« 科研HPの「翻訳 - 源氏物語・平安文学論文」を更新 | メイン | 佐倉の歴博で中山本「鈴虫」巻を熟覧 »

2014年12月 4日 (木)

千代田図書館の調査中に八木書店の会長と池田本談義

 千代田図書館へ古書目録の調査で行きました。10階の食堂から皇居を望むと、小雨にけむる中に黄葉がきれいです。


141204_momizi


 乾門の紅葉が一般公開されているので、この向こうはさらにみごとな色数を誇っていることでしょう。

 今日の古書目録の調査は、小さな展示即売会で配布された簡易版の冊子が多かったため、古写本に関する情報はありませんでした。江戸時代に刊行された注釈書類だけでした。

 その中で、豊国が描いた源氏絵が4点ありました。
 こうしたものも収集しているので、全調査が終了したあかつきには、おもしろい図版の活用が期待されます。


141204_genjie


 目録の調査中に、打ち合わせでお出でになっていた八木書店の取締役会長である八木壮一氏と、いろいろなお話をしました。
 この千代田図書館に収蔵されている古書目録は、八木会長が反町茂雄氏や中野三敏先生が収集しておられた目録等を利用できるようになさったものです。たまたま、この目録を調査中にお目にかかれて幸いでした。
 この資料群については、「千代田区立図書館[古書販売目録]」を参照願います。

 八木会長との話は多岐にわたりました。特に、「影印資料 新天理図書館善本叢書」が来年4月から刊行されることが公表されたばかりなので、そのことで詳しいお話が伺えました。今週中に内容見本のパンフレットが発送されるそうなので、大学等の関係者のみなさんは楽しみにお待ちください。
 この新善本叢書については、その「内容見本」がダウンロードできますので、お急ぎの方はご確認ください。

 この第3期に、『源氏物語』全10巻が計画されています。これは、「池田本(伝二条為明筆本)」のことです。今春の中古文学会の折に、天理図書館の岡嶌偉久子さんと八木書店側にプッシュした甲斐がありました。
 この本については、これまでに私が大島本に代わる流布本として推奨していた写本です。すでに、全52巻の翻字を終え、今は校訂本文の作成に着手しているところです。

 これまでに、「桐壺」巻や「空蝉」巻の校訂本文を公開しています。

「3本対照「桐壺」校訂本文の試作版」(2008/10/4)

「3本対照「空蝉」校訂本文の試作版(25.May.2009補訂版)」(2009/5/22)

 さらに、池田本の校訂本文を基準本文として、それに詳細な小見出しを作成しています。
 現在公開しているのは、「「桐壺」巻の小見出し試案(72項目版)」(2014年03月26日)だけです。これは、さらに増やす計画を進めています。

 また、「『もっと知りたい 池田亀鑑と『源氏物語』 第2集』(伊藤編著、新典社、2013(平成25)年)」では、岡嶌偉久子さんの丹念な調査を踏まえた研究成果である論稿「伝二条為明筆本源氏物語」を収載しています。これを読むと、池田本の詳細がわかります。

 池田本を大島本に代わる新たな流布本とすべく、これまでに少しずつ情報や試行版を提示して来ました。これで、本格的に着手できる状況となりました。

 今日は、八木会長から来年のカレンダー「新天理図書館善本叢書 刊行記念 天理図書館所蔵 名品集」をいただきました。その中に、池田本の紹介記事ありますので、池田本のさらなる理解を深めるためにも、以下に引用して広報宣伝の一翼を担いたいと思います。


141204_tenriikeda


 ここに付された解説文は、以下のように記されています。


鎌倉末期写青表紙本48巻を基幹とする源氏物語
   源氏物語伝二条為明筆本(池田本)
『源氏物語』は作り物語の中にあって最多の伝本を伝えるが、平安朝の伝本は確認されておらず、鎌倉期のものが最古写となっている。本書は2巻を欠く全52巻。その内の48巻は2筆からなる鎌倉末期の書写で、本書成立当初の基幹巻と認められる。この48巻はすべて青表紙本系統の本文を持ち、巻によって巻末に奥入を持つ。揃いの古写本の少ない青表紙本諸本の内、特に重要な一一本として注目される。〔新善本叢書第13〜22巻収録(第3期)〕

 この文章中に「青表紙本系統の本文」とあります。この呼び方に異論を唱えている私は、今後の調査と研究を進める中で、池田本の本文を示すのにさらに的確な名称を考えたいと思います。
 現在、私が提唱している本文2分別試案では、池田本は〈乙類〉に属するものとしています。

 今回の新善本叢書の第3期が、『源氏物語』の池田本に確定したので、その刊行までには翻字と校訂本文を公開したいと思います。
 急遽、慌ただしくなりました。
 そこで、この池田本に関して、翻字確認と字母翻字および校訂本文と各巻の小見出しを作成する仕事をお手伝いしてくださる方を募ります。謝金は用意できません。しかし、必ず手応えのある仕事となるはずです。
 大きなプロジェクトなので、その運営主体はNPO法人〈源氏物語電子資料館〉とします。

 老若男女、自薦他薦を問いません。本ブログのコメント欄を活用して、どうぞ積極的に手を上げてください。連絡をいただけましたら、あらためて私から返信を差し上げます。

 このことは、後日さらに要綱をまとめてから、本ブログに協力者募集のお知らせを掲載するつもりです。
 
 
 

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

Powered by Six Apart
Member since 07/2008