« 古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の追加と補訂(その4) | メイン | 谷崎全集読過(26)「ハツサン・カンの妖術」 »

2016年6月28日 (火)

古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の再確認(その5)

 今回も、「変体仮名翻字版」を作成する際に翻字作業で使う、付加情報としての記号の説明をまとめておきます。以下にあげたものは、従来の使い方と大きく異なるものではありません。

 これは、阿部江美子さんが作ったマニュアルを元にして、再編集したものです。
 これまでのものは、以下の通り本ブログにアップしています。
 参考までに、もう一度列記します。
 
「古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の追加(その1)」(2015年09月25日)
 
「古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の追加(その2)」(2016年03月19日)
 
「古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の追加(その3)—改丁(改頁)に関する新方針」(2016年05月06日)
 
「古写本『源氏物語』の翻字に関する凡例の追加と補訂(その4)」(2016年06月27日)
 
--------------------------------------
【補入】記号(「+」(「○」「・」等)
例一 おかた/お+ほ・・・本行「おかた」の「お」の次に「ほ」の補入
例二 ほかた/+お・・・文節の第一字目が補入となっている場合
例三 /+おほかた・・・文節全体が補入となっている場合
例四 おかたおかしき/前お+ほ・・・前の「おかた」の「お」の次に「ほ」を補入
   おかたおかしき/後お+ほ・・・後の「おかしき」の「お」の次に「ほ」を補入
   おかたおかたおかしき/前2お+〈朱〉ほ〈朱〉・・・前から二番目の「お」の次に「ほ」を補入(補入記号、書き入れともに朱筆)
例五 くりて/く±た・・・「○(補入記号)」がなくて「た」を補入
例六 行末の右下に書き添えられた補入文字(ハーバード本「蜻蛉」520196)
    本とて/と±二
--------------------------------------
【ミセケチ】記号「$」(「ヒ」「\」等)
例一 おほむかた/む$・・・本行「おほむかた」の「む」がミセケチ
例二 おほむかた/む$ん・・・本行「おほむかた」の「む」がミセケチで「ん」書き入れ(ミセケチ、書き入れともに墨書)
例三 けしき/$・・・「けしき」という文節全体がミセケチ
例四 けしき/$けはひ・・・「けしき」という文節全体がミセケチで「けはひ」と傍記
例五 しはしにも/後し$す・・・後ろの「し」をミセケチして「す」と書き入れ
例六 給へり/給へ$〈朱〉まい〈朱〉・・・ミセケチ記号と傍書が共に朱書き
例七 かほ/ほ$〈朱〉け歟〈墨〉・・・「ほ」を朱書きでミセケチ、「け歟」と墨書で傍記
例八 さしあたりて/あ$〈墨〉シア〈朱〉・・・「あ」を墨でミセケチ、朱書のカタカナで「シア」と傍記
例九 たくひなき/たくひ$〈墨朱〉ひま〈朱〉・・・墨と朱でミセケチ。朱筆で「ひま」と傍記
--------------------------------------
【なぞり】記号「&」
例一 かけを/に&を・・・本行「を」の下に「に」と書かれている
例二 きこえむを/△&を・・・本行「を」の下に何の字か不明だが、その字の上に「を」と書かれている
-------------------------------------
【合点】記号(朱書の場合は/〈朱合点〉)
例一 つなかぬふねの/〈合点〉・・・文節の第一字目「つ」のところが合点「\」がついている場合
例二 そのつなかぬふねの/つ〈合点〉・・・「つ」のところに合点「\」がついている
--------------------------------------
【濁点】記号〈濁〉
例一 いみしう/し〈濁〉・・・「し」に濁点が付されている
例二 きはきは/後き〈濁〉・・・後ろの「き」に濁点が付されている
例三 さま/\//\〈朱濁〉・・・「/\」に朱筆で濁点が付されている
例四 御てうとゝも/て〈濁〉、とゝ〈濁〉・・・「て」「と」「ゝ」に濁点が付されている
--------------------------------------
【その他の注意事項】
※書写状態を付加情報として記述する際、記入方法がわからない箇所には「?」を付ける。
※翻字や書写状態の記述で迷ったら、個人で判断せずに申し送り事項とする。
--------------------------------------
 
 
 

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

Powered by Six Apart
Member since 07/2008