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2016年7月 6日 (水)

読書雑記(172)【復元】『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

 10年前、大和平群に住んでいた頃に書いた、読書雑記を再現しました。

 先日、本屋大賞の発表を聞いて、過去の受賞作のことを思い出したのです。
 この本のことを書いた記憶がかすかにあったので、パソコンの中や外付けハードディスクを引っかき回しました。
 そして、第3回受賞作である本書に関する拙文の断片を見つけ出し、復元することができました。
 たしか、息子が読み終わったこの本が放置されていたので、私が引き続き読んだものだと思います。
 その後、映画も観ました。ただし、そのことを記したファイルは、まだ見つけ出していません。

(※本記事は、平成19年(2007年)3月に消失したブログの復元です。)

********************** 以下、復元掲載 **********************

2006年6月12日公開分

副題「キーワードは「ぐるぐるぐるぐる」」

 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(リリー・フランキー、2005年、扶桑社)のキーワードは、「ぐるぐるぐるぐる」です。何度も出てくることばなので、読まれた方は納得の一語でしょう。

 この本は大ベストセラーとなった、作者の自伝小説です。

 映画化されることが一昨日(6月9日)発表になりました。主人公のボク役がオダギリジョー、オカン役が樹木希林、オトン役が小林薫だそうです。オトンには、私ならガッツ石松を起用するのですが。武田鉄矢も考えましたが、パワー不足を感じたので変更です。公開は来年GWの予定だそうです。
 また、今年の7月29日から、フジテレビ系でドラマ版が放送されます。ボクを大泉洋が、オカンを田中裕子が、オトンを蟹江敬三が演じます。このオカンは、なかなかいい配役だと思います。ボクについては、私もいまだに誰がいいのか迷っています。

 この作品は、「2006年本屋大賞」を受賞したもので、家族がみごとに描かれています。感情移入しやすい物語展開で、いい仕上がりです。
 冒頭でボクが腸閉塞になるくだりは、息子が同じように腸重積で命拾いをした体験を2度もしているので、他人事とは思えずに読み進めました。
 テンポよく進行するので、深刻な問題も、読んでいて負担になりません。巧いな、と思いながら読み終わりました。

 この物語でなかなか巧い表現だと思ったのは、次の2ヶ所でした。
 (1)「「親子」は足し算だが「家族」は足すだけではなく、引き算もある。」(30頁)

 これは、うまい喩えだと思います。

 (2)「女には言うてやらんといけんぞ。言葉にしてちゃんと言うてやらんと、女はわからんのやから。好いとるにしても、つまらんにしても。お父さんもずっと思いよったけど、おまえもそうやろう。1+1が2なんちゅうことを、なんでわざわざ口にせんといかんのか、わかりきっとるやろうと思いよった。そやけど、女はわからんのや。ちゃんと口で2になっとるぞっちゅうことを言うてやらんといけんのやな。お父さんは、お母さんにも最後までそれができんかった……。取り返しがつかんことたい。やけど、まだおまえは若いんやから、これからは言うてやれよ……」(437頁)

 これは、ウーンと唸って、しばらくしてから文字を再度確認しながら読み直しました。含蓄のあることばだと思います。

********************** 以上、復元掲載 ********************** 
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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