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2017年1月23日 (月)

ひらがな「て」の字母とされている「天」と「弖」の区別について

 一昨日の清泉女子大学で開催された「表記研究会」で、3人の発表の後のシンポジウムでは、今野真二先生が司会進行役となり「仮名の成立」というテーマで全体討論がなされました。

 その質疑応答の最後の方で、私は発表で提示されたプリントに引かれた文字資料について、その翻字に関する質問をしました。それは、「て」の表記について、その字母を「天」とするか「弖」とするか、ということです。

 まず、乾善彦氏に、「正倉院仮名文書二通にみえる字母」にあげられた「天・弖」について、その字母の識別についてお尋ねしました。万葉仮名で表記されているので、この識別は問題はないとのことです。
 続いて、長谷川千秋氏の発表資料にある影印文字の「天・弖」について、全7例の字母の確認をしました。
 乾氏から、第一画の線の長短によって見分けられる、とのご教示を得ました。つまり、第一画が長ければ「天」であり、短ければ「弖」だということです。

 その基準によれば、長谷川氏の資料にあった次の文字は、それぞれ次のようにその字母を認定できる、ということを確認することができました。

 まず、「天」となるもの。


「讃岐国司解端書 藤原有年申文」
(漢字の「天」をつかった【比天(ひて)】)

170121_te2



「虚空蔵菩薩念誦次第紙背仮名消息 かな消息(第Ⅲ種)」
【之天无(してん)】

170121_te6


 次に、「弖」となるもの。


「多賀城跡出土仮名漆紙文書」
(「弖」の左に人偏の「イ」の付いたものだとのこと)

170121_te1


「東寺檜扇墨書」
【太弖(たて)】

170121_te3


「伊州某書状写(唐招提寺施入田劵文写、第15紙」
【太弖(たて)】

170121_te4


「因幡国司解案紙背仮名消息」
【美弖(みて)】

170121_te5


「小野道風書状」
【以弖(いて)】)

170121_te7


 これまで私は、「弖」の認定基準をもっていなかったので、ほとんどを「天」としてきました。
 しかし、今回ご教示いただいた認定基準は、これまで見てきた『源氏物語』の古写本にはあてはまらない例が多いようにも思われます。
 この件は、後で詳細に確認し、報告したいと思います。
 しばらく時間をください。
 
 
 

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NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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