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2014年7月18日 (金)

京洛逍遥(328)冷房攻めから逃げるように祇園祭へ

 連日、職場では会議室詰めの日々です。エアコンが効いた部屋と節電で蒸し暑い廊下を、頻繁に出たり入ったりしています。その温度差で体調がおかしくなりそうです。

 東京の宿舎にはエアコンがなく、今も扇風機だけの生活をしています。建物が隅田川の河口にあるので、ビル群の中の生活とは違うために可能なのでしょう。
 そんな日常の中で、長時間の通勤電車で冷やされ、汗をかきかき歩いて行き着くと、また建物の中で煉獄の思いをすることになるのです。この寒暖の人体実験は、本当に堪えます。

 会議が終わってからすぐに、冷凍庫状態の新幹線で帰洛の途につきました。この車中で、いつも思います。人間の身体をこんなに冷やす必要があるのだろうかと。新幹線に弱冷車はないのでしょうか。

 祇園祭は、平安前期の疫病退散という御霊会に由来するものです。清涼剤としての祇園囃子を神様に届けることで、荒御魂を鎮めようというのです。
 このお祭りを、私は自分の生活の中では暑気払いにいい機会だと位置づけています。
 また、「京洛逍遥(193)祇園祭と鱧-2011」(2011/7/16)に記したように、私が命拾いした想い出が詰まったお祭りの日でもあります。
 小さい時から、今は亡き両親に連れられて、何度もこのお祭りを見に来たことも思い起こされます。

 その祇園祭が、今年はこれまでとはまったく違うものになりました。後祭が復活することになったのです。
 17日の前祭(さきまつり)に23基の山鉾が巡行し、24日の後祭(あとまつり)で、残る10基の山鉾が巡行するのです。
 加えて、四条町の大船鉾(おおふねほこ)が150年ぶりに復帰します。
 今年の祇園祭は、まったく新しい姿で生き返ることになったのです。

 都人は、改革に積極的です。いろいろな情報によると、保守的な考えの方からの反対も強かったようです。しかし、粘り強い話し合いの末、新たな取り組みに着手することになったのです。
 千年以上も都であった町は、常に変革して来たからこそ、今の輝きがあるようです。またこれからも変わり続けることでしょう。柔軟な対処と地元への愛着が、こうした変化に見え隠れしているように思えます。

 山鉾巡行が7月17日に一本化されて合同巡行となったのは、今から49年前のことだとか。信仰か観光か、という論争の果てに、観光が最優先された社会的な事情もあったのです。
 それが、最近は異常に人出が多くなり、危険でとてもゆっくりとは見て回れないほどに、混雑が激しくなってしまいました。マスコミが絵になるというので、調子に乗って煽ったことも一因です。

 誰のためのお祭なのか、ということへの問いかけもなされたのです。経済的な得失はあるでしょう。しかし、祇園祭を本来の姿に戻すのは、原点に立ち戻って新たに文化を伝えていくためには、いいことだと思います。

 京都駅の構内では、祇園祭のパネル展示がなされていました。


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 ただし、ミニチュアなどを並べて、小さな文字で解説をする展示は、あまりにも稚拙でした。日本人でさえ細かな文字は読めないし、スペースは狭いしで、間に合わせの展示であることがわかります。ましてや、海外からおいでの方にメッセージを伝えて、そして理解の一助にしてもらおうという気持は、この展示の担当者には皆無です。
 祇園祭は、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。それを、こんな手抜き展示でごまかすとは、もったいないことです。

 京都駅から地下鉄で四条に出て、真っ先に行った室町通の役行者山、黒主山、鯉山や、新町通の八幡山、北観音山、南観音山などが、今年からは後祭の組に入ったこともあり、姿が見えず通りがひっそりとしていました。いつもと雰囲気が違います。
 これら後祭の10基は、今年からの新しい取り組みにより、今週末からその姿を見せることになったのです。先祭のグループである新町通の放下鉾は、無事に昨日の巡幸を終えたので大工方のみなさんによって解体中でした。


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 今年の目玉となる大船鉾は、ちょうど組み立てが進んでいるところでした。


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 写真の左端に写っているのは、四条町大船鉾保存会理事長の松居米三さんです。道具が運ばれてくるのを、楽しそうにご覧になっていました。


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 四条通りの月鉾も、今年の役割を終えたせいか、骨組みの一部が残っている状態です。


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 記念すべき49年ぶりに復活した後祭は、何とかして21日に見てから上京しようと思っています。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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