« 古写本『源氏物語』が触読できる全盲の渡辺さんとの一日(1) | メイン | 古写本『源氏物語』が触読できる全盲の渡辺さんとの一日(2) »

2015年7月31日 (金)

日比谷でハーバード本「蜻蛉」巻を読む(その17)

 今回の翻字者育成講座は、昨日のブログに書いたように、福島県立盲学校の渡辺先生と古写本の触読に関して面談をした直後の、午後6時半からの開講でした。

 折角の機会なので、あらかじめ講座を運営なさっている部署の了解を得た上で、渡辺先生にも参加していただく段取りを整えていました。受講者のみなさまと一緒に、全盲の方を交えて変体仮名の翻字学習を進めました。

 そんなこともあり、この日は見開き1丁分を頑張って読みました。1字でも多く渡辺先生に確認していただき、触読の感想を聞きたかったからです。

 まず、ナゾリが認められる2カ所についての確認からです。もっとも、目が見えない渡辺先生には、こうしたナゾリの部分の判読には参加してもらえません。ここは晴眼者が役割を担う部分です。

 この2カ所については、下に書かれている文字の判断を保留したい旨を伝えました。写真版を見れば見るほど、次第に自分の認定に疑念が生じたからです。


150729_nazoriiki


 「伊」(14丁裏1行目)の下に「以」があるようです。しかし、どうも下の文字は「以」ではないようにも思われます。

 同じことは、「幾」(14丁裏3行目)の下に「久」が認められます。しかし、じっと見ていると、下の「久」の認定に疑念が残ります。書きさしたようにも見えます。

 これは、原本を再度実見しないと確定できないと思い、そのことを正直にお話しました。
 これまでに、ハーバード大学にある原本は3回確認しています。しかし、ここを丹念に見たのかどうか、今思い出せません。
 次世代への引き継ぎ事項にしておきましょう。

 また、この写本では、「奈」の字体が一定しません。非常に不安定な「奈」なのです。


150731_na


 これは、この「蜻蛉」の書写者が「奈」の平仮名を苦手としていたのか、またはこの字で書写の雰囲気を変えようとしていたのか、その理由が今は思い当たりません。ご教示をお願いしたいところです。

 「寸」については、8行目の字体が極端に異なります。これは、行末だったために平たくなったものではありません。
 これも、この書写者の筆癖の一つとして挙げておきます。


150731_su


 15丁表の4行目の「し」にミセケチのような2本線が見えます。テキストは白黒なので、これが紙の繊維なのか汚れなのかゴミなのか、判別がつきません。
 この日はカラー画像を持っていなかったので、次回に結果をお知らせすることにして、先に進みました。

 ここは、次のようになっています。


150731_gomi


 紙面のシミが、くっきりと確認できます。
 やはり、カラー画像は、こうした時の確認に必要です。

 次回は、8月20日(木)に15丁裏から読み始めます。
 
 
 

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

Powered by Six Apart
Member since 07/2008