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2015年5月21日 (木)

ハーバード大学本「蜻蛉」巻の紛らわしい「者(は)」

 日比谷図書文化館で、ハーバード大学美術館蔵『源氏物語「蜻蛉」』を読んでいます。
 今回は、変体仮名の「者」がさまざまに書かれている例を確認します。
 1文字を見つめていただけでは、その識別が難しいケースが多いのです。

 次の一覧は、第10丁裏から12丁表にかけて見られる、「者」の種々相を並べたものです。


150521_kanaha


 右から2つ目の「者し」の「者」が、一般的に知られているひらがなの「は」に相当します。
 それ以外の「者」は、いろいろな崩しとなっています。

 左端などは、すぐには「者」と読めない崩し様です。
 これなどは「気配(けはい)」の意味を文脈から読み取って、そこで「者」だと決め打ちしているところがあります。

 また、左から3つ目の「者」も、「乳母は」という語句から、迷わず「者」と翻字します。
 文脈の理解が、ややこしい文字の翻字を助けているのです。
 しかし、これらを1文字だけ取り出されると、しばし悩むことになります。

 現在は、「蕎麦(そば)」の変体仮名の表記として、「楚者」という文字を蕎麦屋さんの暖簾などで見かけます。
 また、賀茂川に架かる北大路橋には、次の銘板が嵌め込まれています。


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 ここには、「きたおほぢ者し」と書いてあります。

 「者」が、日常生活から遠ざかったひらがなとなっているだけに、この「者」は今後とも悩ましい存在として立ちはだかる文字だといえます。

 とにかく、こうした例を確認していく中で、変体仮名に慣れ親しんでいくしかありません。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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