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2016年9月 5日 (月)

読書雑記(180)『日南町ゆかりの文豪 井上靖』

 『日南町ゆかりの文豪 井上靖』(企画・編集:日南町教育委員会、24頁、平成28年3月10日)という冊子を入手しました。


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 岡山県との県境にある鳥取県の日南町には、井上靖と松本清張、そして池田亀鑑という、三人もの文学に縁のある人が顕彰されています。
 今回入手したのは、そのうちの井上靖に関するものです。

 これは、昨秋日南町美術館で開催された「企画展 日南町ゆかりの文学者たち Part2 井上靖」を受けて、町内で作成された冊子のようです。


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 写真を多用した親しみと温もりが溢れる編集と、総ルビ付きで子供たちにも優しい説明文で語りかける、日本で一番わかりやすい井上靖の入門書となっています。

 構成は、次の通りです。


はじめに
資料からわかる日南町と井上靖
まんが(注:日南町に疎開した井上一家)
井上靖の誕生井上靖の青年時代
作家・井上靖の誕生
新聞社時代の井上靖
  ~時代は戦争にむかって~
家族の疎開
  ~日南町福栄へ~
『闘牛』で芥川賞受賞
戦後の井上靖
日南町と井上靖
  ~思いを受けついでいくために~

 いい仕上がりです。
 ただし、日南町に関する記事が少ないのが残念でした。

 日南町に関することは、マンガで4頁、2つの記事で4頁なので、全体の3分の1となります。
 日南町と井上靖のことを知ってもらうためには、井上靖の若い頃のことはもっと端折っていいと思いました。井上靖の家族が日南町に疎開して来たこと(2頁分)は、マンガと重複しています。私がほしいと思うことは、その後に、日野郡福栄村が舞台となる小説『通夜の客』が書かれたことと、それに加えて、その作品を映画化した『わが愛』(1960年、松竹)に関しても、もっと全国の方々に知ってもらうといいと思います。小説に出てくる実際の家の前には、屋号を記した看板が出されています。この風景は、まさに小説『通夜の客』と日南町との接点です。このことを、次の改訂の際には盛り込んでいただけるようにお願いしたいと思います。こうした内容で、4頁はとってほしいと思いました。

 この冊子から伝わってくる基本的な姿勢は、自分の町を遠慮がちに紹介しているところです。全国の読者への配慮や、井上靖との接点への意識が強過ぎるように思います。心優しい町民のみなさまらしくて、これはこれでいいのかもしれません。しかし、完成度の高い冊子なので、さらに自己主張をした方が、読者への印象は強くていいと思います。
 つい駄弁を弄してしまいました。妄言多謝

 この冊子は、市販されているものではありません。
 手にしたい方は、「日南町教育委員会」に連絡をとってみたらいいと思います。
 たくさん制作されたものではなさそうなので、幸運を祈ります。

 なお、今月9月23日から10月16日まで、日南町美術館で「企画展 日南町ゆかりの文学者たち Part3 池田亀鑑」が始まります。池田亀鑑に関する冊子も発行されるようです。楽しみにしましょう。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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