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2016年9月 2日 (金)

日比谷図書文化館で歴博本『鈴虫』を読む

 池田研二先生のお宅で、池田亀鑑に関する遺品や資料を確認したその足で、地下鉄を乗り継いで霞が関に出て、日比谷公園に駆け込みました。日比谷公会堂周辺では、相変わらず「ポケモン GO」を楽しむ多くの人で賑わっていました。
 日比谷図書文化館で古写本を翻字する講座は、今回が第7期10回目となり最終回です。

 いつものように、最初はさまざまな情報をお伝えしました。

 千代田図書館の「古書販売目録」のパンフレットを配布し、独力で調査をしている話をしたところ、お二人が参加してみたい、との意志を示してくださいました。また、その後、もうお一方も参加希望の連絡をして来られたので、今のところ3人が参加ということになっています。

 この調査体験は、9月13日(火)に実施します。
 興味と関心をお持ちの方は、あらかじめ本ブログのコメント欄か私宛のメールで参加の意思を連絡していただき、午後1時に1階ロビーにあるパン屋さんの近くにお越しください。
 膨大な古書販売目録から、『源氏物語』の写本や版本に関する情報を抜き出しています。
 得難い体験ができるかと思います。

 さて、歴博本「鈴虫」は、ハイペースで翻字の確認をしました。これまでで最高最速の9頁分も進みました。どうにか、歴博本「鈴虫」の全丁を変体仮名に忠実に翻字と確認をすることができました。そして、翻字の誤りは1文字もなかったので安堵しています。

 古写本に書かれている文字を読む上で、注意しておくべき事例を記録として残しておきます。

 まず、歴博本「鈴虫」の17丁表の後半下部に見られる「おほ(す)」の仮名文字の書かれ方です。


160902_jibooho1


 右端を翻字すると「おほ春」、真ん中は「おほえ」、左端は「おほされ」です。
 この「おほ」に当たる仮名は、現行の平仮名「おほ(於保)」です。とは言うものの、この字形に慣れないと、すぐには「おほ」と読めません。パターンとして覚えておくしかありません。

 私がまだ学生だった頃、この「おほ」という文字の形に慣れていなかったこともあり、「覚」と翻字していました。まもなく、これが漢字ではなくて平仮名としてしか読めない字形であることがわかりました。

 この歴博本「鈴虫」の墨付き最終丁である18丁裏の冒頭にも「おほし」があります。


160902_jibooho2


 右側は「おほし」です。ただし、前出の3例とは「お」に該当する文字の字形が大きく異なります。
 左側が「お本し」です。これは、「本」という変体仮名を含むものの、すなおに翻字できる文字列となっています。

 古写本を読む時には、理屈なしに字形をパターン化して覚えておくべき場合があります。この「おほす」の「おほ」は、まさに反射的に「おほ」と読めるようになっていると、効率的にすばやく文字列を読み取ることができる例だといえるでしょう。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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