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2016年7月26日 (火)

国冬本「鈴虫」の長文異同(その4-【人】と【見】)

 『源氏物語』の長文異文に関するこの一連の記事では、拙著『源氏物語の異本を読む—「鈴虫」の場合—』で提起した仮説、長文の独自異文が廃棄された後に、二千円札の図様に採択された国宝源氏物語絵巻詞書にある「十五夜の夕暮に〜」が書き継がれたのではないか、ということを再確認しています。

 国冬本「鈴虫」巻には、諸本にはない539文字もの長文の異文があります。その箇所(後掲表中の「長文異同(539字)」)の前後に、どのような文字列が使われているのかを確認することで、外観上からの物理的な切れ続きの一端が確認できないか、と思って見ています。
 もちろん、文字遣いは語られる内容に規制されるので、あくまでも現象の確認にすぎないことを、あらかじめ意識しての検証であることをお断わりしておきます。

 今回は、「人」と「見」という漢字の使われ方を確認します。
 この漢字を平仮名で「ひと」「み」等と表記したものは、今回対照とする範囲内にはありませんでした。


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 この2種類の例からも、「異同後(537字)」がそれまでの文字使いの傾向とは異なることが容易に確認できます。
 特に、長文異同(539字)に「人」が多く使われているのは、そこに登場する人物に関係すると思われます。拙著『源氏物語の異本を読む—「鈴虫」の場合—』で、次のように記したことに関連する事象かもしれません。


 この異文の特徴は、文字数において長いばかりでなく、また話題転換部分である以外に、この異文の中に七人もの人物が登場することです。そこには、女三宮・薫・光源氏・小侍従君・柏木・夕霧・一条御息所の動静が語られるのです。
(中略)
 第二十一巻「少女」や第三十三巻「藤裏葉」において、登場人物の多くが呼び出されていたことに思いを致すからです。(157〜158頁)

 「見」について、今は説明できません。
 「異同後(537字)」で、「人」と同じように「見」も使われていないことについては、ここで検討対象としている部分の内容を解釈していくと明らかになることでしょう。

 この検討はさらに続きます。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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