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2016年12月23日 (金)

『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』のオンライン版を公開

 一昨年(平成26年3月)にオンライン版オープンデータとして公開した『日本古典文学翻訳事典〈1・英語改訂編〉』に続き、第2弾となる『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』が完成したので公開しました。
 自由にダウンロードしてご覧いただき、ご意見などを頂戴できれば幸いです。

 今すぐにダウンロードなさりたい方は、以下のリンク先からお願いします。

『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』のダウンロード

 これでうまくデータの入手が出来ない方は、科研(A)のホームページである「海外源氏情報」に接続した後、次の画面からダウンロードしてみてください。


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 なお、印刷した書籍版は、後日、公共図書館などに寄贈する予定です。
 印刷本については、3月になりますので、ご了解をお願いします。

 本事典の制作経緯や意義などについては、次の巻頭に置いた「はじめに」と巻末の「おわりに」に記しましたので、ご覧ください。

 第3弾は、懸案の『源氏物語【翻訳】事典』です。これは、来秋には出版社から刊行したいと思っています。
 いましばらくの猶予をお願いします。


「はじめに」


 —試行版としての事典であること—

 本書は、『日本古典文学翻訳事典〈1・英語改訂編〉』(平成26年3月)を受けて、平安時代の文学作品に限定して世界各国語に翻訳された書籍情報を事典としてまとめたものです。前著に続き、あくまでも暫定的なものであり、試行版として編集した中間報告であることを、まずはお断りしておきます。

 この翻訳事典は前著同様に、2006年4月23日にお亡くなりになった、国文学研究資料館名誉教授福田秀一先生から託されていたメモを最大限に活用しました。
 ただし、多言語にわたる書籍を対象とする関係で、各項目のまとめ方も含めて、まだまだ不備の多いものであることは承知しています。また、最新情報にまでは、十分に手が及んでいないことも承知しています。そのことを知りつつも、類書がないこともあり、ここで私の手元にある情報をとりあえず一まとめにしておくことにしました。これを次の世代に引き渡して補訂してもらい、さらに追加していくことで、よりよい事典に育てていく始発点にしたいと思っています。

 本書作成にあたっては、実に多くの方々が原稿作成のお手伝いをしてくださいました。基本的な情報が整理されていないのであれば、とにかくたたき台でも提示して、それに手を加えながら形を成していく方針で臨みました。項目の執筆者は、必ずしも各言語や各作品の専門家ではありません。しかし、何もない平地に道をつけることを一大方針として取り組んだものということで、至らないところはご寛恕のほどを、お願いいたします。ご批判は、そのまま改訂版に活かします。

 そのような経緯もあり、日本古典文学に関する翻訳事典としては、各項目の立項はもとより、内容もいまだ未整理の状態にあります。今回、その見出し項目と表記上の体裁及び、内容に関する記述の統一を試みました。それでも、いろいろな機会に、多くの方々に執筆していただいた原稿の集積であることから、不統一の感は免れません。各所に編者の判断で多くの手を入れました。あくまでも暫定的な処置に留まるものです。

 そのことを承知で、この時点で公開することにしたのは、これを叩き台とし、より良い情報の提供とご教示を受ける中で、さらに充実した事典に育てたいとの思いからです。まさに本冊子は、試行錯誤の中でまとめた暫定版として利用に供する事典です。

 また、盛り込まれた情報は、編者伊藤が運用する科研のホームページ「海外源氏情報」にも公開しています。
http://genjiito.org
 このホームページを通して、情報の更新を行います。折々に最新情報を確認していただき、翻訳情報を活用していただければ幸いです。

 今回も、この科研を支えているプロジェクト研究員の淺川槙子、技術補佐員の加々良恵子の頼もしい2人が奮闘して、膨大な情報を整理して組み立ててくれました。ただし、『源氏物語』については単独で1冊にするため、本書には収録していません。

 みなさまからの情報提供により、各項目の精度を高めたいと思います。
 今後とも、ご理解とご協力を、よろしくお願いいたします。

2016年12月
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)
「海外における源氏物語を中心とした平安文学
及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」
研究代表者
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
国立大学法人 総合研究大学院大学
国文学研究資料館 伊藤鉄也
 
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「おわりに」

 現在、翻訳史年表には約580件の書籍データが登録されています。本来ならば全てのデータを事典としてまとめることが理想です。しかし解題を作成するためには、現物を確認できる書籍でなくてはならず、全てのデータを事典に掲載することはできませんでした。日本国内の図書館・研究機関で見ることができない書籍が、数多く存在することを実感しました。なお、解題を作成することができなかった書籍データは、解題の後ろに「平安文学翻訳史年表」の抜粋として掲載しました。〈英語改訂編〉の反省をふまえて、より多くのデータを収集したものの遺漏も多々あると思います。前回に続き、この事典も日本文学研究の一助となることを願ってやみません。

 最後に解題作成を含め、本科研をあたたかく見守ってくださったみなさまに篤くお礼申し上げます。

(淺川槙子)
 
 
 以前発行した『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』では英語のみでした。前回と異なり、今回は多くの言語で翻訳された古典文学を収録しています。『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』では、特定の古典文学が何度も翻訳・出版されていたり、日記文学が好まれる傾向があるなど、国によって『源氏物語』以外の作品への嗜好が伺えるように思います。また、解題を読んでいると、さまざまな立場の方がそれぞれの目的に合わせて創意工夫をしているさまも伝わり、「翻訳の歴史」の側面が垣間見えてきます。

 残念ながら、今回は解題を掲載できなかった多くの書籍があります。これらの作品名や国名は、翻訳史年表で確認できます。時系列に並んだ出版の記録を眺めているだけでも、そこに関わった多くの人たちの努力を感じます。ただ、どうしてもヨーロッパ諸国など先進国に偏っており、アフリカ大陸の言語などでの発行はまだ見つかっていないようです。これから、このリストに、より多くの国名が追加されることを願ってやみません。

(加々良恵子)
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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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