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2016年3月19日 (土)

古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の追加(その2)

 昨年、2015年(平成27年)1月15日に、これまで構築してきた『源氏物語』の本文データベースを「変体仮名翻字版」として再作成することにしました。翻字方針の一大変更を決断したのです。
 それにともない、データベースの総称も、〈源氏物語翻字文庫〉(略称は「GHB」)と呼ぶことにしました。

「作成中の翻字データベースを〈源氏物語翻字文庫〉と総称する」(2015年01月25日)

 また、翻字するにあたっての凡例も、3回にわたって本ブログに改訂版を公開しました。上記記事の中で、それらを整理して確認できるようにしています。

 その後、2015年9月25日に、書写状態を再現する上で基本となる〈行末〉や〈丁末〉の様態を記述する追補案を提示しました。

「古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の追加(その1)」(2015年09月25日)

 これは、行末や丁末に傍記および補入されている文字の状態を正確に記述するためのものでした。

 これに関連して、従来から要望されていたことを、今回追補することにします。
 それは、丁変わりの情報が〈改頁〉とあるだけでは、第何丁目(頁)かがわからない、というご意見があったことに対処するために、丁番号を示す数字を追記するものです。

 「須磨」の巻頭を例にして、従来と新しい翻字の場合を例示します。

(1)1丁表から1丁裏にかけて(文節番号 120041)
  ~おほつ(1オ)」
  るへき越~
 とある箇所で、1丁裏に「可那可るへき越」が書かれている場合は、次のようにデータベースとして記述します。


おほつ可那可るへき越/前可〈改頁2ウ〉

 これは、1文節の中程から改丁がおこなわれていて、表丁から裏丁に移った最初の文字の「可」が2丁裏の冒頭に書かれていることを示します。
 ただし、この文節内には「可」が2つあるので、その内の前の「可」であることを「前可」とします。この前の方の「可」は〈2ウ〉という付加情報だけでも十分です。しかし、検索の効率を高める意味から、〈改頁〉という付加情報としての文字もこれまで通りに残すことにしました。

 この補訂では、これまで〈改頁〉箇所の明示が紛らわしいと言われていたことの解消も果たしています。
 これまでの方式(「変体仮名翻字版」以前)は、次のようになっていました。


おほつかなかるへきを/前か〈改頁〉

 ここでは、前の方にある「か」が〈改頁〉された裏丁の冒頭にあることを示す方式でした。「〈改頁〉された」文字を明示していたことが、表丁か裏丁かの判断で混乱させていたのです。
 今回の凡例の追加補訂により、この問題点はなくなるはずです。

 現在、10人ほどの方々が、「変体仮名翻字版」に取り組んでくださっています。
 今回の新しい〈改頁〉箇所の記述について、可能でしたら今から対処していただけると助かります。
 もちろん、この記述をパスしていただいても大丈夫です。
 再確認する時点で一括して補訂すればいいので、可能であれば今から、というご理解で対処してください。

 凡例にしたがったデータベース化の統一表記については、最終段階でも十分に手を入れられます。
 現段階では、これまでの曖昧だった翻字を、「変体仮名翻字版」に書き換える点に特に力点を置いた翻字版を作成する、ということで、引き続きよろしくお願いいたします。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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