どちらでも構いません。この次に行った時に、よく確認したいと思います。

 帰る頃には、雨は上がっていました。宇治川の水嵩は幾分上がっているようです。


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 家族と一緒に宇治に来ると、よく入った回転寿司屋も健在です。


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 今は糖質制限食を心がけているので、また今度誰かと一緒の時に入ることにしましょう。
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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