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2014年12月11日 (木)

日比谷図書文化館でハーバード本を読む(5 最終回)

 今期の5回目となり、ひとまず今日が最終回となりました。
 師走ともなり、日比谷公園もイルミネーションがきれいに瞬いていました。
 日比谷パレスの電飾で縁取られた階段が印象的です。


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 日比谷松本楼もクリスマスの飾りが質素で上品です。


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 日比谷図書文化館は、いつも明るくておしゃれです。


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 今回初めて参加させていただいた日比谷カレッジでは、次期の募集となる「古文書塾てらこや 1月期」が開始されています。古写本と変体仮名に興味と関心をお持ちの方で、木曜日の18時半以降の時間が空けられる方は、ぜひお越しください。
 「体験講座」は新年8日(木)の午後6時半から行います。どんなものか、一度体験してみてください。

 30年にわたって古写本を読んできたノウハウを、私なりに語り伝えておきたいと思っています。また、この講座は翻字者の育成を目指しています。読めるようになったら、『源氏物語』の本文をデータベース化しているNPO法人〈源氏物語電子資料館〉の翻字作業に参加していただくことで、さらに腕を磨いてください。
 日本の古典文化の継承者になっていただきたいことと、翻字のスキルを高めていただき、次の世代にデータを引き継ぐ役割も果たしていただけたら幸いです。

 現在のところ、『源氏物語』の古写本の翻字で、後世に伝えられる形式のデジタル・データになっているのは、ほんの一部です。まだまた翻字すべき写本は山ほど残っています。
 一帖でも多くの翻字データを、デジタルで後代に引き渡すためにも、一人でも多くの方に写本に書かれた物語本文を確認できる基礎となる翻字作業を作成することに、ご理解とご協力をよろしくお願いします。
 そのための技術力アップをめざしての講座が、この「【翻字者育成講座】ハーバード大学美術館蔵『源氏物語 蜻蛉』を読む」です。変体仮名を読むことから一歩進んで、スキルを高めて次世代に引き継ぐデータを作成する、というのが高く掲げている目標です。

 今日は、最後ということもあり、たくさんの資料をお配りしました。
 しっかりと、国文学研究資料館の宣伝もしました。

 まず、いつものように、私のブログ「鷺水亭より」に報告した前回(第4回目)の講座記録をもとに、仮名と漢字の使われ方を学んだこと等を確認しました。
 また、今回のテキストに使用した新典社版の『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「蜻蛉」』の翻字で、今現在判明している訂正箇所の一覧をお渡ししました。これは、テキストを作成した者としての最低限のサポートだと思っています。
 詳しくは後日、本ブログでも公開しますので、上記の書籍を購入された方や図書館等で利用なさっている方は、今しばらくお待ちください。

 さらに、本講座では古写本を読むといっても、変体仮名を読むことに終始したために、内容はまったく触れる暇がありませんでした。その点をカバーする意味からも、『国文学解釈と鑑賞別冊 源氏物語の鑑賞と基礎知識 No.28 蜻蛉』(伊藤編著、至文堂、268頁、2003(平成15)年)で、今回読んだ所までの資料を再編集したプリントをお渡ししました。自分で読み進んでいただくための資料として活用していただくためです。

 次に、先週調査に行った国立歴史民俗博物館所蔵の重要文化財山中本「鈴虫」巻で、読むのに苦労した箇所の解説と、昨日調査に行った実践女子大学所蔵明融本「玉鬘」巻の微妙な翻字の記述方法を、具体的に説明しました。ややこしい書写がされている箇所を、どのように現代日本語で表記して次の世代に引き渡すか、ということにつながることでもあります。

 その後、凡例の確認を前回の続きからしました。これは、古写本を読んでその書かれて状況をどのように日本語で記述するかということに関して、ルールとでもいうべきものです。
 翻字のルールはまだ存在しません。そこで、私が『源氏物語別本集成』の作業を通して作成したものを、現在の翻字作業のルールとしています。これは、今後とも翻字された方からの意見を聞きながら、さらに整理されたものに仕上げたいと思っています。
 これについても、近日中に公開します。翻字の基本的な了解事項として通用するように、折々に補訂していきたいと思います。

 お話したいことがありすぎて、ハーバード大学「蜻蛉」の翻字は今日は進めませんでした。
 また、時間切れとなったので、本文異同の確認については、次の3例のみを提示して終わりました。


○「こよひは」(520064)「けにや」は傍記混入か
○「しらせ」(520129)「みせ」
○「ナシ」(520143)「侍従」
  これはテキストの解説(185頁)参照

 私にとって初めての試みということもあり、いろいろと欲張った内容になったせいか毎回時間が足りませんでした。
 新年度から、引き続きハーバード大学本『源氏物語』「蜻蛉」をテキストにして、今回の続きから読み進めていきたいと思います。気長にお付き合いいただければ、と思って続けていくつもりです。
 今回参加なさった方で、次の期もお越しいただける方がいらっしゃることがわかりました。ありがたいことです。ますます翻字の腕を上げていただきたいと思います。

 なお、終了後に新たに4人の方が翻字をやってみたい、とおっしゃってくださいました。
 古写本の翻字に興味を持っていただけたことに安堵しました。
 あまり難しくない資料を取り揃えて、近日中にお届けしようと思います。
 無理をなさらずに、できるときにできる所まで読んでみられたらいいと思います。手にした赤ペンは、ほとんどが漢字と平仮名の違いをチェックすることに使われるはずです。それだけ、こうした作業をやってみると、変体仮名が実践的に読めるようになるのです。

 今回参加された方はもちろんのこと、それに限らず、読んでみたいとお思いの方は、本ブログのコメント欄を活用して連絡をください。メールのやりとりでお話を伺いながら、最適な資料をお届けすることができるように努力いたします。

 それでは、また来年、日比谷図書文化館でお目にかかりましょう。
 よい歳をお迎えください。
 そして、来年もよろしくお願いいたします。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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