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2016年7月14日 (木)

「点字付き百人一首」とお香のワークショップのご案内

 開催直前の案内となりました。
 以下の通り、「点字付百人一首 ~百星の会」が主催する「香りのワークショップ&かるた会」が開催されます。

 会員ではない方で参加を希望される場合は、「点字付き百人一首 〜百星の会」の事務局を運営なさっている関場理華さん(r-sekiba@tenpitsu.com)に連絡をとってください。

 また、目が不自由な方やお知り合いの方でこのことに興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、こんなイベントがあることをお知らせいただけると幸いです。
 貴重な体験の場を共有できると思います。

 なお、あらかじめ連絡がとれないままにお越しいただいた場合には、会場にいる私にお声掛けいただければ、人数によってはご覧いただけることも可能かと思います。
 


日時:7月16日(土)午後1時より
場所:新宿区社会福祉協議会 交流コーナー
ワークショップ:「香り名人の百人一首の歌人・藤原公任の香りを再現する」
講師:田中圭子(広島女学院大学総合研究所・客員研究員)
内容:以下に引用する文章を参照願います。
   読みにくい固有名詞などには、読みがなが付いています。
   パソコンの読み上げ機能でお聞きいただけます。

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「点字付き(てんじつき)百人一首 〜百星の会(ひゃくぼしのかい)」でのイベントにおける薫物(たきもの)のワークショップについて


 
    田中(たなか) 圭子(けいこ)
   (広島女学院大学総合研究所・客員研究員)
 
■ 概 要 ■

 平安中期に活躍した公卿(くぎょう)・藤原公任(ふじわらのきんとう)は、清慎公(せいしんこう)実頼(さねより)二男廉義公(れんぎこう)関白太政大臣頼忠(よりただ)と中務卿代明親王(よあきらしんのう)女(じょ)厳子(げんし)女王の一男として誕生。
 同母姉妹に円融院太皇太后四条宮遵子(しじょうのみやじゅんし)と花山院女御諟子(しし)があります。名家の嫡子として将来を嘱望されながら、人臣の位を極めることは叶いませんでしたが、学問芸道の分野において幅広く活躍して優れた成果を残し、高く評価され続けています。

 公任集(きんとうしゅう)の和歌や詞書によれば、公任父(きんとうちち)頼忠(よりただ)は薫物(たきもの)梅花(ばいか)を調合しており、知友との私的な交わりの中で珍重されたようです。公任(きんとう)自身も薫物(たきもの)を調合し、それにちなんだ和歌とともに贈答に及んだとされるほか、姉妹とともに調合や賞翫を楽しんだり、姉妹に献上したりすることもあったとされます。
 事実であるとすれば、頼忠家(よりただけ)では、薫物(たきもの)に関する父の嗜好と手法が子息子女にも受け継がれ、趣味として共有された可能性が伺えます。

 公任(きんとう)ゆかりと伝わる薫物(たきもの)の伝承は、平安後期以降の類纂と伝わる薫集類抄(くんしゅうるいしょう)を始めとして、鎌倉時代の初期から後期にかけて増補加筆の行われたとされる源氏物語古注釈書原中最秘抄(げんちゅうさいひしょう)、南北朝期の年号による跋文をとどめて鷹司家や壬生家に伝来した薫物(たきもの)秘伝書の薫物方(たきもののほう)に散見します。
 また、近年の調査において、京都大学附属図書館菊亭(きくてい)文庫の薫物(たきもの)秘伝書の薫物秘蔵抄(たきものひぞうしょう)一巻に、後徳大寺左府書(のちのとくだいじさふしょ)逸文として公任(きんとう)卿方こと公任(きんとう)ゆかりの薫物(たきもの)の処方七点の載録されることも確認しています。

 後徳大寺左府書(のちのとくだいじさふしょ)逸文の内、一部の薫物(たきもの)方は薫集類抄(くんしゅうるいしょう)載録の公任(きんとう)方と同じ種類であり、処方の内容もおおむね一致します。後徳大寺左府(のちのとくだいじさふしょ)こと藤原実定の所持した文書であったとすれば、既存の資料に確認できる公任(きんとう)方の中で最も古いと目される薫集類抄(くんしゅうるいしょう)載録方と、同時代に読まれていた可能性があります。

 今回は、新出資料である後徳大寺左府書(のちのとくだいじさふしょ)逸文に公任(きんとう)ゆかりの品として伝わる6種類・7点の薫物方(たきもののほう)の内、公任(きんとう)と小野宮家(おののみやけ)の薫物(たきもの)の真髄をくみ取るにはふさわしい種類と考えられます黒方(くろぼう)及び梅花(ばいか)の2種類・2点の薫物方(たきもののほう)を、この分野の専門家であられる鳩居堂製造株式会社社長(きゅうきょどうせいぞうかぶしきかいしゃしゃちょう)熊谷直久(くまがいなおひさ)氏と同社の皆さまのお力により調合、復元してお持ちしました。

 また、この逸文の冒頭脚欄の余白において記載されている、室町時代以降に隆盛した新作薫物(しんさくたきもの)の一種であります紅梅(こうばい)の処方も復元いただきました。

 会場では、粉末にした香料を和合した中に蜜を混ぜて練り合わせ、少量を手にとって丸がして(まろがして)いただいた後に、香炉に入れてたき匂わせる(たきにおわせる)予定です。

 公任(きんとう)が自ら工夫した可能性のある薫物(たきもの)と、後世の人々が公任(きんとう)という稀代の才人に寄せて継承、賞玩したかもしれない新作薫物(しんさくたきもの)それぞれの香りや手ざわりをご鑑賞いただきながら、公任(きんとう)その人の歌と心に思いをはせるひと時を共有できましたら、何よりありがたく存じております。

■薫物のレシピ■

 ワークショップで使用する薫物(たきもの)の処方(レシピ)をグラムに換算してご紹介します。
 
1 黒方(くろぼう)
薫陸(くんろく) 3.1
麝香(じゃこう) 6.2
白檀(びゃくだん) 3.1
甲香(かいこう) 12.5
丁子(ちょうじ) 25
沈香(じんこう) 50
 
2 梅花(ばいか)
沈香(じんこう) 53.1
甲香(かいこう) 18.7
甘松(かんしょう) 1.0
白檀(びゃくだん) 4.35
丁子(ちょうじ) 21.6
薫陸(くんろく) 1.5
 
3 紅梅
沈香(じんこう) 37.5
丁子(ちょうじ) 15.6
白檀(びゃくだん) 19.7
甘松(かんしょう) 7.2
霍香 3.1
甲香(かいこう) 12.5
龍脳(りゅうのう) 0.5
麝香(じゃこう) 9.3


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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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