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2016年12月21日 (水)

総研大・日本文学研究専攻の最終講義を終えて

 最終講義と言われても、実感のないままに日頃から思っていることを資料を使って1時間お話しました。


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 あらかじめ用意していた講義用のレジメの冒頭には、次のように記しました。


 私が約三五年間にわたって研究してきたことを振り返り、問題意識を確認し、最近の研究課題としていることや今後の展開について述べたい。
 さらには、研究の基本としている『源氏物語』の本文の諸相に関連して、現在取り組んでいる国文学研究資料館蔵 橋本本『源氏物語』を取り上げ、今後の見通しを提示できれば、と思っている。
 池田亀鑑は『源氏物語』の本文に関して、その形態上の特徴から〈青表紙本・河内本・別本〉の三種類に分類した(『校異源氏物語』昭和一七年)。その物指しが、約八〇年経った今も通行している。朝日古典全書(昭和二一年)が『校異源氏物語』の底本となった大島本をもとにして成ったことは、今も流布本に受けつがれている。
 このことへの疑問を三〇年以上も抱き続け、『源氏物語別本集成 全一五巻』と『源氏物語別本集成 続 全一五巻』(七巻で中断)を経て、今ようやく新しく池田本で読むためのテキストを試作版として提供できるようになった。
 スローガンとしてきた「江戸期の源氏から鎌倉期の源氏へ」が、現実にスタートしたところである。本日配布した『池田本『源氏物語』「桐壺」校訂本文』が、まさにできたばかりの具体的な成果である。

 私の中では、今日は『源氏物語』の本文の研究史において、記念すべき日となりました。大島本に代わる校訂本文として、池田本の姿を初めて見てもらうことができたからです。
 まだまだ試作版であり、私家版であり、実験材料です。『源氏物語』を読むための、ささやかな資料の1つにしかすぎません。しかし、試案としての物語本文が、実際に検討材料として、見て確認してもらえるテキストとして手に取ってもらえたのです。

 今日が今後の始発点となったことは、私にとっても得難い機会に身を置くこととなりました。

 今日の会場は、『源氏物語』を専門とする研究者ばかりの場ではありません。しかし、文学の研究に身を置く研究者の方々にその意義をお話しできたことは、『源氏物語』が置かれている物語本文の現状を理解していただく、貴重な時間を共有できたことでもあり、ありがたいことでした。

 これまで自分が取り組んできた研究をあらためて振り返る機会となり、私にとって一区切りとなる意義深い日となりました。

 ご清聴いただいたみなさま、ありがとうございました。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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