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2016年5月21日 (土)

埼玉県本庄市で『群書類従』の話をする

 今日と明日は、中古文学会春季大会が早稲田大学である日です。
 しかし、頼まれ事があったために、都心を離れて埼玉県本庄市へ行きました。

 目的地である本庄駅と岡部駅との間で車輛トラブルがありました。行きたい本庄駅の一つ手前の岡部駅で、しばらく安全確認のために電車が止まっていました。私にはよくあることなので、これくらいでは動じません。今日お話しする内容の確認をして、復旧を待ちました。

 駅では、「金鑽神社」の宮司である金鑚(かなさな)俊樹さんの出迎えを受けました。金鑚さんとは、初期のパソコン通信が縁で20年来の仲間です。大学の後輩でもあり、衣紋道に精通している関係から、奈良の春日大社で祭礼があった時に、神官への着装場所に入れてもらい間近で金鑚さんの装束の着付けを拝見しました。東京の大井町であった雅楽にも一緒に行ったりと、貴重な勉強をさせていただいている間柄です。
 今日は、私が行く会場が金鑽神社の近くということもあり、送迎を兼ねて周辺の案内もしていただきました。

 今日の打ち合わせを、総検校塙保己一先生遺徳顕彰会事務局の方とすることになっていました。
 本庄市教育委員会生涯学習課がある市庁舎に、金鑽さんの車で連れて行ってもらいました。しかし、私がよく確認しないままだったために、本日の会場である本庄市児玉文化会館(セルディ)に移動することになりました。

 時間の余裕があったので、金鑽さんの案内で本庄宿にある方の金鑽神社に案内してもらいました。そして、詳しく本庄市の歴史などの説明を聞きました。
 私はただでは帰りません。境内に、変体仮名を刻んだ石を見つけました。「割烹 根起志」とあります。


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 また、琴平神社の御垣の石に刻まれた名前に、江戸時代の女性の名前が変体仮名で刻まれていました。「古登女」「み徒」と読めます。


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 おしゃれなレストランで食事をしてから、本日の会場へ打ち合わせに行きました。

 本日使われる舞台上で、パソコンか iPhone のどちらを使うかをテストしました。
 私は、スクリーンに映像を写してお話をすることはあまりありません。あくまでも、プリントでお話をします。これは、機器のトラブルを何度も経験しているからです。

 今日の場合は、パソコンからスクリーンに映像が出ませんでした。しかし、iPhone からは写し出せたので、パソコンは使わずに、iPhone でプレゼンテーションを行うことにしました。

 また、私はプレゼン用のソフトウェアであるパワーポイントは、使ったことがありません。パワポと言われているこのアプリを使った発表は、あくまでも自己満足のための発表だと思っているので、聞く必要がない、という立場を何十年も取っています。

 私が人前で話す時、スクリーンに画像を写す必要がある場合は、写真やPDFを表示する専用のプレビューソフトか、エバーノートのスライドショーを使います。

 今日は、パソコンが使えない環境であることがテスト段階でわかったので、iPhone のエバーノートでスライドショーとして写真を写しながら、話を展開することに即決しました。

 まだ時間があったので、塙保己一の生家に案内してもらいました。藁葺きのしっかりした家でした。


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 その裏手に、保己一のお墓があります。
 町の偉人として定着しています。

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 金鑚さんが宮司をしておられる金鑚神社にも行きました。


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 ご神体は、拝殿の奥に聳える御室山です。三輪山と同じく、お山がご神体なのです。古代の神奈備山の祭祀を伝え、『延喜式』の「神名帳」には「金佐奈神社」と記されている官幣中社です。
 ここの拝殿で、神職の方が正式で厳かなご祈祷をしてくださいました。久しぶりに榊を捧げ、お神酒までもいただき、身を浄めていただきました。


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 今日の私の出番は3時からだったので、ゆっくりと会場に入ることができました。

 今日のお話のタイトルは「世界中だれでも読める『群書類従』」です。
 すでに『温故叢誌』という冊子に報告した内容に加えて、現在取り組んでいる目の不自由な方々と一緒に変体仮名を読む取り組みを話しました。
 手話通訳の方が横についていてくださいました。


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 あらかじめ、8頁のレジメと、『群書類従』に収録されている「竹取翁物語」の版本の立体コピー、そして、三つ折りチラシ2種「古写本『源氏物語』の触読研究」と「海外源氏情報」を配布して進めました。


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 お話した内容については、いつか印刷することになるはずです。今ここでは、その小見出しだけを揚げて、内容は省略します。


一、『群書類従』が英国ケンブリッジ大学に収蔵された経緯
二、米国バージニア大学から『群書類従』のDBを公開
三、電子化された『群書類従』の利用環境
四、国文学研究資料館の平成の大事業は『(新)群書類従』
五、『群書類従』の版本(変体仮名)を触読する

 終わってから、保己一記念館に立ち寄りました。閉館時間間際だったにも関わらず、質問を含めて丁寧に説明してくださいました。ありがとうございます。
 入口前広場は『群書類従』にならい、400字詰め原稿用紙をイメージしたデザインだそうです。

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 ここの展示で参考になる点を、記録として残しておきます。

 ガラスケースの前に、説明文を板に刻んだものがありました。平仮名を浮き出させて彫ったものです。文字の角が処理されていないので、指を滑らせるとチクチクします。触読には向いていません。しかし、これは今後の触読テストの参考になります。音声でも説明してもらえます。


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 外には、保己一の大きなった座像がありました。
 ヘレン・ケラーも尊敬する保己一像を感動的に触ったという、塙保己一史料館・温故学会にある首を傾げた姿とは違います。


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 自動販売機のイラストも気に入りました。


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 新幹線の本庄早稲田駅前の広場には、今年の3月12日に建ったばかりの、江戸へ旅立つ保己一の像がありました。

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 江戸に向かって歩み出すところです。
 新しい世界を切り開こうとする強い意志が伝わってきます。

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 今日は、長時間にわたり、送迎やら案内やらと、金鑚さんには本当にお世話になりました。お陰さまで充実した一日となりました。
 金鑚神社の拝殿で厳粛なご祈祷を受けたことが一番印象に残っています。
 また、いつかご一緒できる日を楽しみにしています。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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