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2015年8月31日 (月)

京洛逍遥(375)嵯峨野で「点字付百人一首」を楽しんだ後は時雨殿へ

 JR嵯峨嵐山駅に隣接するトロッコ嵯峨駅のロビーには、牛車と撮影用パネルがあります。
 この地に立つと、もう平安朝気分になります。


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 この駅の目の前に、「ホテル ビナリオ嵯峨嵐山(コミュニティ嵯峨野)」があります。
 昨日は朝からここで、「百星の会」主催の「点字付百人一首」のイベントが行なわれました。


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 会場に入ると、カルタ取り競技の準備中でした。
 27名の参加者の内、全盲の方は12名です。
 京都ライトハウスや京都小倉かるた会からも、応援と支援のためにお出でです。

 特製のカルタ台に、点字付百人一首の札を、1ケース10枚をセットにし、2セット20枚が自分がこれから取る札となります。時間を惜しんでは、自分の札を暗記し、その位置を確認しておられます。


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 自分用の勉強用点字シートで、札と和歌の確認をしながら、作戦を練っておられる方もいらっしゃいます。


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 この点字付きカルタ取り競技は、『五色百人一首』を元にして各人の力量に合わせて行なわれるのです。

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 手元のカルタは、横に2枚のカルタ台を並べる方と、縦2段に配置される方がいらっしゃいました。これは、自由に組んでいいようです。


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 上級者の相対札の取り合いでは、各自20枚の札を守りながらも、相手の陣地にも攻め入ります。指もぶつかり合います。
 まさに、私がよく見る競技カルタと同じ迫力があります。


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 この上級者用の札には、対面するお互いが札の和歌が両方向から読めるように、点字が工夫して打たれています。
 また、カルタ台の札を固定する所にも、どちらからも持ち上げられるように、上下に溝があります。


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 初級、中級、上級と、それぞれの札で色分けされたグループが、和やかに、そして熾烈な局面を見せながら会場は盛り上がります。

 4つのテーブルに分かれ、各テーブルに選手3人ずつと1人の審判がつきます。
 和歌が読み上げられて、札を取って上に掲げると、審判は挙手で知らせます。


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 休憩を挟んでテーブル毎の対抗戦など、いろいろなゲームが組まれていました。
 みなさん、取り遅れた悔しさからか、次第にヒートアップしていかれる様子がわかります。

 いろいろなお話を伺いました。
 カルタ取りのルールは、まだ確定していないところがあります。特に、札を取ったらカルタを持ち上げるのですが、その早さの判定がまだ改良の余地があるそうです。
 ルールは、これから実践を通して見直されていくことでしょう。

 カルタ取りが終わると、全員で松花堂弁当をいただいてから、歩いて渡月橋の手前を桂川沿いに上り、百人一首の殿堂として知られる時雨殿へと移動しました。


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 時雨殿の常設展示室では、室内の周囲を百人一首を刻んだチタンパネルが貼り巡らされています。みなさんは、展示品を見ることができないので、説明を聞くしかありません。しかし、優しくなら触ってもいいとのご許可をいただき、このパネルに刻まれた文字を触読しておられました。


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 変体仮名で和歌が書かれているので、みなさんが読めるわけではありません。しかし、何人もの方が読める文字を見つけては大喜びをしておられました。これは、私が進めている触読研究の原点に出会った気がしました。

 2階に上がり、別室で平安朝の文香の体験です。
 今回は、「からくれなゐ香」「よはのつき香」「さねかずら香」の3種類を袋に入れて持ち帰ることになりました。


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 その後は、大広間で平安装束の体験となり、この着付けショーを、みなさん大いに楽しんでおられました。

 帰りは、みなさんとご一緒に、元来たJR嵯峨嵐山駅から電車に乗りました。

 私は、この点字付きの札が、変体仮名の立体コピーにしてもできる、という確信を得ました。
 ルールは「点字付百人一首」に倣いながら、墨字の仮名で書かれた札も取れるようになると、視覚障害者の興味と関心はさらに脹らむことでしょう。
 これから、その可能性を探っていきたいと思います。

 特に、点字を付けたカルタの場合には、古文の表記に問題が生じます。これは、点字と墨字で、日本語の表記体系が異なるからです。
 墨字で仮名文字の古文を読む場合には、点字とは異なる表記の問題が発生します。また、覚える文字の種類も多くなります。

 しかし、こうしたことは、『源氏物語』の触読を通して少しずつ解決する方向を探っているので、『百人一首』の場合もいずれは問題の解決に至ると思っています。

 京都駅に向かわれるみなさんとは、再会を楽しみにして、私は二条駅で電車を降りました。
 みなさまとの出会いに感謝しています。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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