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2015年1月17日 (土)

「変体仮名混合版」を後押しする手厳しくもありがたい批判

 昨日、「変体仮名混合版」に関する補足説明を記しました。
 このことに関して、今日のワックジャパンでのハーバード大学本『源氏物語』を読む会で、手厳しくも貴重な意見と、問題点をずばりと突いた指摘をいただきました。

 ハーバード大学本「蜻蛉」の1丁ウラの2行目に「身越」とあり、6行目に「身衣寸」とあることについてです。

 今日の指摘は、最初の「身」は身投げのことを言うので「身を」と翻字し、後者の「身」は見ることができる意味なので「み」とするというのであれば、そこには「身」と「見」に関して翻字する者の解釈が入っている、ということなのです。

 前者には漢字としての「身」の意味を読み取り、後者には音としての「み」を充てており、共に解釈が入った翻字となっている、ということです。確かに、後者について、もし写本に「見衣寸」とあれば「見えす」としていたことでしょう。

 これは、そう言われてみれば確かにご都合主義の翻字に他なりません。
 その意味でも「変体仮名混合版」で「身越」「身えす」と翻字することは、恣意的な解釈や状況に応じた判断がないことからも、これまでの翻字よりも客観的で学問的な資料となりうる、ということになります。

 これまで長い間にわたって多くの時間を費やして翻字をやってきた者にとって、一番手痛い指摘であり、ひいては、今回の私の判断を後押ししてくれる批判でもあります。

 このありがたい指摘を受けて、通行の平仮名だけでなくて変体仮名も混在させるという翻字の方針を変更した一大決心が、あらためて揺るぎないものとなりました。

 これで、3日連続の「変体仮名混合版」に関する話題となりました。
 それだけ、私にとっては大きな決断であり、できごとだったのです。
 長い間モヤモヤしていたことが、やつと晴れてきたように思えます。
 得難い研究仲間が身近にいることのありがたさを、痛感しています。
 これ以外についても、さらなるご批判やご意見をお待ちしています。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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