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2015年2月の31件の記事

2015年2月28日 (土)

京都で『源氏物語「蜻蛉」』の写本を読む(第16回)

 前回から、翻字は「変体仮名混合版」で確認しています。
 こうした翻字は前例がないということもあり、いろいろと問題点が噴出します。
 その一端は、当日のブログに書いた通りです。

「「変体仮名混合版」を後押しする手厳しくもありがたい批判」(2015年01月17日)

 今日も、この「変体仮名混合版」の確認をしました。もっとも、進んだのは3行半だけ。まさに、牛歩の歩みです。

 まずは、いつものように季節季節の京都らしい和菓子をいただくことから。

 昨夜、娘が届けてくれたのは、京菓匠 鶴屋吉信のお雛さまをイメージしたお菓子でした。


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 お内裏さまとお雛さまの銘は、お干菓子「雛祝い」。
 左右に置いてある小箱には、有平、コハク、落雁、金平糖などが入っています。
 細い棒状のものは「鶴屋吉信ようかん雛まつり」で、「小倉」「抹茶」「キャラメル」の3つの味が楽しめるものです。
 ただし、娘からのメールによると、血糖値が上がるので私は口にするな、と。

 日本のお菓子は、単にいただくだけでなく、目で見て、触って、飾って楽しめるのがいいところです。口に放り込んで、それが甘ければいいだろう、では留まらない所が日本の文化だと言えるでしょう。

 参加されていたみなさまと一緒に、いただく前に上掲の写真のような配置に並べてみました。鶴屋吉信さんには、何かお勧めがあるかもしれません。しかし、特に書いてなかったので、こちらで勝手にそれらしい配置をしてみました。関西風に、お内裏さまは向かって右になっています。

 また、春節で中国に帰省していた庄さんからは、香港の春節のお菓子をいただきました。


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 雛祭りとお正月が一緒に楽しめました。

 そんな中で、記録しておくべきことを以下に残しておきます。

 目が不自由な方々がこのハーバード大学にある写本が読めるようになるためには、続け字(連綿)が大きな壁となります。
 しかし、昨日の広瀬浩二郎さんの反応を思うと、仮名が続いている場合は、ある程度は連綿文字として覚えてもらえば、結果的には写本に馴染んでもらいやすいということがわかりました。多くのパターンを覚えるのが大変だとしても、そこは重大な障壁にはならないように思われます。

 例えば、今日の勉強会で出てきた箇所では、「かへり」「こと」「なく」「こゝろ」「けり」等は、一続きの文字列として覚えれば、これらが何度も出てくるので、結果的には読むのが楽になります。
 また、筆で書かれた仮名文字のありようが、実例としてイメージできるはずです。原稿用紙のマス目に文字を埋め込むような文化ではなかったことが、こうしたことから体得していただけます。
 日本文化の理解が深まる場面となります。


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 と言ってしまうと無責任なので、こうした例は、また例をあげながら確認したいと思います。

 ひとしきりお話に湧いた後、『十帖源氏』の「明石」の現代語訳に取り組みました。
 今日から、この『十帖源氏』も「変体仮名混合版」で翻字を確認します。

 問題があるとして、時間をかけて確認した現代語訳は、こんな箇所でした。

 「うれへ聞こゆ」を担当者が「愚痴をこぼします」としていた箇所は、「悩んでいます」にしました。
 「つれ/\」を「所在なさ」としていた箇所は、「退屈が」としました。

 今日から、一緒に読む仲間が増えました。
 こうした集まりに興味をお持ちの方は、本ブログのコメント欄を通して気軽にご連絡くだされば、御案内いたします。

 次回は、ちょうど2週間後の3月14日(土)の午後1時から5時まで、京都御所南にあるワックジャパンの2階で開催します。
 
 
 

2015年2月27日 (金)

京都駅前で充実した時間を過ごす

 民族学博物館の広瀬浩二郎さんと、京都駅前東のメルパルクで食事をしながら、目の不自由な方と一緒に『源氏物語』の写本を読むことで、今後の検討課題について打ち合わせや相談をしました。

 今日は、昨日出来たばかりの、木の板に凸字を浮き上がらせた試作品を触ってもらいました。
 これは、目が見えない方にも古写本『源氏物語』が読める環境を構築しよう、というテーマに協力していただいている、関口裕未さんの労作です。


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 左は、墨で書いた雰囲気を残しながら、線の重なり具合に段差を設けています。
 右は、2画目の縦棒が、曲線ではなくて直線にしてあります。

 関口さんは、明治大学で日向一雅先生のご指導を受けられた方です。三省堂の『現代新国語辞典』の監修者の一人でもあり、言葉や文字に関して斬新で興味深い提案を数多くいただいています。その1つの実作の成果が、この試作品です。
 実際に板に平仮名を彫ることで、少しずつ手応えを得ながら試行錯誤を重ねて進んでいるところなのです。

 広瀬さんからは、触常者の立場から多くのアドバイスをいただきました。
 板に刻まれた文字が、3段階の高さになっていることは、非常にユニークだとのことでした。
 また、墨の濃淡や太い細いなどが指先に伝わって来る造作なので、手書き文字の感触や風合いを感得する意味ではよくできている、とのことでした。
 実際には、「あ・い・う・え・お」まで出来ています。
 また、仮名文字の説明文も、関口さんは作っておられます。
 例えば、「あ」はこんな具合です。


◇現在の平仮名「あ」の説明
三画
 ① 左から右へ横線。
 ② 一画目横線の真ん中を通って、長い縦線。
 ③ 一画目横線の終わりの下のあたりから、左下ななめに下がる。このとき、線の始めは、後で書く曲線とすぐに交わり、縦線の下の方を通って左下ななめに下がる。線はそのまま左上ななめに短く上がってから、丸を書くように、右上ななめに少しずつ上がり、縦線の真ん中を通って、線の始めも通ってから、右下ななめ、左下ななめと下がり、大きな曲線を書く。
◎特徴
 二画目縦線の左側は、曲線の内側に楕円形の半円ができる。縦線の右側は、線の内側に小さな逆三角形ができる。
※木刻凸字では、三画目の形が、なぞってもなかなかイメージしにくいので、同じ線の形「の」「め」「ぬ」と一緒に学習すると分かりやすいかもしれません。

 この説明に対して、広瀬さんは、よくわかる説明だと感心しておられました。ただし、詳しすぎるので、実際に木刻凸字を触りながら耳からこの説明を聞くのであれば、もっと簡単な短い説明文で大丈夫だ、とも。また、線が流れる方向は、時計の針が指す方向で説明すれば十分に伝わるそうです。

 こうして、目が見えなくても自学自習で平仮名を触読できる環境を、着実に構築しています。
 とにかく、何でもやってみよう、ということで取り組んでいますので、何かひらめきがありましたら、ご教示いただけると助かります。

 今は木の感触を大切にしています。しかし、3Dプリンタが普及すれば、もっと精巧な文字を浮き上がらせることも可能となることでしょう。
 そうは言っても、やはり木の風合いは大事にしたいと思っていますが……

 この「あ」を見ていると、今から32年前に父の川柳句集『ひとつぶのむぎ』の私家版を自宅で作成したことを思い出しました。あの時は、NECのPC-8822という漢字プリンタを使って印字したものを版下にしたものです。それは、1つの文字を16×16の点で印字するプリンタでした。実際には、縦に8本のピンが少しズレて2列あり、それで16の点が一列にあるかのように見える仕掛けになっていました。
 その印字例をあげます。インクが紙に染み込んでいることと、シルクスクリーンによるオフセット印刷なので、文字が滲んだ感じなのはそのせいです。


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 そして、この文字を見ている内に、最近私が使い出した多機能型点字ディスプレイ「ブレイルメモ スマート16」の点字表示部に連想が至りました。


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 この点字表示部は、1マスに4つのピンが2列ずつ並んでいて、1行で16文字の表示ができます。このピンが出たり入ったりすることで、点字を表示するのです。そのピンの動きを見ていて、かつての16ピンのドットプリンタが文字を印字していた時のことを思い出したのです。

 そこで、この「ブレイルメモ スマート16」を縦に置いてみました。
 2マスに平仮名1文字を表示すれば、そのまま縦に指を這わせると、写本をなぞることに通ずることに気付いたのです。


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 そのことを広瀬さんに話すと、平仮名という文字を認識できるかどうかは別として、横に表示されていく点字を読む機械を縦にする発想をおもしろがってくれました。
 これは、意外といい線をいく思いつきだということで、今後の可能性が膨らみ、話も弾んでいきました。

 今日の広瀬さんの反応を見たところでは、目が見えなくても古写本に筆で書かれた仮名文字は読むことが出来る、という感触を得ました。今後とも、さらなるチャレンジをしていきたいと思います。

 時間が来たので、そのままメルパルクの上階で開催された、総合研究大学院大学の教授会に一緒に行きました。

 終わるとすぐに、駅前西のキャンパスプラザ京都で、伊藤科研(A)の研究会です。
 教授会が予定よりも大幅に延びたので、遅れて駆けつけることになりました。
 関西のメンバーの方々との情報交換を兼ねた、本年度の成果報告会でもあります。

 その席上、清水婦久子先生がご所蔵の、末松謙澄が英訳した『源氏物語』の初版本を見せてくださいました。これは珍しい本です。


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 ちょうど、ラリー・ウォーカー先生が末松謙澄訳『源氏物語』の話をしてくださったこともあり、みんなで手に取って本の手触りを実感しました。
 この科研にふさわしいエピソードとなりました。

 ひき続き駅前で懇談会。時間を忘れて、22時近くまで語り合いました。
 荒木浩先生と海野圭介先生は、共にご多忙の中を教授会終了後に駆けつけてくださいました。そして、研究会が終わると、すぐにまた次の仕事へと向かわれました。
 みなさんお忙しい中にもかかわらず、少しでも時間を割いて参加していただき、本当にありがとうございました。

 目が回るほどの忙しさながら、今日も充実した1日となりました。
 
 
 

2015年2月26日 (木)

渋谷氏の「源氏物語の世界」NPO法人 再編集版を公開

 渋谷栄一氏が高千穂大学を退職されるにあたり、それまでに構築して来られた『源氏物語』とその周辺に関する膨大なデータ群を、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉に委譲していただきました。
 この経緯については、以下の記事で詳細に報告した通りです。

「渋谷版ウエブサイトのNPO法人〈GEM〉への譲渡契約が成立」(2014年02月19日)

「NPO設立1周年記念公開講演会を終えて」(2014年03月23日)

 渋谷氏が公開して来られたデータベースの中でも、「源氏物語の世界 藤原定家「源氏物語」(四半本型)の本文と資料」に関しては、早くから渋谷氏のサイトにリンクを張ることで、NPO法人として広く公開し、活用していただけるようにお手伝いをしてきました。

 それ以外のもので、高千穂大学をベースにして公開されていたものは、その整理に手間取っていました。
 それが、今週(2月22日)、その再編集版の公開に漕ぎ着けることができました。
 (広報担当の中村美貴さん、根気強く対処していただき、ありがとうございました。)
 
「渋谷栄一氏より委譲「源氏物語の世界」NPO法人 再編集版」

 まだリンク切れや文字化けなどの不備が残っているかもしれません。
 これについては、一般に公開する中で、少しずつ形を整え、データの補訂をしていきたいと思います。
 お気付きの点やご要望などを、ご教示いただけると助かります。
 このデータベースも、さらに使い勝手のいいものに育てていくつもりです。
 
 
 
 

2015年2月25日 (水)

4ヶ月で3台目の本体交換となったiPhone6 Plus

 日常的に活用している iPhone6 Plus が不調でした。結果として、またもや本体交換となりました。これで、同じ機種の iPhone をこの4ヶ月の間に3台も手にしたことになります。

 昨年10月に iPhone 5から iPhone 6 Plus 128G に機種変更しました。しかし、その10日後には新しいものと本体を交換してもらうことになった経緯があります。日本語変換の不具合によるものです。
 そのことは、以下の記事にまとめています。
 
「iPhone 6 Plus のトラブルの対処方法」(2014年10月07日)
 
「iPhone 6 Plus が欠陥商品のため本体交換となる」(2014年10月17日)
 
 その2台目の iPhone 6が、その後もトラブル続きでした。
 
「依然として続く iPhone 6 Plus128G のトラブル」(2014年11月16日)
 
 昨年末には、もうどうしようもないほどに、日本語の入力と変換が異常に遅い日々となりました。
 例えば、平仮名を入力していて、2文字目から10カウントダウン状態となります。表示された変換候補を選ぶと、また10カウントダウンとなります。つまり、平仮名5文字の漢字変換に、約1分もかかります。使い物にならない以上に、ストレスが溜まって神経が参ってしまいます。

 ついにたまりかねてアップルストア銀座に持参し、症状を確認してもらった結果、また本体交換となりました。

 先週行っていたイギリスでは、iPhone 6がモタモタするのでメモができず、小型の手帳に手書きで書き留めたものを、宿に帰ってからパソコンに入力し直していました。
 移動中に、文章をテキスト化できないのです。

 アップルストア銀座の担当者が確認されたことは、この日本語入力の不具合がハードウェアによるものか、ソフトウェアに起因するものか、ということでした。
 今回の場合も、何度も初期化して復元を繰り返しても発生するので、本体の交換ということになりました。

 決して、私が機器を乱暴に扱っているわけではありません。

 iPhone 6の初期化と復元には、5時間以上もかかります。それを何度もさせられています。諦めずに根気で付き合うしかないのです。自ずと、その時間は確実に私の生活から吸い上げられ消えていっているのが実状です。

 今は、時間を見つけては新しい iPhone 6に、アプリの設定や同期するデータなどの確認をしています。iPhone の本体が入れ替わると、何かと面倒なデータの引っ越しや微調整の雑務を抱えることとなります。そのために膨大な時間も浪費します。

 私と欠陥商品との付き合いは、もう日常化しています。その点では慣れっこです。
 快適な生活を送るためには致し方ないこととはいえ、無駄な時間と心身共に蓄積する疲労は、できることなら避けたいものです。

 それにしても、新しいものを手にすると、いつも不具合や問題を抱え込むことになります。その確率たるや、異様に高いのです。
 宝くじに当たるのならばまだしも、欠陥品と格闘する徒労の中から得られるものは何もありません。元の状態に戻って、それで普通なのですから。

 このiPhone以外にもアップルの3つの製品で問題があり、これも銀座のカウンターで解決していただきました。
 このことは、また機会を改めて記します。
 
 
 

2015年2月24日 (火)

様変わりしたハリーポッターのキングス・クロス駅

 ケンブリッジからロンドンに出て来た朝、大英博物館へ行くのに不要となるキャリーバッグを、キングス・クロス駅構内にある手荷物預かり所に預けて出かけていました。3時間で6ポンド(1200円)です。
 これまでに、この駅に手荷物を何度も預けています。しかし、今回ほど利用料金が高いと思ったことはありません。円の力が弱っているからでしょうか。

 帰国の時間が近づいたので、大英博物館から歩いてキングス・クロス駅へと、預けておいた荷物を受け取りに戻りました。

 手荷物預かり所のそばは、黒山の人だかりです。何と、構内のホーム横にあったハリーポッターのカートが、現在は外のコンコースにあり、みんながそれを手で押して記念写真を撮っておられたのです。

 これまでに、私が知っているだけでも、2度もその設置場所が変わっています。
 以下の記事で報告した通りです。
 
「壁に取り付けられたハリポタのカート」(2009/2/17)
 
「ハリーポッターのカートが移動」(2009/9/20)
 
 そういえば、キングス・クロス駅に着いた時、たしかハリポタのカートが、と思いながらホームを歩いても、9番線がみあたりませんでした。


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 新しくなったキングス・クロス駅のコンコースには、ハリーポッターのショップが出来ていました。冷やかしに入ったところ、あまりにも値段が高いのですぐに出てきました。


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 そのすぐ横で、たくさんの人が壁に取り付けられたカートを押して記念撮影をしておられます。
 係員がマフラーを持ち上げて、映画の場面を彷彿とさせる演出をしておられます。


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 壁には、しっかりと「PLATFORM 9 3/4」というパネルが貼ってあります。


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 駅の構内の構造が、自由にホームに出入りできる形態から、新装後は自動改札が導入されました。そのために、9 3/4番線には切符がないと行けなくなったので、こうした移設がなされたようです。目まぐるしく変わるカートの場所も、ここが最終のポジションとなるようです。

 コンコース2階のテラスには、「わさび」というお寿司屋さんがありました。


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 このコンコースは、明るい近代的なセンスの雰囲気に様変わりしていました。
 私が今も糖質制限食を心がけていることと、回転寿司ではなかったのでパスをしました。
 情報を収集し続けている「世界の回転寿司屋マップ」も、今回は収穫はありませんでした。もっとも、3日の旅では、回転寿司屋さんどころではありません。

 帰りのヒースロー発の飛行機はJALの機体でした。これは快適です。往きとは大違いです。
 そのこともあって、帰りの便では糖尿病食をリクエストしていました。
 やはり、カロリーは控えめながらも糖質は高そうな、身体に悪いメニューでした。糖尿病にはよくない食事だと思います。糖尿病学会ご推奨の高糖質の食事を出し続けている航空機業界は、いつになったら糖質控えめの食事に改善されるのでしょうか。早く、気付いてほしいものです。

 離陸1時間後に出た食事では、マッシュポテトとパンと砂糖漬けフルーツ以外をいただきました。


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 何のことはない、白身魚、野菜のバター炒め、生野菜、ブドウを食べただけです。
 当然、すぐにお腹が空いたので、持参の「ソイジョイ(チョコレート味)」と「QBBチーズ」で餓えを凌ぎました。

 着陸1時間前の軽食は、パン以外をいただきました。
 これも、持参の食料でお腹を補いました。


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 往きと違い、日本人が中心となった客室クルーだったので、きめ細やかなおもてなしの心が感じられます。日本人の気遣いはすごいな、としみじみと感じました。教育の成果というよりも、日本の風土が本来持っているものが、こうした何気ないところに滲み出てくるのでしょう。

 帰りの機中では、持参していた仕事をこなすのに追われていました。それでも、映画は『舞妓はレディ』『紙の月』『ベイマックス』の3本を観ました。

 『舞妓はレディ』は大いに楽しめた音楽バラエティだったので、久し振りに印象深い映画との出会いとなりました。オードリーヘップバーンの『マイ・フェア・レディ』を彷彿とさせる、言語学者の位置づけがうまいと思います。周防正行監督は、『Shall we ダンス?』などでそのエンターティンメント性を発揮した方です。いい映画が出来上がりました。

 『紙の月』は、直木賞作家である角田光代の長編小説を映画化したものです。ただし、年下の大学生との不倫の設定に無理が露呈しています。金銭感覚の描写と、後半のまとめ方にも不満が残ります。出演者では、大島優子は論外として、主役の宮沢りえよりも小林聡美が印象的ないい演技をしていました。

 『ベイマックス』は中身のない押しつけがましい物語だったので、観るだけ時間の無駄でした。ディズニーは日本人を腑抜けにする装置としての遊園地運営と共に、映画も私にとっては観る価値のないものに成り下がっているようです。これも「アメリカ抜きで考える」という点では、1つの教材となりそうです。
 
 
 

2015年2月23日 (月)

帰国直前に大英博物館で日本美術を見る

 前々回ケンブリッジに来た時には、電車が途中で止まり、代行運行のバスに乗り換えて行きました。 ロンドンとケンブリッジ間の電車は、大幅に遅れたこともしばしばあります。

 イギリスを発つ日なので、早めにロンドンに入っておくことにしました。
 朝早くにケンブリッジ駅からの出発でした。しかし、駅には外のバス停まで長蛇の列です。みなさん、切符を買うために並んでおられたのです。理由がロンドンに着いてからわかりました。自動券売機の操作が大変なのです。あらかじめリターンチケットを買っておくべきでした。

 キングスクロス駅に荷物を預け、歩いて15分ほどの大英博物館へ行きました。帰国までの寸暇を惜しんでの行動です。

 街中には、こんなレトロな建物が点在しています。


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 この大英博物館の周りのブルームスベリーと呼ばれる地域は、かつて文学者たちが集まっていたただけに、いろいろなことを想像させてくれます。『源氏物語』の英訳をしたアーサー・ウェイリーも、その仲間の一人でした。

 大英博物館のすぐそばには、アーサー・ウェイリーが滞在して『源氏物語』を翻訳したと言われる、ホテル・ラッセルがあります。


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 ここは、すぐ近くのロンドン大学などに来る時などに、いつも立ち寄るようにしています。

 銀婚旅行で来た2003年7月末は、このホテル・ラッセルに泊まり、すぐ横にあるハーツでレンタカーを借りて10日間の自由な旅をスタートさせました。


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 オックスフォード、バース、コッツウォールズ全域、ストラットフォードアポンエイボン、レスター、そして当時は娘が留学生活をしていたヨークに立ち寄り、ケンブリッジ、そしてロンドンに戻るという1周旅行だったのです。通りかかった街で宿を探すという、妻と2人で行き当たりばったりの気ままな旅でした。

 しかし、今回は円のレートが悪いので、ホテル・ラッセルは高すぎて泊まれません。

 それでも、ここの雰囲気を味わうために、中に入れてもらいました。
 私は、この入口からすぐ右手の階段が好きです。写真は、2階から降りた踊り場から玄関口のホールを撮ったものです。
 正面突き当たりのコーナーは、人との待ち合わせによく使わせていただくエリアです。


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 大英博物館では、アジアとエジプトの美術を見ました。特に、ルーム92から94の日本ギャラリーは、じっくりと見ました。

 まず目に飛び込んで来たのは、日本の漫画を横に置いた展示でした。漫画人気も手伝ってか、他のセクションにも漫画がありました。日本の物に親しんでもらうためには、いい演出となっています。


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 茶道のコーナーが一番気になりました。
 お茶のお稽古に行く時間がなかなか確保できない日々です。1月は1回、2月は1回も行けません。そのせいもあってか、身体で覚える機会が少ないので、見られるものがあるとすぐに反応します。

 室内に設けられたお茶室「和英庵」は、裏千家の協力で作られたものでした。定期的に実演があるそうです。しかし、この日はありませんでした。


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 茶釜と蓋置が展示されていました。由緒はわかりません。


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 左から、「つくばね蓋置 義之助(生年不祥)作」、「田口釜 初代門脇喜平(1918年生)作」、「撫肩竹紋筒釜 十五代菊池直正(1959年生)作、「八角面取甑口釜 高橋敬典(1920-2009年)作」とありました。

 日本の古典文学に関する展示では、偶然でしょうか、『伊勢物語』の東下りの段が2作品もありました。

「伊勢物語 東下り・富士の山 住吉如慶(1599-1670年)筆」


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「伊勢物語 嵯峨本(初版本、1608年)」


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 2時間ほど、駆け足で観て回りました。
 これだけで、もう満足です。
 
 
 

2015年2月22日 (日)

【追補】クイーンズから「剣橋」を通ってエマニュエルへ

 ケンブリッジ大学図書館から、少し泥濘んだケム川沿いを歩いて、クイーンズカレッジへ行きました。このカレッジに入るのは初めてです。これまで、ここには女性しか入れないと思っていたからです。

 今回は、このクイーンズカレッジの研究員としてオフィスを持つレベッカ・クレメンツさんの配慮で、カレッジの中のレストランで食事を共にしました。天井が高くて広々とした、本当にすばらしい食堂です。

 ケンブリッジでは、毎週金曜日には肉は食べずに魚を食べるそうです。大きな鱈の揚げ物がおいしそうでした。しかし、食の細い私にはとても食べきれません。
 日頃は手を出さないケーキも、クリームチーズケーキにイチジクを載せたものがあったので、これはいただきました。糖質制限などすっかり無視して、一口ずつ口に運びました。

 先生方の休憩室になっているラウンジで珈琲タイム。これまでに何度も通った橋も、こんな角度からは初めて見ました。この橋の下には、ケンブリッジ名物となっているケム川散策のボート「パント」の乗り場があります。ただし、私はまだ乗ったことがありません。いつかいつかと思いながら、いつも慌ただしく仕事を終えるとすぐに帰るので、その機会に恵まれないのです。


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 レベッカさんにカレッジの中を案内していただきました。
 ニュートンが設計したと言われる有名な「数学の橋」も、今回が初めてです。この橋は、外から見たほうがニュートンらしい(?)形をしています。下を流れるのはケム川なので、まさにケム川に架かる橋でケン(ケム)ブリッジなのです。コーニツキ先生が以前いらっしゃったカレッジの踊り場の壁面に、「剣橋」と墨でダイナミックに書かれた軸が掛かっていたことを思い出しました。
 ただし、この「数学の橋」は本当はニュートンとは関係ないそうです。


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 クイーンズカレッジの中は、ゆったりとした時間が流れ、風格のある雰囲気の中に身を包まれます。


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 最初は、旧食堂といわれるところで「お客様食事会」を、という提案をレベッカさんがしてくれました。しかし、何かと用務が多かったので断念しました。ケンブリッジ大学らしい食事会だそうです。これも、またの機会ということにします。


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 数年前に、ピーター・コーニツキ先生が別のカレッジの食事会に連れていってくださいました。荘厳な雰囲気の中で、先生の楽しいお話をうかがいながら食事をいただいたことを、今でも覚えています。

 今回は、何しろ3泊5日のハードスケジュールでの英国出張です。
 今朝も、図書館へ行く途中で出会った知らない先生に声をかけられました。ケンブリッジは2泊するだけだと言うと、「オー、クレイジー!」と驚き呆れておられました。
 仕事だけしてすぐに街を去る日本人の行動は、信じられないのでしょう。

 慌ただしく、クイーンズカレッジから次の訪問先であるエマニュエルカレッジまでは、レベッカさんに道案内をしていただきました。
 エマニュエルカレッジには、世界的に著名な数学者であるジョン・コーツ先生がおられます。

 エマニュエルカレッジの門まで出迎えてもらった陳雲蓮さんと、カレッジの庭を散策しました。
 たくさんの鴨が池の畔にいます。賀茂川の鴨と、その姿形は同じです。この鴨たちは、クイーンズイングリッシュで鳴きそうな顔をしています。


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 今日は、イェール大学のエドワード・ケイメンズ先生とご一緒に、コーツ先生ご所蔵の貴重な古典籍や骨董をじっくりと拝見しました。
 ケイメンズ先生には、イェール大学へ行った時やハーバード大学で私が研究発表をした時の司会などで、大変お世話になりました。先日も連絡をくださり、コーツ先生の源氏絵を私がブログに紹介記事として書いたそのアドレスを教えてほしい、というメールをいただいたばかりです。

 この源氏絵については、以下の記事に詳細な報告を記しています。

「在英国・コーツ版「源氏画帖」の記事一覧」(2011/9/26)

 このコーツ先生の源氏絵との出会いは、レベッカさんからの連絡でした。
 いろいろな人とのつながりの中で、こうした貴重な人との出会いと勉強をさせていただいています。

 すでに本ブログでも紹介した源氏絵を、じっくりと拝見しました。予想外に大振りな紙に、絵と本文が書かれていて驚きました。すばらしいものです。

 その他にも興味深いものを数多く拝見しました。その中でも、私はアーサー・ウェイリーの写真とそのサインが目に焼き付きました。


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 また、『古今詩賦』の見開きに記されたアーサー・ウェイリーの自筆の文章も、注目すべきものとして拝見しました。


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 豊かな時間の中で、コーツ先生ご所蔵の貴重な資料を拝見しました。
 自分が大きくなったような思いを抱きながら、門まで見送ってくださったコーツ先生と再会を約してお別れしました。

 日本や韓国によくお出でになるコーツ先生なので、次は日本でお目にかかれるかもしれません。
 コーツ先生は日本語がおわかりにならず、私は英語がわかりません。それでいて、いつも誰かを介して、お互いの気持ちを伝え合っているので、本当に不思議な関係です。
 
 
 

2015年2月21日 (土)

ケンブリッジ大学図書館で濃縮された時間を持つ

 宿泊場所である嘉悦ケンブリッジ教育文化センターから歩いてケンブリッジ大学図書館へ向かう途中で、かわいらしい花を見かけました。

 センターを出てすぐの庭には、こんな花が。


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 ケンブリッジ大学図書館の横にも、春に向かう花々が咲いています。
 冬から春へという季節の変わり目を、この異国の地で感じることになりました。


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 ケンブリッジ大学図書館は、この地域では一際高く聳えています。


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 その図書館で今日は、小山騰さんと「コーニツキ版欧州所在日本古書総合目録データベース」の相談をしました。昨日のコーニツキ先生との話し合いに加え、今日も小山さんの理解をいただき、すべてがうまく進展しています。ありがたいことです。

 お2人のご意見をうかがい、提案に理解をいただけたことで、この旅の目的はすべてを果たすことができました。
 お2人とのお付き合いは、もう15年になります。いい刺激を受けながら、新しいことに挑みながら、着実に成果をあげて来たことになります。遠く離れてはいても、折々にお目にかかってお話をするように心がけてきたことが、このようないい仕事につながっていると思います。
 さらなる新しい展開に向けて、また歩みを刻んで行きます。

 ここに来ると、必ず小山さんに貴重なお話を伺っています。聞くたびに、知識に対するパワーも一緒にいただけます。いつも、もっとお聞きしたいと思いながら、時間が限られた訪問なので残念な思いで辞することになります。

 今日も、明治初期には日本語の活字がロンドンに来ており印刷されていた、という話に興味を覚えました。また、「日英新報」の存在も教えていただきました。私の課題に活用できそうです。
 50音図については、ドイツの日本語の教科書が貴重な情報を掲載しているようです。さらには、『源氏物語』の英訳をいち早く手がけた末松謙澄のことや、『群書類従』が英国のイートン校やベルギーのルーヴァンにあるはずだということ、ハワイ大学にあった『群書類従』が今はケンブリッジ大学にあること等々。
 知的好奇心をいやましに掻き立てられる話で、得難い豊かな時間を持つことができました。

 帰りがけに、立命館大学が推進しているデジタルアーカイブズとして、ケンブリッジ大学図書館が所蔵する本の撮影現場にも足を運びました。
 大変な仕事であっても、これはいずれ私たちに役立つ画像データベースを構成するものとなります。倦まず弛まず、画像の集積を続けていただきたいと思っています。
 
 
 

2015年2月20日 (金)

コーニツキ先生のご自宅からケンブリッジに移動

 ロンドンでは、キングス・クロス(セント・パンクラス)駅の真ん前のホテルに泊まりました。
 この駅舎の姿は大好きです。


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 その隣には、大英図書館があり、来るたびにお世話になっている所です。


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 今日は早朝より、ケンブリッジ大学名誉教授のピーター・コーニツキ先生のご自宅にうかがい、現在公開中のデータベースについて打ち合わせをしました。


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 国文学研究資料館のホームページから、先生が調査をされた成果をまとめた「コーニツキ版欧州所在日本古書総合目録データベース」を公開しています。
 これは、以下の解説画面にあるように、2001年まではコーニツキ先生がデータ作成をなさり、その後は国文学研究資料館が引き受けて公開のお手伝いをしています。
 コーニツキ先生とご一緒に立ち上げたこのデータベースも、すでに14年が経過しました。


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 国文学研究資料館に着任して早々、私がデータベースに詳しいということで、当時の松野洋一館長からコーニツキ先生と連絡を取るように依頼を受けました。そして、すぐにケンブリッジへ飛んで行き、直接コーニツキ先生と話し合いをし、先生がヨーロッパ各地を調査されたカードをコピーして帰国しました。
 その後は、順調に公開データも増え、今では2万点弱のデータが検索可能な情報として公開されています。

 今日は、このデータベースの今後について、長時間にわたってお話ができました。
 今後ともさらに展開していくデータベースなので、楽しみにしていただければ幸いです。

 先生のご自宅の近くに、古風なイギリスの小道と住宅街がありました。


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 イギリスに親近感を持つのは、こうした光景が日本と文化的に通じるものを持っているからだと思います。

 午後は、キングス・クロス駅からケンブリッジに電車で向かいました。ロンドンらしく、霧雨でした。

 ケンブリッジでは、東京の小平市にある嘉悦学園とケンブリッジ大学Murray Edwards College が提携して設立した、嘉悦ケンブリッジ教育文化センターを宿泊場所としました。

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 このセンター建物のデザインは、1997年度のCivic Trust Awards建築部門賞を受けています。


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 雰囲気のいい快適な空間に身を置き、いろいろなことを考えるいい機会となりました。
 
 
 

2015年2月19日 (木)

機内で観た映画『るろうに剣心』と『ガンディー』

 海外に行く時、機内で観る映画は毎回楽しみの1つとなっています。
 今回は、ネットで何が観られるかを、事前に調べておきました。しかし、JALの共同運行便だったことと、機体が英国航空だったせいか、まったく違うメニューでした。
 おまけに、座席の前のポケットに、映画や音楽の情報誌がありません。私の席には、ショッピングの冊子もありません。隣の席は、ショッピングの冊子はありました。出発前に、機内の確認が疎かだったったようです。

 画面も小さくて、おまけにすべて英語です。日本語モードで検索すると、5本だけ日本語でタイトルが表示されました。
 日本映画は『るろうに剣心 京都大火編』しか見つかりませんでした。英語のリストの中にでも紛れ込んでいたのかもしれませんが。

 『るろうに剣心 京都大火編』は、一応最後まで観ました。しかし、血を血で洗うシーンが多くて、食傷ぎみでした。迫力のある画面だったので、つい見つめました。このパワーは凄いと思います。ただし、このような映画に縁のない私は、見終わってから人間の愚かさだけが印象として残りました。大半の時間が、人を殺すシーンなのです。そういう分野の映画なのでしょう。
 我が家の子供が、この漫画を見ていたように思います。話を聞いていたら、幕末から明治の頃を舞台とする話のようでした。しかし、実際の映画は残酷なので、あまり子供には見せたくないものです。
 ハリウッドの野蛮なアクション物を真似しているのでしょう。日本人の共感は得られない映画だと思いました。

 他には、『ガンディー』を観ました。
 最初と最後のシーンにあった、ガンディーが撃たれた時に発した言葉は「オー!ゴーッド」と聞こえました。しかし、私の記憶では「へイ!ラーマ」と言ったように覚えています。インドで中島岳志君と一緒に暮らしていた時、彼に墓所に案内してもらい、その時に「へイ・ラーマ」と言ったことを聞いたように思います。「ラーマ」の意味とともに。博識の彼から、懇切丁寧な話を聞きました。今あいまいなので、帰国後にまた調べてみます。

 なお、この『ガンディー』は字幕のない英語版だったので、これから行くイギリスでの耳慣らし、ということになりました。映画の中での会話はほとんどわかりません。ただし、この映画はすでに2回も観ているので、話の筋はわかりました。
 インドの風景をきれいに切り取っています。現実とは異なる、それでいてインドらしいイメージが膨れ上がります。群衆の描き方も含めて、カメラワークがいいと思いました。

 このいい映画を観た後、JALも共同運行をするなら、字幕付きにするとか、もっと日本人の乗客のためのサービスを心がけたらいいのに、と思いました。

 この便は、すべてが英国航空の主導権の元に運行されています。これでは、思いやりに満ちた日本人には、無愛想のすすめという異文化体験の空間に身を置くことになります。

 いろいろと事情があることでしょう。しかし、日本として少しでもこの便に関わるのであれば、「もてなす」という精神を放棄してはいけません。JALの再生は、そこにしかないのですから。
 これは、温かい心で人を見つめる、日本文化の発現の場でもあります。ここに誇り持つべきです。
 
 
 

おもてなしの心がほしい英国航空

 今回乗ったのは、JAL便といってもブリティッシュエアウェーズとの共同運行便でした。客室乗務員は、私がいたエコノミーエリアでは、日本人が1人だけでした。後の4人は英国の方のようです。

 食事の時も、当然のように英語で聞かれ、片言の英語で答えました。定型文しか喋ることができない私の英語力でも、場数というのでしょうか何とかなっています。

 昼食は日本食を選びました。


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 今回は、糖尿病食はお願いしていません。機内食としての糖尿病食は、日本糖尿病学会の指針に基づいたものなので、カロリーが少し低いだけで、炭水化物はふんだんに盛られています。
 血糖値の急激な上昇に気をつけている私には、飛行機で出る糖尿病食はまったく無意味なものです。そのことがわかったので、もうスペシャルミールとしての糖尿病食を頼むのはやめました。

 海産物のおかずは、すべていただきました。野菜がもっとほしいところです。

 ご飯は、ベチャベチャしていて、芯もありました。食事のことで苦情は言わないようにしています。しかし、これは酷くて、とても食べられたものではありません。

 日本発の便なので、いくら英国航空だとはいえ、お米の炊き方くらいは日本式にできたはずです。こんなご飯を平気で出すようでは、おもてなしの心とは無縁の、餌の給付です。

 ロンドンに到着する前の軽食は、豚肉にあんかけでした。これも、ほとんどいただけませんでした。というよりも、気分が悪くなり、食べるのを中止しました。

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 今回は、体調が優れないままに来たので、こうした食事には身体が敏感に反応します。

 帰りは、イギリス発とはいえJALの便なので、こんなお米の炊き方をしたご飯は出ないことでしょう。
 
 
 

羽田空港で Wi-Fiがつながらなくて焦る

 空港の搭乗ゲート前で、どうしたことかWi-Fiにつながらないのです。

 ブログをアップしようとした時のことです。
 「I」と「1」のことは、道中にメモとして書いていたので、離陸前にそれだけでもアップしようとしたのです。

 空港では、海外も含めてよくWi-Fiにつなげてインターネットを使います。インターネットの初期の頃は、クレジットカードで利用料金を引き落とす方式でした。しかし、今はどこの空港でも無料で使えます。もちろん、インドのインディラガンジー空港でも。

 それが、どうしたことか、接続エラーばかりです。30分以上も試みていたら、後5分で搭乗手続きを開始するというアナウンスがありました。
 焦ります。ここでアップしておかないと、7年以上も毎日ブログを書いてアップしてきたことが途切れてしまいます。
 他人さまから見ればどうでもいいことでしょう。しかし、当の本人にすると、1つの励みが途絶えることは避けたいのです。祈る気持ちで、いろいろな手だてを尽くしました。

 カウンターの方に事情を話して、最後に搭乗したい旨を伝えておきました。あまりにも必死の形相だったのか、気の毒がってくださいました。
 ギリギリまで接続に挑んだかいがあってか、最後の搭乗客から2番前でゲートインできました。

 つながらなかった原因はわかりません。ノートパソコンだけでなく、iPhone もインターネットにつながらなかったので、ブログにアップする手だてを取り上げられた状態でした。

 とにかく、搭乗直前とはいえ、事なきを得ました。いくつかのメールも、一斉に送信されるサウンドが聞こえたので、とにかくホットして機内の座席に着きました。

 もっとも、こんな時に限って機体のトラブルでもあったのか、1時間以上も離陸しないのです。
 12時間半もの長旅です。のんびりとシートに身体を埋めて待っていました。
 旅先では、何でもありなのです。
 
 
 

紛らわしいターミナル「I」と「1」(続き)

 昨日は、記事を書きかけのままで搭乗したので、今ロンドンの宿から続きを書いています。

 羽田空港に向かう東京モノレールの中で、車内放送を耳にして何か胸騒ぎをおぼえました。

 手元の「e-チケット」の搭乗ターミナルに「1」とあるので、「羽田空港第1ビル」で降りるはずでした。しかし、その駅の2つ前に「羽田空港国際線ビル駅」という駅があるのです。どうも気がかりなので、何やらおかしいと思い、とにかくその「羽田空港国際線ビル駅」で飛び降りました。とっさの判断です。
 1人で旅に出るときには、こんなことはしばしばです。大事に至らない前に、何かアクションを起こすようにしています。

 その感が当たっていました。国内線と国際線でターミナルが分かれていたのです。
 すぐにインフォメーションカウンターで確認すると、この「羽田空港国際線ビル駅」から国際線が出発するとのことです。

 手にしていた「e-チケット」を見せると、そこに印刷されている「1(いち)」と見える文字は、実はインターナショナルの「I(アイ)」です、とのことでした。よく間違えられる方がいらっしゃいます、と。
 いや、ターミナルに「1」と「2」があれば、普通はこれは「I(アイ)」ではなくて「1(いち)」だと思います。おまけに、帰りの便のロンドンヒースロー空港はターミナル「5」から出発となっているので、「5」の上に印刷されているターミナル番号は「1」だと思うのが自然です。
 「I」と「1」の紛らわしい文字は、昨日の記事で掲載しました。もう一度ここに転載しておきます。


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 羽田空港から国際線が飛ぶようになって何年経つでしょうか。2005年11月に、羽田から韓国へ行きました。あの時はどうして行ったのか、どうもよく思い出せません。
 この羽田空港の「I(アイ)」というターミナルの表示は、私だけが勘違いしたのか、それとも他にもいらっしゃるのか。とにかく紛らわしいので、早急に止めてほしいものです。

2015年2月18日 (水)

2月18日(水)羽田からロンドンへ

 天気予報では、今日の夕方から関東地方は雪がチラつくそうです。空がぐづついた朝靄の中を、羽田空港に向かいました。今日からイギリスです。

 昨日、あたふたとキャリー付きのボストンバッグを取り出しました。そのキャスターが、ガタガタと軋んでいます。
 昨秋カナダから帰って早々に、お気に入りだった一回り大きなキャリーバッグは、寿命が来たので感謝の思いを込めて処分しました。20年ほど使いました。

 この小ぶりのキャリーバッグも、交互に使って来たので、かれこれ20年。
 今回でお役ご免となりそうです。

 いつもは、成田空港まで2時間以上かけて移動します。しかし、今回は羽田空港なので、宿舎からは1時間もかかりません。この便利な羽田空港には、一昨年スペインへ行ったとき以来です。

 成田も羽田も共に「第1ターミナル」と「第2ターミナル」があります。
 成田空港の場合は、「第1ターミナル」は「成田空港駅」で、「第2ターミナル」は「空港第2ビル駅」で降ります。

 今日は、大門駅で乗り換えて、浜松町駅から東京モノレールの「羽田空港第1ビル」で降りる予定でした。JAL便なので「第1旅客ターミナル」です。ANA便なら「第2旅客ターミナル」です。
 いつも混乱します。数字で区別するのではなくて、愛称を付けてほしいものです。

 ところが、「I」と「1」で大混乱です。
 モノレールの中で、その疑問点に思い至りました。

 次の写真の上が、旅行業者から受け取った「旅程表」です。
 これを「1」と見るか「I」と見るかです。
 下が、それを元にして事前に私が電車の乗り継ぎをプリントアウトしたものです。


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 この記事は書きかけのままに投稿したものです。
 羽田でLANが繋がらないので、四苦八苦しながらの搭乗です。
 続きはロンドンで。

2015年2月17日 (火)

パンチカードの鋏が見つかる

 かつて、パンチカードというもので情報を整理している時代がありました。
 実際に私は、昭和55年(1980)から数年間、パンチカードで勤務校の情報の整理や、身の回りの整理をしていました。

 このことは、「懐かしいパンチカードシステム」(2012/10/22)に詳しく書きましたので、その実際は記事に譲ります。

 さて、このパンチカードは、実際には鋏でカードの端に並ぶ小さな穴を切り取るのです。
 その鋏が、ひょんなことから見つかりました。まさに遺品です。

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 コンピュータの草創期から情報処理に関係しておられた方には、懐かしい道具ではないかと思います。まさか、いまでもこの鋏を使っている、という方はいらっしゃらないとは思いますが……

 そういえば、駅員さんが改札口で、切符をリズミカルな手さばきでパンチしておられたことを思い出します。自動改札になった今では、あれも懐かしい風景です。

 持ち物を整理していると、こうしていろいろなものが顔を出します。
 これも、家族に言わせるとガラクタ以外の何ものでもない、ということになりますが……
 
 
 

2015年2月16日 (月)

再録(18)パンチカードから思い出すままに

 〈へぐり通信〉の【ハイテク問はず語り】(3年目/1997.10.1〜1998.9.30)に、今から40年ほど前にパンチカードを使っていたことから、その後のパソコン利用の一端を記事にしています。
 パーソナルなコンピュータ遍歴史の一部として、以下に再録しておきます。

 なお、パンチカードの実態については、この次に記します。
 
 
----------------- 以下、再録掲載 ---------------------
 
  〔年賀状で19年前を思い出す〈1998.1.4〉〕
 
 
 今年いただいた年賀状の中に、すっかり忘れていたことを思い出させてくれるものがありました。次のような文章です。


 机で、カードのはしにパンチで穴をあけて、あみ棒のような物をさしこんでいたのを思い出しました。
 棒をふってバラバラとおちてくるカードを見ながら「手動式コンピュータ」とか言っていたと思います。
 あとをかたずけるのが、とてもたいへんそうでした。

 今から19年前に、私はこんなことをしていたのです。「パンチカードシステム」というものでした。恥ずかしくなるような話ですが、これは1979(昭和54)年のことです。拙著『新・文学資料整理術パソコン奮戦記』(34頁、昭和61年、桜楓社刊)に、この辺の事情を書いています。私が初めてコンピュータなるものに触れる、丁度一年前のことです。

 世界初の情報処理用のチップとしてのCPUは、インテルという会社が1971年に作りました。もっとも、これは日本が発注した電卓用であって、コンピュータとはまだ結びついていません。
 1976年に、NECがTK-80というトレーニングボードを発売します。1980年に、私が初めて触ったコンピュータがこれです。
 その後、Apple II・TRS-80・PET-2001・BASIC MASTER LEVEL1・MZ-80Kというものを、大阪日本橋の電気屋で触りました。お店に並ぶコンピュータに触れたのは、発売から相当時間がたってからでした。
 1979年になって、やっと日本初のパソコンと呼べるPC-8001が発売されたのです。このコンピュータが、私が最初にマスターしたパソコンと言えるものです。もっとも、最初はパーコンと呼ばれていましたが。

 その後、パソコンと呼ばれたマイコンは、とにかく日常生活に投げ込まれ、そして溶け込むように仕組まれてきました。しかし、コンピュータ業界の身勝手な思惑に反して、依然として未熟な情報処理機器であることを、今でも各所で露呈しているのが実体です。さらに進化を遂げて、快適な生活のために、より一層貢献してほしいものです。そのためにも、我々はコンピュータ業界に資金援助をしているのですから。

 それにしても、今のパソコンは、思ったほど進化しなかったように思います。まだまだ日常的にトラブルが多発し、使用を中断して技術屋さんに修理や調整をしてもらうことがよくあります。各メーカーやソフトハウスのユーザーサポートの電話は、今でもなかなか繋がりません。それだけ、使えなくて困っている人が溢れているということです。身近にアドバイスをもらえる知人がいないと、パソコンは十分に活用できないというのが実状でしょう。
 自動車のようにパソコンが進歩しなかったのは、メーカーが先端技術を追いすぎたために、利用環境をかえりみなかった怠慢が原因だったと、私は思っています。

 まだまだ、コンピュータ業界はやるべきことがあるはずです。豊かな生活の環境づくりを手助けするためにも、今しばらくコンピュータ業界を育成するためにも、我々一般ユーザーは、莫大な資金と膨大な時間を投資しつづけることになると思われます。それが、我々ユーザーのささやかな支援だとも言えます。コンピュータ業界の方は、こうした浄財と献身を有効に生かして、より快適な社会を支える情報機器を開発・提供してほしいものです。
 
----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年2月15日 (日)

再録(17)17年前の「私のコンピュータ経験と通信環境」

 これまでのコンピュータとの関わりについて、いろいろな資料を整理しています。
 この一連の「再録」は、〈大和まほろば発 へぐり通信〉から発信していた情報のすべてを本ブログの中に取り込み、総整理を進めているものです。
 〈へぐり通信〉は、平成18年以降は更新をしていません。こちらへの移行を終えしだいに、そのすべてを閉じようと思っています。

 さて、〈へぐり通信〉には「新・奮戦記」というコーナーがあります。
 その中の【ハイテク問はず語り】から、今は順次「再録」として記事を移動させているところです。
 今回は、[3年目/1997.10.1〜1998.9.30]の中から、毎年その末尾に付していた「私のコンピュータ経験と通信環境」を再現します。

 この項目は、現在のところ「1998年8月2日」の状況しか記録が残っていません。
 私がインターネットにホームページを開設し、情報を公開し出したのは1995年9月です。ただし、その当初のコンピュータの環境は、まだ正確には確認できていません。めまぐるしくコンピュータの環境が変転したので、記録の掘り起こしが追いついていないのです。
 いずれまた、ということにしておきます。

 なお、下記の記事の中に『源氏物語別本集成』が「全17巻」となっているのは、当初は索引2巻を予定していたためです。

 それにしても、当時のハードディスクやメモリの容量の少なさには驚きます。私が現在日常的に使っているノートパソコンは、1テラのフラッシュストレージに16ギガのメモリを搭載しています。隔世の感があります。
 当時、家庭内にソーホーの環境を構築していたこと、またモニタを2台並べ、カラーレーザープリンタを使いながら、それでいて通信にはダイアルアップという、何ともアンバランスな状況だったこともわかります。

 「音響カプラ」も、どんな形で何に使うのかも、今ではご存知ない方が多くなりました。

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 電話口にカポッと取り付ける「音響カプラ」は、海外から通信をする時などには必須のアイテムでした。今から31年前の、通信用の道具の一部です。
 こうしたものまで保管しているので、家中がガラクタだらけで困ると、いつも苦情を言われています。
 
 この〈へぐり通信〉における情報の更新状況については、【 履 歴 一 覧 】をご覧ください。
 
----------------- 以下、再録掲載 ---------------------
 
  〔私のコンピュータ経験と通信環境〕
 
 私の初めてのコンピュータ体験は、1980年のマイコンキットNEC〈TK-80〉でした。
 1981年にPC-8001で半角カタカナによる『源氏物語』の本文データベースに着手。
 現在刊行中の『源氏物語別本集成』(おうふう、全17巻、既刊9巻)の原点です。
 1984年に、PC-9801F2と音響カプラによるコンピュータ通信を開始するが続かず。
 オリベッティ・NEC・富士通・EPSON・日本ゲートウェイを経て、現在はAppleとSONYのコンピュータを使用中。

  ◇インターネット活用のためのハード&ソフト◇

●CPU:APPLE-PPC-7600
●OS:MacOS-8.0
●メモリ:160M
●H D:6G(内蔵)+4G(外付)
●ルーター:NTT-TE東京-MN128-SOHO
●モニタ:SONY-CPD-20sf3 + MAG-MXE17S
●プリンタ:Apple ColorLaserWriter 12/600PS-J
●プロバイダ:まほろば(ダイアルUP接続)
●インターネット関係で利用する機会の多いソフト
(フリーソフトを除く):
 Netscape・Photoshop・Excel・ColorMagician7・
 ファイルメーカーPro・ホームページPro・クラリスメール
 
----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年2月14日 (土)

「Kindle for Mac」の提供とネットショッピングに思う

 昨日のニュースで、アマゾンが2015年2月13日より、電子書籍に対応した「Kindle」用の無料アプリケーション「Kindle for Mac 日本語版」を提供し出した、ということを知りました。
 Windows向け閲覧アプリ「Kindle for PC」は、先月公開されていたそうです。

 これには、本文を検索する機能もあるとのことです。それがどの程度のものなのか、今はわかりません。ただし、以下の事情から、手に入れて調べてみようとは、今は思っていません。

 ちょうど一昨日の12日に、私は本ブログで「電子書籍は検索と参照に特化したものになってほしい」(2015年02月12日)という記事を書いたばかりでした。

 その中で、《Macintoshに非対応》のストアを列記した後、次のように書きました。


「アマゾン」には、私が探し求めている『源氏物語』に関する資料的価値の高い電子書籍(Kindle 版)は、まだないようでした。

 また、その前日には、「マックで読めない電子書籍を購入後にキャンセル」(2015年02月11日)という記事を書き、電子書籍の使い勝手の悪さを指摘しました。

 こんな記事を書いた直後にアマゾンのニュースを目にしたので、その偶然がなせるタイミングをおもしろく思っています。

 もっとも、私はアマゾンは意識して利用しないようにしています。
 近年、「アメリカ抜きで考える」ということを実践しているので、このいかにもアメリカ的な強引な押し売りに嫌悪感を抱いています。

 もちろん、現代社会が「アメリカ抜き」にしては考えられない状況に落とし込められていることは、十分に承知しています。
 今こうして文章を書いているパソコンは、さすがに Windows は忌避していても、アップルというアメリカの企業の商品を大いに活用しているところです。

 私は、ソニーとアップルの製品に心酔していました。それが、今はソニーが瓦解してしまい、情報文具に関して、私にとってはソニーが消えてアップルだけになってしまったのです。アップルというアメリカの企業しか選べないのは、「アメリカ抜きで考える」上での対応関係とバランスが崩れています。

 大学に関しても、ハーバード大学、コロンビア大学、カルフォルニア大学や、米国議会図書館などなど、お世話になっている所はたくさんあります。しかし、それは「アメリカ抜きで考える」上でのバランスを取る意味では、これでいいのだと自分勝手な理屈を捏ねくり回して、自分を納得させています。

 私は、ネットショッピングを、これまた意識して利用していません。
 本を買うのに、大急ぎで子供に本を届ける時に、アマゾンは避けつつも他のサイトの書店を利用したことがあります。このことは今でも、罪悪感として気持ちの中にしっかりと残っています。
 それは、日本各地にある本屋さんの存在を無視し、小売り店の頭越しに本を移動したことに対してのものです。

 居ながらにして物流を我が物にできるネットショッピングは、確かに便利です。しかし、歴史と文化とこれからの人間のありようを考える時、その存在に大いなる疑問を持っているのです。

 社会の流れに棹さすことはできない、とは理解しています。しかし、気持ちの問題として、ネットショッピングはしたくないのです。

 商品の内容や性能や価格について、ネットで調べられることは便利です。関連して何が必要になるかも、その段階でわかるので、ネットの情報検索は重宝しています。しかし、買う段になると、やはりお店に足を運び、店頭で実物を見て買うようにしています。

 本にしても、情報文具にしても、実際に手にして現物を見て触ることで、購入を見送ったことは数知れずあります。虚像と実像、視覚と触覚の違いが、購買行為に密接に関わっているようです。

 以前、「インドで思ったこと」(2011/2/24)という拙文で、変わりゆくものへの躊躇いを記しました。変わらないでほしい、という気持ちは、どうしようもないと思います。そんな中に、本屋さんの存在が明滅します。

 書店に留まらず、図書館や資料館をも巻き込んで、ネットショッピングで本を買うことの意味を、あらためて自問してみたいと思うようになりました。
 何かすっきりとした解決策や妥協点に思い至ったら、またここに書くことにします。
 
 
 

2015年2月13日 (金)

仮名文字に関する2つの研究会に参加

 今日は、2つの研究会が一部重複して同時進行でありました。共にメンバーとなっているので、慌ただしい参加となりました。

 まず、入口敦志先生が研究代表者としてスタートされたばかりの【表記の文化学 ―ひらがなとカタカナ―】です。これは、国家的規模で推進されている「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」(大規模学術フロンティア事業)における共同研究です。

 今日は今西祐一郎館長の挨拶と問題提起で、第一回目の研究会が始まりました。
 多彩なメンバーが集っています。私は、中古文学の領域からの参加です。
 時代も分野も異なる先生方のコラボレーションとなるので、今後の成果が楽しみです。
 私が来月から行く天理図書館の調査は、この研究の一環となるものです。

 別会場では、少し時間をずらして、今西館長科研の最終回となる研究会がありました。
 これは、私が5年間お世話をした科研の会です。今回が最後の研究会なので、私も現在進めている研究の一部を発表しました。

 今日の私の発表は、「次世代に引き継ぐ翻字資料作成に関する提言 ─変体仮名を混在させて表記すること─」と題するものです。
 今取り組んでいる〈変体仮名混合版〉による翻字について発表をしました。

 内容は、すでに本ブログで公開したことが中心です。
 今日は、最近整理した資料をもとにして、ハーバード大学本「須磨」と「蜻蛉」、そして国立歴史民俗博物館本「鈴虫」の3本が、同じ文化圏で書写された写本であることを報告しました。
 変体仮名の文字遣いを通してわかったことの一例として、特徴的な字母表記である「ものかたり」という文字がどのように表記されているか、ということをとりあげたものです。


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 「可多り」「可多里」「可堂里」「か多り」と書写されている例の検討です。
 これは、変体仮名を混在させた翻字資料があるからこそ可能な研究となります。
 ここからも、三本に書写された文字の表記傾向が明確にうかがえます。
 〈変体仮名混合版〉による翻字は、次世代に引き渡す翻字資料として、今後とも有益なデータとなることでしょう。

 今日は統計学の手法を導入した若手の発表が2つもあり、活発なやりとりがなされました。
 仮名で書くか漢字で書くかというテーマは、まだまだ検討課題が山積しています。

 現在、研究報告書の第4号の編集が、プロジェクト研究員の阿部さんのもとで進んでいます。3月には出来上がりますので、しばらくお待ちください。
 昨秋カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で実施した、国際研究集会の報告などが掲載されています。
 
 
 

2015年2月12日 (木)

電子書籍は検索と参照に特化したものになってほしい

 ネット上で、電子書籍取り扱い店における Macintosh への対応状況を見ました。
 これは昨日書いたように、「honto」で本を購入して失敗した後に、慌てて調べたものです。
 今の時期の実態が知りたくて、ざっと確認したものです。他にもあることでしょう。以下に上げる情報が不正確で間違っていることもあるかもしれません。他意はありませんので、その点はご寛恕のほどを。

 急速に進化している市場でしょうから、当然のことながら日々変化していると思われます。
 先週は、まだ電子書籍販売の完成度が非常に幼稚な段階で購入手続きをしてしまった、ということのようです。

《Macintoshに対応(ブラウザによる閲覧を含む)》
・「Yahoo!ブックストア」「BookLive!」「eBookJapan」「紀伊国屋書店 Kinoppy」

《Macintoshに非対応》
・「honto」「電子文庫パブリ」「Neowing」「漫画全巻ドットコム」「セブンebookリーダー」「GALAPAGOS STORE」

 「アマゾン」には、私が探し求めている『源氏物語』に関する資料的価値の高い電子書籍(Kindle 版)は、まだないようでした。

 「honto」で苦い思いをした後、いろいろとネットをさまよい、結局は紀伊国屋書店で購入することにしました。

「紀伊国屋書店 Kinoppy for Mac」には、すでに利用者から、多くの不具合が報告されていました。致命的な情報もありました。システムとして未熟で、問題点は解消されていないようです。
 ただし、今後のことを考えて、もろもろのことを承知で購入することにしました。大手書店の電子書籍であり、ここの動きを追うのもいいか、と思ったからです。

 とにかく、Macintosh に対応している電子書籍がわずかなので、海外にも販売力を持つこの会社は、様子見をするのには最適でしょう。

 もっとも現実の話、「紀伊国屋書店 Kinoppy for Mac」はネットでの動作が遅すぎて、ジッと画面を見つめながら待つのが大変でした。さらには、注文しようとしてもなかなか正確に発注できないのです。これは、ハード的な問題は何もなくて、ソフトウェアの問題だといえます。

 全集など、冊数が多い場合にはまさに1日がかりでの注文となります。
 書店に行ったほうが遥かに早く注文が終わりそうです。

 また、ウェブ上の本棚に置いてからカートに移動しても、注文リストに取りこぼしがあるので、また最初からカートに入れ直すことになります。大変レトロな購入システムでした。

 紀伊国屋書店のシステムがいつ構築されたサイトかはわかりません。しかし、あまりにも処理速度が遅すぎます。20年前の8ビット時代の産物に近いものです。若手のプログラマーにシステムを組み直してもらったほうがいいと思います。いいプログラマーが確保できなかったままに、見切り発車をしたもののようです。

 また、支払いでは何度も画面を行ったり来たりします。これは、クリックをしながら、非常に不安になります。精神衛生上よくない購入方法です。紀伊国屋書店が信用できない方には、とても前には進めません。非常に危ういサイトだと思いました。

 さらには、購入後に膨大な時間が吸い取られます。それは、購入した書籍のダウンロードとライセンスの認証において、気の遠くなる時間がかかったからです。

 私は、小学館の古典セレクション『源氏物語』16冊を、一晩で読めるような状態にできませんでした。まさに徹夜してもだめで、だいたい30時間以上かかります。
 しかも、16冊の内、どうしたわけか第6巻は5回もダウンロードとライセンス認証をさせられました。第14巻に関しては8回、第16巻は11回もダウンロードとラインセンス認証をしました。


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 2日たってからも、まだこの3冊はその中身を読めなかったのです。それは、そうこうしているうちに、すでに手続きが終わったはずの巻が、またグレーになって読むことができなくなるからです。仕方がないので、またダウンロードとライセンス認証をします。

 そんなことをしている内に、ライセンス処理が終了したはずのものが、目を離すといつしか「ダウンロード待機中」と表示されます。まさに、モグラ叩きの世界です。

 これでは寝ることもできず、一晩中クリックを繰り返します。それでもしばらくして、5巻分がグレーに変化してしまい、どうしても読めません。
 次のような「ファイルが破損しています」というエラー表示が何度も出て、またダウンロードとライセンス認証をさせられます。


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 うまくいったと思っていても、翌日になると、また本の表紙がグレーになっているものもあります。


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 いつ読めなくなるのかわからないので、購入した本の姿が目の前の画面に表示されていても、運不運に左右されます。
 印刷物として販売されている本ならば、手元にある本のページが開けないことはありません。開いたら白紙だった、ということもありません。電子書籍には、この怖さがつきまといます。

 さらには、昨日は中身が読めたのに今日はダメで、昨日は読めなかった巻が今日は読めることがありました。これには参りました。もう、ロシアンルーレットの世界です。引き金を引いてみないとわからないのです。閲覧アプリを起動してみないと、その本が読めるか読めないのかがわからないのですから。16冊の内のどれが今日は読めるのかが当て物では、何のための書籍なのかわかりません。

 こんな調子だと、数ヶ月後には「あなたはこの書籍を読む権利がありません」というアラートが出かねません。

 『源氏物語大成』もこの流れで、13冊を一括で購入しました。しかし、これなどはもっとひどくて、もう力尽きました。この調子では内容を確認できるようになるのはいつのことでしょうか。

 後でわかりました。このシステムはシングルタスクのようです。同時に2冊や3冊のマルチタスクの処理ができないのです。20年前ならいざしらず、今どきこんなレベルで商売をしているのだとは、愕然としました。
 ということは、一日に1冊ずつ購入する人ならば、私のように無駄な時間を浪費することもないということになるようです。

 とにかく、人類はとてつもなく購入者に負担を強いるシステムを、しかもお金を払わせて構築したようです。それに乗ってしまい、自分の時間を捨てる私などは、まさに過渡期というよりもごく初期の苦労話を語るための先兵役となっています。

 まだ2バイトの平仮名や漢字が使えない時代に、半角カタカナで『源氏物語』の本文データベースを構築していた頃から、さまざまな未完成のままに投げ出された、未熟な技術と付き合ってきました。これまでがそうであったように、今回のお粗末なシステムとの出会いも宿命なのでしょう。

 さらには、購読できた本について文字列の検索ができないのにも驚きました。まさに、画像が表示されているだけなのです。

 エバーノートでは、保存した写真の中の文字列までも検索できます。そんな時代にありながら、商品として販売されている書籍であっても、今回の本は検索に対応していないのです。今や、PDFは日常的に文字列が検索でき、コピー&ペーストができる時代です。紀伊国屋書店のシステムに限らず、現在の日本の電子書籍システムで購読できることになっている本に対して、時代錯誤を実感することとなりました。
 この点において、日本人は進化しなかったようです。

 書籍を裁断して自炊でPDF化したデータなら、文字列を自由に検索できます。今回のような、前時代的な電子書籍に膨大な時間と手間暇をかけて画面で見るだけのものよりも、個人的な利用であれば自炊の方が語句検索も部分コピーもできるのでずっと実用的です。
 本末転倒です。しかし、事実です。

 実際に、私も個人的には、今回購入した電子書籍のPDF版を、部分的には持っていて使っています。自炊で作成したPDFは、中の文字列が検索できます。部分的なコピーもできます。それが電子書籍では、あえて自虐的に、検索もコピーもできないようにされているのです。

 必要な情報が記述されている場所を、自分で自炊して作成したPDFで事前に確認しておきます。そしてそれを、外でお話をしたり発表をする時に、あらかじめ調べてあった電子書籍の当該箇所をモニタに表示する、という使い方になりそうです。

 人前で見ていただく時のためだけに、この電子書籍は使用することになります。個人的に自炊して作ったデータはあくまでも個人的な使用に限定されています。そのため、公的な場面で提示することはできないので、こうして購入した電子書籍の必要な部分をモニタに映すためだけに、今回は購入したことになりました。

 次の写真が Macintosh の本棚に並んだ電子書籍の姿です。


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 iPhone では、次のように並んでいます。


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 これは、違法なことはしていない、ということを言わんとするだけのための電子書籍の姿です。本末転倒です。しかし、これが今は現実です。こんなものが本だと言えるのかは、はなはだ疑問でもあります。

 私は、ジャパンナレッジの契約もしています。多くの本が利用できます。しかし、その検索に関しては非常に貧弱です。不正確です。
 電子書籍のあるべき姿については、さらなる検討が必要です。

 結論は、利用者から料金を徴収して販売するほどには、今の電子書籍およびそのリーダーは完成度が高くない、ということに尽きます。
 それを承知で、今それを体験する程度にしかすぎないものの利用価値を認めるかどうか、というのが、現在の購買予定者に委ねられた検討課題となっています。

 もちろん、数年後にはこんなていたらくであろうはずがありません。今が過渡期の、電子書籍が出回るごく初期だからこそ、こんな状態で市場に投げ出されているのです。
 コンピュータの初期がそうであったように、通信がそうであったように、過去は一気に新しい流れを形成し、便利なものへと変身します。
 電子書籍も、そうなることを期待しましょう。

 私は、電子書籍で本を読むことはないと思っています。
 検索したり、参照したりと、資料的な価値しか電子書籍には認めていません。
 そうした用途に特化したものとして、育ってほしいと思います。
 自分の目で読む本は、紙に印刷されたものに今後とも変わりはないと思っています。
 
 
 

2015年2月11日 (水)

マックで読めない電子書籍を購入後にキャンセル

 今回の話は、かつてクラッシュして雲散霧消した文章を再現したものでもなく、過去のホームページのデータを復元したものでもありません。先週、2015年2月7日の出来事です。
 マックユーザーにとって、今のところ電子書籍は使い勝手が悪いし、電子書店の対応も不親切だということを体験しました。

 以下、小学館から発売されている『古典セレクション『源氏物語』』(全16冊)を購入した時の顛末を記します。
 ネットを通して、「honto」という電子書籍ストアで購入した事例です。


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 利用可能デバイスとして[PC][iPhone][iPad][Android]とあります。
 マックユーザーである私は、[Android]以外の3つのデバイスで使えるものだと思いました。
 しかし、ここにある[PC]とは、パーソナルコンピュータのことではなくて、Windowsマシンのことだったのです。Macintoshは[PC]ではなかったのです。

 本の表紙アイコンの左下にある[立ち読みする]を選択すると、閲覧のための「hont ビューアアプリ」をダウンロードすることになります。そして、次の画面が表示されます。


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 これによって、私が使っている Macintosh がこの電子書籍においては非対応であることがわかります。
 Macintosh においては、仮想の Windows 環境下においても使えないということも、左下に小さく書いてあります。

 しかし、書籍の中身はわかっているからと[立ち読み]をしないで、購入のために本のアイコンをクリックすると、次の画面へと進みます。私はこのステップを踏んだのです。

 そこで、「ご購入前にご利用中のデバイスが対応しているかご確認ください。」というハイライト部分をクリックすると、電子書籍のすべてに次のような表示が出ます。


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 ここで、「対応デバイス」が【PC】で「コンテンツタイプ」が【EPUB】という情報を確認した後、そのまま購入手続きをすると、私がいつも使っているパソコン(Macintosh)では読めない電子書籍を購入したことになったのです。

 【PC】とは、Windowsマシンだけではありません。Macintosh もあります。
 【EPUB】は Macintosh に対応しています。
 Macintosh の標準添付ソフトである「iBooks」は「EPUB」対応です。
 私は、資料をPDF化したものを、この「iBooks」とエバーノートで管理し、折々に内容を確認しています。

 結果的には、情報不足と購入手続き案内の不親切さから、私にとっては使えないものを購入した事態となったわけです。

 電子書籍のほとんどは、iPhone などのモバイル端末では読むことができます。しかし、パソコンとスマホの両方で閲覧できないと、本来の意味をなしません。iPhone や iPad などの小さな画面では、やはり視認性や情報の閲覧性に欠けるのです。

 Macintosh では読めないものだったので、hontoお客様センターへ次の連絡をして相談をしました。


■問い合わせ項目︰電子書籍の購入・閲覧について
■ご使用の機器︰PC
■ご使用の機種︰MacBook Pro
電子書籍を購入しました。
しかし、私はMacintoshユーザーです。
購入前に確認した「利用中のデバイス」が「PC」で「コンテンツタイプ」が「EPUB」となっていたので、Macintoshでも使えると思って購入しました。
しかし、ビューアーアプリのダウンロードの段階になって、はじめてMacintoshが非対応端末だと切り捨てられました。
「EPUB」はMacintoshに対応しています。
Macintoshの標準ソフト「iBooks」は「EPUB」対応です。
「PC」とは、Windowsマシンだけではありません。
差別的な対応をされた思いでいます。
何か閲覧するツールか対処策を教えてもらえませんでしょうか。
iPhone では閲覧できています。
ただし、画面が小さいので不便です。
また、検索機能があるようなのに、実際にはできません。
これも、何か方法があるのでしょうか。
以上、2点につき回答をお願いします。

 この問い合わせに対して、hontoお客様センターから届いた回答は、以下の内容でした。

「対応端末は Windowsの一部のバージョンにのみ」
「「Mac OS」を含めた他OSには未対応で、かつ対応予定は未定」
「専用のhontoビューアアプリ以外のアプリでは閲覧できない」

 これに続けて、


※hontoビューアアプリの対応条件については「hontoビューアアプリ」ページであらかじめご案内しているため、個別の商品ページやご注文の手続き中には詳細を表示しておりません。

という回答も付されていました。
 この表現には無責任さを感じました。

 さらに、「検索ができない」という質問に関する回答も、「画像として処理されている」ということで、ピンボケで責任回避のものでした。

 そこで、私は次のようにキャンセル方法を問いました。


ご主旨は理解できています。
ただし、その明記がなかったため、「利用中のデバイス」が「PC」で「コンテンツタイプ」が「EPUB」という情報を頼りに、購入手続きをしてしまいました。
結果的には、情報不足により私が使えないものを購入した事態となったわけです。
本品の購入をキャンセルするための手続きを教えて下さい。
よろしくお願いします。

 これに対して、hontoお客様センターからからは次の回答がありました。


通常、電子書籍はデジタルコンテンツという性質上、一度ご注文を確定されますとダウンロードの有無によらずキャンセルや紙書籍への交換は承れません。
しかしながら、このたびは伺いましたご事情から、キャンセルのご希望について弊社対応を確認いたします。
詳細が確認できましたらあらためてご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。
また、このたびいただいた対応OSやご購入手続き時の表記内容についてのご意見を参考とさせていただき、より分かり易いご案内がさし上げられるよう検討を重ねてまいります。

 そして翌日、以下のキャンセルの手配を終えたという連絡がありました。


このたび伺いましたご事情から、以下のご注文電子書籍は今回に限りキャンセルを承ります。
キャンセル手続きは完了しておりますので、現在のご注文の状況はマイページ内の「ご注文・ご購入履歴」にてご確認ください。

 私からは、次のお礼の返信を送りました。


電子書籍のキャンセルに関して、マイページより確認しました。
お手数をおかけしました。

 返金には応じてもらえたとはいえ、何とも不親切な冷たい対応でした。
 電子書籍の購入は、こんなに低レベルなやりとりで行われているのでしょうか。
 私が Macintosh を使っている、ということに起因するとはいえ、あまりにも差別的な扱いだと思いました。
 
 
 

2015年2月10日 (火)

視覚障害者と写本文化を共有するための47本の記事一覧

 目の不自由な方々と一緒に『源氏物語』の古写本を読むことができないか、ということについて検討を進めています。
 すでに、このテーマでの記事が増えてきたので、どこに何を書いているのか、自分でもわからなくなってきました。

 4ヶ月前に、「視覚障害者と写本文化を共有する接点を求めて」(2014年09月15日)で、20本の記事を一覧にしてまとめました。その後もこのテーマの記事が続いているので、あらためてその後の27本を追加したリストを作成しました。

 さまざまな情報を収集する中で試行錯誤を繰り返している過程を、有り体に記したものです。
 ご笑覧いただき、いろいろな分野からご教示をたまわれれば幸いです。
 
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「谷崎全集読過(21)『盲目物語』」(2015年02月03日)

「祝「日本盲教育史研究会」の公式ウェブサイト公開」(2015年02月01日)

「読書雑記(117)嶺重慎・広瀬浩二郎編『知のバリアフリー』」(2015年01月31日)

「お茶のお稽古の後に視覚障害者のことを想う」(2014年12月23日)

「学術交流フォーラムの音楽ワークショップで受けた刺激」(2014年12月21日)

「視覚障害者と共に古写本を読むためのポスター発表をする」(2014年12月20日)

「読書雑記(115)大胡田誠著『全盲の僕が弁護士になった理由』」(2014年12月02日)

「テレビドラマ『全盲の僕が弁護士になった理由』を観て」(2014年12月01日)

「バリアフリーやユニバーサルデザインから学ぶこと」(2014年11月28日)

「読書雑記(114)三宮麻由子『目を閉じて心開いて』と『源氏物語』」(2014年11月25日)

「『月刊 視覚障害 11月号』に紹介された広瀬さんと私」(2014年11月05日)

「読書雑記(112)『愛盲―小杉あさと静岡県の盲教育』」(2014年11月04日)

「第12回オンキヨー世界点字作文コンクールの表彰者」(2014年11月03日)

「自動車運転免許証を自主返納せずに更新する」(2014年11月01日)

「立川市中央図書館で聞いた視覚障害者への対応」(2014年10月29日)

「〈筆順・縦書き〉問題とパソコン業界の日本語放棄の潮流」(2014年10月24日)

「日本盲教育史研究会に参加して(その3/3)」(2014年10月13日)

「日本盲教育史研究会に参加して(その2/3)」(2014年10月12日)

「日本盲教育史研究会に参加して(その1/3)」(2014年10月11日)

「筑波大学附属視覚特別支援学校訪問記」(2014年10月10日)

「日比谷図書文化館で『源氏物語』を読み始める」(2014年10月02日)

「知的財産権について考える」(2014年09月24日)

「私にも障害を持つ方のお役にたてることがあったのです」(2014年09月20日)

「江戸漫歩(87)霞ヶ関ビルで開催された総研大の教授会」(2014年09月19日)

「読書雑記(109)広瀬浩二郎のことば切り抜き帳(1)」(2014年09月18日)

「読書雑記(108)佐藤隆久著『日米の架け橋』への不信感」(2014年09月17日)

「視覚障害者と写本文化を共有する接点を求めて」(2014年09月15日)

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「日南町散策と写本を木に彫る相談」(2014年09月14日)

「日南町でハーバード大学本「須磨」を読む」(2014年09月13日)

「読書雑記(107)中津文彦『つるべ心中の怪 塙保己一推理帖』」(2014年09月03日)

「読書雑記(106)中津文彦『塙保己一推理帖 枕絵の陥し穴』」(2014年08月29日)

「視覚障害者が古写本『源氏物語』を書写できるか?」(2014年08月22日)

「京都府立盲学校の資料室(その2)」(2014年08月05日)

「京都府立盲学校の資料室(その1)」(2014年08月04日)

「京洛逍遥(332)京都芸術センターの中の前田珈琲」(2014年07月24日)

「読書雑記(104)中津文彦『塙保己一推理帖 観音参りの女』」(2014年07月16日)

「江戸漫歩(82)高田馬場の「日本点字図書館」へ」(2014年06月20日)

「京洛逍遥(322)京都ライトハウスにて」(2014年06月12日)

「目の不自由な方と写本を読むために(2)」(2014年06月05日)

「目の不自由な方と写本を読むために(1)」(2014年06月04日)

「早朝の地震の後、渋谷の温故学会へ」(2014年05月05日)

「西国三十三所(20)壺阪寺」(2010/10/20)

「【復元】縦書き & 横書き」(2010/4/21)

「【復元】点字本『源氏物語』(全3冊)」(2009/9/10)

「点字本『源氏物語』(その後)」(2009/9/9)

「インド人留学生の眼(2)「日本の常識の不思議」」(2008/12/3)

「心身(22)身体への不安」(2008/9/1)
 
 
 

2015年2月 9日 (月)

藤田宜永通読(22)『モダン東京3 哀しき偶然』

 『モダン東京3 哀しき偶然』(2002年1月、小学館文庫)は、探偵・的矢健太郎シリーズの第3集です。
 本作は『モダン東京小夜曲』(1988年6月 集英社文庫、1996年9月 朝日新聞社)として刊行された作品を『哀しき偶然』と改題し、モダン東京シリーズの第3作とされるものです。


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 すでに「藤田宜永通読(21)『モダン東京2 美しき屍』」(2014年09月23日)に書いたように、モダン東京・探偵的矢健太郎シリーズの第1作は『蒼ざめた街』(1996年7月 朝日新聞社、2000年11月 小学館文庫)とされています。それは、『蒼ざめた街』が『モダン東京3 哀しき偶然』よりも8年後に刊行されたにもかかわらず、その時代設定が前作の『美しき屍』よりも古いことによります。あくまでも、作品内を流れる時間順に、シリーズの順番をつけただけのことですが。

 『モダン東京2 美しき屍』は、昭和5・6年の東京を舞台とするものでした。本作『モダン東京3 哀しき偶然』は、昭和7年を背景にして語られます。
 満州をその背景に置くのは、この時代を感じさせるものにしたかったからでしょう。ただし、それは成功していません。最後まで、満州ネタは消化不良のままです。物語展開にうまく絡めることができなかったのは、非常に惜しいことでした。

 アメリカで探偵の助手をして帰国した的矢健太郎は、秘密探偵として昭和初期の東京の街を愛車シトロエンで調査に犯人探しにと走り回ります。
 そのシトロエンで軽快に幕開けです。

 本作も25章立てという、細かい小見出しが付されています。テンポよく展開する証です。
 会話のテンポもいいのは、初期の藤田作品の特徴です。

 開巻早々、渋谷の古びた屋敷に少年ギャング団が窃盗に入ります。この場面を読み進みながら、それが昭和初期ではなくて、私には現在の平成日本の空き家事情に連想が結びつきました。
 今、空き家が全国的に増え、地方に限らず都会の廃屋にも盗みに入る族が多くなったそうです。そうした最近のニュースを思い出し、時を隔てて二重写しになったのです。80年以上も前と今がイメージとして結びつくのは、何か共通する要素がありそうです。が、今は措いておきます。

 物語は殺人事件へと展開し、探偵・的矢健太郎の動きが活発になります。昭和になったばかりの時代を背負って動き回る探偵の姿は、おもしろい進展の中で活写されます。欲を言えば、もっと土ぼこりが立ち上がる描写があればよかったのに、と思います。

 昭和初期の渋谷、六本木、銀座、神楽坂、大森などの様子が描かれます。ただし、調べた知識に留まっていて、生活実感が盛り込まれていないのが残念です。昭和初年を今に実感を伴って語り伝えるためには、生活感と土ぼこりは必須です。

 それでも、東京を愛車で移動する時に、地名や目印となる建物名が列記されると、昭和7年の首都東京を眼前に再現できそうで、タイムスリップの擬似体験が味わえます。このあたりは、藤田宜永の筆は精緻に描いていきます。

 事件の背景が見えてくるにしたがって、さらにテンポがよくなり加速します。藤田ワールドです。

 渋谷や銀座や大森の話になると、私自身が生活体験があり知っている場所なので、つい惹かれて読むスピードが上がります。

 ただし、最後のシーンは強引な幕引きと言わざるをえません。無理をし過ぎです。藤田の最後の詰めの甘さが、この初期の作品からあったことを実感しました。読者としては、最後にそれではがっかりです。乱暴です。もっと丁寧に話を納めてほしいものです。

 そうであっても、本作でも登場人物たちの、それも男の純粋な想いは伝わってきました。男の心が描けるところが、藤田宜永の一番いいところです。ただし、恋愛感情に関しては、あまり評価をしません。
 くどいようですが、素材の未消化は今後の作品に生かされることになる、という期待として残しておくことにします。【2】

 なお、この作品の舞台を歩いた東京紅團の「藤田宜永のモダン東京「哀しき偶然」を歩く 初版2002年6月29日 V01L03」は、本作の背景をリアルに炙り出してくれます。読後にこのサイトを拝見し、いろいろとイメージが豊かになりました。楽しい現代の文学散歩ができました。貴重な報告を、ありがとうございました。
 
 
 

2015年2月 8日 (日)

ウェアラブルコンピュータ「UP24」を身につけて

 現在私は、「UP24」という自分の睡眠、歩数、距離、消費カロリー、活動時間、非活動時間などの生活リズムを記録する腕輪を身に付けています。まさに、ウェアラブルコンピュータを装着した日々です。

 この使い心地と機能については、「京洛逍遥(326)三条河原町からバスで帰宅」(2014年07月06日)で紹介した通りです。

 今では、毎日送られてくる私の生活リズムに関するコメントを楽しみにしています。私の日々のデータを開発元である Jawbone 社が世界各国から届く日々のデータを分析し(?)、現在の私の記録や身体の状況を踏まえた(?)さまざまな意見や提案はもとより、到達目標もアドバイスしてくれるのです。
 例えば、昨日は次の3つのコメントが届きました。


(1)有用な趣味
 鉛筆を削りましょう。写真を撮りましょう。ギターをつま弾きましょう。創造的な趣味を持つ従業員は課外活動に手を付けるだけの人に比べてオフィスでの業績ランクが 30% 高いとサンフランシスコ州立大学が報告しています。

(2)朝の健康
 1日中元気でいられるように、卵やオートミールなどを食べてタンパク質と全粒粉を取りましょう。甘い菓子パンやシリアルは控えること。朝食に気を配るのは体に気を配ることと同じです。

(3)土曜日を有効に過ごそう
 週末がやってきました。1 週間前の 8290 歩を更新できるように、土曜日は挑戦あるのみです。時間を有効活用してください!

 (3)は、私が先週の土曜日に歩いた歩数が「8,290歩」であることを踏まえての、励ましのコメントとなっています。こうして送られてくるコメントやアドバイスは、相手を褒めることでやる気を起こさせる、ということに徹しているようです。

 それぞれのコメントのリンク先をたどると、Jawbone社のさらなる詳細なアドバイスを見ることができます。ただし、そこは英語のページなので、これが日本語になっているとおもしろいと思っています。
 こうしたサポートが、この商品のいいところだと思います。

 もっとも、アメリカでの生活者を対象としたコメントなので、日本にいる私にはピンボケのアドバイスが多いのはご愛嬌です。私の生活習慣はアメリカ化されていません。というよりも、「アメリカ抜きで考えよう」という考え方に同調した生活なので、異文化体験を日々していることになり、このコメントを楽しんでいます。

 この「UP24」は、アップルストアでも販売されているものです。
 しかし、「Apple Watch」が今年の4月に発売されると、こうした機能はすべて重複し、さらにアップルならではの多彩な活用が可能になるはずです。当然、この「UP24」は見劣りがすることになるのです。

 さて、「UP24」はあと2ヶ月で起死回生の変身ができるのか、非常に興味深いところです。
 
 
 

2015年2月 7日 (土)

再録(16)続・カシオの欠陥腕時計(1996.12.22)

 2ヶ月後に発売される「Apple Watch」を、どの段階で手にしようかと思案中です。
 しかし、いつも私はワケアリ商品を渡されるので、そのタイミングが難しいのです。

 それはさておき、昨日の「再録(15)カシオの欠陥腕時計とのお付き合い(1996.12.7)」の続きです。
 新商品につきものの、最新技術が製品化に追いついていない実情が見えてきます。
 
********************** 以下、再録掲載 **********************
 
 裏蓋が突然浮き上がったために修理に出したカシオの腕時計が、ようやく返ってきました。
 修理報告書は、下記のようになっています。


    処理内容
       ケース部部品不良裏蓋交換
       デジタル部その他モジュール調整
    請求明細
       バツク2(727) ×1
       デンチ    ×1
    請求明細
       部品代   2,300
       技術調整料 2,300
       消費税    138
     合計      ¥4,738

 要するに、はずれかかった時計の裏蓋を交換し、電池を替え、時計機能の調整と点検をした、ということなのでしょう
 裏蓋の刻印が〔517871〕から〔537948〕に変わりました。アナログ部とデジタル部の時刻は同じ時間を示しています。本来は当たり前のことなのですが、この時計の場合は重要な点です。調整してくださったようです。しばらく使ってみましょう。といっても、外出以外は腕に付けないので、一年の半分以上は机の上に置かれた状態ですが。
 なお、以前の二回と同様に、今回も修理技術者の方は福西氏でした。形状の珍しい時計なので、修理をしながら同一人物のものであることは、お気づきのことでしょう。よりによってこんなに調子の悪い製品を手にした私を、気の毒がってくださったのではないかと、勝手に想像しています。
 本当に、私は機械運が悪いのです。大量生産品の中でも、特に出来の悪い方のものが手元に届きます。いずれ、手にした不良品をオンパレードでご紹介します。
 さて、今回の問題点を整理しておきます。

 1.何故に裏蓋が浮き上がり、使用不可能になったのか。
 ちゃちな構造であったのはわかりますが、製品化にあたっての詰めが甘かったとしか言いようがないように思います。
 もしこの製品を頻繁に腕に付けていたら、もっと早くこのような事態にみまわれたことでしょう。
 あまり腕にするなということだと、少し意地悪に解釈しておきます。

 2.電池を交換されたが、これは前回の修理でも交換されていたのです。
 つまり、この時計は、一年半で電池も寿命に近づくということでしょうか。
 説明書にあるような頻度ではデジタル部の表示やブザーを使っていないので、規格として明記された2年以上は電池の寿命があると思うのですが。
 この電池交換費用も、被害者の私が負担することには、少し疑問を感じます。

 3.電池の寿命には誤差があるとしても、電池の交換をするたびにデータが消えてしまいます。
 ということは、1年半ごとに電話番号などを入れ直す仕様になっているということなのです。
 時計に片仮名を入力するのは、意外と面倒です。これまでに、三回も入れ直しました。
 もうデータを記憶させるのはやめますが、これが3万円もするカシオの時計です。
 最近は、データを消さずに電池を入れ替えるものがあるようです。
 1年半前のカシオの技術では、この価格帯では不可能なことだったようです。
 早く先端技術の水準に達してほしいと思います。
 
 結局は、このような製品を購入した私が一番甘かったことになります。他の製品の場合とは違い、生命に別状がないのでたいした問題ではありません。私の見る目と運が悪かったのです。この時計は、部屋の片隅であと1年半ほど、ひっそりと余生を送ってもらうことになります。可能な限り外出の際に連れて出ることにしますが、愛着がなくなっているので出番はますます少なくなりそうです。
 カシオには、製品企画段階での詰めと、出荷前の点検をしっかりとやってほしいと思います。
 
********************** 以上、再録掲載 **********************
 
 
 

2015年2月 6日 (金)

再録(15)カシオの欠陥腕時計とのお付き合い(1996.12.7)

 私は時計が大好きです。壁掛け時計も置き時計も腕時計も、私の身辺には至る所にあります。常に視野の中に時計がないと、どうも落ち着かないのです。
 しかも、数字が表示されるデジタルよりも、針がクルクルと回る方が好きです。

 アップルは昨秋、「iWatch」を発売するはずでした。しかし、それが今春に延期され、その時計型のウェラブルデバイスが「Apple Watch」という名前になって、2015年4月に出荷される予定だという発表がありました。
 この出現によって、これまでの時計の概念が大きく変わることでしょう。
 今から大いに楽しみにしています。

 そんな待ち遠しい状況なので、これまでに書いたままで私のホームページに放置されていた時計の記事を、本ブログに再録します。20年も前に購入した時計に関する記事です。
 当時私が腕につけていたその時計は、アナログとデジタルとが融合したコンピュータウォッチでした。偶然、ネットで画像を見つけました。その姿は、こんな感じです。


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 上の写真の左が、普通に腕にはめている状態です。そして、その文字盤を手前から向こうに起こすと、中は右のように、データを表示する液晶パネルとキー入力用のタッチパネルになっていました。ただし、以下の記事に記すように、不具合がいろいろとある時計でもありました。
 
********************** 以下、再録掲載 **********************
 
 カシオの腕時計の一部には問題があると思います。その顛末を記しておきます。

 《1》1995.2.20 「CASIO DATABANK FLIPTOP」を購入。
    〔時計本体裏蓋刻印番号 727一IA-1000 517871〕
 フリップトップというスタイルで、ウルトラ警備隊が腕にしているような、蓋の開く形です。外見は普通のアナログ時計なのですが、蓋を起こして開くと、内部は計算や電話帖やメモが入力できる機能を持ったデジタル時計になっているのです。少し厚くて重たいのですが、多機能なので気に入りました。あまり時計をしないほうなので、便利ならいいのです。
 購入後すぐに、内側の時計表示部分である液晶パネルに貼られていた保護用のビニールを剥がした時、透明板に波型のにじみ模様がキワとして明瞭に見えるのに気付きました。ビニールを貼るための粘着糊の一部と思い、自然に取れるのを待つことにしました。しかし、数日しても取れず、ぬるま湯でパネルを拭いても取れません。パネルが見にくいので、購入店に持ち込んで診てもらうと、メーカーヘ送り返して修理をするとのことです。2週間もかかるそうです。春先のしぱらくは時計が放せない生活が続くこともあり、すぐに修理には出さず、仕方なく使用していました。

 《2》1995.4.24 不具合発生のため修理を依頼する。
 1.アナログの針が、分針と秒針が少しずつずれていくのです。4月1日に時報で正確に針を合わせました。ところが、2週間で20秒ほど秒針が進み、分針が少しずつ遅れるようにしてずれてくるのです。
 2.さらに、4月1日に正確に合わせたアナログとデジタル部分で、2週間で29秒ほどずれるのに気付きました。デジタル表示部分が29秒進んでいるのです。製品仕様によると、平均月差±20秒以内とあります。使用されているCMOS-LSIチップが不良品ではないのか、点検してもらうことにしました。
 3.時計をして走っている時に、二度ほど上蓋が開いて、少し危険な思いをしました。この接合開閉部分の調整もお願いしました。
 4.電話番号を記憶させているので、修理の際はデータのバックアップをしながらをお願いしました。電話などの文字入力には結構時間がかかるものです。時計を預けて不便な生活になるは、データの入れ直しをさせられるはでは、あまりにやり切れないので、あえて依頼したのです。
 5.この時計を1ケ月半ほど使用しての感想は、次のようなものでした。まず、製品としての仕上りが大分お粗末なようです。特に、時計機能の信頼性の欠如については、計算機メーカーだけに人ごとながらその技術力に危惧を感じました。価格も相当な額(3万円)を設定してあるのですから。10年以上前にカシオ社のパソコンやワープロを使っていたのですが、その頃の製品コンセプトとマシンの仕上がりが良かった記憶があったので、この種の未完成の製品を手にすると、市場に出す前の機能点検の甘さを感じます。よくある「これは仕様である」ということなら、新しいもの頂けないかとも依頼しました。私は本製品のテスターでもモニターでもなく、数万円という対価を支払った一購入者ですから、精度の低いLSIと長く付き合うことは希望しない旨を伝えました。
 ◎1995.5.19 修理完了
 ◎1995.5.24 受け取る。
 「修理報告書」によると、処理内容は〈アナログ部その他ムーブメント洗浄〉〈デジタル部その他モジュール交換〉とあります。請求金額は〈無償〉でした。しかし、お願いしたはずなのに、入力していたデータは、完全に消えていました。事前に確認はありませんでした。再度、電話番号などを入力しました。また、修理完了の時計を受け取った時、すでに外と中の時計に2秒の誤差がありましたが、これくらいならと使用を再開することにしました。

 《3》1996.2.19 やはり時計不調。保証期間満了前日に修理に出す。
 1.1995.10.1より1996.2.19までの5ヶ月ほどの間に、アナログ・デジタル共に2分も進むのです。ただし、内外の時計の差はありません。
 2.電話番号などを登録しているので、消えないように作業を進めてもらえないかと依頼しました。修理担当者と話をしました。この機種は分解修理にかかった段階でデータはどうしても消えてしまうとのことです。データをバックアップする端子がないそうです。3万円もするデジタル時計にしては、お粗末な設計仕様だと思いました。
 ◎1996.3.4 修理完了
 ◎1996.3.7 受け取る。
 「修理報告書」によると、修理内容は、〈デジタル部その他トリマーコン調整〉とのこと。当然のことながら、請求金額は〈無償〉でした。今回もまた、電話番号などを入力しなおしました。10年以上も前に、パソコンでデータを入出力できるEPSONのタッチパネル形式の腕時計を使っていたことを思い出しました。あれからコンピュータは驚くほど進歩したのに、腕時計にデータを入力する作業はかえって不便になったように思います。

 《4》1996.11.28 時計が使用不能になる。
 時計の裏蓋が浮き上がり、爪が入るほどの隙間ができていました。指で押すとはめ込むことができます。しかし、すぐにポコッと浮き上がるのです。しばらくしてから、時計が止まっているのに気付きました。内部のデジタル表示部分も消えています。裏蓋を押さえつけても、まったく動かないのです。購入店に持ち込んで修理依頼をすると、有償とのこと。それでも、とにかく修理に出しました。本日受けた連絡によると、見積額は4500円でした。お願いすることにしました。修理が完了しても、また電話番号を入力する仕事が待っています。暇つぶしに困ったときにやろうと思っています。

 その後の経過は、またここに追記します。
 なお、カシオの時計に関しては、6年前に時刻表が記憶させられる〈DATABANK〉というデジタル時計を購入しました。ところが、使用して2年ほどで液晶パネルの表示がおかしくなり、修理代金が購入価格より高かったので、同じ機種を買い換えたことがあります。
 というと、いかにも私が時計を酷使しているかのように思われるかもしれませんが、ごく普通に時計を利用しているつもりです。外出するときだけ時計をしますので、時計を身につける時間はすくない部類ではないでしょうか。
 
********************** 以上、再録掲載 **********************
 
 
 

2015年2月 5日 (木)

肩すかしだった関東の大雪予報

 天気予報では、今日の関東甲信越地方は大雪とのことでした。
 雪に脆いとされる都会は、この大雪にはすぐに過剰な反応をします。
 自然に逆らって存在する都会が抱える、人間としての負い目が露呈するのです。

 早朝の電車に乗ると、乗客のみなさんはダウンのコート、雨靴、丈夫な傘で備えは万全でした。
 これまでの苦い経験があるので、首都圏の雪対策はすでに学習済みです。
 首都圏は、人間としてやってはいけないことだらけで構築されているので、自然の脅威には従順です。

 しかし、お昼を過ぎてもみぞれ混じりの湿っぽい雪は降るものの、積もりそうにはありません。

 その後も会議や書類作りに忙殺され、雪で帰れなくなる前に職場を出ようと思いつつも、いつしか夜になっていました。

 20時頃になって、やっと仕事から解放されるメドがたちました。ブラインド越しに外を見ると、何と雪どころか雨も降っていません。

 大雪の中を帰る覚悟だったので、拍子抜けの感を拭えません。雨が上がっている中を立川駅に向かいながら、どうなっているのか狐につままれた気持ちでした。

 これは、良かったことなのです。しかし、最悪の事態を想定していた一日だったので、突然タガを外された心が居場所をなくして戸惑っています。気持ちの準備が、予想外の現実になかなか追いつきません。とにかく、天気予報は大きく外れたのです。

 電車の中でも、長い傘を持った人たちが、何となく手持ち無沙汰の面持ちで傘の柄を握りしめておられました。

 東京でも西郊に位置する多摩地区は、都内よりも格段に寒いところです。しかし、今日は大雪にはなりませんでした。緊張感が一気に解れ、うつらうつらとした電車での帰路につきました。
 
 
 

2015年2月 4日 (水)

iPhone版アプリの「エバーノート」が復旧しました

 昨秋10月下旬以降、2ヶ月以上にわたって


iPhone6 の「エバーノート」が起動してすぐにクラッシュする

という状況が継続していました。

 この現象については、昨年末12月下旬に「iOS 版 Evernote Ver.7.6.3.313347」にアップデートしたあたりから、iPhone6 のエバーノートやそのデータに起因するクラッシュがなくなったように思われました。

 年末年始と様子を見ていました。
 約1ヶ月が経過し、今はまったくクラッシュが発生しません。

 いろいろなことを確認しては検証していたので、何が直接の原因かは素人の私にはわかりません。
 また、サポート担当者の指示にしたがって、さまざまなことをさせられました。いずれも、問題の解決には至りませんでした。

 10月下旬に発生したクラッシュの連発を受けて、11月にサポート窓口に相談を持ちかけて以来、30通以上も担当者とメールのやりとりをすることとなりました。パソコンや iPhone の膨大なログなども提供しました。数百行ものログを送ったこともあります。

 こうしたトラブルは、ユーザーが諦めたらそれで終わりです。これまでの30年にわたるコンピュータ体験から、ユーザーが身を引いたらいけないことを学んでいます。一歩も引かず、何とかしてほしい、という気持ちを根気強く訴える以外に、対処策は引き出せないのです。

 しかし、原因や理由はともかく、サポート担当者のアドバイスとは別の要因と思われる状況の中で、このトラブルは収束したかと思われます。

 そこで、このアカウントの「プレミアム契約期間」に関して、2ヶ月延長というサポートは適用されないものか、サポート担当者に問い合わせをしました。

 Macintosh ではそのアカウントで使えていたとはいえ、戸外で重宝して活用していたiPhoneで利用できなかったため、パソコンでのエバーノートの使用も、データの破壊が拡散するのを恐れて控えていたのが実情です。

 使えなかった期間がそのまま契約期間に入っていることに釈然としないものがあり、このことをサポート担当者に確認したのです。

 現在私は、エバーノートのプレミアム版を複数本契約しています。科研などで使用している数本は不都合なく使い続けているので、この個人用で利用しているアプリに関してだけ、アカウントの契約期間延長の確認をしたのです。

 これに対して、サポート担当者からの回答は以下のように利用者に理解を示したものでした。


「この度ご不便お掛けいたしました期間に関しましては、当該プレミアム期間相当、プレミアムの延長にご利用いただけます、Evernote ポイント、適用させていただければと存じます」

「2ヶ月のプレミアム延長にご利用いただけます、Evernoteポイント20ポイントを適用させていただきました。」

 この連絡が、問い合わせてすぐに届きました。

 不自由な思いと、歯がゆい思いをしていただけに、今回の対処は、当時が取り戻せるものではないにしても、契約期間の延長で多少の気分転換にはなります。

 今回のトラブルの原因が、エバーノートにあることが明らかだったからでもあります。潔い、気持ちのいい対応だといえます。

 これが、サポート担当者からの提案であったら、さらによかったと思います。ダメでもともと、という気持ちで言ってみる、ということでの解決は、まだサポート体勢が確立されていない、ということでもあります。

 エバーノートはいいソフトウェアなので、多くの方に推奨しています。それだけに、さらなるサポートの見直しをしてほしいと思います。
 
 
 

2015年2月 3日 (火)

谷崎全集読過(21)『盲目物語』

 4歳の時に視力を失った一人の男、盲目の坊主彌市が語る物語です。
 浅井長政をめぐる話が、思い出すままに、問はず語りされるのです。


わたくし生国は近江のくに長濱の在でござりまして、たんじやうは天文にじふ一ねん、みづのえねのとしでござりますから、當年は幾つになりまするやら。左様、左様、六十五さい、いえ六さい、に相成りませうか。(『谷崎潤一郎全集 第19巻』(新書判)昭和33年1月、53頁)

 物語の本文は、振り漢字や振り仮名が気ままに付されているように見えます。平仮名や漢字の表記が混在する理由も不明です。
 谷崎潤一郎の平仮名を中心とした語りと仮名遣いには、一定の表記上の法則性がありそうです。文体を柔らかな印象にすることは確かなようです。
 しかし、例えば「岐阜」「ぎふ(振り漢字「岐阜」)」「ぎふ」と連続して3種類の異なる表記がなされている本文(全集、100頁)にであうと、読むほうが混乱します。こうしたことの連続に出会うと、これが語り物であることの意義を作者が誇示するかのように、意識的に用いた表記だとしか思えません。
 すでにこれらについては、さまざまな研究成果があることでしょう。今、私にはその使われ方やその意味がよくわかりません。

 語り手である彌市は目が見えないので、手の感触による触覚や耳に届く音の聴覚で、周囲のようすを敏感に判断しています。その想像力の世界が手に取るように描かれています。
 お市の方をめぐっての、感覚の世界が文字として記されているのです。平仮名と漢字の混在は、その表現世界をイメージするための作者の工夫なのでしょう。

 語り手である座頭彌市は、長濱の出身ということもあってか、琵琶湖の周りの話が物語展開を牽引します。
 また、三味線の音と「いろは」の文字の対応を語るところには、非常に興味深いことが語られています。三味線の合いの手で暗号文を伝えるというくだりは秀逸です。


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(引用者注︰彌市が)ふと氣がつきましたのは、その(引用者注︰朝露軒の)三味せんのうちに二度もくりかへしてふしぎな手がまじつてゐるのでござりました。さやうでござります、これはわたくしども、座頭の三味線ひきのものはみなよくぞんじてをりますことでござりますが、すべてしやみせんには一つの絲に十六のつぼがござりまして、三つの絲にいたしますなら都合四十八ござります。されば初心のかた/\がけいこをなされますときはその四十八のつぼに「いろは」の四十八文字をあてゝしるしをつけ、こゝろおぼえに書きとめておかれますので、このみちへおはひりなされた方はどなたも御存知でござりますけれども、とりわけめくら法師どもは、文字が見えませぬかはりには、このしるしをそらでおぼえてをりまして、「い」と申せば「い」のおと、「ろ」と申せば「ろ」のおとをすぐにおもひ浮かべますので、座頭同士がめあきの前で内證ばなしをいたしますときには、しやみせんをひきながらその音をもつて互のおもひをかよはせるものでござります。ところでいまの不思議な合ひの手をきいてをりますと、
  ほおびがあるぞ
  おくがたをおすくいもおすてだてはないか
と、さういふふうにきこえるのでござります。
(中略)
(引用者注︰彌市は)わなゝくゆびさきに絲をおさへて、
  けぶりをあいづに
  てんしゆのしたえおこしなされませ
と、こちらも合ひの手にことよせまして、「いろは」の音をもつておこたへ申したのでござります。もちろんいちざのかたん/\はたゝわたくしのうたといとゝにきゝほれてばかりおいでなされ、ふたりのあひだにこんなことばがかはされたとは知るよしもござりませなんだが、(127〜129頁)

 一座の者にはわからない方法で、彌市と朝露軒はお互いだけにしかわからない暗号文で会話を成立させているのです。
 このことに関しては、本作品の末尾に記された「奥書」で、次のように注記を付しています。


○かんどころのしるしに「いろは」を用ひることはいつの頃より始まりしか不レ知今も淨瑠璃の三味線ひきは用レ之由予が友人にして斯道に明かなる九里道柳子の語る所也、本文挿繪は道柳子圖して予に贈らる

 三味線の音を利用して、「いろは」の音を合いの手に交えて、秘密の会話ができたというのです。「かんどころのしるし」を用いた巧妙なコミュニケーションが成立していることに、ただただ驚きました。

 後半で城が火炎に包まれるシーンで、お茶々を背負うことになった彌市が、その手に感じた感懐を語る場面は、谷崎らしい感性が溢れています。

 全作を通して、活字で読み進みながらも目で話を聞いたという感触が、常に実感として伝わってくる物語でした。【3】
 
 
初出誌︰『中央公論』昭和6年9月号
 
 
 

2015年2月 2日 (月)

映画「マエストロ」を公開初日に豊洲で観て

 映画「マエストロ」が公開された初日(1月31日)に、初回上映で観ました。
 どの映画館で観ようかと思案した末、人混みの中の有楽町と日本橋の映画館はパスをして、宿舎から一番近い豊洲にある「ユナイテッド・シネマ豊洲」にしました。「ららぽーと豊洲」の3階にあります。ただし、この映画館に入るのは初めてです。

 映画館の休憩スペースからは、目の前には晴海大橋が、その左には東京オリンピックで選手村となる工事が始まっている有明地域が望めます。


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 ネットでチケットをあらかじめ確保しようとしました。しかし、手続きが煩雑でうまく取れないまま、映画館のカウンターに行って座席を確保しました。
 ネットでの手続きは、未登録者にとっては敷き居の高いものとなっていると感じました。ネットは便利なようで、うまくいかない時には面倒なものです。

 さて、予想通り初日の初回上映ということもあり、入場者は少なかったので楽に観られました。小さなスペースでも、座席と足元はゆったりとしています。最近の傾向です。

 私はクラッシック音楽には馴染んでいません。高校の教員時代に、音楽と歌舞伎の熱烈なオタク先生と仲が良かったので、いろいろな情報が自然と入っていました。
 私が『源氏物語』の異本や異文に興味をもっていたこともあり、彼からはブルックナーの交響曲の異版のことをたくさん教えてもらいました。そのこともあり、ブルックナーのLPのほとんどを購入しました。
 今も、ブルックナーだけは聞く機会があります。最近は、交響曲第0番が気に入っています。

 今回の映画では、ベートーヴェンの「運命」とシューベルトの「未完成」がたっぷりと流れていました。映画としては異例です。指揮者の佐渡裕氏が、しっかりとバックで支えておられたからでしょう。また、ピアニストの辻井伸行氏の音も、エンディングでゆったりと聞きました。

 興味深い人間のドラマを観ながら、いい音楽も聴くことができました。1粒で2度美味しい映画です。

 ヴァイオリニストでコンサートマスター役をつとめた松坂桃李さんは、昨年の「テレビドラマ『全盲の僕が弁護士になった理由』を観て」(2014年12月01日)から注目していました。そして今回も、その持ち前の本物指向から徹底的な観察力によって、役柄の研究をされたようです。鎖骨にアザができるほど、ヴァイオリンの練習をされたとか。勉強熱心でありながら、それでいて演技ではごく自然に振る舞えるのが、この松坂さんのいいところだと思っています。

 緩急の妙が発揮された映画でした。
 
 
 

2015年2月 1日 (日)

祝「日本盲教育史研究会」の公式ウェブサイト公開

 インターネット上に、「日本盲教育史研究会の公式ウェブサイト」が本日より公開されました。


150201_mosiweb


 事務局長である岸博実先生から会員宛の連絡では、以下のように閲覧できないブラウザがあるとのことです。


現時点では、インターネットを閲覧するためのブラウザのうち、問題なく動作すると確認できているのはInternet Explorer、Mozilla Firefox、NetReader、スマホ、Safari(iPadのブラウザ)です。

私がチェックした範囲では、Google Chrome や Operaにおいては「HOME以外のコンテンツに移動できない」という問題が生じます。機能やコンテンツなどはすべて国際標準に基づいて作成していただいていまして、この現象が起きる理由はブラウザ側にあるのか、私のパソコンの設定にかかわるものと思われます。もし、同様のことが起きましたら、Internet ExplorerやMozilla Firefoxなどの利用をご検討ください。

 現在私が使っているマッキントッシュの環境では、「safari」と「Firefox」では問題なく閲覧できます。しかし、「Google chrome」と「Opera」では、確かに「HOME」以外のセクションに、今日の時点では移動できませんでした。
 最近、「safari」では不具合が多くて「Google chrome」で閲覧することが増えました。ただし、「Firefox」はめったに使いません。
 こうしたブラウザの問題は、ほとんどのマッキントッシュ・ユーザーは「safari」を利用していると思われるので、あまり問題ではありません。「Google chrome」と「Opera」については、もう少し様子を見ることにしましょう。

 とにかく、こうして「日本盲教育史研究会」の公式ウェブサイトが開設されたことは、みなさまの活動内容がわかり、関連する情報を収集することにおいても、非常にありがたい環境が提供されたことになります。
 このサイトのますますの充実を楽しみにしたいと思います。
 
 
 

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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