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2014年11月29日 (土)

第38回 国際日本文学研究集会の第1日目

 宿舎の近くにある深川図書館の前のイチョウの黄葉がきれいです。
 建物の風格を高めるのに一役かっています。


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 ここから2時間弱の立川への移動も、今日は土曜日なのでスムースに行けました。
 今年の国際日本文学研究集会は38回目です。
 国文学研究資料館は創設42年を迎えるので、開館してまもなく国際集会が始まったのです。
 当時は、伊井春樹先生がいらっしゃった時代です。
 日本では老舗の日本文学関係の国際集会なのです。
 お昼頃に少し雨が降りました。
 しかし、それも一時だったこともあり、会場となった大会議室はほぼ満員の盛会です。

 今年も、国内外から若手を中心とした多彩な研究成果が発表されました。
 プログラムを簡単に紹介します。


  総合司会 入口敦志
【第1セッション】
  司会 伊藤鉃也
[1]B.H.チェンバレンによる『古事記』英訳―「枕詞」の場合
          高橋憲子(早稲田大学大学院博士課程)
[2]三代集における紀貫之の位置づけについて
          大野ロベルト(日本社会事業大学助教)
[3]『源氏物語』が語るもの―宗祇『雨夜談抄』が開拓する「読み」とその意義
          KNOTT Jeffrey(スタンフォード大学大学院博士課程、
                  早稲田大学外国人研究員)
【第2セッション】
  司会 海野圭介
[4]『徒然草』における漢籍受容の方法―『白氏文集』の場合―
          黄昱(総合研究大学院大学博士課程)
[5]『十訓抄』における孔子
          尤芳舟(北京日本学研究センター博士課程、
              早稲田大学外国人研究員)
[6]「大やうなる能」と「小さき能」―能の位とその典拠の正統性をめぐって―
          TARANU Ramona(早稲田大学大学院博士課程)
【ショートセッション】
  司会 青田寿美
①『うつほ物語』と近世国学者
  ―文化三年補刻本『うつほ物語』絵入版本の書き込みから
          武藤那賀子(学習院大学人文科学研究所客員所員)
          富澤萌未(学習院大学大学院博士課程)
②否定的な母親像と暗澹たるふるさと
  ―坂口安吾から観た「出自」論―
          DEWI Anggraeni(インドネシア大学専任講師)
③永井荷風「監獄署の裏」試論
          刀根直樹(東京大学大学院博士課程)
④藤本事件と「熊笹にかくれて」―療養所内での救援活動の実態
          西村峰龍(名古屋大学大学院博士課程)
 
【レセプション】


 第1セッションの3人の司会は、私が担当しました。
 若手ということもあり、25分の発表時間は短いようです。しかし、これはどこの学会でも同じなので、いかに時間を有効に使って簡潔に述べるか、ということに尽きます。資料の作り方にも工夫がいります。
 質疑応答は5分です。これは、司会者泣かせです。簡潔に手際よく進めても、2人の質問を受けるのが精いっぱいです。幸い、今日は質問も回答も要領良くなされたため、ちょうどの時間で役目を終えることができました。
 意欲的な発表が多いので、もっと質疑の時間があればいいと思います。これは、全体的な運営の問題なので、毎年の課題でもありますが。

 なお、発表の中に出てきたことばの読み方で、『白氏文集』を「はくしぶんしゅう」と言うのは、今の読み方ではそうなっていることは理解できています。
 しかし、「校合」を「こうごう」と発音されると、これには抵抗を覚えます。どの辞書を見ても、「こうごう」の項目は「きょうごう」を見よとなっています。これは、やはり今しばらくは「きょうごう」と発音してほしいところです。
 ただし、しだいに「こうごう」になっていくのは時間の問題であることは承知しています。「発足」が「はっそく」と言われるようになったように、こうした流れは止められませんから。

 ロビーでのポスター発表も、充実していました。

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【ポスターセッション】
●『忠臣蔵』の翻訳―日本人の今として、過去として―
          川内有子(立命館大学大学院博士課程)
●<資料紹介>鞍馬寺蔵・与謝野晶子自筆歌稿
          関明子(東洋大学ティーチングアシスタント)
●太宰治「誰も知らぬ」論―オトメ共同体の外縁にある少女表象について―
          王盈文(中華大学助理教授)
●昭和十年代の「みやび」
          大石紗都子(東京大学大学院博士課程)
●中国における星新一小説の受容
          丁茹(鹿児島大学大学院博士課程)
●国文学論文目録データベースの利用状況に関する考察
          江草宣友(国文学研究資料館事務補佐員)

 いずれも、やや文字が多いかと思われました。
 文学は図式化しにくいので、こうしたブレゼンはさらなる工夫が必要です。

 ケンブリッジ大学のレベッカ・クレメンツさんが参加していました。昨夜、参加するとのメールがあり、久し振りに会いました。いろいろと話をしようと思ったのですが、忙しいようなのでまたの機会にすることにしました。

 充実した一日目を終えた後のレセプションでは、かつてこの国際研究集会の委員長をなさった神野藤昭夫先生が乾杯の音頭をとられました。先生とは、過日の雅楽をご一緒して以来です。話は、自然と健康の話題が中心となります。


 帰りに、隣の自治大学の校舎越しに、煌々と照る月を見上げることができました。


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 宿舎の近くの黒船橋からは、さらにきれいに撮影できました。


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 明日は終日、缶詰め状態で発表とシンポジウムに参加となります。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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