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2015年10月 3日 (土)

再録(23)携帯電話の危険性〈2000.5.4〉

 携帯電話の電磁波について、近年はその性能が向上したことと相俟って、その発する電磁波も低減しているそうです。
 そこで、一昨日の1日より、電車内などでのルールが変更となりました。優先席の近くでは携帯電話の電源を切るように告知されていたポスターやステッカー、そして車内放送が、今後は混雑時のみに、となりました。


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 これは、総務省がペースメーカーへの影響は15cm以上離れていれば大丈夫、と発表したことを受けてのものです。
 第3世代といわれる3G携帯では、3cm 離れているとペースメーカーには影響がないことが実証されたそうです。
 もちろん、車内での通話は、これまで通り自粛を、となっています。

 関西では昨年の夏には、すでに取り組んでいたことです。
 遅ればせながら関東・東北地方でも実施されることになったのです。
 優先座席についても、私が東京に来た1999年には、関西では廃止している私鉄がいくつかありました。席を譲るのは当たり前のことなのですから。
 何事もルール化しないと気が済まないのは、関東の特徴のようです。

 今回のルール改定を勝手にその原因を推察するに、関西と関東での混雑の程度の違いと、関東が100%主義で社会が成り立っているからではないでしょうか。
 私は、関東にいる時には、遠慮がちにメールのチェックやメモを iPhone でしていました。これで、関西と関東が同じレベルになりました。これはいいことです。

 そんな状況の変化があったので、今回は今から16年前の個人的な杞憂とでもいう記事を再録しておきます。
 ここから、社会状況と科学技術の変化が読み取れます。
 

----------------- 以下、再録掲載 ---------------------

〔携帯電話の危険性〈2000.5.4〉〕
 
[副題]ようやく問題視されだした携帯電話の危険性
 
 平成12年5月2日の朝日新聞第一面に、携帯電話からの電磁波が人体に有害かどうかを調査することになった、との記事が掲載されました。

 日頃から脳細胞破壊兵器の一面をもつ携帯電話の危険性が問題とされていないことに異議を唱えていた者としては、これまで見て見ぬ振りをしていて、そしてようやくですか、という感想を持ちました。いまさらという感がしますが、それでも遅すぎることはありません。とにかく、害がないということの証明は難しいのでしょうが、疑わしきは罰せずではなくて、疑わしきは利用を控える姿勢も大事ではないでしょうか。

 携帯電話は、人間の身体への影響という点では、たばことよく似た因果関係を持つものだと思います。吸いすぎ、使いすぎに注意しないと、健康への被害が甚大だということです。
 そのようなものを吸うとか、身につけるかどうかは、もちろん利用者の自由です。しかし、たばこの場合のように、事前に利用者にその危険性を明示して販売されていたか、という点から言えば、携帯電話はその利便性と利用料金のみが強調され、人体への傷害については事前の説明なしに、野放しで頒布されているように思います。

 今、いちおう公共の情報発信機関とされている新聞がこのことを記事にするように関係各機関に働きかけたのは、一体なぜなのでしょうか。私は、携帯電話のメーカーが、電磁波の人体への悪影響に対する弁明の理由がどうにか見つかったので、ひとまず一般人への配慮をしているポーズを示すために、このような記事になるニュースを仕組んだのだろうと思っています。今後予想される訴訟対策とでもいえましょうか。

 郵政省も通産省もメーカーも、とっくにこの携帯電話が併せ持つ危険性については知っていたはずです。行政側は社会的な影響を考えて、景気の好調さを作り出すのに一役買っている携帯電話関連企業の活動を止めない方向で、ここ数年は動いていたはずです。これは、公害・薬害問題における為政者の常套手段です。現実に、街の携帯電話ショップの乱立と、そのカウンターにいる若いパートタイマーやアルバイトの人たちの多さは、曲がりなりにも若者たちの失業状態をカムフラージュでき、また、若い人を中心に携帯電話を持たせることによって、一種のガス抜きが行われているのです。
 今、携帯電話の活況にブレーキをかけると、若者を中心として暴動が起きるとは言わないまでも、大きな反発が起きるのは必死です。突然の不便は、大きな不満を発生させるからです。

 それに加えて、この六月に行われる予定の選挙前ということもあるのでしょう。
 アメリカのクリントンが大統領選挙において、投票日の直前に、電磁波が人体に無害であるとのコメントを発表したことがあったかと思います。当選後すぐに、消極的に、有害という証拠がない、との弁明に変わりました。投票日直前に、電力関係団体の票を取りまとめるための口実に使われたようです。

 今度の新聞記事によると、郵政省の電波環境課は、携帯電話の電磁波による人体への影響について、「現時点で有害という証拠はない」と言っているそうです。どこの国のお役人も同じなのですね。無害とは断言できないので、このようなコメントになるのでしょう。水俣・カドミウム・スモン・エイズなどなど、国が後手後手にまわった施策は枚挙にいとまがないほどです。

 この携帯電話に関する対応も、歴史的にはこの部類に属するものといえましょう。人類は、同じことを繰り返しながら、少しずつ前進していくのです。その前進の過程においては、犠牲は致し方ない、という論理かもしれません。今回は、電磁波の影響が直接生命に影響しないことが多いという点が、問題点を不明確にしています。

 携帯電話を含む電磁波の人体への問題は、疫学的な事例ではあっても、脳腫瘍・白血病・アルツハイマー病に関わるものとされています。この事は早くから指摘されており、私の周りでもそれを知ってか、この危険な要素をもつ携帯電話を持っている人は少ないのです。

 職場でも知人にも、その危険性を説明するのは疲れることなので、私は、という言葉を冠して、怖い道具だと思っていることを伝えています。もっとも、大多数の人は、そんなに恐ろしいものなら、国や会社が市中に出回らせているはずはないと思っておられるようで、「そんなことを言っていたら」とか「それは大変ですね」というクールな反応が多いのです。
 理屈では理解を示したいが、やはり、その便利さには勝てないということなのでしょう。

 実は、私の娘も携帯電話を持ち歩いています。たばこと類似する危険性をよく言い聞かせているのですが、家との連絡などに重宝することもあって、もう離せない存在の道具となってしまっています。
 とにかく、もう手放せない人は、いかにうまくこの脳細胞破壊兵器を平和利用するかだと思います。

 新聞記事によると、今年の9月ごろから聞き取り調査に入る見込みで、因果関係についての最終的な結論がでるのは、今から4年後の平成16年ごろだそうです。なんとも、のんびりした人体実験調査です。ナチスや七三一部隊のような性急な人体実験は問題ですが、多くの人の健康な生活を守るためにも、もう少し真剣に取り組んでもいいのではないでしょうか。

 政権政党が政治資金を貰っている関係か、NTTをはじめとする情報関連企業に遠慮しなければならないことはわかります。テレビなどで、スポンサーとなっている企業に対して反対の姿勢で番組が作れないことに通ずる問題が内在するのでしょう。NHKのスポンサーは政府与党ですし。お金を貰うスタイルの政治の弱点が露呈しているようですが、ここはけじめをつけて、ポーズではなくて、真摯な前向きの姿勢を示してほしいものです。

 私は、情報関連の新製品には、すぐに手を出して、その拙速にいつも反省しています。しかし、この携帯電話に関しては最初から疑問を持っていたので、これだけには手を出しませんでした。

 コンピュータやインターネットを仕事に活用し、情報文具で各種データを処理する日々の中で、この携帯電話は非常に魅力的な小道具です。しかし、やはり自分の体を犠牲にしてまでは、という理由から、導入は検討しながら、実際には使用していません。
 今回の悠長な人体実験調査での結論を見てから、自分の生活に携帯電話を取り入れるかどうかを考えたいと思います。今から4年後なら、人体に悪影響を及ぼさない商品が開発されていることでしょうし。そのメドがメーカー側についたからこそ、このような郵政省の調査が始まることになったと思われます。いわば、企業を守るために実施する、政府の時間稼ぎの調査なのでしょうから。

 それにしても、郵政省や通産省の内部には、本当のことをストレートに語ってくれる人はいないのでしょうか。国家公務員減らしが進む中、あえてそのような愚挙に出るお役人はいないですよね。

 電磁波の人体への悪影響を取り上げ、電磁波がいかに怖いものかを語る警鐘本が書店にあふれた時期がありました。今は、幾分収束したようですが。あたらしもの好きの私は、こうした本を、立ち読みも含めてたくさん読破してきたつもりです。

 電磁波擁護論の本も、少ないながらもあります。そうした電磁波に関する解説本の中から、私は『電磁波白書』(大朏博善、アスキー、平成9年、\2,300、CD―ROM付き)をお勧めします。
 この本は、電磁波擁護論の立場で書かれています。巻末で著者は、「いたずらに恐怖をあおる《電磁波は怖い》論にまどわされることなく、冷静な英知を集結させたいものである。」(245頁)と言っています。

 この本では、事実や資料を客観的に見ようとする姿勢が随所に見られ、好感を持ちました。しかし、私はこれを読んで、逆にその危険性を再認識してしまいました。なかなかよくできた、逆説的な本だと思います。

 海外の研究者へのインタビューを収録したCD―ROMが付録に付いているというのも、おもしろい企画です。
 また、このCD―ROMは、マッキントッシュでもウインドウズでも見られます。分割の憂き目を目前にしたマイクロソフト帝国の僕とならず、きっちりと少数民族のマッキントッシュユーザーにも均等に情報を提供する姿勢も、大きく評価したいと思います。これまで、あまりにもマイクロソフト帝国に媚びを売る企画や企業が多かったし、無意識とはいえ、寄らば大樹の陰よろしく、マイクロソフト仕様に準拠すればことたれりとした無意識の差別者ばかりではなかったことを教えてくれました。
 今後とも、こうしたハイブリッド仕様の情報提供を望むところです。

----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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