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2015年10月 2日 (金)

再録(22)プライバシーに関する三話〈1999.11.23〉

 今から16年前の記事ですが、再録データとして残しておきます。

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 第一話の〈神奈川県警の「案内カード」〉については、その後さまざまな問題を引き起こしたものでもあります。

 例えば、今年のことで言えば、「女児誘拐未遂:巡査を容疑で逮捕 交番勤務で目付ける」という記事が「毎日新聞」(2015年02月19日)に掲載されました。
 その記事の一部を引きます。


◇巡回カード悪用か
 A容疑者が女児や父親の名前を事前に知っていたことについて、群馬県警は、職務上知り得た情報を利用した疑いがあるとしている。地域をパトロールする巡査は通常「巡回連絡カード」を使って個人情報を収集しているとみられ、今回もこれを悪用した可能性が考えられる。

 巡回連絡カードは、警察庁が「住民の安全で平穏な生活の確保に役立てる」として地域警察官に住民の情報を収集させている制度。事件・事故が発生したり、迷子を保護したりした緊急時に家族への連絡に役立てると説明し、家族全員の氏名、生年月日、勤務先、学校名などの記入を求めている。

 女児や両親とA容疑者に元々面識はなく、女児と友達(7)は昨年12月、パトロール中のA容疑者を5、6回見かけたと話しているという。この時のA容疑者の挙動について県警は「地域の見守り活動をしているような様子だった」と説明しているが、「かわいい女の子をつけ回していたのでは」と疑う声も住民の間から出ている。隣町の主婦(29)は「そもそも何のために書かされるカードなのかと思っていた。今回もし警察官に悪用されたなら、巡回連絡カード自体、廃止してもらいたい」と憤る。

 渋川署によると、A容疑者が勤務していた吉岡町交番は原則2人体制。監視・管理体制が弱く、個人情報を比較的容易に入手できた可能性もある。過去には長野県警や愛知県警で、交番の連絡票のコピーを悪用したり、駐在所の情報照会用端末を不正操作したりした手口もあった。【尾崎修二】

 この事件の続報(毎日新聞 2015年03月06日)は、次のようになっています。


群馬県警巡査の女児誘拐未遂:巡回カード悪用、24歳巡査追送検

 小学4年の女児(10)を誘拐しようとしたとして未成年者誘拐未遂容疑で逮捕された群馬県警渋川署巡査のA容疑者(24)について、県警は5日、交番勤務で使う巡回連絡カードの個人情報を悪用したとして、県個人情報保護条例違反の疑いで前橋地検に追送検した。

 A容疑者は交番勤務だった今年1月15日、女児の自宅前で待ち伏せ、車に連れ込もうとした疑いで逮捕された。県警によると、昨年12月14日、家族構成や連絡先などを記載する巡回連絡カード「世帯別案内簿」を新規作成するために女児宅を訪問し、女児の名前や顔、父親の名前などを知ったという。【尾崎修二】

 さらにこの事件に関しては、担当記者が丁寧に解説をしておられます(毎日新聞 2015年03月24日)。報道に携わった方としても、誠意ある対応であり、事件のアフターケアになっていると思います。


質問なるほドリ:巡回カード、何のため?=回答・尾崎修二

 ◇警察が迷子保護などに利用 群馬で不祥事、再発防止が必須

 なるほドリ お巡りさんが自宅に来て「巡回(じゅんかい)連絡カードを書いてください」と頼んできたよ。

 記者 交番や駐在所に勤務する警察官は、受け持ち地区の家庭やお店、会社などを訪問して困りごとを聞いたりして、地域の状況を把握します。その際、住民に書いてもらうのが「巡回連絡カード」。家族全員の名前、生年月日、電話番号、勤務先や学校、非常時の連絡先などを記入します。「案内簿」や「連絡表」と呼ぶ都道府県もあります。

 Q 情報を集めてどうするの。

 A 迷子や独り暮らしの病人を保護したり、災害や事故の時に家族や親戚(しんせき)に連絡したりするためと警察は説明しています。実際、東日本大震災で捜索に生かされました。かつては、交番などで道を尋ねる人を、カードの情報をもとに案内していました。

 Q 断りなく他人に情報を教えてほしくないなあ。流出や悪用が心配だ。

 A カードは交番や駐在所で施錠(せじょう)できる場所に保管され、情報を外部に漏(も)らしてはいけないことになっています。しかし群馬県では2月に、男性巡査(24)がカード情報を悪用して小学4年の女の子を誘拐しようとした疑いで逮捕される事件がありました。他県では過去に、警察官がカードのコピーを知人に渡したり、消費者金融業者が警察官から情報を不正入手したりした例がありました。

 Q 記入を断ろうかな。

 A 任意なので、断っても罰則はありません。ただし、警察は「拒否した」という記録を残します。「何かやましいことがあるんじゃないか」と思われる可能性はあります。ちなみに、群馬県警によると、地域の警察官が住民サービスのために実施しているので、データベース化しているところは全国的にないとみられます。

 Q プライバシー保護と警察による安全の維持を両立できないのかな。

 A 最近は、オートロック付きマンションが増えたり核家族化(かくかぞくか)が進んだりして、情報収集が難しくなっているそうです。積極的に地域を回る警察官を表彰して巡回連絡カードの整備を進めている警察もありますが、取り組み方は地方によってまちまちです。群馬の事件により、真面目に働いている多くのお巡りさんが迷惑を受けました。警察組織を挙げて再発防止に取り組み、私たちの信頼を二度と裏切らないでほしいですね。(前橋支局)


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 第2話の「2)年収について」については、今はもうこんなことはアンケートの内容から削除されていることでしょう。しかし、今から16年前にはあったのです。

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 第3話の「クレジットカードの金額変更と署名代行」に関しては、似た事が今でもあります。
 コンビニなどでクレジットカードを使って支払うと、サインも暗証番号も不要なことがあります。
 「いいのかな?」と思いながらも、手間が省けて便利なのでそのままにしています。しかし、よく考えてみれば、これも変なことではあります。
 私が最初にサインなしで買い物をしているシーンを見かけたのは、2000年2月に英国ケンブリッジの街中で、学生たちがクレジットでお買い物をしていた時でした。信頼関係が築かれているので可能なのだろう、と思って見ていました。プリペイドカードではなかったと思います。
 クレジットカードに関しては、利用者がチェックを怠ることが多いので、悲惨な状況が日常茶飯事のことでしょう。それを、ユーザー側が被害と認識するかどうか、というレベルの問題だと、私は思っています。
 変な話ですが……

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 以下の記事の元データは、〈大和まほろば発 へぐり通信〉の【ハイテク問はず語り】というコーナーから発信していた情報の内、1999年11月23日に公開した文章です。

 この一連の「再録」は、過去に発信した情報を本ブログに取り込み、アーカイブズの一環とするものです。


----------------- 以下、再録掲載 ---------------------

〔プライバシーに関する三話〈1999.11.23〉〕

1)神奈川県警の「案内カード」

 今、手元に「案内カード(一般世帯)」という文字が中央上部にタイトルとして書かれた、B5版大のカードがあります。

 卵色で葉書よりも厚い丈夫な紙のカードです。そして、その表題の上の余白に、鉛筆書きで


「巡回にきましたが不在でした このカードに記入のうえ交番までお持ち下さい」

とあります。
 「交番までお持ち下さい」とあるので、お上に対して住民が申告するための用紙のようです。

 記入欄の項目名を、以下に列挙しておきます。


 ・世帯主氏名 ふりがな 性別
 ・店名 業務内容 地区名(町内会、自治会) ※作成年月日 ※整理番号
 ・現住所 電話 ファックス 居住年月日
 ・非常の場合の連絡先 あなたの本籍、親戚、知人など 本籍 親戚・知人 氏名 住所 電話番号
 ・家族または同居人 氏名 ふりがな 続柄 生年月日 職業、勤務先(学生は学校名) 摘要(同居人等の方については、非常の場合の連絡先)
 ・(裏面)要望・連絡事項
 ・(裏面)※連絡実施年月日
 ・(裏面)○※印の欄は、記入の必要はありません。

 そして、表面下部余白には、以下の備考が印刷されています。


 ・◎このカードは、盗難や交通事故などの被害を受けたときとか、訪問する人に家を教えたり、もしお子さんが迷子になったときなど、皆さんに奉仕する資料として交番・駐在所に備え付けておくものです。

 ・◎非常の場合の連絡先は、火災や盗難などが発生した場合に親戚や知人に連絡するためのものです。

 警察というものが信頼されていた時代のカードのようです。今では、ここに記入した内容が警察に悪用されることを懸念して、恐らく記入提出を躊躇するしろものとなっているのではないでしょうか。各項目には、公権力によるプライバシーの侵害が見え隠れしています。

 このカードの右耳部には、次の文章が印刷されています。


 [案内カード作成のお願い]

 私は、この地域を担当している警察官です。
 警察では、受持警察官が皆さんの御家庭を訪問し、御意見等をお伺いするとともに、この案内カードを作成していただいております。
 この案内カードは、万一盗難や災害の被害に遭われたときなどに役立てるものです。御協力をお願いいたします。
 なお、緊急の用件は110番で(耳や口の不自由な方は、ファックスによる専用110番=……番へ)
 それ以外の相談、要望等は、私又は<金沢文庫駅前>(ゴム印)交番・駐在所の勤務員に御相談ください。
 TEL <……>(ゴム印) 内線<412>(ゴム印) ファックス 氏名 <N>(ゴム印)

 私など、70年安保を経験している世代の者には、これが公安関係で利用されたものの残滓であることに想いが至ります。
 裏面の「県警の相談・案内コーナー」という所に、


「○極左110番 045-671-0110」

とあります。共産党員宅の盗聴で有罪となっても、知らぬ存ぜぬで突っぱね続ける神奈川県警には、極左はあっても、極右はないのですよね。

 ここにあげたカードは、交番のどこに、どのようにして保管されているのでしょうか。また、駐在所員がこの情報をどこに持ち出しているかなども、おそらくピストルほどには厳重に管理されていないでしょう。
 今の情報化社会では、この手の情報は、高く売れるでしょうね。とにかく、まがりなりにも本当の警察が管理している情報なのですから。特に神奈川県警の警察官は、最近は不祥事がらみで免職退職者が続出しているので、警官失職失業後は、この資料を活用して、住民情報売買人として生計が保てます。また、脅迫・恐喝にも利用できます。

 こうして集められた各戸の情報管理がどうなっているのか、どなたかリサーチしませんか。

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2)年収について

 手元に、一枚のアンケート葉書があります。

 これは、家庭用の浄水器に添付されているものです。
 差出有効期間は「平成12年7月31日まで」となっています。
 宛先は、「〒108-8506 東京都港区港南 1-6-41 (品川クリスタルスクエア)三菱レイヨン株式会社 アクアライフ事業部 クリンスイ係 行」です。

 表面中段に、こう書かれています。


 「この度は三菱レイヨン商品をお買上げいただき誠にありがとうございます。恐れ入りますがこのご愛用者カードにご記入の上、お送り下さい。今後の製品開発・サービス向上などの貴重な資料とさせていただきます。お送り頂いた方の中から毎月まとめて抽選で粗品を差し上げます。なお発表は発送をもってかえさせていただきます。」

 以下に、表面中段以下にある記入欄の項目を列記します。


 ・ご住所 Tel Fax Email:
 ・お名前(ふりがな) 生年月日 男・女
 ・ご職業
 ・お買上日
 ・ご購入店名 ご購入の場所
 ・家族構成 未婚・既婚 ご一緒に住んでいる家族の人数(  )人
  趣味 ある・なし ある方は内容を(          )
  住居 一戸建持家/一戸建借家/分譲マンション/賃貸マンション/アパート/公団・公社・社宅・その他
  年収 300万以下/300〜500万未満/500〜700万未満/700〜900万未満 900万以上

 家族構成や住居は、製品の性質上どうしても必要だったかもしれません。しかし、年収はどんな意図があるのでしょうか。

 裏面の「ご愛用者カード」の各選択項目には、「いままで浄水器をお使いでしたか。」など、特に差別的な質問はありません。表面の質問の真意を謀りかねます。

 1999年11月21日付けの朝日新聞の「青鉛筆」欄に、個人情報に関する調査結果の紹介があります。
 そこには、「知られたくない情報」のトップとして、男性が「年収」、女性が「日記の中身」だとあります。

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3)クレジットカードの金額変更と署名代行

 パソコン専門店の「ソフマップ 大阪ザウルス館」で、ISDN用のルーターを買いました。今年の10月中旬のことです。これは、それまで我が家で使っていたルーターが壊れたためです。2年ほど使った後のことです。その顛末は、また後日報告します。

 さて、支払いには、JCBカードを使用しました。ところが、帰宅して数時間してから、そのソフマップから電話がありました。明細の請求額を1万円少なく記入してしまったとのことです。
 購入時に、レジで明細を見てサインをしましたが、後から思えば念を入れて確認したのではなく、桁数くらいを見ただけのように思います。手元の控えを見ても、確かに向こうの手違いがあったようなので、そちらで修正の処理をしてほしいと依頼しました。ただし、再度確認のサインが必要だろうから、それはこちらが出向きやすい店でお願いしたいと言っておきました。

 ところが、10月31日にソフマップのSという方から電話がありました。
 それによると、カード会社のJCBの方の内部処理で修正すればいいとのことでした。私がサインをして確認もしないのに金額が訂正されるのはおかしいのでは、と言ったのですが、カードの切り直しではないので、再度、訂正金額にサインをする手続きは必要ないそうです。
 これには不審を感じましたが、担当者も相当困った様子で必死に弁解しておられたので、辛い想いをこれ以上させてはと思い、すべてを任せました。その方の勤務評定が下がり、職を失われてはと思ったからです。向こうも、今度の請求時に金額をよく確認してほしいと言っておられました。

 後になってよく考えてみるに、これはどうしてもおかしいと思います。そんなに簡単にクレジットカードの請求金額が、カード会社の一社員によって変更できるのでしょうか。
 それができるのなら、カード会社は、自由に利用者に水増しした金額を請求できることになります。利用者の方は、いちいち請求金額の当否を確認することは少ないので、これは非常に危険なシステムだと思います。

 皆さん、クレジットカードの請求金額は正確ですか。一部の数字が改変されていませんか。

----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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