« 【復元】私はマグロだそうです | メイン | 読書雑記(168)山本兼一『いっしん虎徹』 »

2016年6月16日 (木)

歴博本「鈴虫」巻だけにある変体仮名「遅」

 変体仮名を意識して『源氏物語』の古写本を読んでいると、いろいろとおもしろいことに出会います。

 歴博本「鈴虫」に、変体仮名の「遅」が3例出てきます。
 しかもそれは、非常に近接した場所にだけ見られます。


160616_ti



能遅のよ尓 (4ウL9)
(のちのよに)

う遅那可 (5オL1)
(うちなか)

者遅春者越 (5オL2)
(はちすはを)

 カッコ内に示したのは、明治33年に1字に統制された、現今のひらがなを用いて翻字したものです。この統制後のひらがなで翻字をしている限りは、今回のようなおもしろさには気付きません。

 この「遅」は、歴博本「鈴虫」のツレとされるハーバード本「須磨」と「蜻蛉」には、まったく出てこない文字なのです。

 上の画像でもわかるように、折の真ん中に綴じ糸があるので、折の一番内側の見開きの丁にあたる、そのまた真ん中に3例が集まっています。

 今、私には、この書写状態における「遅」の使われ方が意味するところを、うまく説明できません。
 この点について、ご教示をいただけると幸いです。
 
 
 

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

Powered by Six Apart
Member since 07/2008