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2017年1月15日 (日)

葛原勾当のひらがな日記について

 本郷三丁目であった、日本のローマ字社(代表 木村一郎)のイベントに参加してきました。
 ホームページには、次の案内文があります。


新年の集い 2017

とき: 2017ネン 1ガツ 15ニチ, 14:00〜
ところ: NRS ジムショ
おはなし: 幕末を生き抜いた盲目の琴師
       葛原勾当のひらがな日記を読む
はなして: くずはら・まこと (葛原 眞)さん
きどせん: 500エン(NRS カイイン わ ただ)

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Sinnen no Tudoi 2017

toki: 2017 nen 1 gatu 15 niti, 14:00-
tokoro: NRS zimusyo
ohanasi: Bakumatu o ikinuita mômoku no kotosi
     Kuzuhara-Kôtô no hiragana nikki o yomu
hanasite: Kuzuhara-Makoto (葛原 眞) san
kidosen: 500 En(NRS kaiin wa tada)

170115_tirashi


 かねてより、葛原勾当について興味を持っていたので、聞きに行ってきました。

 江戸時代から明治時代にかけて、盲人ながらも現代のタイプライターとでも言うべき、木活字を駆使して40年間も日記を書き(スタンプ印刷し)続けた人です。
 『葛原勾当日記』(小倉豊文、緑地社、1980)や『日本語発掘図鑑』(紀田純一郎、ジャストシステム、1995)で、この日記のおおよそのことは知っていました。


170115_katujibako


(『日本語発掘図鑑』13頁)

 「遊び棒」と呼ばれる印字位置を示す一本の黒っぽい棒が、今のパソコンで言うとスペースやカーソルに当たるものです。

 しかし、実際に葛原勾当の直系の縁者である方からお話を聞くことで、具体的に盲人と文字というものについて再度考えるきっかけをいただくことができました。

 現在、私が科研で取り組んでいる「古写本『源氏物語』の触読研究」の連携研究者として一緒に勉強している中野眞樹さんが、昨春ここで研究報告をしていたことを知りました。そのことをまったく知らずに来たのですから、これも縁なのでしょう。中野さんは、今日はセンター試験の監督があるとのことでお休みだとのことでした。

 葛原勾当の木活字による携帯用の印字道具は、東大の史料編纂所がレプリカを作っていました。それを使って、葛原眞氏が実際に文字の印刷をテストする実験映像を拝見しました。これを見ると、この木活字を使った印刷の過程がよくわかります。ぜひとも公開していただけるようにお願いしました。いずれ、実現すると思います。

 葛原勾当について、すこしおさらいをしておきます。
 3歳頃に天然痘で両目を失明。14歳で座頭。その後、検校にはならなかったのは、当道座の階位を得るのには多額の金銭が求められたからだそうです。
 16歳で備忘録としての代筆日記をつけさせます。
 22歳の時に勾当になったことで上京。1ヶ月京都に滞在。この時に木活字を入手したようです。
 25歳で結婚。26歳から木活字を使って自ら印字して日記を付け始めます。
 明治15年に71歳で亡くなります。

 勾当日記に出てくる文字は、次のものが基本です。


170115_kana1


 これを通覧して気付くのは、明治33年に制定された現行ひらがなの字体がほとんどであることです。
 4行目の「於」の字形に留意したいことと、5行目の「江」、7行目の「志」が変体仮名となっていることが特徴です。ここには、「え」がありません。今の「お」に近い字体が別にあるので、こうしたことにも注意しておくべきでしょう。

 葛原勾当が木活字を用いて残した日記は、次のようなものです。


170115_kana2


 活字は何度か作り直していたようです。濁音の判子は別に作っていました。
 上の写真の3行目で「十四日よる」とある「よ」は、その下に不明の文字が一文字捺されていることがわかります。「日(ひ)」とあれば、次の行の「日る」と並んでいいのですが、どう見ても「日」ではないので思案中です。
 こうした印字の間違いは、その行を終える前であれば、すぐに直していることがわかります。その後の間違いは、もう直しようがなかったようで、いくつもそうした例が見られます。

 この勾当日記には、112箇所の間違いがあり、前後左右の間違いは92箇所あるそうです。文字を進める時や、行が移る時にケアレスミスがあるようです。

 この葛原勾当日記については、またわかりしだいに報告します。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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