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2015年11月22日 (日)

突然の連携プレーとなった国文研フォーラムと国語研シンポジウム

 このところ少し温かかった多摩地区も、今日は少し寒さを感じました。
 国文学研究資料館の前の紅葉も見頃です。


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 昨日と今日の2日間、国文学研究資料館では「学術交流フォーラム 2015」が、国立国語研究所では「シンポジウム 字体と漢字情報」が同時進行で開催されていました。


 隣接する敷地にある2機関のイベントなので、両方のテーマに関係する私は、プログラムの進行を見ながら行ったり来たりと忙しい一日でした。
 国文研から国語研へ行く細道は、落ち葉を踏みながら行きます。

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 国語研の中庭もみごとに彩られています。


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 お昼には、国文学研究資料館の1階展示室で、特別展示「韓国古版画博物館名品展」のギャラリートークが、入口敦志先生の解説で行われました。これは、韓国古版画博物館のご協力を得て実現した、日本初の韓国古版画の優品を展示するもので、今日が特別展示の最終日だったのです。
 その担当者である同僚の入口さんの説明を、私は楽しみにしていました。
 私は、いつでも見られたのに忙しかったこともあり、つい見ないままでした。『高麗大蔵経』と『仏説大目連経』が特に見たかったものでした。

 展示室で『高麗大蔵経』に添えてあったパネルの文章を、記録として引いておきます。


1-2 高麗時代の仏教版画

 高麗時代11世紀初頭に刊行された高麗大蔵経の版木は、13世紀のモンゴルの侵攻により消失してしまいます。しかしその後すぐにすべてが刊行し直されました。約八万枚の版木でできているため、「八万大蔵経」とも呼ばれています。13世紀に再刻された版木は現在も韓国の海印寺に大切に保管されています。そのはんぎから刷り出されたものが、1と2の『大方広仏華厳経』で、韓国における仏教版画の原点と言うべきものです。

 そのギャラリートークが終わるやいなや、大急ぎで今度は国語研に移動し、これまた研究仲間の高田智和さんが主宰する「セッション5 : 文字データベースと連携」に参加しました。

 昨日から何度も行き来する国文研と国語研の敷地の間では、紅葉がきれいに色付いています。


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 国語研の研究発表では、最後の研究発表だった東京大学大学院情報学環の永崎研宣先生の「SAT大蔵経データベースをめぐる漢字情報」に関して、私は専門外ながらも質問をしました。それは、永崎先生の発表で言及のあった『高麗大蔵経』の韓国での刷り物2枚が、今まさに国文学研究資料館の展示室に並んでいることについてでした。
 永崎先生をはじめとして、会場にお集まりの方々はみなさん、すぐ隣の国文研の建物で『高麗大蔵経』が展示されていることをご存知なかったのです。
 司会進行役の高田さんから、「今日は何時まで展示されているのですか?」との確認があったので、「4時までです」とお答えしました。

 国語研のシンポジウムは3時に終わりました。
 国文研の展示を見に行こうとされている方がいらっしゃったので、私はすぐに国文研の展示室に引き返して、展示状況を確認しました。
 残念ながら、展示室は3時半で閉められていたのです。

 事務の方に確認すると、今日は3時半まで入場でき、4時まで見られる予定だったそうです。ただし、30分前の3時半に誰も入場者がいなかったので、展示資料を片付ける準備もあるので閉室した、とのこと。
 そして、今日が展示の最終日であり、明日は展示品の撤収をし、明後日には展示資料のすべてを韓国に送り返すことになっている、とのことでした。

 国語研での事情を事務の方に説明し、予定通り、あと30分の開室をお願いしました。
 関係者に連絡をして手配してくださり、快く再度の開室となりました。
 そうこうするうちに、国語研の参会者の皆さんが国文研にぞろぞろとお出でになりました。しかも、15名もの方がいらっしゃったのです。これについては、事務の方も入場者の増員ということで喜んでくださいました。

 もっとも、こんなに多くては私一人では対応できません。
 大急ぎで2階の大会議室に行き、国文研のイベントである講演会場におられた入口さんに事情を説明しました。お昼に行われたギャラリートークをもう一度していただくことが、幸運にも叶いました。


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 永崎先生をはじめとする若い方々に、こうしてなかなか見られない資料を実際に間近に見ていただくことができました。しかも、展示担当者である入口さんの詳細な説明を聞くことができたことも、若い方々にはいい勉強になったことと思われます。

 入口さんと私は、これまでにも一緒に何度もインドへ行き、旧満州にも行くなど、わがままが言える間柄でした。おまけに、10年以上も同じ宿舎にいた仲間であることなどなど、今回の思いがけない幸運には、こうした背景があってのことだったのです。

 それにしても、無理難題を聞いてもらえた入口さんには感謝します。また、迅速に柔軟な対応をしていただけた事務の方々にも、感謝します。みなさま、ありがとうございました。

 今日11月22日は「いい夫婦の日」でもあります。
 バタバタと走り回った後は、新宿に出て、妻と一緒にいつもの「岐阜屋」で諸々のお祝いをしました。今日は、ほろ酔いでこの記事を書いています。


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 本日の国文研と国語研でのイベントのプログラムは、以下の通りでした。
 記録として残しておきます。
 

学術交流フォーラム 2015
 文学際―「文化科学」を発見する―


会場:大会議室

《口頭発表 第三部》

「東ニカラグア、ミスキート諸島海域のアオウミガメ漁船」
    高木 仁 地域文化学専攻

「明治期音楽療法思想の変遷に関する一考察
  ――神津仙三郎・呉秀三を中心として――」
    光平 有希 国際日本研究専攻

《講演会・パネルディスカッション》
講演「碁盤の上のからくり人形」
    武井 協三 国文学研究資料館 名誉教授

講演「ロボットとからくり─科学と芸能の狭間を生きた田中久重─」
    山田 和人 同志社大学文学部 教授

パネルディスカッション
 
 

シンポジウム 「字体と漢字情報」
―HNG公開10周年記念―


 
開催場所:国立国語研究所2階 講堂
 
《セッション4 : 字体研究2》
司会 : 岡墻 裕剛 (常葉大学)
「画像データベースと漢字字体」
    佐藤 栄作 (愛媛大学)
「初唐の標準字体の再検討」
    斎木 正直 (北海道大学)
「近世から近代日本における異体字使用の変化」
    山下 真里 (東北大学)
 
《セッション5 : 文字データベースと連携》
司会 : 高田 智和 (国立国語研究所)
「平安時代漢字字書総合データベース構築の方法と課題 ―『類聚名義抄』を中心にして―」
    池田 証寿 (北海道大学)
「開成石経と拓本文字データベース」
    安岡 孝一 (京都大学人文科学研究所)
「東京大学史料編纂所と奈良文化財研究所での文字画像データベースの連携について」
    井上 聡 (東京大学史料編纂所)
「SAT大蔵経データベースをめぐる漢字情報」
    永崎 研宣 (人文情報学研究所)

 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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