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2014年10月24日 (金)

〈筆順・縦書き〉問題とパソコン業界の日本語放棄の潮流

 昨日の「やた管ブログ」に、平仮名の連綿に関する記事があります。
 〈筆順〉と〈字形〉、そして〈縦書き〉が問題とされています。

「歴博のキモい広告」(2014年10月23日)

 私も、講座や講演会で『源氏物語』の古写本を読むときには、最初に筆順や縦書き・横書きのことをお話します。

 最近では、この1ヶ月ほどの間に、3回も変体仮名のお話をする機会がありました。
 以下のブログでは、筆順や縦書きのことには詳しく触れていません。しかし、いずれもこの点に関しては当然お話をしています。

「日南町でハーバード大学本「須磨」を読む」(2014年09月13日)

「日比谷図書文化館で『源氏物語』を読み始める」(2014年10月02日)

「日比谷図書文化館でハーバード本を読む(1)」(2014年10月16日)

 今週末も、立川市中央図書館で『源氏物語』の古写本についてお話をします。その時にも、筆順や縦書きのことを最初にお話し、日常生活の中での問題点に気付いていただくように話題を進めていく予定をしています。

 折しも、毎月読んでいるパソコン雑誌の今月号の内、『Mac Fan 11月号』(マイナビ刊)に、コクヨ S&T社が発売している「CamiApp S」という商品の評価記事がありました。この商品は、手書きのノートをデジタル化するものです。そこに、縦書きについて次のように書かれていました。


縦書きや絵に注意!
縦書き文字や絵が入っていると、こんな感じに文字化けします。

横書きでは正しく認識
縦書きをしないように気をつけつつ、横書きのテキストを作成したところ、見事に文字認識をしてテキストに変換されました。(217頁)

 どうやら、文房具ではメジャーなコクヨが開発したものでも、縦書きを読み取って変換する精度はまだまだのようです。コクヨは日本の会社なのに、日本語の縦書きについては無力さを露呈しています。こんな会社が今でも日本の事務用品を扱う大手であることは、恥ずかしい限りです。

 日本において、文字を表記することに関しては、依然として放置されているものがあります。それが、〈筆順〉であり〈縦書き〉〈横書き〉の問題なのです。
 縦書きと横書きについては、拙著『新・文学資料整理術パソコン奮戦記』(桜楓社、1986(昭和61)年)の巻頭部分において、さまざまな例をあげて文字の縦横表記の問題点をとりあげています。いまから28年も前の問題提起です。しかし、いまだに何も解決されていません。日本語を使って毎日読み書きをしている1人として、これも恥ずかしいことです。

 いつまで、今の筆順で横書き文化を維持しようとするのでしょうか。学校では縦書きの筆順を教えながら、社会ではそれを嘲笑うかのように横書き文化が進行しています。土台無理なことを、国と学校は児童生徒に押し付けているのです。今後10年の動向が楽しみです。
 また、ひらがなは今のまま、1文字に限定した用字を強制しつづけるのでしょうか。例えば、「か(加)」は「可」を崩した文字の方がずっと楽に書けます。もっとも、日本がこれまで通り縦書きを続ける限りは、という条件付きですが。

 アップルは、というよりもコンピュータ業界は、キーボードの文字配列に日本語のJISキーボード(日本語109キーボード)を放棄しようとしています。カナ入力をしている私などは、アップルの日本語を切り捨てていく方針に憤慨しています。アップルの日本法人は、この件では無能なのか何も言わないようです。日本語を使って文字表現をする1人として、日本語の縦書きが抹殺されていく過程を見届けるざるを得ない風潮が、非常に残念で悲しいことです。

 この件では、現在、視覚障害のある方々と縦書きの変体仮名を読む方策に取り組んでいます。その一環として、この無策な日本語の表記について、日本語を研究されている関係者に提言もしていこうと思っています。
 目が見えることからくる無自覚な現状認識について、目が見えない方々と問題提起をしていきたいと思います。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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