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2016年1月15日 (金)

日比谷でハーバード本「蜻蛉」巻を読む(その26)

 最初に連絡をいつくか。

 日比谷図書文化館の〈特別講座 翻字者育成講座〉の本年第3回目は、来月の2月18日(木)となっています。しかし、私の海外出張と重なったため、一週間先の25日(木)に変更となります。この日だけは、これまでのB教室ではなく、A教室です。お間違いのないようにお気をつけください。

 もう一つ。
 今月23日(土)に、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉のイベントとして、東海大学で開催中の「桃園文庫展─池田亀鑑の仕事─」にご一緒に行きませんか、というお誘いをしました。

 参考までに、私が編集した『もっと知りたい 池田亀鑑と『源氏物語』 第1集』(2011年)と『同 第2集』(2013年)を回覧しました。

 このイベントの詳細は、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の「ホームページとブログ」でご確認ください。
 参加者は当法人の会員となっています。これを機会にご入会いただけると嬉しく思います。

 さて、日比谷図書文化館の講座では、鎌倉時代の変体仮名だけではなく、近現代の変体仮名も折々に確認しています。

 昨日は、山田美妙の『夏木立』(明治21年)の巻頭部分を見ました。
 『夏木立』の序文である「まへお起」は、さまざまな変体仮名が見られます。3行目に「籠能と里古」とあり、6行目に「志えィくすぴィあ」とあることなどは、注意しておいていいと思います。


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 この序文に続く本文は、次のようになっています。


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 ここで、最初の見出し「籠の俘囚」の「俘囚」に、「とりこ」と振り仮名が振られています。ところが、先の序文では「籠能と里古」となっていました。
 当てられた仮名が違うのです。序文の方の「能」「里」「古」は変体仮名です。

 また、序文と本文の字体(フォント)も違います。序文の方が、格調の高い字体となっているのです。これは、近世以来の伝統のようです。この序文の字体は清朝体だとか。
 この点について私はまだ不勉強なので、ご教示いただけると助かります。

 ハーバード本「蜻蛉」巻は、23オモテから24オモテL5までの3頁分を確認しました。

 ナゾリがある箇所について少しだけ記しておきます。


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 ここで書写者は、まず「おもへ多万へつゝ」と書いたと思われます。そして、「おもへ」の「へ」が間違っていることに気づき、その「へ」の上から「飛」をなぞったのです。
 「飛」が後で書かれたものであることは、「おもへ多」の「多」と、なぞられた「飛」の線が交錯していることからわかります。

 もし、「おもへ」と書いてすぐに「へ」の上に「飛」をなぞったとすると、続く「多」の起筆部分が「飛」とはぶつからないように書いたはずです。

 あるいは、もう一つの可能性も考えられます。
 「おもへ多万へ」までを書き、間違いに気づいて「へ」の上から「飛」となぞってから、続く「つゝ」を書いたとしてもいいでしょう。
 「飛」となぞったタイミングに関して、もう一つの可能性として提示しておきます。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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