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2016年3月 3日 (木)

読書雑記(157)澤田ふじ子『これからの松』

 江戸時代の1700年代。古筆家七代目了延の門人たちの物語です。


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 平蔵は、高瀬舟を引く仁助の息子で、炭屋に奉公しています。
 ある日、真如堂の虫干しで見初められ、了延のもとで古筆見として修行をすることになりました。
 そこには先輩格の空穂助がおり、目利きの腕を上げる平蔵への妬みから、何かと嫌がらせを仕掛けられます。

 古筆の鑑定をめぐる、お宝鑑定団のような世界で巻き起こる話が、興味深く展開してきいます。

 貧しい平蔵の家族と、門跡の育ちで裕福な空穂助の違いが、その対照的な生き様に反映しているのです。
 この二人を軸にして、家族というものが、鮮やかに描かれています。

 平蔵にかけられたら濡れ衣は、無事に晴らされました。しかし、その顛末は非常に生彩を欠く描かれ方です。この作者は、どうも話の最後が締まりません。

 なお、この作品は、朝日新聞に連載中から読んでいました。
 ちょうど前年に私は、パリで『探幽筆 三拾六哥仙』を見つけて輸入したばかりだったので、古物に関心があったこともあります。
 しかし、まったく物語の内容を覚えていませんでした。
 ネタが興味深かっためだけで読んでいたようです。【3】
 
 
初出紙:朝日新聞(1994年12月22日~1995年2月10日、朝刊)
単行本:1995年12月1日、朝日新聞社刊(書き下ろし「天路の枕」併載)
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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