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2015年1月18日 (日)

『源氏物語』の翻字本文に関する凡例の改訂(その1)

『源氏物語別本集成 続 第一巻』(平成17年5月、おうふう)に掲載した凡例をもとにして、翻字に関する部分を見直し、再検討しています。これからの規範とする、「変体仮名混合版」の凡例を作り直すためです。
 これまで翻字の規範としていた凡例を改訂するにあたり、本日より何回かに分けて掲載します。

 従来の凡例(平成17年5月版)を、これから順次俎上にあげて検討を加えます。
 折々にご教示をいただきながら、新たな翻字データ作成の目安にしたいと思います。

 まず、『源氏物語別本集成 続』の凡例(第一巻所収、平成17年5月、8~23頁)のうち、「A〈翻刻本文〉に関して」という箇所からです。
 当時は、「翻刻」と言っていました。この用語は古写本を扱う場合には不適切なので、今は「翻字」と言っています。

 今回手を入れた部分は赤色にしました。


 A〈翻字本文〉に関して

① 底本である陽明文庫本を精査した結果を、10桁の通番号を付して文節単位で区切って示す。
② 書写様態などに関する付加情報は、該当文節末にスラッシュ(/)を付し、備考として明記する。詳細は、後出の「E 翻刻本文に対する付加情報について」を参照されたい。
③ 『源氏物語別本集成』では、傍記は物語本文に関するものに限って校合対象としていた。その後、『源氏物語別本集成 続』では、すべての傍記、傍注を翻字し、校合の対象とした。この方針は、今後とも『源氏物語別本集成 続』を継承する。
④ 傍書(=)、ミセケチ($)、ナゾリ(&)、補入(+)などの表示方法は、『源氏物語別本集成』と同じである。ただし、『源氏物語別本集成 続』以降は、補入に関して変更がある。補入と思われる箇所であっても補入記号のない場合には「±」の記号を用い、傍記との違いを識別できるようにした。
⑤ 和歌の表記方法については、原本通りの体裁とする。大方は、二字下げで下の句を改行する形式となる。ただし、巻によっては改行後の字下げがない場合、また、改行もなしに本文に続く場合もある。次世代に引き継ぐ管理用のデータでは、和歌の始発部と末尾にカギカッコ(「 」)を付すことによって、どこからどこまでが和歌の部分かを判別できるようにしている。
⑥ 2015年以降に作成する翻字データにおいては、「変体仮名」は字母となる漢字で表記する。「変体仮名」とは、明治33年に制定された「小学校令施行規則」の第1号表に掲示された48種の字体(「え」「お」は現行のものを当てる)以外のものをさす。

 ④については、翻字者の解釈が伴うものとなります。この「±」の記号を用いることについては、さらに検討したいと思います。

 ⑥が増補されたものであり、今回の大きな改訂となる箇所です。
 この改訂に伴う具体的な対処は、次回、「D 翻字・対校上の方針について」で詳しく検討を加えます。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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