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2016年6月 4日 (土)

日本盲教育史研究会第4回ミニ研修会 in 九州

 昨年、北海道の札幌で「日本盲教育史研究会 第3回ミニ研修会」がありました。

「日本盲教育史研究会 第3回ミニ研修会(in札幌)」(2015年05月30日)

 今年は、一気に南下して九州です。

 会場は、博多から電車で小倉に向かって1時間ほどの、黒崎というところにある北九州市立西部障害者福祉会館です。私は、この施設の一角にあるホテルに滞在し、情報収集と打ち合わせ等を続けています。

 今日の研究会は、長崎大学の平田勝政教授による、「日本盲教育史研究の成果と課題」と題する講演から始まりました。この題目は壮大なものです。副題の「1920年代における川本宇之介と希望社運動の検討」が今回の内容でした。
 川本という先人のことや、希望社という存在を知り、いろいろと刺激を受けました。これまでまったく知らなかった世界が、社会運動や政治活動を背景にして炙り出されました。時間が足りなくなり、盲教育と癩病根絶運動との接点までは話が及ばなかったのが残念でした。
 配布された資料は貴重なものが多いので、後で読み通すことを楽しみにします。

 続いて研究報告となりました。
 
1 明治期盲唖学校と支援組織―九州地方を中心に―
 〔長崎県立諫早特別支援学校・菅達也氏〕
 九州における盲学校を支援した組織の実態が、数字を示しながらわかりやすく語られました。
 
2 九州と盲唖教育
 〔日本社会事業大学・木下知威氏〕
 手話による発表なので、通訳の方の説明とスライドで聞きました。明治・大正期の開化を目指す熊本を取りあげたものです。手話通訳を交えた質疑応答の難しさも体験できました。目が見えない、耳が聞こえないという方がいらっしゃる集まりなので、意志の疎通をはかるのは大変です。手話通訳の方々のお力に負うところが多いのです。なお、配布された「九州と盲唖教育・年譜」は、丹念に資料を相互検討した貴重な意義深いものとなっています。
 
3 地方盲学校、聾学校の専門的教員の養成と補充 ―昭和初期から昭和30年代の熊本県―
 〔九州ルーテル学院大学・佐々木順二氏〕
 熊本の盲・聾学校の教職員の教育歴と保有免許状を、丹念に分析したものでした。

4 史料紹介
・「福岡県の盲教育の歴史」〔福岡点字図書館・吉松政春氏〕
 柳河盲学校の校歌は北原白秋と山田耕筰が作ったものです。ウィキペディアには、このペアで50校ほど掲載されているそうです。しかし、柳河盲学校は取り上げていない、とのことでした。

・「九州と京都盲唖院」〔京都府立盲学校・岸博実氏〕
 今後の研究に資するところ大の、貴重な資料15点を提供してくださいました。いずれも、京都府立盲学校が所蔵するものです。歴史を確認し掘り下げる上で、大いに活用されることでしょう。

◆意見交換での主な発言
・障害がある当事者が自分たちの仲間のために、という思いを大切にしたい。
・歴史研究と現状を踏まえた研究をお願いしたい。
・お互いがわかり合える社会にしよう。
・盲教育史は調査研究されていない課題が多い。

 今回の参加者は70名でした。予想外の多さに、運営側のみなさまも嬉しい悲鳴をあげておられました。
 多彩な意見がやりとりされ、充実した研究会でした。
 その後の懇親会では、今回も貴重な情報をいただきました。
 熊本からお出での方から、先般の地震で益城町におられた視覚障害の知人の家が全壊した折の話を伺いました。たまたま目が見える娘さんが来ておられたので、なんとか夜中に避難所までたどり着けたそうです。一般の方々と一緒に体育館での避難生活は大変で、まもなく開設された福祉避難所に移られたそうです。こうした障害をお持ちの方々も、被災されているのです。マスコミは、どの程度こうした情報を収集しているのでしょうか。今後のためにも、実態を掌握しておく必要があるように思いました。
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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