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2015年11月10日 (火)

理科系の先生方に古写本の触読研究の現状についてお話する

 愛知県岡崎市にある東岡崎駅前は、曇天ということもあり木々の発色はこれからという感じです。


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 総合研究大学院大学の研究プロジェクト第10回企画会議に参加しました。
 学融合推進センターでは、異分野連繋型の課題の創出を目指して取り組み中です。

 今回の会場は、東岡崎駅からすぐのところにある、自然科学研究機構 分子科学研究所でした。


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 以下に、プログラムをあげます。


・開催挨拶
  総合研究大学院大学 学長 岡田泰伸
・参加者による自己紹介
・「電子スピン共鳴(ESR)で何が分かるのか? -物理,化学,材料,生体,医療,食品,年代計測...-」
   機能分子科学専攻 准教授 中村敏和
・「炭水化物食と脂肪食の選択行動に関わるニューロンの発見とその制御機 構に関する研究」
   生理科学専攻 教授 箕越靖彦
・分子科学研究所内 見学
   機能分子科学専攻 准教授 繁政 英治
・「視覚障害者が鎌倉時代の写本『源氏物語』を指で読む」
   日本文学研究専攻 教授 伊藤鉄也
・「総合教育科目『大統合自然史(仮称)』の紹介」
   学融合推進センター 特任教授 鎌田進
・「研究ノートプロジェクトの現状と今後について」
   遺伝学専攻 准教授 木村暁/学融合推進センター 助教 小松睦美
・総合討論 ・意見交換会

 まさに、異分野の先生方の中に自分が置かれていることを実感します。
 しかし、先生方の話の内容は、非常に興味深いものでした。

 1人目の中野先生の話の中では、秋刀魚に大根、唐揚にレモンを添える合理的な根拠が説明されたことが、強く印象に残っています。
 2人目の箕越先生は、炭水化物の摂取に視床下部にある室傍核の影響があることを、実験成果から示されました。糖質制限食を意識している私にとって、これは参考になる貴重な情報です。
 その後の意見交換会でも、先生にはケトン体を始めとして多くのことをお尋ねし、教えていただきました。

 休憩時間に、分子科学研究所のシンクトロン光源加速器等を実際に見学することができました。


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 写真右下の数値は、放射線量です。
 詳しい説明をしてくださいました。しかし、理解を超える内容で、申し訳ないことです。
 それでも、すごい施設であることは、見ただけでわかります。
 放熱のためにアルミフォイルが使われていました。高熱が発生しているようです。
 実験結果から研究が1歩1歩進んでいく理科系の研究手法を目の当たりにして、いい勉強になりました。

 3番目の私の話は、数時間前に名古屋工業大学で実現したタッチパネルを使った触読の動画を見ていただくことから始めました。届いたばかりの映像なので、私もこの時に初めてその完成作を見ることになりました。

 普段私は、パワーポイントは決して使いません。配布したプリントをもとにして、聞いてくださるみなさまの反応を見ながら語る、という手法をとっています。

 しかし、今日は特別です。文字を触ると音声で説明がなされるシステムが、まさに数時間前にできたばかりだからです。その興奮を伝えたい、という思いで、いつもの展開とは違う流れにしました。
 ただし、なかなかパソコンの画面がスクリーンに影写されず、開始早々より間延びのした段取りとなりました。急遽、話題を変更したためとはいえ、みなさまには大変ご迷惑をおかけしました。
 また、プロジェクターへの影写にあたっては、学融合推進センターの准教授の七田麻美子さんが奮闘してくれました。その尽力に感謝します。

 機器を使用しての講演には、こうしたトラブルがままあります。この無為な時間が生まれることを避ける意味からも、私はパワーポイントで映写しないのです。
 今日は、どうしてもタッチパネルの動画を見ていただきたくて、最初にみなさまには我慢をしていただかざるを得ないこととなりました。本当に申し訳ないことです。

 この時に影写したのは、4分ほどに編集された、出来立てほやほやのYouTubeによる動画像です。前半がデータ登録の様子、後半が学習の様子となっています。
 実際に音声を聴きながら触読している様子は、スタートしてから3分10秒経ったあたりからです。

「音声触図学習システムで源氏物語のデータを作成している様子と学習している様子」
 
 なお、このスタートに手間取ったこともあり、私の持ち時間をややオーバーしてしまいました。
 これも、あらためて参会の諸先生方にお詫びいたします。

 4人目の鎌田先生のお話は、総合研究大学院大学における教育に関するものでした。まさに、異分野連携の実践といえるプランです。

 「研究ノートプロジェクトの現状と今後について」の議論は、おもしろく展開しました。

 最後の、記録の公開については、理系のみなさんは実験記録ノートに記入しておられることを知りました。
 私は、エバーノートに書きためているので、その違いに驚きました。そんなことを漏らすと、みなさんから逆に、文系の研究におけるノートについて聞かれてしまいました。
 日常的な研究生活の基本となる部分に関する話題なので、この話は留まることを知らずに展開します。あの小保方さんの研究ノートのことなども、例にあげられたりと、本当に楽しいディスカッションでした。

 最後に、今回の講演を聞いての質問などがやりとりされました。
 私がお話ししたことに関しては、以下のことを尋ねられました。


・人との出会いについて。
  これは、「偶然」による連続である、とお答えしました。
  また、ブログによって人とのつながりと情報が寄せられてくることも。

・研究と資金について。
  科研費の運用によるもので精いっぱいであることをお答えしました。
  その他の資金調達や今後の収益とは、まったく無縁の研究であることも。
  ここも、理系とは発想が違います。

・立体コピーに用いたカプセルペーパーの仕組みについて。
  私の知る限りでの、製造業者と研究開発担当者から聞いている話をお伝えしました。
  「大阪府八尾市にある会社へ立体コピーの調査に行く」(2015年05月14日)

・これまで立体コピーの取り組みはなかったのか、という点について。
  江戸時代以降、木に文字を彫ったり、紙をプレスしたものはありました。
  現在は、それからの資料が、京都府立盲学校に大切に保存されています。
  「京都府立盲学校の資料室(その1)」(2014年08月04日)
  「京都府立盲学校の資料室(その2)」(2014年08月05日)
  しかし、今回のように、簡便な手法で作成した触読資材はなかったことも、ご説明しました。

 今回の参加は、意義深い、収穫の多い、また多くの先生方に古写本の触読研究の実際を知っていただくいい機会となりました。
 それが、特に理科系の研究者として第一線でご活躍の先生方だったので、その後の意見交換会でも壮大なスケールの話へと飛躍しながら、大いに盛り上がりました。
 みなさま、貴重なご教示やおもしろい逸話を語っていただき、本当にありがとうございました。
 
 
 

2015年10月28日 (水)

京洛逍遥(379)苗字と屋号の仮名文字が変体仮名に見える

 京都三条通りにあるイノダコーヒー三条店の西隣り、本店の北に、こんな暖簾と看板を掲げる店があります。


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 暖簾を見かけて、店名と思われる「WI DO SU-YA」と読む店名らしき名称に目が留まりました。
 何のお店だろうか、と。

 その上に掲げられている板額の文字を見ると、その大きさが異なることから、「ゐど」と「寿屋」の2つに分かれることがわかりました。

 入口の左に掲示されている店名表示に「株式会社 居戸」とありました。
 「ゐど」が会社名であることに思い至りました。
 
 それでも何かすっきりしないので、中に入って話をうかがいました。
 社長さんが対応してくださり、すべて解明しました。

 会社名の「居戸」は、社長さんの代々の苗字だそうです。
 ここは、その「居戸」さんが経営なさる「寿屋」という会社なのです。

「ゐど 寿屋」のホームページ

 さらにうかがうと、今の人は「居」が読めないこともあり、父の代にひらがなで「ゐど」にしたそうです。
 それを聞いて、過日「国際文字コード規格」に提案された「学術情報交換用変体仮名セット」の中に、「ゐ」のグループには「井」と「遺」の2つしかないことを思い出しました。
 また、「い」のグループには、「以」「伊」「意」「移」の4つが変体仮名として提案されています。
 つまり、「居」はこれまでにも、これからも、変体仮名としては扱われていないのです。

 「戸」については、提案された変体仮名セットの中では、「土」「度」「東」「登」「砥」「等」の6種類があり、「戸」は今回の提案には入っていません。

 崩し字辞典の中には、「と」の字母として「戸」を採用しているものがあります(近藤出版社など)。

 いずれにしても、この「ゐ」と「ど」は、ひらがなではなくて読み仮名に由来するものなのです。

 私が最初に気になった「寿」と「屋」は、共に変体仮名としての「す」や「や」ではなくて、漢字として用いられた「寿」と「屋」でした。

 このところ、変体仮名についての問題を考えることが多いので、街中で仮名文字に出会うと、その読み方と来歴が気になるようになりました。

 飲食店街を歩くと、至る所に変体仮名が氾濫しているので、仮名文字を追うのに忙しくて、飲んでもいないのに右往左往の千鳥足状態です。
 場末の繁華街でも、まじめに調査研究をしています。
 もし見かけても、声をかけないで通り過ぎてください。
 
 
 

2015年10月26日 (月)

『源氏物語』の触読を志願する青年教員と出会う

 今日は、洛中洛外を東から西へ、北から南へと、バスと徒歩で大移動をする1日となりました。

 自宅からバスで熊野神社前の京大病院、烏丸御池の歯科医院、河原町御池の京都市役所、河原町四条の金融機関等で諸雑務を片付け、その足でまたバスに乗って北上し、千本北大路にある京都府立盲学校へ行きました。


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 京都府立盲学校では、爽やかな青年の熱血先生と、今後の触読実験と触読レポートなどの打ち合わせをしました。鎌倉期の『源氏物語』の写本を読んでみようという、私が次に探し求めていた人がついに見つかったのです。

 その冨田さんとは、先週末の日本盲教育史研究会の懇親会で、岸先生のご紹介で初めて会いました。

 その日の研究会で私が話した、古写本『源氏物語』を触読することが懇親会で話題になると、冨田さんの声のトーンが急上昇しました。開口一番、「僕は今日の変体仮名を読む自信があります!」と宣言されたのです。
 頼もしい、気持ちのいい言挙げでした。

 話を聞くと、視力を失ったのは2歳。生まれてこの方、ずっと点字でコミュニケーションをとってこられたのです。頭の中に、文字の形がほとんど入っていない方との出会いは、私にとっても初めてです。
 さらに嬉しいことに、古典は大嫌いで、『源氏物語』のことは今日まで興味がなかった、ということです。これは、私にとって「逃がしてなるものか」と思わせた逸材です。

 私は、とにかく直接会って話をすることを原則としています。
 これは、学生時代に民俗学の勉強をしていたことと、深く関係すると思われます。民俗や伝承の聞き取り調査などで、いろいろな方からお話をうかがって記録していたのです。足で会いに行って、顔を合わせてお話を聞く、という調査手法が、今に到るまで身に染み付いてつながっているようです。

 冨田さんは、大変忙しい方です。今日は、会議と研修の合間を縫うようにして、貴重な時間を作ってくださいました。
 バスで移動しながら、携帯のメールでやりとりしながら面談に漕ぎ着けたのです。

 今日、私が冨田さんにお願いしたことは、レポートを書いていただけないか、ということの一点です。

 一昨日の私の話に関して、最初にどのような思いで聞き、そこから自分も読めそうだという感触を持たれた時のことは大事だと思います。そして、自分も読んでみようと思われた、そのご自身の気持ちの推移を文字として記述していただけないか、ということをお願いしたのです。

 さらには、その後で懇親会で読めるという気持ちを強くされ、そして今、こうして職場である学校で触読の話をしているところまでの、率直な心の軌跡を記録として残していただくことになりました。

 快諾をいただきました。忙しい中であっても締め切りという期日があったほうがいい、とのことだったので、今週の土曜日までにワードの文書で送っていただくことにしました。
 来週もまたお話ができるので、まずは気楽に分量も気にせずに書いていただきます。

 冨田さんの場合は、すべてがゼロからの出発です。実験台にされることに対して、本人に迷いはないようです。チャレンジしてみたい、という気持ちが勝っているので、結果はともかく、これからの記録は貴重な報告となることでしょう。

 福島と東京の2人の女性に加えて、京都の男性が登場です。
 実は、次に九州の男性も参戦されます。

 私が、現在は2人の女性だけが変体仮名の触読に成功している、とお話したこともあって、岸先生から、もう一人の若者を紹介していただいています。
 話が長くなりますので、その中村さんのことは、また別の機会に記しましょう。

 きりがないので、今日はこのあたりでおきます。
 古写本『源氏物語』の触読研究は、ますますその展開から目が離せなくなっています。

 明日は、変体仮名の国際文字コードの情報が大量に入ってきます。

 このブログも、日々私のところに入る情報がオーバーフローの状態で、整理をして書く暇がなくなっています。
 今後しばらくは、脈絡もなく書き飛ばすことになりそうです。

 自分自身の研究スタイルを、従来の「印刷論文配布型」から、暫定版とはいえこうした「電子情報発信型」に変えたことは、またあらためて書くことにします。
 ネットワークを活用したこの私の研究手法も、今後は新しい研究者のスタイルになっていくことだろう、と思っています。
 こんなことも、また後日に。
 
 
 

2015年10月22日 (木)

名工大の音声触図学習システムを動画像で紹介

 名古屋工業大学大学院生の森川慧一さん(工学研究科社会工学専攻)が現在開発中の、「音声触図学習システム」の紹介動画が、よりわかりやすいものとなって「YouTube」にアップロードされました。


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 以下の「YouTube」のURL から、実際にこのシステムを使った使用例を動画像として確認できます。

「音声触図学習システムの紹介と使用している様子」

 これは、触図とタッチパネルを使った、音声による学習システムです。

 過日の本ブログ「名工大で触読への想いが実現する予感」(2015年10月09日)で報告したように、このシステムは私が現在進めている「古写本『源氏物語』の触読研究」で有効な、非常に魅力的な触読支援装置となる可能性の高いものです。

 来月には、また名古屋工業大学へ行くことになっています。
 触読研究と音声システム開発とのコラボレーションについて、進展がありしだい、またここで報告します。

 今後の展開を楽しみお待ちください。
 
 
 

2015年10月13日 (火)

今日のトラブル2題/「腹痛」と「iPhone」

(1)定期健康診断のバリウム検査で激痛に襲われる

 職場で集団検診がありました。
 いつものように申告をして、いつものように受診しました。
 館外に停めてあったレントゲン車でのことです。

 あの白いバリウムを飲んで、体内の様子を診る検査の時です。
 事前に、指示通りに発泡剤を飲んだところ、すぐに腸が捻れて千切れるかと思う程の激痛が襲ってきました。
 消化器管のない私にとっては、ビールをはじめとして発泡物は苦しくなるので、日頃から避けています。
 しかし、身体の検査ということと、レントゲン車の中の環境に身を置き、つい油断をしました。

 しばらくレントゲン室の一角でうずくまった状態で苦痛に耐えていると、数分後には吐き気とげっぷが治まり、身体が軽くなりました。
 看護士の方が検査を中止しましょうか、と声を掛けてくださいました。
 しかし、体調が戻ったので、回転稼働式の検査台に身体を預けました。
 技師の方も親切で、消化管がないなら食道周辺だけでも視ましょうと、少しずつバリウムを飲むことで検査をしてくださいました。
 台に寝てくるくると転がる動きは避けてくださいました。
 とにかく、意識が遠ざかる直前だったので、一時はどうなることかと恐怖感の中に置かれたのです。
 今は、無事に終わってほっとしています。

 昨日も書いたように、このところ体調が思わしくなかったので、それが引き金になっているかと思われます。
 これに懲りたので、バリウム検査は今後は敬遠して、内視鏡検査のみにします。

 私の次に検査をお待ちだったK先生。
 目の前での突然のハプニングで、ご心配をおかけしました。
 お気遣い、ありがとうございました。

 今朝から絶食だったこともあり、急激に空腹を感じました。
 身体が正常に戻ったようです。
 いつものように、妻の手作り弁当をゆっくりと口にしながら、生き返った気持ちを実感しました。
 
(2)iPhone6プラスが頻繁にフリーズすること

 先月あたりから、昨秋更新して使い出したiPhone 6プラスが、しょっちゅう反応しなくなり出しました。
 画面をタップしても、文字を入力することも、まったく受け付けないのです。
 だいたい、2時間ももたない内に、電源を入れ直してリセットすることとなります。
 文字を入力中に突然画面が凍りつくと、また入力し直しとなるので、がっかりします。
 スマホのアプリは、保存ボタンなどはないものが多いので、パソコンのように頻繁に保存することはできないのです。
 自動保存なり、終了時に保存されているようです。
 これが、突然のフリーズでリセットすることになると、それまでの入力が水の泡となるのです。

 今使っている iPhone は、購入して半年の間に2回の本体交換をした、何と3台目のものです。
 今回のトラブルで本体交換をすると4台目になるのかと諦めつつも、念のために立川のクイックガレージで何か対処方法がないか相談をしました。
 すると、先月から発売されているiPhone 6s のための新システムの初期バグのせいか、iOS の システムを更新したユーザーからのフリーズに関する相談が急増しているそうです。

 いろいろなやり取りの末に、さらにバグを取ったシステムの更新が発表されるのを待つしかない、ということになりました。
 iOSのシステムを入れ替える方策もあるそうです。
 しかし、そんな暇が今はないので、だましだまし、いましばらくはシステムのバージョンアップを待つことにします。

 iPhone 6プラスをお使いで、まだシステムを更新しておられない方は、今しばらくはそのまま様子をみた方がいいようです。

 私は、常に最新のバージョンに魅力を感じるので、すぐにシステムをアップしてしまいます。
 最新の情報文具に関しては、「待つ」ということを心がけるように、これからは心していきたいと思います。
 
 
 

2015年10月 9日 (金)

名工大で触読への想いが実現する予感

 名古屋工業大学へ行くために、東京駅で京葉線から新幹線に乗り換える途中のことです。
 エスカレータの手すりが、とにかく酷く汚れているのに出くわしました。


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 「つ」の所で白く光っているのは、撮影時の光線の具合ではなくて、白い紙かサロンパスのようなものがへばり付いていました。透明の幅広の粘着テープで補修されている箇所もあります。
 とにかく、こんな汚い手すりを摑む人などはいません。無神経な駅の施設管理です。

 駅では百年イベントを展開しています。しかし、もっと足元の不衛生で不潔な環境と、駅員の心構えの浄化が先決問題です。海外からお越しの旅人に対して、恥ずかしい思いをしています。

 品川を出て、しばらくしてからでした。

「ただいま、右手に富士山が見えています。雪をいただかない富士山は、われわれ新幹線に乗務する者もめったに見られません。しばし、車窓からお楽しみください。」

という、新幹線の車内放送が耳に届きました。

 早速、ポケットからカメラを取り出して、窓越しに収めました。


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 ちょうど40年前の今ごろ、私の結婚を祝して父が
「錦繍の車窓いっぱい富士の山」
という川柳をよんでくれました。
 今、このお山も、その錦を着る準備をしているのでしょう。

 毎週のように乗る新幹線です。そんな中で、事務的なお知らせとは違う、こんな車内アナウンスもいいものです。
 車掌さんのお人柄でしょうか。

 旧国鉄のままに、サービス精神の欠片もないJRです。こんな頻繁に利用しているのに、ポイントを貯めるとグリーン車に座れるだけという、人を喰った話が唯一のサービスです。未だに親方日の丸の鉄道会社です。
 電車がひっくり返らないのが最大最高のサービスだと、無理やり思うことにして、我慢して新幹線に乗っています。

 愚にもつかない駄弁はこれくらいにしておきましょう。

 名古屋駅から中央線に乗り換えて2つ目の、鶴舞駅のすぐそばに大学はありました。


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 校門で、今日の面談者である、大学院生の森川慧一さんの出迎えを受けました。福島県立盲学校の渡邊さんが仲立ちをしてくださり、何度か来ようと思いながら、なかなか日程が合いませんでした。やっと実現です。


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 写真中央の森川さんは、名古屋工業大学大学院工学研究科社会工学専攻マネジメント分野橋本研究室に所属の学生さんです。今日は、指導教授の橋本芳宏先生はご多忙のご様子で、名刺が託されていました。異分野の先生とはいえ、次の機会を楽しみにしています。

 森川さんの仲間である、写真左の情報解析技術課技術専門職員の石丸宏一さんと、写真右の学部3年生の肌野喜一さんが同席です。私の不躾な質問にも、丁寧に答えていただきました。気楽に話ができて、稔り多い時間となりました。
 この3人は、これからの活躍が楽しみです。

 森川さんが開発された障害者用の機器を見せてもらいました。
 上掲写真の下半分に写っているのがそれです。

 そして、まずは基本的な説明を聞きました。
 「タッチパネルとパソコンを使用した音声触図学習システム」です。
 上掲の写真にあるように、地図を使っての触図学習です。

 ネット等で大凡は理解していたので、単刀直入に私の問題意識との接点を探りました。
 そして、目の前にあるパネルが、すぐに私が探し求めていたものであることがわかりました。

 後は、持参した古写本『源氏物語』の立体コピーを開発中の機器に乗せて、具体的な可能性について話し合いました。


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 今回開発されたシステムは、タッチパネル上に置いたA4判の立体コピーをタップすることで、あらかじめそのポイントに仕組まれた音声が聞こえる、という仕掛けに転用できる可能性が高いものです。

 このシステムを、地図で実演してもらいました。これは、そのまま私が考えている古写本の触読を支援する道具となります。

 上掲の写真で言えば、「須磨」巻の巻頭部の「よの中」の「よ」を指で押すと、
「〈よ〉は現在一般に使われている平仮名で書かれています。与えるという漢字〈与〉が崩れた草書体の文字です。」
と音声で教えてくれたらいいのです。

 次の文字である「の」を触ると、
「〈の〉は、現在一般に使われている平仮名であり、元の漢字の姿を留めた、あまり崩れていない字です。」

 さらに3文字目を触ると、
「〈中〉は漢字なので、読みとばしましょう!!」
としましょうか。

 漢字の触読はパスすることにしています。現在のところでは、漢字の触読は困難だと判断しています。あくまでも、ひらがなの触読を習得するプロセスを調査研究しているところなのです。

 これなら、目の前の森川さんが作り上げたシステムに少し手直しをすれば、いますぐにでも私が求めている古写本の触読システムは実現するはずです。

 地図を元にしたデモを拝見した後に、私から提案したことは以下の通りです。

(1)パネルとパソコンは切り離してほしい。
 目が見えない人にとって、パソコンが付随していると、キーやマウスの操作にじゃまをされて、本来の写本を読む目的に集中できません。また、視覚障害者にキーがたくさん並んだパソコンの操作を求めてはいけない、という基本的なスタンスも守りたいのです。

(2)パネルのUSBケーブルはなくしてほしい。
 これは、じゃまな付属物です。できるだけシンプルな道具がいいと思います。

(3)パネルに切り替えスイッチを付けてほしい。
 このスイッチのオン/オフによって、一文字の説明や一語の説明に切り替えられるのになればいいですね。

(4)パソコンの代わりにiPhoneやiPad などの携帯情報端末を利用する。
 iPhoneやiPad などの携帯端末には、スピーカーやマイクが付いています。これを活用すると、音声による機器のコントロールがしやすくなることでしょう。

(5)パネルからブルートゥースでiPhone と通信することで、容易にネットワークに接続した環境の中で触読ができるようになる。
 常にネットにつながった環境だと、疑問点の解消や、さらなる解説で触読を支援できます。

(6)情報のやりとりのために、携帯端末用のアプリを開発する。
 このアプリの更新により、ハードウェアへの負担を軽減できます。

(7)音読や解説に関するデータはクラウドに置く。
 触読のためのデータをクラウドに置くことで、情報の更新や追加が随時できるようになります。また、利用者のレベルに合わせた情報の提供にもつながります。

(8)液晶のタッチパネルは、今の1点だけを感知するものではなくて、複数の点を感知するものにしてほしい。
 それにより、ダブルタップやトリプルタップのみならず、2本指や3本指での触読が可能となるのです。ドラッグによって、文字を範囲指定して触読することもできるでしょう。
 もっとも、そうするとパネルの価格が2、3倍にもなるそうです。しかし、ここは譲れない所です。

(9)Macintoshでも稼働するシステムにすること。
 Windowsに頼っていては、創造的なものは生まれません。その前に、私が試用できないのです。そうでなければ、Macintoshで作り上げたものを、Windowsに移植すればいいのです。『CD-ROM 角川古典大観 源氏物語』(伊井春樹編、1999年)の構成と検索システムがそうであったように。

 この、私が提案したことが実現すれば、目が見えない人が今から700年も前に筆で書かれた写本を、容易に読むことができる環境が提示できるようになります。また、レベルアップを目指した学習システムも、スムーズに構築できることでしょう。

 この取り組みからの成果は、近日中に姿を見せるはずです。
 次の面談は、1ヶ月後に設定しましたので、ここであらためて森川さんにプレッシャーをかけておきましょう。
 
 とにかく、昨日のブログに書いたように、いろいろなことがおもしろい展開となっています。
 そして私は、人と人との楽しい縁を満喫しています。
 すばらしい若者たちとの出会いに恵まれています。
 
 
 

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2015年10月 7日 (水)

『海外平安文学研究ジャーナル』の第1・2号もパスワードなしで公開

 現在私が研究代表者として取り組んでいる科研の内、科研(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」の研究成果の一部を、『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)というオンラインジャーナルで公開して来ました。

 現在、第3号まで発行しています。

 先週は、本ブログにおいて、「『海外平安文学研究ジャーナル 3.0』をパスワードなしで公開」(2015年9月30日)と題して紹介した通りです。

 その記事を、「笠間書院から公開されているブログ」(学会・研究・イベント等の情報群)で取り上げていただいたこともあり、多くの方にアクセスしていただきました。

 本ブログ「鷺水亭より」は、毎日400~500人の方がアクセスして読んでくださっています。先日ジャーナルを再公開した際には、笠間効果のお陰もあって、日ごろの3倍ものアクセスがありました。
 情報を連携して流していただくと、こんなに多くの方に見ていただけるのかと、あらためてネットワークの魅力を実感したしだいです。

 これまでにも、『海外平安文学研究ジャーナル』を自由に読んでいただけるように配慮していました。今後の調査研究のためということで、ごく簡単なアンケートという形式で、「第一言語」と「現在の居住地」をお尋ねした後にパスワードを発行していました。公的資金による研究成果の公開という性格上、それが最低限の協力依頼、という姿勢でした。
 しかし、それに対する抵抗感もあったようで、ダウンロードを躊躇っておられる方から、もっと気楽に、という要望をうかがっていました。
 先日の第3号では、研究成果のオープン化の流れに乗って、閲覧に対してより簡素化を図った対応をしました。

 本日は、第1号と第2号も、このオープンアクセスに対応しました。
 「海外源氏情報」(科研HP)のトップページのサイドメニューにある「NEW」をクリックして、第3号と同様に第1号と第2号を選択するか、「研究と成果・報告書」から「ジャーナル」の項目へと進んでください。
 数クリックで、お手元に『海外平安文学研究ジャーナル』が届きます。

 本誌をご覧になったら、ぜひともご意見をお聞かせください。公費による研究のため、最後に報告書を提出します。いただいたご意見等は、そこに反映させたいと思っています。

 なお引き続き、『海外平安文学研究ジャーナル 4.0』の原稿を募集しています。
 詳細は、今回公開した『海外平安文学研究ジャーナル』の中か、本科研のHPに掲載している「『海外平安文学研究ジャーナル』応募執筆要綱」をご覧ください。

・第4号の原稿の締め切り 2016年1月31日
・刊行予定    2016年3月15日
・注意 原稿執筆者は公開から1年以内に1度だけ、原稿を《改訂版》に差し替えることができます。
 

2015年10月 3日 (土)

再録(23)携帯電話の危険性〈2000.5.4〉

 携帯電話の電磁波について、近年はその性能が向上したことと相俟って、その発する電磁波も低減しているそうです。
 そこで、一昨日の1日より、電車内などでのルールが変更となりました。優先席の近くでは携帯電話の電源を切るように告知されていたポスターやステッカー、そして車内放送が、今後は混雑時のみに、となりました。


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 これは、総務省がペースメーカーへの影響は15cm以上離れていれば大丈夫、と発表したことを受けてのものです。
 第3世代といわれる3G携帯では、3cm 離れているとペースメーカーには影響がないことが実証されたそうです。
 もちろん、車内での通話は、これまで通り自粛を、となっています。

 関西では昨年の夏には、すでに取り組んでいたことです。
 遅ればせながら関東・東北地方でも実施されることになったのです。
 優先座席についても、私が東京に来た1999年には、関西では廃止している私鉄がいくつかありました。席を譲るのは当たり前のことなのですから。
 何事もルール化しないと気が済まないのは、関東の特徴のようです。

 今回のルール改定を勝手にその原因を推察するに、関西と関東での混雑の程度の違いと、関東が100%主義で社会が成り立っているからではないでしょうか。
 私は、関東にいる時には、遠慮がちにメールのチェックやメモを iPhone でしていました。これで、関西と関東が同じレベルになりました。これはいいことです。

 そんな状況の変化があったので、今回は今から16年前の個人的な杞憂とでもいう記事を再録しておきます。
 ここから、社会状況と科学技術の変化が読み取れます。
 

----------------- 以下、再録掲載 ---------------------

〔携帯電話の危険性〈2000.5.4〉〕
 
[副題]ようやく問題視されだした携帯電話の危険性
 
 平成12年5月2日の朝日新聞第一面に、携帯電話からの電磁波が人体に有害かどうかを調査することになった、との記事が掲載されました。

 日頃から脳細胞破壊兵器の一面をもつ携帯電話の危険性が問題とされていないことに異議を唱えていた者としては、これまで見て見ぬ振りをしていて、そしてようやくですか、という感想を持ちました。いまさらという感がしますが、それでも遅すぎることはありません。とにかく、害がないということの証明は難しいのでしょうが、疑わしきは罰せずではなくて、疑わしきは利用を控える姿勢も大事ではないでしょうか。

 携帯電話は、人間の身体への影響という点では、たばことよく似た因果関係を持つものだと思います。吸いすぎ、使いすぎに注意しないと、健康への被害が甚大だということです。
 そのようなものを吸うとか、身につけるかどうかは、もちろん利用者の自由です。しかし、たばこの場合のように、事前に利用者にその危険性を明示して販売されていたか、という点から言えば、携帯電話はその利便性と利用料金のみが強調され、人体への傷害については事前の説明なしに、野放しで頒布されているように思います。

 今、いちおう公共の情報発信機関とされている新聞がこのことを記事にするように関係各機関に働きかけたのは、一体なぜなのでしょうか。私は、携帯電話のメーカーが、電磁波の人体への悪影響に対する弁明の理由がどうにか見つかったので、ひとまず一般人への配慮をしているポーズを示すために、このような記事になるニュースを仕組んだのだろうと思っています。今後予想される訴訟対策とでもいえましょうか。

 郵政省も通産省もメーカーも、とっくにこの携帯電話が併せ持つ危険性については知っていたはずです。行政側は社会的な影響を考えて、景気の好調さを作り出すのに一役買っている携帯電話関連企業の活動を止めない方向で、ここ数年は動いていたはずです。これは、公害・薬害問題における為政者の常套手段です。現実に、街の携帯電話ショップの乱立と、そのカウンターにいる若いパートタイマーやアルバイトの人たちの多さは、曲がりなりにも若者たちの失業状態をカムフラージュでき、また、若い人を中心に携帯電話を持たせることによって、一種のガス抜きが行われているのです。
 今、携帯電話の活況にブレーキをかけると、若者を中心として暴動が起きるとは言わないまでも、大きな反発が起きるのは必死です。突然の不便は、大きな不満を発生させるからです。

 それに加えて、この六月に行われる予定の選挙前ということもあるのでしょう。
 アメリカのクリントンが大統領選挙において、投票日の直前に、電磁波が人体に無害であるとのコメントを発表したことがあったかと思います。当選後すぐに、消極的に、有害という証拠がない、との弁明に変わりました。投票日直前に、電力関係団体の票を取りまとめるための口実に使われたようです。

 今度の新聞記事によると、郵政省の電波環境課は、携帯電話の電磁波による人体への影響について、「現時点で有害という証拠はない」と言っているそうです。どこの国のお役人も同じなのですね。無害とは断言できないので、このようなコメントになるのでしょう。水俣・カドミウム・スモン・エイズなどなど、国が後手後手にまわった施策は枚挙にいとまがないほどです。

 この携帯電話に関する対応も、歴史的にはこの部類に属するものといえましょう。人類は、同じことを繰り返しながら、少しずつ前進していくのです。その前進の過程においては、犠牲は致し方ない、という論理かもしれません。今回は、電磁波の影響が直接生命に影響しないことが多いという点が、問題点を不明確にしています。

 携帯電話を含む電磁波の人体への問題は、疫学的な事例ではあっても、脳腫瘍・白血病・アルツハイマー病に関わるものとされています。この事は早くから指摘されており、私の周りでもそれを知ってか、この危険な要素をもつ携帯電話を持っている人は少ないのです。

 職場でも知人にも、その危険性を説明するのは疲れることなので、私は、という言葉を冠して、怖い道具だと思っていることを伝えています。もっとも、大多数の人は、そんなに恐ろしいものなら、国や会社が市中に出回らせているはずはないと思っておられるようで、「そんなことを言っていたら」とか「それは大変ですね」というクールな反応が多いのです。
 理屈では理解を示したいが、やはり、その便利さには勝てないということなのでしょう。

 実は、私の娘も携帯電話を持ち歩いています。たばこと類似する危険性をよく言い聞かせているのですが、家との連絡などに重宝することもあって、もう離せない存在の道具となってしまっています。
 とにかく、もう手放せない人は、いかにうまくこの脳細胞破壊兵器を平和利用するかだと思います。

 新聞記事によると、今年の9月ごろから聞き取り調査に入る見込みで、因果関係についての最終的な結論がでるのは、今から4年後の平成16年ごろだそうです。なんとも、のんびりした人体実験調査です。ナチスや七三一部隊のような性急な人体実験は問題ですが、多くの人の健康な生活を守るためにも、もう少し真剣に取り組んでもいいのではないでしょうか。

 政権政党が政治資金を貰っている関係か、NTTをはじめとする情報関連企業に遠慮しなければならないことはわかります。テレビなどで、スポンサーとなっている企業に対して反対の姿勢で番組が作れないことに通ずる問題が内在するのでしょう。NHKのスポンサーは政府与党ですし。お金を貰うスタイルの政治の弱点が露呈しているようですが、ここはけじめをつけて、ポーズではなくて、真摯な前向きの姿勢を示してほしいものです。

 私は、情報関連の新製品には、すぐに手を出して、その拙速にいつも反省しています。しかし、この携帯電話に関しては最初から疑問を持っていたので、これだけには手を出しませんでした。

 コンピュータやインターネットを仕事に活用し、情報文具で各種データを処理する日々の中で、この携帯電話は非常に魅力的な小道具です。しかし、やはり自分の体を犠牲にしてまでは、という理由から、導入は検討しながら、実際には使用していません。
 今回の悠長な人体実験調査での結論を見てから、自分の生活に携帯電話を取り入れるかどうかを考えたいと思います。今から4年後なら、人体に悪影響を及ぼさない商品が開発されていることでしょうし。そのメドがメーカー側についたからこそ、このような郵政省の調査が始まることになったと思われます。いわば、企業を守るために実施する、政府の時間稼ぎの調査なのでしょうから。

 それにしても、郵政省や通産省の内部には、本当のことをストレートに語ってくれる人はいないのでしょうか。国家公務員減らしが進む中、あえてそのような愚挙に出るお役人はいないですよね。

 電磁波の人体への悪影響を取り上げ、電磁波がいかに怖いものかを語る警鐘本が書店にあふれた時期がありました。今は、幾分収束したようですが。あたらしもの好きの私は、こうした本を、立ち読みも含めてたくさん読破してきたつもりです。

 電磁波擁護論の本も、少ないながらもあります。そうした電磁波に関する解説本の中から、私は『電磁波白書』(大朏博善、アスキー、平成9年、\2,300、CD―ROM付き)をお勧めします。
 この本は、電磁波擁護論の立場で書かれています。巻末で著者は、「いたずらに恐怖をあおる《電磁波は怖い》論にまどわされることなく、冷静な英知を集結させたいものである。」(245頁)と言っています。

 この本では、事実や資料を客観的に見ようとする姿勢が随所に見られ、好感を持ちました。しかし、私はこれを読んで、逆にその危険性を再認識してしまいました。なかなかよくできた、逆説的な本だと思います。

 海外の研究者へのインタビューを収録したCD―ROMが付録に付いているというのも、おもしろい企画です。
 また、このCD―ROMは、マッキントッシュでもウインドウズでも見られます。分割の憂き目を目前にしたマイクロソフト帝国の僕とならず、きっちりと少数民族のマッキントッシュユーザーにも均等に情報を提供する姿勢も、大きく評価したいと思います。これまで、あまりにもマイクロソフト帝国に媚びを売る企画や企業が多かったし、無意識とはいえ、寄らば大樹の陰よろしく、マイクロソフト仕様に準拠すればことたれりとした無意識の差別者ばかりではなかったことを教えてくれました。
 今後とも、こうしたハイブリッド仕様の情報提供を望むところです。

----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年10月 2日 (金)

再録(22)プライバシーに関する三話〈1999.11.23〉

 今から16年前の記事ですが、再録データとして残しておきます。

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 第一話の〈神奈川県警の「案内カード」〉については、その後さまざまな問題を引き起こしたものでもあります。

 例えば、今年のことで言えば、「女児誘拐未遂:巡査を容疑で逮捕 交番勤務で目付ける」という記事が「毎日新聞」(2015年02月19日)に掲載されました。
 その記事の一部を引きます。


◇巡回カード悪用か
 A容疑者が女児や父親の名前を事前に知っていたことについて、群馬県警は、職務上知り得た情報を利用した疑いがあるとしている。地域をパトロールする巡査は通常「巡回連絡カード」を使って個人情報を収集しているとみられ、今回もこれを悪用した可能性が考えられる。

 巡回連絡カードは、警察庁が「住民の安全で平穏な生活の確保に役立てる」として地域警察官に住民の情報を収集させている制度。事件・事故が発生したり、迷子を保護したりした緊急時に家族への連絡に役立てると説明し、家族全員の氏名、生年月日、勤務先、学校名などの記入を求めている。

 女児や両親とA容疑者に元々面識はなく、女児と友達(7)は昨年12月、パトロール中のA容疑者を5、6回見かけたと話しているという。この時のA容疑者の挙動について県警は「地域の見守り活動をしているような様子だった」と説明しているが、「かわいい女の子をつけ回していたのでは」と疑う声も住民の間から出ている。隣町の主婦(29)は「そもそも何のために書かされるカードなのかと思っていた。今回もし警察官に悪用されたなら、巡回連絡カード自体、廃止してもらいたい」と憤る。

 渋川署によると、A容疑者が勤務していた吉岡町交番は原則2人体制。監視・管理体制が弱く、個人情報を比較的容易に入手できた可能性もある。過去には長野県警や愛知県警で、交番の連絡票のコピーを悪用したり、駐在所の情報照会用端末を不正操作したりした手口もあった。【尾崎修二】

 この事件の続報(毎日新聞 2015年03月06日)は、次のようになっています。


群馬県警巡査の女児誘拐未遂:巡回カード悪用、24歳巡査追送検

 小学4年の女児(10)を誘拐しようとしたとして未成年者誘拐未遂容疑で逮捕された群馬県警渋川署巡査のA容疑者(24)について、県警は5日、交番勤務で使う巡回連絡カードの個人情報を悪用したとして、県個人情報保護条例違反の疑いで前橋地検に追送検した。

 A容疑者は交番勤務だった今年1月15日、女児の自宅前で待ち伏せ、車に連れ込もうとした疑いで逮捕された。県警によると、昨年12月14日、家族構成や連絡先などを記載する巡回連絡カード「世帯別案内簿」を新規作成するために女児宅を訪問し、女児の名前や顔、父親の名前などを知ったという。【尾崎修二】

 さらにこの事件に関しては、担当記者が丁寧に解説をしておられます(毎日新聞 2015年03月24日)。報道に携わった方としても、誠意ある対応であり、事件のアフターケアになっていると思います。


質問なるほドリ:巡回カード、何のため?=回答・尾崎修二

 ◇警察が迷子保護などに利用 群馬で不祥事、再発防止が必須

 なるほドリ お巡りさんが自宅に来て「巡回(じゅんかい)連絡カードを書いてください」と頼んできたよ。

 記者 交番や駐在所に勤務する警察官は、受け持ち地区の家庭やお店、会社などを訪問して困りごとを聞いたりして、地域の状況を把握します。その際、住民に書いてもらうのが「巡回連絡カード」。家族全員の名前、生年月日、電話番号、勤務先や学校、非常時の連絡先などを記入します。「案内簿」や「連絡表」と呼ぶ都道府県もあります。

 Q 情報を集めてどうするの。

 A 迷子や独り暮らしの病人を保護したり、災害や事故の時に家族や親戚(しんせき)に連絡したりするためと警察は説明しています。実際、東日本大震災で捜索に生かされました。かつては、交番などで道を尋ねる人を、カードの情報をもとに案内していました。

 Q 断りなく他人に情報を教えてほしくないなあ。流出や悪用が心配だ。

 A カードは交番や駐在所で施錠(せじょう)できる場所に保管され、情報を外部に漏(も)らしてはいけないことになっています。しかし群馬県では2月に、男性巡査(24)がカード情報を悪用して小学4年の女の子を誘拐しようとした疑いで逮捕される事件がありました。他県では過去に、警察官がカードのコピーを知人に渡したり、消費者金融業者が警察官から情報を不正入手したりした例がありました。

 Q 記入を断ろうかな。

 A 任意なので、断っても罰則はありません。ただし、警察は「拒否した」という記録を残します。「何かやましいことがあるんじゃないか」と思われる可能性はあります。ちなみに、群馬県警によると、地域の警察官が住民サービスのために実施しているので、データベース化しているところは全国的にないとみられます。

 Q プライバシー保護と警察による安全の維持を両立できないのかな。

 A 最近は、オートロック付きマンションが増えたり核家族化(かくかぞくか)が進んだりして、情報収集が難しくなっているそうです。積極的に地域を回る警察官を表彰して巡回連絡カードの整備を進めている警察もありますが、取り組み方は地方によってまちまちです。群馬の事件により、真面目に働いている多くのお巡りさんが迷惑を受けました。警察組織を挙げて再発防止に取り組み、私たちの信頼を二度と裏切らないでほしいですね。(前橋支局)


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 第2話の「2)年収について」については、今はもうこんなことはアンケートの内容から削除されていることでしょう。しかし、今から16年前にはあったのです。

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 第3話の「クレジットカードの金額変更と署名代行」に関しては、似た事が今でもあります。
 コンビニなどでクレジットカードを使って支払うと、サインも暗証番号も不要なことがあります。
 「いいのかな?」と思いながらも、手間が省けて便利なのでそのままにしています。しかし、よく考えてみれば、これも変なことではあります。
 私が最初にサインなしで買い物をしているシーンを見かけたのは、2000年2月に英国ケンブリッジの街中で、学生たちがクレジットでお買い物をしていた時でした。信頼関係が築かれているので可能なのだろう、と思って見ていました。プリペイドカードではなかったと思います。
 クレジットカードに関しては、利用者がチェックを怠ることが多いので、悲惨な状況が日常茶飯事のことでしょう。それを、ユーザー側が被害と認識するかどうか、というレベルの問題だと、私は思っています。
 変な話ですが……

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 以下の記事の元データは、〈大和まほろば発 へぐり通信〉の【ハイテク問はず語り】というコーナーから発信していた情報の内、1999年11月23日に公開した文章です。

 この一連の「再録」は、過去に発信した情報を本ブログに取り込み、アーカイブズの一環とするものです。


----------------- 以下、再録掲載 ---------------------

〔プライバシーに関する三話〈1999.11.23〉〕

1)神奈川県警の「案内カード」

 今、手元に「案内カード(一般世帯)」という文字が中央上部にタイトルとして書かれた、B5版大のカードがあります。

 卵色で葉書よりも厚い丈夫な紙のカードです。そして、その表題の上の余白に、鉛筆書きで


「巡回にきましたが不在でした このカードに記入のうえ交番までお持ち下さい」

とあります。
 「交番までお持ち下さい」とあるので、お上に対して住民が申告するための用紙のようです。

 記入欄の項目名を、以下に列挙しておきます。


 ・世帯主氏名 ふりがな 性別
 ・店名 業務内容 地区名(町内会、自治会) ※作成年月日 ※整理番号
 ・現住所 電話 ファックス 居住年月日
 ・非常の場合の連絡先 あなたの本籍、親戚、知人など 本籍 親戚・知人 氏名 住所 電話番号
 ・家族または同居人 氏名 ふりがな 続柄 生年月日 職業、勤務先(学生は学校名) 摘要(同居人等の方については、非常の場合の連絡先)
 ・(裏面)要望・連絡事項
 ・(裏面)※連絡実施年月日
 ・(裏面)○※印の欄は、記入の必要はありません。

 そして、表面下部余白には、以下の備考が印刷されています。


 ・◎このカードは、盗難や交通事故などの被害を受けたときとか、訪問する人に家を教えたり、もしお子さんが迷子になったときなど、皆さんに奉仕する資料として交番・駐在所に備え付けておくものです。

 ・◎非常の場合の連絡先は、火災や盗難などが発生した場合に親戚や知人に連絡するためのものです。

 警察というものが信頼されていた時代のカードのようです。今では、ここに記入した内容が警察に悪用されることを懸念して、恐らく記入提出を躊躇するしろものとなっているのではないでしょうか。各項目には、公権力によるプライバシーの侵害が見え隠れしています。

 このカードの右耳部には、次の文章が印刷されています。


 [案内カード作成のお願い]

 私は、この地域を担当している警察官です。
 警察では、受持警察官が皆さんの御家庭を訪問し、御意見等をお伺いするとともに、この案内カードを作成していただいております。
 この案内カードは、万一盗難や災害の被害に遭われたときなどに役立てるものです。御協力をお願いいたします。
 なお、緊急の用件は110番で(耳や口の不自由な方は、ファックスによる専用110番=……番へ)
 それ以外の相談、要望等は、私又は<金沢文庫駅前>(ゴム印)交番・駐在所の勤務員に御相談ください。
 TEL <……>(ゴム印) 内線<412>(ゴム印) ファックス 氏名 <N>(ゴム印)

 私など、70年安保を経験している世代の者には、これが公安関係で利用されたものの残滓であることに想いが至ります。
 裏面の「県警の相談・案内コーナー」という所に、


「○極左110番 045-671-0110」

とあります。共産党員宅の盗聴で有罪となっても、知らぬ存ぜぬで突っぱね続ける神奈川県警には、極左はあっても、極右はないのですよね。

 ここにあげたカードは、交番のどこに、どのようにして保管されているのでしょうか。また、駐在所員がこの情報をどこに持ち出しているかなども、おそらくピストルほどには厳重に管理されていないでしょう。
 今の情報化社会では、この手の情報は、高く売れるでしょうね。とにかく、まがりなりにも本当の警察が管理している情報なのですから。特に神奈川県警の警察官は、最近は不祥事がらみで免職退職者が続出しているので、警官失職失業後は、この資料を活用して、住民情報売買人として生計が保てます。また、脅迫・恐喝にも利用できます。

 こうして集められた各戸の情報管理がどうなっているのか、どなたかリサーチしませんか。

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2)年収について

 手元に、一枚のアンケート葉書があります。

 これは、家庭用の浄水器に添付されているものです。
 差出有効期間は「平成12年7月31日まで」となっています。
 宛先は、「〒108-8506 東京都港区港南 1-6-41 (品川クリスタルスクエア)三菱レイヨン株式会社 アクアライフ事業部 クリンスイ係 行」です。

 表面中段に、こう書かれています。


 「この度は三菱レイヨン商品をお買上げいただき誠にありがとうございます。恐れ入りますがこのご愛用者カードにご記入の上、お送り下さい。今後の製品開発・サービス向上などの貴重な資料とさせていただきます。お送り頂いた方の中から毎月まとめて抽選で粗品を差し上げます。なお発表は発送をもってかえさせていただきます。」

 以下に、表面中段以下にある記入欄の項目を列記します。


 ・ご住所 Tel Fax Email:
 ・お名前(ふりがな) 生年月日 男・女
 ・ご職業
 ・お買上日
 ・ご購入店名 ご購入の場所
 ・家族構成 未婚・既婚 ご一緒に住んでいる家族の人数(  )人
  趣味 ある・なし ある方は内容を(          )
  住居 一戸建持家/一戸建借家/分譲マンション/賃貸マンション/アパート/公団・公社・社宅・その他
  年収 300万以下/300〜500万未満/500〜700万未満/700〜900万未満 900万以上

 家族構成や住居は、製品の性質上どうしても必要だったかもしれません。しかし、年収はどんな意図があるのでしょうか。

 裏面の「ご愛用者カード」の各選択項目には、「いままで浄水器をお使いでしたか。」など、特に差別的な質問はありません。表面の質問の真意を謀りかねます。

 1999年11月21日付けの朝日新聞の「青鉛筆」欄に、個人情報に関する調査結果の紹介があります。
 そこには、「知られたくない情報」のトップとして、男性が「年収」、女性が「日記の中身」だとあります。

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3)クレジットカードの金額変更と署名代行

 パソコン専門店の「ソフマップ 大阪ザウルス館」で、ISDN用のルーターを買いました。今年の10月中旬のことです。これは、それまで我が家で使っていたルーターが壊れたためです。2年ほど使った後のことです。その顛末は、また後日報告します。

 さて、支払いには、JCBカードを使用しました。ところが、帰宅して数時間してから、そのソフマップから電話がありました。明細の請求額を1万円少なく記入してしまったとのことです。
 購入時に、レジで明細を見てサインをしましたが、後から思えば念を入れて確認したのではなく、桁数くらいを見ただけのように思います。手元の控えを見ても、確かに向こうの手違いがあったようなので、そちらで修正の処理をしてほしいと依頼しました。ただし、再度確認のサインが必要だろうから、それはこちらが出向きやすい店でお願いしたいと言っておきました。

 ところが、10月31日にソフマップのSという方から電話がありました。
 それによると、カード会社のJCBの方の内部処理で修正すればいいとのことでした。私がサインをして確認もしないのに金額が訂正されるのはおかしいのでは、と言ったのですが、カードの切り直しではないので、再度、訂正金額にサインをする手続きは必要ないそうです。
 これには不審を感じましたが、担当者も相当困った様子で必死に弁解しておられたので、辛い想いをこれ以上させてはと思い、すべてを任せました。その方の勤務評定が下がり、職を失われてはと思ったからです。向こうも、今度の請求時に金額をよく確認してほしいと言っておられました。

 後になってよく考えてみるに、これはどうしてもおかしいと思います。そんなに簡単にクレジットカードの請求金額が、カード会社の一社員によって変更できるのでしょうか。
 それができるのなら、カード会社は、自由に利用者に水増しした金額を請求できることになります。利用者の方は、いちいち請求金額の当否を確認することは少ないので、これは非常に危険なシステムだと思います。

 皆さん、クレジットカードの請求金額は正確ですか。一部の数字が改変されていませんか。

----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年9月30日 (水)

『海外平安文学研究ジャーナル 3.0』をパスワードなしで公開

 現在私が研究代表者として取り組んでいる科研の内、科研(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」の研究成果の一部を、『海外平安文学研究ジャーナル 第3号』(全190頁、ISSN番号 2188ー8035)として、本日、下記のサイトより公開しました。

「海外源氏情報」(科研HP)

 トップページの中ほど左にある「NEW」をクリックするか、「研究と成果・報告書」から「ジャーナル」の項目へと進んでください。


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 画面が次に移ったら、「ダウンロード」の中の「3.海外平安文学研究ジャーナル vol.3.0(2015/09/30)」をクリックしてください。


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 次の画面に変わってから、下段にある「Download」というボタンをクリックすると、すぐに『海外平安文学研究ジャーナル 3.0』のダウンロードが始まります。データ容量は約40メガほどありますので、保存媒体の容量にご注意ください。


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 これまで科研の成果として公開していたオンラインジャーナル『海外平安文学研究ジャーナル』の創刊号と第2号では、公的資金による研究成果の公開ということで、パスワード方式をとって来ました。
 しかし、現今の情報公開における自由化の流れに従い、本日公開した第3号からは、今後の調査研究のためとして「第一言語」と「現在の居住地」をお尋ねした後にパスワードを発行していた手続きを省略し、自由にダウンロードしていただけるようにしました。

 追って、創刊号と第2号も、パスワード発行形式から自由にダウンロードできる公開へと切り替えます。これについては、今しばらくお待ちください。

 今回の第3号では、平安文学を中心にした以下の内容を掲載しています。


【第3号 目次】

あいさつ  伊藤 鉄也 p.3
原稿執筆要項     p.4

〔1〕研究会拾遺
・モンゴル語訳『源氏物語』について 伊藤 鉄也 p.11
 (参考資料:各国語訳『源氏物語』翻訳時に省略された場面の一覧)
・『源氏物語』末松英訳初版表紙のバリエーションについて ラリー・ウォーカー p.42
・《コラム》日本でも出版された末松謙澄訳『源氏物語』 淺川 槙子 p.46
・各国語訳『源氏物語』「桐壺」について 淺川 槙子 p.48
・各国語訳「桐壺」(『源氏物語』『十帖源氏』)翻訳データについてのディスカッション報告(第6回研究会) p.77

〔2〕翻訳の現場から
・『十帖源氏』の英訳の感想 ジョン・C・カーン p.87
・『十帖源氏』英訳所感 緑川眞知子 p.89
・『十帖源氏』スペイン語翻訳における文化的レファレンスの取り扱い 猪瀬 博子 p.91
・『十帖源氏』「桐壺」巻のウルドゥー語訳によせて 村上 明香 p.99

〔3〕研究の最前線
・スペインにおける平安文学事情 清水 憲男 p.105
・新刊紹介:朴光華著『源氏物語―韓国語訳注―』(桐壺巻) 厳 教欽 p.109

〔4〕付録
・各国語訳『源氏物語』・『十帖源氏』「桐壺」翻訳データ p.118
・『源氏物語』「桐壺」スペイン語 p.121/イタリア語 p.151
・『十帖源氏』「桐壺」スペイン語 p.163/イタリア語 p.178

執筆者一覧 p.187
編集後記 p.188
研究組織 p.189


 
 
 引き続き、『海外平安文学研究ジャーナル 4.0』の原稿を募集しています。
 詳細は、本日公開した第3号の4頁か、本科研のHPに掲載している「『海外平安文学研究ジャーナル』応募執筆要綱」をご覧ください。

・原稿の締め切り 2016年1月31日
・刊行予定    2016年3月15日
・注意 原稿執筆者は公開から1年以内に1度だけ、原稿を《改訂版》に差し替えることができます。
 
 
 

2015年9月24日 (木)

色の見え方は人さまざま

 最近、いろいろな方にスマートフォン用のアプリケーションである「色のシミュレータ」(無料)を勧めています。android版もあります。


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 これは、人によって異なる色覚に関するツールです。人が物を見る時には、それぞれに見えている色が違うそうです。確かに、みんなが同じ色に見えていると思う方がおかしいのです。人さまざまなのですから。

 このアプリは、医学博士でメディアデザイン学博士でもある Kazunori Asada 氏によって開発されたものです。

 手近なところにあった、ソニーのテレビのリモコンでシュミレートしてみました。
 4パターンの異なる見え方が確認できます。


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 左上が一般的な色覚によるものであり、その右が1型2色覚、その下が3型2色覚、その左が2型2色覚です。

 それぞれの分類がどのような意味を持つのか、専門的なことは私にはわかりません。
 しかし、人によってはこんなに見え方に違いがあることを知り、折々に色を確認しています。
 違いを知ることが大事だと思います。

 毎日のようにフォトショップ・エレメンツを使っているので、日頃から色には気を配っています。そんな中で、このツールを知ってからは、自分の写真がどのように見られているのかを知ることは、ユニバーサル・デザインの観点からも意義深いことだと思います。

 目の見えない方や、色弱、色覚に問題を抱える方とのお付き合いが増えたこともあり、今後ともこのアプリは自分の意識改革の上でも重要な位置を占めそうです

 これに類するアプリは、まだ他にもたくさんあるようです。
 気に入ったものとの出会いがあれば、また紹介します。
 
 
 

2015年9月23日 (水)

電子テキストを一括置換した痛恨のミス

 来月下旬に、『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』(伊藤鉄也・阿部江美子・淺川槙子編、新典社)が刊行されます。その最終校正をしていて、痛恨のミスに悔しい思いをしています。

 コンピュータに関わって30年。これまでに多くの方々に「一括置換」の怖さを語ってきました。
 他人へのアドバイスが、今になって禍事として我が身に降りかかってきているのです。
 一括置換の誘惑に負けてしまったのです。

 本年正月より、古写本の翻字は「変体仮名翻字版」に移行する決断をしました。
 そのため、刊行予定だった歴博本「鈴虫」については、従来の翻字ではなくて変体仮名を交えたものにすることにしました。昨年末に入稿した「鈴虫」の版下も、あらためて「変体仮名翻字版」に組み直しをしていただきました。

 すでに、刊行した『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」「蜻蛉」』(新典社、2013・2104年)の翻字も「変体仮名翻字版」に作り替え、今回の歴博本「鈴虫」に付録として収載する作業を突貫工事で進めました。一括置換の悲劇は、このときに起きました。

 手元には、「須磨」と「蜻蛉」の字母を基にした翻字データがありました。そこで、現行のひらがなの字母だけを書き換えれば、それで新たな「変体仮名翻字版」が出来上がります。
 やることといえば、「安」を「あ」に、「以」を「い」に書き換えます。「阿」や「伊」などの変体仮名はそのままにしておけばいいのです。

 そこまではよかったのです。ところが、その作業過程で楽をしようとして、ついうっかり手抜きをし、今にいたるまで膨大な手直し作業が発生するという、悲惨な状態になったのです。
 作業時間を節約するために、やってはいけない一括置換の誘惑に負けて、一気に片づけようとしたのです。

 確認作業で、実際に写本の写真と翻字を比べ合わせし出してから、目を疑うような事態に愕然としました。変換の必要がない多くの文字が、予想外に変換されていたのです。

 写本と翻字をもう一度見直すこととなり、不正確だった翻字などのいくつかが見つかりました。それはよかったことです。字母を確認して見ていくと、おのずと一文字ずつをじっくりと見つめます。
 しかし、それが慰めになるにしても、あまりにも膨大な手数と時間をこの確認と修正作業に費やすこととなり、大失態の対処に翻弄されました。今もそうです。

 手元で更新・管理をしているエクセルによるデータベースの修正と、版下となった元データの修正、そしてゲラに補訂の記入等をするのに、この3ヶ月ほどは、ほぼ毎週のように手を入れていました。

 写本の写真をじっくりと見直し、その確認をしてからゲラに書き込んでいるうちに、つい関連する他のデータの修正にも気が散ったことがしばしばで、ゲラへの書き込みを忘れがちです。
 パソコンを中心として、机の周りに何種類もの資料を広げ、全方位に目を配りながらの神経を磨り減らす日々でした。

 「変体仮名翻字版」では、漢字として使用されている場合には、隅付き括弧(【 】)を使います。「世の中」の場合は、「【世】の【中】」となります。この例の場合には、「よ」を「世」に一括置換してから「世」を「【世】」にしました。ところが、「世」にする必要のないケースもあるのです。結果的には、二重三重のミスとなっていくのです。

 いやはや、このシルバーウィークは、こうしたモグラ叩きとでもいうべき作業の最終チェックに追われていました。
 これを、無為な時間と思わないことにします。これによって、やってはいけない痛恨のミスを自覚し、さらには、新たにいくつもの翻字の間違いや修正個所が見つかったのですから。
 災い転じて福となるように、もう少し詰めを慎重に進めます。

 なお、今回の翻字で、あまりにも煩瑣なことになるために統一できなかったことがあります。それは、小さく書かれた「こ」「と」「二」「尓」です。とにかく、字形が紛らわしいのです。


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 今回は、周辺の書写字形に類似するものから判断して確定したものがあります。

 こうした翻字の問題は、書写された字形をどう読み取るか、ということと、文としての意味を勘案しながら翻字する必要性との、さまざまな要因のせめぎ合いでもあります。
 これをいい経験として、さらに有用な翻字資料となるように、文字を読む感覚を養っていきたいと思います。
 
 
 

2015年9月 7日 (月)

井上ひさしの「國語元年」上演中

 過日、本ブログに「読書雑記(140)井上ひさし『國語元年』」(2015年08月21日)をアップしました。

 その直後、毎日新聞(2015年08月25日 東京夕刊)にこの作品が演劇化されて上演される記事が掲載されました。
 毎日バタバタするばかりの日々なので、このことを取り上げることを失念していました。

 すでに公演は始まっています。
 9月1〜23日、東京・新宿の紀伊国屋サザンシアター。
 今後は、兵庫、愛知、宮城、山形を巡演するそうです。

 井上ひさしは、その本のあとがきで、ぜひテレビドラマを観てもらいたいので、制作元であるNHKにハガキでリクエスト攻勢をかけてほしい、と言っていました。

 今回は、演出家の栗山民也による演劇です。
 1986年の初演から手がけ、10年ぶり5演目となるそうです。
 文部官吏の南郷清之輔は、八嶋智人が演じています。

 毎日新聞の記事によると、栗山氏は次のように語っています。


作品の持っている普遍的な題材が、すごく緩んだ今の日本に対して、必ずいろんな起爆剤になるんですよね。井上さんがやりたかったのは、いろんな土地の言葉がぶつかる健康さ、人間がぶつかることのすてきさ。『國語元年』は単純な物語なんですけど、あらゆるオーケストレーションの音が絡み合って、ぶつかり合って豊かなものが生まれてくるんです。
(中略)
井上さんは<むずかしいことをやさしく>と言ってましたが、そこで終わっていなくて<やさしいことをふかく>なんですよね。

 今回の公演は、ぜひとも観たいと思っている演劇の一つです。
 
 
 

2015年8月22日 (土)

自由討議が楽しかった伊藤科研A第6回研究会

 立川駅前では、秋祭りの太鼓の音が鳴り響いていました。


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 その残暑の中を、多くの方々の協力を得て情報収集と調査研究を進めている、伊藤科研(A)「海外における源氏物語を中心とした平安文学及び各国語翻訳に関する総合的調査研究」の第6回目となる研究会が、国文学研究資料館で開催されました。

 本日参加してくださったのは13名。
 いつもは科研のメンバーだけです。しかし、今日は、各国語訳『源氏物語』の訳し戻しや、『十帖源氏』の多言語翻訳に協力してくださっている方や、各種言語に興味をお持ちの方々も出席してくださいました。
 得難い仲間が集まったということもあり、幅広い視点からの意見の交換ができました。

 内容は、以下の通りです。


伊藤科研A 第6回研究会
日時:2015年8月22日(土)15:00〜18:00
場所:国文学研究資料館 2階 第一会議室

プログラム
・挨拶(伊藤鉄也)
・2014年度の研究報告(淺川槙子)
・本科研のHP「海外源氏情報」についての報告(加々良惠子)
・2015年度の研究計画(淺川槙子)
・モンゴル語訳『源氏物語』について(伊藤鉄也)
・各国語訳『源氏物語』『十帖源氏』の「桐壺」について(淺川槙子)
・各国語訳『源氏物語』『十帖源氏』の翻訳データに関するディスカッション(全員)
・連絡及び打ち合わせ

 興味深い内容が満載の内容で、予想通り刺激に満ちた研究会となりました。

 詳細な議事録は、後日科研のホームページである「海外源氏情報」に掲載されますので、今ここには個人的なメモを記すに留めます。

 前半の研究報告や研究計画を聞きながら、この科研が多方面に多彩な活動を展開していることが実感できました。協力してくださっている皆様に感謝しています。

 私のモンゴル語訳『源氏物語』に関する発表は、副題を「刈り込まれた場面と描写」としました。
 モンゴル語訳の「桐壺」巻を、母語話者と非母語話者による2種類の日本語に訳し戻すことにより、日本語のレベルでその内容を比較検討しようとするものです。
 これは、続く各国語訳に関するディスカッションへと、話題をバトンタッチをする役目も負うものです。
 本日発表した内容は、電子ジャーナルの第3号に掲載しますので、後日のご教示をよろしくお願いします。

 そして、今回のメインである、各国語訳『源氏物語』『十帖源氏』の翻訳データに関する報告と、それを踏まえたディスカッションは、さまざまな意見が交わされて、実に楽しい時間をみんなで共有できました。

 今日取り上げたのは、以下の言語に関する問題点です。


『源氏物語』→スペイン語・イタリア語
『十帖源氏』→英語・スペイン語・イタリア語・ロシア語

 今日話題となった中で、私は「初冠」と「元服」についての討議の中で、スペインは15歳、イタリアは18歳、中国は20歳だというやり取りに、この問題のおもしろさを感じました。
 また、翻訳されたものを日本語に「訳し戻す」という手法について、その意味するものと限界についての指摘は、この問題に取り組んだ当初から抱え込んでいるものでした。このことは、またあらためて考える必要があります。
 ただし、32種類の言語で翻訳されている『源氏物語』の場合にどのような対処策があるのかは、今後の検討課題として残ったままです。

 本日配布された、各言語による翻訳を比較検討するための資料は、内容が充実し、しかもずっしりと重いものでした。この資料の意義と価値は、後日明らかになって行くことでしょう。

 資料作成にあたった研究員と補佐員のお2人に、労いのことばをここで伝えたいと思います。
 そして、さまざまなご意見をディスカッションの中でいただいた参加者のみなさまに、あらためてお礼をもうしあげます。

 閉会後、立川駅そばのお店で、懇親会を持ちました。
 ここでも、研究を離れての話題満載で、楽しい一時をみなさまと共に持つ機会となりました。
 なかなか出会うことのない、得難いメンバーの集まりは、多くの刺激をいただけます。

 本科研のテーマについては、より多方面からの参加を得ることにより、さらに話題が盛り上がり、ユニークな展開をすることでしょう。次回は、もっと広く宣伝告知をして、間口を広げて行きたいと思っています。積極的なご参加を、お待ちしています。

 次回第7回の研究会は、明年2月を予定しています。
 プログラムが決まり次第に、ホームページとこのブログでお知らせします。
 
 
 

2015年8月11日 (火)

京洛逍遥(370)下鴨納涼古本まつり -2015-

 京都五山の送り火が近づいて来ました。
 如意ヶ岳の大文字では、「大」の字が輪郭を見せています。
 草刈りなどの整備が進んでいる頃でしょうか。


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 京都古書研究会が主催する、恒例となった下鴨納涼古本まつりが、今日から16日までの6日間、下鴨神社を包み込む太古の森である糺ノ森を会場として開催されました。


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 本部の方にお聞きしたところでは、会期中に80万冊もの古書が出品されるのは、屋外での古書市としては国内最大級だとのことでした。そして、常時50万冊は手に取って見られるそうです。

 今日は初日にもかかわらず、すでにお昼には、本棚に隙間が目立ちました。多くの方が早めに本を買い求めておられるようです。

 私は、ネットショッピングは意識的にしないことにしています。ネットでの買い物は、街中の小売り店の廃業を促進させる行為に直結していると認識しているからです。そして、いずれは利用者が困る事態に追い込まれるのでは、と危惧しています。

 もちろん、世の中の流れが小売り業を切り捨ててネットでの売り買いに移行していることは承知しています。社会の仕組みが弱者排斥の論理で動いていることは、もう止めようがないのでしょう。しかし、実際に物を見ないで、人との会話もなくて物を手に入れることには、どうしても馴染めません。

 若者にとっては、というよりも高齢者も含めて、人との関わりという煩わしさがない方がいいのでしょう。また、加齢を重ねてくると、面倒なことを避けたいがために、相手に頼りがちになります。不本意なままに、騙されていてもしょうがないと諦めて、不承不承ものを手にする立場に身を置く人も多いようです。

 老若男女、煩わしくない人生を送るために、人との関係性を捨象したネット社会は快適でしょう。しかし、私はそれを快適とは思わなくなりました。不便でも、面倒でも、自分で触り、言葉を交わして、自分で確認しながら手に入れる楽しみを、これからはさらに大事にしていきたいと思っています。

 書籍も、決してネットでは買いません。全国の善良な小売り書店を潰す破壊行為に加担したくないのと、本との直接の出会いを楽しみにしているからです。


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 自分が求めている本は、本の方からおいでおいでをしてくれる、と信じています。
 今日は、1時間半ほどで会場の約4分の1を見て回りました。数冊の本が、私に囁きかけて来ました。しかし、もう家の中に本を置けない状況なので、家を傾けかねない本を、しかも他の本を処分して置き換えるだけの価値を天秤にかけて、結局は等価交換に値しないと判断して見送りました。

 一生の内に読める本の数は知れたものだと思います。そのような中で、今後私が読む順番の中に入るかどうかも、今回購入を断念した理由でもあります。

 もちろん、これは自分で所有することを見送ったということであり、国文学研究資料館はもとより国会図書館や京都府立図書館にもなさそうな本は積極的に買うようにしています。それも、今日のところは出会いがありませんでした。

 下鴨神社の参道と馬場に沿って流れるのが瀬見の小川です。その瀬見の小川の左側の馬場一帯で、今回の古書市が開催されています。


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 言い伝えによると、玉依媛命が瀬見の小川で遊んでいると川上から丹塗りの矢が流れてきたという、その小川のせせらぎを耳にしながら古書を探すのですから、この上もなく贅沢な時間を持つことになります。
 今年は、まだまだ見切れていないので、もう一度行くことになるでしょう。

 なお、京都古書研究会は毎年「京の三大古本まつり」を開催しています。
 いただいた団扇の裏面を掲示して、宣伝とします。


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2015年8月 6日 (木)

今西館長科研で作成した翻字データの一部をHPから公開

 平成22年度から26年度までの5年間、科研の基盤研究(A)で実務上のお手伝いをした今西館長科研が、本年平成27年3月で終了しました。

 科研の成果は、なかなか一般的には表に出ません。
 しかし、この科研では成果を公表しながら進展していたので、あらためてここにその確認をしておきます。

 「科学研究費助成事業データベース」では、本科研の概要は「日本古典籍における【表記情報学】の基盤構築に関する研究」の項目で公開されています。

 この科研では、その成果を4冊の報告書で公表してきました。


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 また、ホームページでも、逐一その活動内容を報告してきました。


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 この科研が、本年3月で終了したことに伴い、これまでに公開していた情報を整理し、新しいホームページとしてまとめ直しました。活動と成果の記録として、文字列中心の成果報告書に準ずるものとして再構成したものです。


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 この科研を推進していく中で、報告書に添付したDVDがほしいとの要望が寄せられていました。
 しかし、印刷部数の関係で、あらかじめリストアップしていた所に発送したために、個人の方々のお手元にはお届けできませんでした。

 その成果の中でも、正徹本のデータについての問い合わせが多かったので、今回その一部をダウンロードしていただけるようにしました。

 今回ダウンロードできるデータとして用意したのは、高等学校の授業で扱われることの多い巻です。
 「桐壺」「若紫」「葵」「須磨」「御法」の翻字データ(PDF)

 「翻字データのダウンロードについて」をお読みいただき、そこに記された手順でデータをご活用いただければ幸いです。
 
 
 

2015年8月 3日 (月)

目にも止まらぬ早業でパスポートの写真を転送

 多忙を極める息子のパスポートを、代理人となって申請しに行きました。

 あらかじめインターネットで提出物を確認し、旅券事務所にも電話をして、必要な書類はすべて整えて行きました。

 順調に確認が進み、なんとかなりそうなので安堵しかけた時でした。すべてのチェックが終わらない内に、写真に不備があるので受理できないとのことです。

 申請の案内パンフレットに記されている、次の項目に該当するためだそうです。


(不適当な写真例)
眼鏡のフレームや髪が目にかかっている

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 これくらいで?、と言っても聞き入れてはもらえません。
 確かに、眼鏡のフレームが黒目に被さっています。

 今日の受理だと今週7日(金)の受け取り、明日だと10日(月)の受け取りです。
 何としても、今日中に申請を終えたいのです。
 気持ちは逸ります。

 問題は、写真をどうするか、ということ1点です。
 写真アプリのフォトショップを使って、眼鏡のフレームをずらそうかと思いました。しかし、手元にパソコンがありません。今日の受付終了まで、あと2時間です。

 人間、追いつめられると名案が浮かぶものです。
 すぐに息子にメールを送りました。
 事情を説明して、私のiPhoneのメッセージ宛に、眼鏡を外した写真を送るようにと。

「png データでいい?」
「いや jpeg で!」

 こんなやりとりをしながら、写真が届くまでに、私は駅前にあるヨドバシカメラに移動して、プリントサービスコーナーで待ちました。

 やがて手元の iPhone に届いた写真を見て、ヨドバシカメラの方いわく、余白がもっとほしい、とのことです。急いでいる時なのに、わがままな注文です。

 再度撮影して送られて来た写真は、今度は大丈夫でした。
 すると今度はヨドバシカメラの方が、この写真をiPhoneのカメラロールに保存してほしい、とおっしゃいます。
 これまでにやったことのない操作だったので、戸惑っていると、目の前にあるスマホ売り場で教えてもらえるので今すぐどうぞ、とのことでした。
 この担当者は、iPhoneの操作は得意ではないようです。

 それにしても、ここは本職がカメラやパソコンやネットワーク屋さんなので、何でも教えてもらえます。総合病院に入って意味不明の病気を診てもらっている気分です。

 走って携帯電話売り場へ行き、暇そうにしている店員さんを捕まえて聞きました。すると、即座に、メッセージに届いた写真を「画像を保存」にするとカメラロールに収納される、とのことです。
 確かに、無事にカメラロールに保存されました。

 またプリントサービスコーナーに走って戻り、ずらりと並んだ端末の一つでプリントの操作をしてもらいました。このコーナーには、こんなマシンが30台近くも並んでいました。


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 実際に操作をするマシンには、iPhone の端子が取り付けられています。
 iPhone からのプリントが多いのでしょう。それなら、店員さんもしっかりと iPhone の操作方法を覚えておいてほしいものです。
 もっとも、コンマ秒を争う事態に直面している私は、とても面と向かっては言えないことです。


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 読み込まれた写真データは、お店の中の別の部署で画質調整や大きさを、手作業で微調整されるようです。特注扱いです。
 しばらくすると、パスポート用のサイズで出来上がってきました。

 印画紙に2枚印刷されていて、料金は540円でした。

 それを持って、旅券センターへと走って戻ります。とにかくスピーディーに対処できたこともあり、楽々間に合いました。
 もっとも、受付が長い行列となっており、大分待たされましたが。

 申請書の最終確認をしていただいていたとき、それまでにいろいろと相談に乗ったり、心配してくださった2人の職員の方が、間にあってよかったですね、と優しい微笑みを投げかけてくださいました。お2人共に、とても今日間に合うとは思っておられなかったのです。
 よくぞ間に合いましたね、やったね、という顔で一緒に喜んでくださっていることがよく伝わってくる、満面笑みのお2人でした。優しいお気遣いに感謝です。

 隣で申請書類のチェックを受けておられた学生さんは、前髪が目にかかった写真なので撮り直しを指示されていました。また明日ということになり、がっくりとうなだれて帰って行かれました。
 パスポートの写真は、なかなか厳しい基準で見られているようです。

 それにしても、電光石火の早業とはこのことです。
 ネットが使えるからこその離れ業です。
 私も息子も、ネットワーク活用が仕事の中心なので、こうして不可能が可能となったのです。
 便利な時代になったものです。
 そして、何事も諦めてはいけない、ということを学びました。
 努力はきっと報われるのです。
 
 
 

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2015年7月 8日 (水)

電子版『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』の原稿募集

 本年度採択された科研「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」では、研究成果の公表や情報を共有する場を確保する意味から、電子ジャーナルを年1回刊行することになりました。

 雑誌名は、『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』(ISSN番号:2189-597X(仮))としました。

 視覚障害者が古写本などに書写されている変体仮名を触読することに関連する、「論文」「小研究」「研究余滴」「資料紹介」などの積極的な投稿をお待ちしています。

 投稿される前に、「『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』応募執筆要綱」をご覧いただき、執筆の意向を編集担当者にお知らせください。

 また、発刊後の電子版のイメージは、「『海外平安文学研究ジャーナル』(ISSN番号 2188ー8035)(オンラインジャーナル)」と同様の形式となりますので、当該サイトを参照し確認してください。

 「創刊号」の原稿に関しては、今月7月末までに仮の論文タイトル等を教えてください。

 お知り合いの方への伝言も、よろしくお願いいたします。

===


雑誌名:『古写本『源氏物語』触読研究ジャーナル』
      【ISSN番号:2189-597X(仮)】
 
1.論文分量 400字原稿用紙で30枚以上(12,000字以上)
 小研究(20枚以下)
 研究余滴(10枚以下)
 資料紹介(自由)

2.原稿表記 原則として日本語表記・横書き

3.原稿締切 9月末日

4.体裁 A5版の版面を想定したオンライン画面

5.推奨版面・活字11ポイント、27行×34字詰、余白上下左右20ミリ

・フォントは、MS明朝、Times New Roman

・節ごとに小見出しを付す

・注は版面ごとにそれぞれ下部にアンダーラインを引いて付す

・注番号は本文の当該箇所に丸括弧( )付きの数字で示す

・参考文献情報は、以下の情報を盛り込むこと

著者名、論文名/書籍名/コラム名、巻号数、掲載頁、出版社、(掲載誌名/新聞紙名/媒体名)、刊行年(新聞の場合には発行日付)。

海外の書籍の場合には出版地名、Web媒体の場合にはURL。

(参考文献書式の例は後掲)

6.原稿入稿 ワード文書およびエクセルデータをメールに添付して送付

・問い合わせ 送付先アドレス【ito.tetsuya@mac.com】

7.校正 執筆者の校正は初校のみ。

・ただし、公開から1年以内に1度だけ改訂版に差し替え可能

・10月23日(金)までに仮版ができるようにいたします

8.図版・写真など 掲載許可が必要な場合、原則として資料手配、使用料は執筆者の負担。
 図版・写真は、原稿枚数の中に含む

表記・参考文献書式(参考)

・書籍名:『源氏物語』『日本の仮名文字』

・論文、章名:「触読用文字の大きさに関する研究」「第1章 点字の歴史」

・人名:石川倉次、ルイ・ブライユ(Louis Braille)


 
参考書籍書式例

1 書籍

(日本):著者名『書籍名』pページ、校註・訳者名(出版社、刊行年)

『新編 日本古典文学全集21 源氏物語2』p161、阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男 校註・訳(小学館、2000)

伊藤鉄也編『ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」』p17(新典社、2013)

(海外):著者名, 斜体書籍名, pページ, 校註・訳者名, 出版地, 出版社, 刊行年.

Mario Rossi, Fascino del racconto di Genji, p.172, Roma, Tradizione, 1985.


2 論文

(日本):著者名「論文名:副題」『掲載誌名』(発行号数)、pページ、発表年

伊藤鉄也「海を渡った古写本『源氏物語』の本文:ハーバード大学蔵「須磨」の場合」『日本文学研究ジャーナル』(2)、p113-128、2008

(海外):著者名, “論文名:副題”, 斜体掲載誌名 発行号数, pページ, 発表年.

John Doe, “Codex of the Tale of Genji”, Succession 6, p.75-91, 2002.

※ 書籍からの引用もこれに準ずる


3 新聞

(日本):「記事名」新聞紙名(発刊月日)、発行年

「ルイ・ブライユ生誕200年」○○新聞(1月4日)、2009

(海外):記者名, 記事名, 新聞紙名(発刊月日), 発行年.

Jean Dupont, Vie de braille de Louis, ABC(Juillet 7), 2010.


4 オンライン文献

(日本):著者名「記事名」URL

伊藤鉄也「立体コピーで変体仮名を浮き上がらせる」http://genjiito.sakura.ne.jp/touchread/

(海外):著者名, “記事名”, URL

Jane Doe, “Aiming at universal design”, http://genjiito. sakura.ne.jp/touchread /


5 映像資料

(日本):監督名『タイトル』配給/発売、公開/発売年

アーサー・ペン『奇跡の人』東和、1963

(海外):監督名, 斜体タイトル名, 配給/発売,公開/発売年

Arthur Penn, The Miracle Worker, United Artists Entertainment LLC, 1962

※DVDの場合はタイトルの後に括弧書きで(DVD)、ダウンロード販売の場合は(DD)と併記する(DD=Digital distribution/ダウンロード販売)。

===
 
 
 

2015年6月26日 (金)

池田研二先生と共に奈良から鳥取へと移動

 昨夜11時に新宿の都庁前を発ったバスは、天理駅前に予定よりも早い朝5時55分に着きました。


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 駅前で食事をしたりしてのんびりした後、池田研二先生のお供として天理図書館へ行き、研二先生の父池田亀鑑蔵書群(桃園文庫)について、貴重な話を伺いました。

 それとは別に、私が現在の関心事としている、視覚障害者と一緒に古写本『源氏物語』を読む課題に直結する、これまでまったく情報を持っていなかった本の存在を知りました。
 それは、「行儀作法の書」(1875年刊)と、「盲人のための印刷法手引き書」(1820年刊)です。共に浮き出し文字(凸字)による本で、立体的にアルファベットが触れるものです。
 これについては、今日は見かけただけなので、今後さらに調べてみます。この本について何かご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示のほどをお願いします。

 お昼に天理図書館を辞してからは、研二先生と一緒に、大和路快速・新幹線のぞみ・特急やくも等の列車を乗り継いで、池田亀鑑賞の授賞式が行われる鳥取県の日南町に入りました。

 私が事前に時刻表で組んだのが、乗り換えが10分以内という、実に強行なタイムスケジュールでした。そのために、80歳という研二先生には慌ただしい思いをしていただくことになりました。申し訳ありません。その日の明るい内に日南町の宿に入るためには、このルートしかなかったのです。

 列車の中では、長旅の時間を忘れるほどに、ずっと研二先生と喋り詰めでした。
 興味深い貴重なお話をたくさん聴くことができました。得難い収穫の多い一日となりました。


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 目的地である生山駅には、池田亀鑑文学碑を守る会事務局長の久代安敏さんが、いつものように出迎えに来てくださっていました。雨が上がったばかりの中を、毎年お世話になっている「ふるさと日南邑」に身を休めることとなりました。

 部屋からは、これまたいつものように、雲を被った山々が望めます。
 今年も来たな、という思いを胸に、明日の授賞式と講演会と追体験会の準備をすることとなりました。


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 昨年までとは違うことに気付きました。「ふるさと日南邑」の館内に無線LANが敷設されたのです。
 いつもは iPhone のテザリングか、事務所の LAN を借りてインターネットにつなげていました。それが、部屋にいながらにしてネットにつながるのです。これは一大変革であり、快適な滞在地となります。情報化社会への対処はありがたいことです。
 
 
 

2015年5月22日 (金)

有明での教育ITソリューションEXPO(EDIX)雑感

 江東区有明にある東京国際展示場「東京ビッグサイト」で開催中の「第6回 教育ITソリューション EXPO(EDIX)」に行ってきました。
 これは、教育分野においては日本最大の展示会で、広大な会場に620社が出展していました。


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 教育現場におられるみなさんが、日頃の山積する課題を解決する手掛かりを得るために、新しい発想による知的刺激に満ちた製品やツールを、直接見聞きする出会いの場となっています。「日本最大の学校向けIT専門展」といわれるゆえんです。

 全国各地から学校と教育関係者がいらっしゃっていることが、会場を回るだけでわかります。
 eラーニングや教育教材の開発に関する出展が目立ったのは、私の問題意識がそこにあったからでしょうか。

 事前にウェブサイトで、「特別支援教育教材・コンテンツ」というジャンルの出展カテゴリーで検索したところ、24件の業者がリストアップされました。
 今回は、全620社のブースはくまなく見ました。特に、あらかじめリストアップした24社の展示場所は、可能な限り展示物と説明パネルやパンフレットを確認するようにしました。

 しかし、実際に目の不自由な方と一緒に『源氏物語』の古写本を読むためのヒントがもらえる出展は、たった3社にしかすぎませんでした。これにはがっかりしました。
 各企業共に、まだこうした支援教育の分野には手をつけておられないようです。
 今後に期待しましょう。

 今日の時点では、今後とも協力が得られる会社との幸運な出会いは、残念ながらありませんでした。しかし、次の3社とは可能性があると思って、名刺交換をしました。記録ということで、以下に紹介がてら書き留めておきます。
 
(1)シナノケンシ株式会社の「PLEXTALK Producer」
 これは、「音声を聞きながら、同時に絵や写真を見ることができる。」というところに、私の注意が向きました。
 『源氏物語』の写本の立体文字を触りながら、音声による説明が聞ける仕掛けを創る際に、もう一工夫すれば活用できそうです。
 「マルチメディアDAISYが作りやすいソフトウェア」だとか、「ルビや発音設定による読み情報補正機能を搭載」という宣伝文句も、気に入りました。
 予定している『変体仮名触読字典』や『点字版古文学習参考書』でも、有効に活用できるものになりそうです。
 福祉・生活支援機器ビジネスユニット プロジェクトリーダーの西澤さんには、私の名刺と一緒に、科研「挑戦的萌芽研究」の内容をまとめたチラシを手渡しました。


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 私のプロジェクトに魅力を感じられたら連絡をください、と一言申し添えることを忘れませんでした。
 科研のテーマである「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」という長い文字列は、よく意味がわからなかったのか視線が動いたのは一瞬でした。
 しかし、この会社の製品との接点はありそうなので、『源氏物語』という語句に興味を示され、連絡があることを待つことにします。
 
(2)東芝ソリューション株式会社の「音訳支援クラウドサービス DaisyRings™」
 これは、今日のプレゼンテーションを見て興味を持ったものです。
 音声合成を活用してオーディオブックの作成を支援するものなので、『源氏物語』の古写本に書写された物語本文を、翻字データを参照しながら読み上げたり、変体仮名の説明に活用できます。
 また、膨大な手間と時間のかかる音訳作業において、これはその軽減化に一役かいそうです。
 今年の7月からサービスを提供するとのことでした。
 官公ソリューション事業部 事業推進部 参事の木田さんの名刺をいただきました。
 こことも、接点がありそうなので、今後の連絡を楽しみに待つことにします。
 
(3)光村図書出版の「国語デジタル教科書」
 eラーニングと一緒に、デジタル図書やデジタル教科書の展示はたくさんありました。
 その中でも、今日のところは、光村図書出版の「国語デジタル教科書」に目が留まりました。
 また、「書写デジタル教科書」や「わくわく古典教室」と「わくわく漢字伝」も、目の見えない方々と一緒に古写本を読むときに、有効活用できそうな手法が盛り込まれているように思われます。
 

 今回、展示会場を駆け回り、教育分野でのITがおもしろい展開を見せていることを実感しました。

 私は数十年前に、大阪府立高校2校のコンピュータ導入にかかわりました。機種選定に留まらず、部屋のレイアウトや床下配線等々…… 他に人がいなかったことと、提案者として責任を取らされた、という事情もありました。
 やっと2バイトのひらがなと漢字が使えるようになった時代のことです。

 また、短期大学での情報教育文具としてのコンピュータの導入にも深く関わりました。そのときは、ネットワークを活用した教育支援システムを、マッキントッシュ50台で組みました。
 国語や文学・語学教育にコンピュータがどのように活用できるのか、先が見えない中でひたすら夢を描きながら挑むことができた、コンピュータ元年といわれていた過去の話です。
 懐かしく思い出すと共に、今日の熱気を肌身に感じて、今後とも教育分野の変化が楽しみになりました。

 そうした中での、目が見えない方々と一緒に古写本を読む試みは、このIT分野の参加協力なしには実現しないことはわかっています。
 よきパートナーとの出会いがありますように。
 今後とも、人と情報と物を求めて、可能な限り出歩いていきたいと思います。
 
 
 

2015年5月14日 (木)

大阪府八尾市にある会社へ立体コピーの調査に行く

 JR八尾駅に久々に降り立ちました。というよりも、私が知っている50年前とは、当然のことながら様変わりしています。


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 八尾市は、私が中学生時代を過ごした所です。南高安中学校での部活動では、卓球をしていたので、八尾市の各校であった卓球大会に何度も参加しました。一番よかった成績は、市のベスト4でした。この駅の周辺の学校にも、試合で来た思い出があります。
 高校は、今日行った会社の前にある八尾高校ではなくて、大阪市内の高校へ行きました。
 それでも縁とは不思議なもので、この会社の近くのワインやお酒関係の会社に、数年前に2度ほど所用で来たことがあります。そんなこともあり、ここは遠くに来たという意識はありません。

 それはさておき、今日は松本油脂製薬(株)に、目の見えない方々のために活用できる立体コピー機のことで聞き取り調査に行ったのです。


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 あらかじめ連絡をしておいたので、この本社の第三研究部副主任の徳村さんに、いろいろとご教示をいただくことができました。
 盲人用の立体コピーシステムについて、私の知識をさらに確かなものとする、いい機会となりました。徳村さんには、長時間のご教示に感謝します。ありがとうございました。

 文字が浮き出る仕組みについては、展示室にあった次のパネル(「立体コピーシステム」と「熱膨張マイクロカプセル」)をご覧ください。


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 実際に活用されている立体コピー作成のシステムを見せていただきました。

 まず、紙の表面に数億個の熱発砲マイクロカプセルを塗布したA4用紙を用意します。松本油脂が開発したこの「カプセルペーパー」には、光や熱のエネルギーを吸収して瞬間的に数百倍に膨張する、小麦粉のようなマイクロカプセルが塗布されているのです。
 それを、立体コピー複写機に通すと、少しだけ文字が膨れ上がったプリントが出てきます。
 これは、複写機の熱に対して、紙に塗布されていた熱発砲マイクロカプセルが少し反応したための現象です。


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 これを、さらに立体コピー現像機に通します。
 この写真では、横にあった説明パネルを合成しています。


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 先ほどの紙を、この立体コピー現像機に通すと、このような状態で出てきます。


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 この立体コピー現像機が、先日紹介した、立川市中央図書館にあった機械(2015年03月17日)の最新機種だとのことでした。
 今日拝見した機械には、次の銘板が認められました。


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 次に、この立体コピーに装飾を施すところも見せてくださいました。これは、黒い文字を金色にする、デコレーションです。インクリボンを使ったカラープリンターを思い出せばいいと思います。かつて私は、アルプスの熱転写カラープリンターを使っていたので、この仕組みはよく理解できました。


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 なお、この立体コピーでは、青色や緑色はコピーできないことがあるようです。

 以下、徳村さんから伺ったお話のメモを忘れないうちに記し留めておきます。


・立川市中央図書館で使ったカプセルペーパーは20年前のものでした。しかし、原理は20年前と基本的には同じなので、そのまま使えるそうです。もっとも、新しいカプセルペーパーは、ベースとなる紙が改良を経てよくなっているそうです。

・現在は、パソコンから立体文字が打ち出せるようにもなっている。

・立体コピーは、名刺や足形などに活用されている。

・私が持参した木に浮き出させた文字のように、高低差をつけることは難しい。
 ただし、色付きのコピーを活用すると、高低差を出せるかもしれない、とのことでした。
 このことは、まだ実験していないので、やってみないとわからないようです。

・両面印刷の立体コピーはまだない。
 片面ずつ印刷した立体コピーを、水溶性の糊で張り合わせれば、後で両面のものを作成することは可能。

・この立体コピーには、自由に書き込みができる。
 筆記用具に影響されない。

・この立体コピーが何枚まで重ねられるかは、まだ加圧テストをしていないのでわからない。

 私のような素人の質問にも、丁寧に答えてくださいました。
 徳村さん、本当にありがとうございました。

 帰りに、展示室でTシャツに絵を立体的に印刷したり、グラスに立体文字を印刷してあるものを拝見しました。


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 この立体コピーについては、点字触読実験などがなされています。渡辺哲也・大内進「触読しやすい立体コピー点字のパターンに関する研究」(国立特殊教育総合研究所紀要、第30号、2003年)などの資料を何種類かいただきました。また後日紹介します。
 この著者の1人である大内進先生には、今回の「挑戦的萌芽研究」の連携研究者になっていただいています。

 このカプセルペーパーを利用したものは、今後ともさらに有効活用が想定されます。
 この松本油脂製薬(株)と松本興産(株)の、今後のさらなる発展を楽しみにしたいと思います。
 
 
 

2015年4月15日 (水)

科研(基盤研究A)で公開している「海外源氏情報」の現状

 平成25年度秋から取り組んでいる科研(基盤研究A)の「海外における源氏物語研究及び各国語翻訳と日本文化理解の変容に関する調査研究」では、順調に情報の公開をホームページを通して進めています。

 例えば、『源氏物語』の翻訳史に関する情報は【211件】、平安文学の翻訳史に関する情報は【569件】となりました。
 また、論文検索のデータベースは2種類あり、「翻訳 - 源氏物語・平安文学論文」が【384件】、「海外 - 源氏物語・平安文学論文」が【124件】となっています。

 これらは、今後とも随時更新していきます。御自身で執筆なさった論文や翻訳、及びお知り合いの方々の情報がございましたら、遠慮なくお知らせください。現在は、ほとんどがネット上で確認できるものを収集しているものなので、自ずと限界があります。連絡をいただければ、早急に追加していきたいと思います。

 このように調査、収集、整理して公開している情報が多岐にわたり、情報発信母体のどこに何があるのかが、容易に見つけ難くなってきたようです。そこで、現在の状況を「サイトマップ」として整理していただきました。

 本科研のホームページである「海外源氏情報」(http://genjiito.org)のトップページの最下段右端に、小さな「Site MAP」というボタンがあります。これをクリックしていただくと、以下の画面となり、確認したい項目に行けるようになりました。

 情報の大海原に漕ぎ出して、多彩な情報との出会いをお楽しみください。


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2015年4月 7日 (火)

居場所をなくした印刷物としての書籍に代わるもの

 Aさんの著作集(全3巻)が刊行されました。
 ご縁のある方が研究成果を集大成された本なので、出版社からも購入依頼が来ました。しかし、しばらく思案した末に、私はそれを買わないことにしました。お断りしたのは初めてです。

 申し訳ない思いでいます。しかし、大部の本を記念として購入しても、その置き場がないので、すぐに処分のことが出来します。著者に失礼なことをせざるを得なくなることが明白なので、その前にお断りしたしだいです。

 8年前に、20年間住んだ奈良の新興住宅地から京町家へ引っ越しをする時に、大量の本と雑誌を処分しました。
 そして3年前に、賀茂川を隔てた今の家に転居した時にも、奈良からの時以上に本を処分しました。

 トラックの荷台には、いくら詰め込んでもいいということでした。そこで、書棚から取り出して玄関に積み上げられた本を、表題のみならず中身も確認せずに、どんどん荷台に移しました。
 それでも、今の家に移ってすぐに2階の本を1階に下ろし、またまた処分して対処しました。

 木造家屋に本を置くのは、もう限界です。しかも、2年後には東京から京都へと、20年近く東京で使い持っていた荷物を引き上げることになるのです。

 立川の職場と深川の宿舎は、共に鉄筋の構造物なので、本があってもびくともしません。しかし、これらを京都の家に運び込むのは、容量も重さからいっても不可能です。またまた、大量に本を処分せざるを得ません。
 そのためもあって、家のすぐそばに学術研究のための総合資料館が来年には開館する地域に住むことにしたのです。

 私は、物語や小説などの読み物は、印刷された本でしか読みません。活字による印刷本でないと、読んだ気がしないのです。それでいて、これらは、読み終わった後に片っ端から処分することにおいて、何もこだわりがありません。

 問題は、お世話になった先生方や研究仲間の専門書です。これらは、読み返すことが想定されます。
 そこで、確認したり調べる目的で再度目を通す可能性のある本は、資料として電子化するようにし出しました。本の背中から裁断して、スキャナを使ってPDFにするのです。こうしてデジタル化しておくと、パソコンで検索ができるので、本自体は処分しても実害はないのです。一石二鳥です。また、裁断した本は、そのままゴミとして出しても抵抗感がありません。
 
 それにしても、印刷物としての書籍について、あらためて考えてしまいます。
 今のまま、紙に印刷して製本して刊行され続けることでいいのか、と。

 京都の自宅に置く本は、相当厳選されたものになります。それ以外は、図書館やネットを活用して、読んだり利用することになります。

 今、私が書くものは、資料として印刷物にして刊行するもの以外は、可能な限りネットに公開しています。出版社から書籍として刊行するものは、資料集以外は考えていません。つまり、自分が書いた文章を一冊の書物として印刷出版することは、もうまったく考えなくなったのです。

 私に何かがあった時には、これまで書いたもので意味のありそうなものだけを編集して300部ほど印刷し、全国の大学の研究室や図書館や資料館に寄贈してもらえれば十分です。

 こんな考え方になってみると、若い頃にお世話になった出版社や書店に対して、複雑な思いを抱きます。研究書を刊行することは、自分の研究生活においての励みでした。しかし、今は書籍に、そのような意義が認められないのです。

 印刷物としての本が、これからどうなっていくのか、一頃よりも気にならなくなりました。少なくとも、論文を集めた研究書は、姿を消して行くことでしょう。大学や研究所が、盛んにリポジトリとして論文等をアーカイブズとして公開しています。国文学研究資料館でも始まりました。これを受けて、資料集も、デジタル化による供給が加速していくでしょう。

 現在私は、科研の報告書を『海外平安文学研究ジャーナル』という電子ジャーナルとして公開しています。『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』も、印刷物と電子版の両方で公開しました。
 これからは、わざわざ印刷までして刊行する研究成果は、しだいに減っていくことでしょう。
 書籍の置き場に困っている私にとって、これは歓迎すべき流れです。

 印刷物としての本は、図書館で読み・借り・活用する、という姿が、数年後には普通の情景となっていることでしょう。各自が自宅に本を常備する時代は、もう来ないように思われます。それだけに、全国各地の図書館の充実が課題です。

 本を持たないことと、本を読まないことは、まったく別の問題です。
 スマホの普及によって、本を読む機会が少なくなった、と言われているのも的外れです。
 そもそも、書籍の役割と占める位置が変質してきたのです。
 社会における書籍の居場所がなくなったのです。

 それでは、出版社は何をするのか。
 新たな発想による、出版社の社会における役割が求められます。

 書店も、早くから、その役割を終えたと言われています。しかし、ブックオフの様子を見ていると、本を求めている人は多いのです。マンガだけではないのです。
 現に、ブックオフには、多くの人が足を運んでいます。私も、よく立ち寄ります。ここは、今後の本の流通で、一つの役割を果たす施設となりそうな予感がします。

 これからは、これまでのような書籍を生み出す場所と、それを流通させる場所に、確実に変革が生じます。そして、ネット空間に流れる情報のとりまとめと情報の仲介役が、これまでの本の概念を分散させて存在を主張すると思われます。
 個人の好みに応じた新たな情報発信拠点が、居場所の提供と情報を活用する技術の育成を担当します。新たな書斎として機能する場所が、これから構築されていくことでしょう。それは、実際の建物としてであり、また仮想空間に構築されるスペースであることが想定できます。

 そんなことを思いながら、東京にある本のすべてをどうやって処分したらいいのか、明日からの現実問題としての廃棄方法を思案しています。
 
 
 

2015年4月 6日 (月)

渋谷版「定家本原本・翻字」が「変体仮名混合版」として再生

 多くの方々が閲覧参照なさっている渋谷栄一氏の「源氏物語の世界」の冒頭部「最新情報」に、以下の告知がなされています。


最新情報:
 第11帖「花散里」と第36帖「柏木」の定家本原本「翻刻資料」(修訂版ver.2-1)を「漢字仮名混じり字母翻字版」に改訂して更新(2015年4月5日)。
 現在、旧本務校(高千穂大学)のホームページ上に作成し、リンクさせていた「翻刻資料」が繋がらなくなってご迷惑をお掛けいたしておりますが、順次「漢字仮名混じり翻字版」としてその修訂版を作成中です。
 なお、この修訂版作成には畏友伊藤鉄也氏(国文学研究資料館教授)のアイデアに依るところ大です。敬意を表します。この版に対するご意見やご感想をお待ちしております。

 これは、「花散里」と「柏木」の定家本原本の翻字に関して、「漢字仮名混じり字母版」として公開する旨の公告です。

■「花散里」漢字仮名混じり字母版

■「柏木」漢字仮名混じり字母版

 今後は、明融臨模本、大島本等の「翻刻資料」も順次「漢字仮名混じり字母版」に改訂していきたい、とのことなので、その完成が待たれます。

 『源氏物語』の写本の正確な翻字については、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の活動の一つとしても、「変体仮名混合版」の形式に着手し出したところです。
 今後は渋谷氏とも連携して、膨大な『源氏物語』の本文データベースの完成を目指したいと思います。

 なお、この渋谷氏の『源氏物語』の本文に関するデータベースについては、以下の記事で報告したとおり、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉がそのさらなる成長を支援しているものです。
 今回は、その一部がさらに拡充されたことになります。

「渋谷版ウエブサイトのNPO法人〈GEM〉への譲渡契約が成立」(2014年02月19日)

「NPO設立1周年記念公開講演会のご案内」(2014年03月12日)

 また、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉のホームページでも、このデータベースを確認していただける窓口を用意しています。

「■渋谷栄一氏より委譲「源氏物語の世界」」

 興味と関心をお持ちの方は、この新しい翻字データベースの構築に参加してみませんか。
 本ブログのコメント欄を利用しての連絡を、お待ちしています。
 
 
 

2015年4月 1日 (水)

速報・科研費「挑戦的萌芽研究」で内定通知をいただく

 新年度がスタートした今日、新規プロジェクトとして申請していた科学研究費補助金による私の研究テーマが採択された、という内定の連絡をいただきました。

 昨年の5月5日に、東京・渋谷の温故学会で「塙保己一検校生誕 第268年記念大会」が開催されました。その記念講演として、私は「英国ケンブリッジ大学と米国バージニア大学の『群書類従』」と題するお話をしました。

「早朝の地震の後、渋谷の温故学会へ」(2014年05月05日)

 その時の懇親会で、目の不自由な方々と一緒に『源氏物語』の写本が読めないか、というかねてよりの問題意識を話題にして以来、その課題解決に取り組んで来ました。

 昨秋、私とは専門を異にする先生方のご理解とご協力を得て、日本学術振興会に「挑戦的萌芽研究」の分野で新たな科研費研究を申請しました。それが、本日、幸運にも内定通知をいただくことになったのです。

 現在私は、科研費研究としては、「基盤研究(A)︰海外における源氏物語研究及び各国語翻訳と日本文化理解の変容に関する調査研究」(課題番号:25244012、平成25年度〜28年度)に取り組んでいます。
 今回採択された「挑戦的萌芽研究」も平成28年度までの2年間なので、この2つの科研費研究は私が定年となる2年後に、共に終了となります。
 その意味では、これが私にとっては最後の公的資金を導入した研究となります。
 「基盤研究(A)」の方は着実に成果をネットに公開しているところなので、共に稔りある研究となるように努力したいと思います。

 今回新規に採択された課題遂行上の条件など、詳細な情報は追って通知が来るそうです。
 早速、以下のテーマとメンバーで、このプロジェクトの計画を推進する準備にとりかかります。


研究種目:「挑戦的萌芽研究」(平成27年〜28年)
分野:社会科学
分科︰教育学
細目︰特別支援教育
細目表キーワード︰視覚障害・聴覚障害・言語障害
細目表以外のキーワード︰古写本・仮名文字
研究課題名:「視覚障害者と共に古写本の仮名文字を読み日本古典文化を共有するための挑戦的調査研究」
課題番号︰15K13257
研究経費:4,896,000円(2年間、申請額)
研究組織:伊藤鉄也(研究代表者)・広瀬浩二郎(連携研究者)・大内進(連携研究者)・中野真樹(連携研究者)・高村明良(研究協力者)・岸博実(研究協力者)・間城美砂(研究協力者)・淺川槙子(研究協力者)

 
 なお、この新規プロジェクトの申請書には、次のように「研究目的」を記しました。


 現在、視覚障害者(以下、触常者という)の読書活動は受動的である。近年、パソコンの活用により、触常者の読書スタイルが多様化し豊かになった。しかし、点字と音声だけでは、先人が残した文化遺産の受容に限界があり、温故知新の知的刺激を実感し実践することが困難である。そこで、日本の古典文化を体感できる古写本『源氏物語』を素材として、仮名で書かれた紙面を触常者が能動的に読み取れる方策を実践的に調査研究し、実現することを目指すこととした。墨字の中でも平仮名(変体仮名)を媒介として、触常者と視覚に障害がない者(以下、見常者という)とがコミュニケーションをはかる意義を再認識する。触常者と見常者が交流と実践を試行しながら、新たな理念と現実的な方策の獲得に本課題では挑戦するものである。

 解決すべき課題が山積しており、容易に実現しないと思われる研究テーマです。しかし、刺激的な異分野の仲間と共に、失敗をおそれず挑戦的にテーマへの体当たりを敢行したいと思います。

 今後とも、さまざまな視点からのご教示を、よろしくお願いいたします。
 
 
 

2015年3月30日 (月)

京洛逍遥(348)京大病院の帰路に御所でお花見

 京大病院の糖尿病栄養内科で、2ヶ月毎の定期的な診察を受けました。
 この1年間の私のヘモグロビン A1cの値は、次のように推移しています。


2014年01月 7.1%
2014年04月 7.3%(ちょうど1年前)
2014年07月 7.2%
2014年09月 6.9%
2014年10月 7.0%
2015年01月 7.1%
2015年03月 7.3%(今日)

 年間を通して、7.0%前後となっています。そして、3月・4月が高くなり、9月・10月が低いようです。寒い時期には、糖質を摂ることが多くなるのでしょうか。

 とはいえ、数値が高いことに変わりはありません。日本糖尿病学会の推奨目標値は6.2%なので、危険ではないとしてもよくないことは確かです。
 もっとも、私は消化管をすべて切除しているので、血糖値が高く出るのはしかたのないところです。それを考慮して、主治医の長嶋先生は適切なアドバイスをしてくださいます。

 今日も、数値が大きく変動していないことと、体重が50キロ前後で変わらないので、このまま様子を見ましょう、ということになりました。
 また、私は食事を1日に6回食べています。それについても、1度に食べられないのであれば、小分けして栄養を摂ることを優先した方がいい、とおっしゃいました。ヘモグロビン A1cに一喜一憂するよりも、しっかりと身体を作りなさい、と。1日に食事を摂る回数が多いせいもあって、血糖値が高止まりするようです。

 今後の注意点は、貧血ぎみの状態がずっと続いているので、仕事で無理をしすぎないことと、鉄分を十分に摂取するように、と言われました。
 これは、自分でも気をつけていることです。しかし、それでも大幅に足りないようなので、これまで以上に鉄分を特に意識した食事にしたいと思います。
 それにしても、名前に「鉄」が付いているというのに、何とも両親に申し訳ないことです。

 京大病院の改修工事が進んでいます。駐車場がどのように変わるのか楽しみです。


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 2010年の8月から9月にかけて、私はこの写真のブルーシートの背後に少し顔を覗かせている、ガン病棟「積貞棟」の6階にいました。ブログを見るまでもなく、記憶に新しい日々です。
 その6階から見えた京都市街の景色が、この工事でどのように変わるのでしょうか。病室から見下ろす京都の街は、いろいろなことを想像させてくれました。王朝人が歩いた街を眺めるのも楽しいものでした。

 烏丸御池の交差点そばに、在原業平邸址の石柱があります。その横に設置された自動販売機のパネルが、春らしい歌に変わっていました。

  世の中に 絶えて桜の なかりせば
   春の心は のどけからまし


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 市内は自転車で移動する私にとって、その途次の折々にここに立ち寄っています。
 昨年の夏以降は、次の歌でした。

  大原や 小塩の山も けふこそは
    神世のことも 思出づらめ

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 この間に、もし別の歌が掲示されている期間があったとしたら、写真とともにご教示いただけると幸いです。
 この自販機メーカーに問い合わせるといいのでしょう。しかし、自分の楽しみとして、この移り変わりをこの目で確認したくて、こうして立ち寄っているのです。

 烏丸四条の大垣書店内にあるクイックガレージで、私の iPhone が使い物にならなくなっていることの相談に行きました。その際、すぐに本体交換という対処ではない対応をお願いしました。
 iPhone 6の発売以来、半年でこれが3台目なので、本体交換で逃げる対処では4台目になるだけです。またしばらくしたら使い物にならなくなって、5台目となるのがわかっているからです。

 アップルがこの不具合についての説明をしてくれないので、アップルの言いなりになるアップルストアのジーニアスバーの店員さんではなくて、それ以外の対面相談ができる場所で、対応に当たった方の力量に頼るしかありません。アップルは、この原因を知っているはずです。しかし、それには蓋をして、本体交換でごまかしているのが実情です。

 今日の対応に当たられた方は、なかなか優秀でした。その方から提案されたことはすべてやったことでした。それでも、アップルがしてくれなかった、教えてくれなかった、これまでにない提案が2つあったのは収穫でした。その1つである「DFUモード」に関する情報は、初めて知りました。

 今それを自宅でやっているところです。バックアップしてあったデータの復元に、すでに3時間が経過しています。まだまだステップが残っています。明日の朝には終わるでしょうか。どうせ日本語入力がモタモタして使えなかった iPhone なので、家にいる限りは使えなくても実害はありません。外出した時に、iPhone は重宝していたのです。過去形で語らなければならないのが、アップルユーザーを自認する私にとって哀しいところです。
 この復元の結果、不出来な iPhone 6がどう変身してくれるのか、明日を楽しみにしたいと思います。

 さて、四条からの帰り道、京都御苑の中にある御所周辺をブラリとサイクリングしました。

 建春門前の桜は、まだ蕾です。


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 ここから北に進んで東北隅の鬼門に当たる猿ヶ辻に至ると、開花した桜で様子が明るくなります。
 御所の一番北側の塀沿いにある、今出川御門近くの飛香舎(藤壺)を望む桜が、今日は一番華やかに咲いていました。


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 さらに帰り道、葵橋の上から北山を望みました。


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 川沿いの桜はまだ咲き初めというところでした。
 満開のこの散策路は、薄紅を刷いたようなみごとな風景に変わります。その日が待ち遠しく思われます。

 一昨日の記事の最後に、自宅横を流れる白川疏水通りの夜桜を掲載しました。その桜は、今日の明るい陽の下では、多くの蕾を従えて花の宴とでも言うべき花の競演の真っ最中でした。
 心浮き立つ春の幕開けです。

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2015年3月24日 (火)

再録(20)NTT電話の怪(1998.7.28)

 不思議なことがあるものです。
 よくわからないままに、特に実害がない限りは問題にもならないことがよくあります。
 この話も、そんな部類に属することです。
 また、ここに出てくる「ISDN」とか「テレホーダイ」という言葉も、今では懐かしいものとなりました。
 通信環境は、この20年で一変しました。
 そんな変転の中での珍事といえる話です。
 
----------------- 以下、再録掲載 ---------------------
 
〔NTT電話の怪〕
 
 私が利用しているプロバイダー・奈良インターネット〈まほろば〉の接続電話番号の一つが変更になりました。そして、意外な出来事が今日ありました。

 我が家では、ISDNのアナログとデジタルの二回線をテレホーダイで利用しています。その内の、いつも利用する方のデジタル回線の番号が変更となるのです。今日、28日からとのこと。テレホーダイで登録している電話番号の一つを、NTTに変更してもらうことにしました。以下は、その顛末の報告です。

 まずは早速、我が家の担当支店であるNTT大和高田へ、フリーダイヤルで電話をしました。すると、116番に電話をして手続きをしてほしいとのこと。そこで116番に電話をすると、NTT奈良支店につながりました。
 テレホーダイの変更手続きをしたいという事情を説明すると、お宅の管轄のNTT大和高田支店が窓口になるので、この電話をそちらに転送します、とのこと。大和高田の方に変更の依頼をすると、私の身元確認をしてから、今は会社からですか、と聞かれたのです。いえ、自宅からですよ、と答えると、先方は怪訝そうに、奈良支店から転送されたので、と不審そうな声でした。

 我が家から116番に電話をしたら、奈良につながりました、と答えると、お宅の住所から116番をダイヤルすると、この大和高田支店につながるはずです、と仰るのです。
 そこで、最初から説明しました。

 まず、フリーダイヤルで我が家の集金や電話工事の担当である大和高田支店に電話をしたら、116番で手続きを、と言われたこと。
 そして、116番をダイヤルしたら、奈良支店につながったこと。
 そこから、大和高田支店に転送されたことを。

 すると、また電話口の方は、そんなはずはないと仰るのです。お宅から116番をダイヤルすると、管轄局であるウチの大和高田支店にかかるようになっている、とのことです。いや、事実を言っているのですというと、しばらく調べておれたが、理由がわからないので専門の人に相談するということになりました。それでも、そんなことは考えられないことなのだそうで、もう一度テストをしてみますと私から申し出て、一旦電話を切りました。

 そして、我が家の電話から116番をダイヤルすると、確かに奈良支店につながるのです。対応に出られた方に、先ほど電話をしたものだが、回線がおかしいようなのでテストをさせてもらった旨を伝え、再度大和高田に転送してもらい、このあるはずのない電話の迂回事象を、大和高田支店の方に納得してもらいました。

 聞くところによると、奈良県のNTTは、奈良支店と大和高田支店の二つでエリアを分けているそうです。そして、本年十二月にこの二つを奈良に統合する予定になっているようです。でも、まだ七月なので、と対応された方も不思議がっておられました。
 半時間後に調査の報告があり、最近、信貴山縁起絵巻で知られる我が町の電話交換機を、法隆寺のある隣の斑鳩町に入るようにしたことがあり、その時にデータが間違ったのかもしれない、とか、その時に何か不手際があったかもしれない、と、一応の返答をいただきました。

 そして、夕方また連絡があり、斑鳩町に回線を入れたときに、我が家のデータを入れ間違えたことが判明したのだそうです。そして、それは116番にかけるときだけのデータミスであり、他へ電話をしたときも遠回りをしてつながっていたのではない、との釈明がありました。

 今回の私からの指摘で、他のお客様にも迷惑がかかるところでした、私どもも助かりました、と仰っていました。感謝されても、そうでしたか、と答えるしかありません。

 それより、本当にこれまでの我が家からの電話が、116番だけが奈良局を通してかかり、いつも使う外線電話は奈良ではなくて大和高田につながっていたのでしょうか。我が家の山の下にある駅前には、無人の電話交換局があります。そこの電話交換機の仕組みのことは知りませんが、何となく不審な気持ちになりましたが、そう仰るのでそうなのでしょう。

 過去の電話代を調べるのは、面倒なのでしません。大体毎月一万五千円ほどでしょうか。これは、NTTのINSテレホーダイと遠距離電話用のDDIの利用料金を含めてのものです。
 私は携帯電話はタバコと同じで、人体に悪影響があると思っています。したがって、家族には自分たちの心身の健康と周りの人への迷惑をかけないために、利用を禁止しています。そのためもあって、月々の電話料金は、私や子どもたちがインターネットを使う家庭とすれば、こんなものでしょうか。というより、電話代の大半は、高校生の娘の分と思われるので、将来請求しようと思っているくらいなのですが。

 ということで、何やら不可解な出来事に遭遇しました。こんなことって、あるんですね。
 普段は、何も知らずにいるのでしょうが、たまたま116番に電話をしたことからわかった珍事です。
 機械というものは、本当に信用できませんね。
 というより、機械を操作する人間のミスも、常に考慮すべきなのでしょうね。

 それはともかく、対応してくださったFさんとKさん、お疲れさまでした。
 
----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年3月23日 (月)

再録(19-2)またMV社のこと(1998.10.01)

 この記事は、昨日の「再録(19-1)不可解なMVという会社(1997.3.28)」(2015年03月22日)のつづきです。

 17年前にこんなことがありました、という過去の記事を記録として保存していく連載ものなので、今は適当に読み流しておいてください。

 この一連の「再録」は、〈大和まほろば発 へぐり通信〉の【ハイテク問はず語り】というコーナーから発信していた情報群の一部です。

 ここでは、再録(19-1~4)として、MV社に関連する記事を集めてみました。

 なお、この記事を公開した時のインターネット活用のためのハード&ソフトは、過日の記事「再録(17)17年前の「私のコンピュータ経験と通信環境」」(2015年02月15日)から2ヶ月後ということもあり、次のようにさらなる進化を遂げています。
 当時は、とにかく秒針分歩の勢いでコンピュータが進化し、目まぐるしくハード&ソフトと通信環境が変転する時代でした。

●CPU:APPLE-PPC-7600 → APPLE-PowerPC G3(300Mz)
●OS:MacOS-8.0 → MacOS-8.5.1
●メモリ:160M → 320M
●HD:6G(内蔵)+4G(外付)→ 6G(内蔵)+12.7G(内蔵)

 それから17年経過した現在、私は次のようなスペックのノートパソコンを日常的に使っています。
 単位が「メガ」から「ギガ」へ、さらには「テラ」へと進化しています。このことには、目を疑うほどの環境の変化の中に身を置いている、といえます。

●CPU:MacBook Pro-Intel Core i7 (2.6 GHz)
●OS:MacOS X 10.10.2 (Yosemite)
●メモリ:16GB
●HD:SSD-1TB

 そろそろ、発想を転換した情報文具が現れてもいい頃です。
 来月発売されるウェラブルコンピュティングの一翼を担うはずの「アップルウォッチ」は、その先蹤となりそうです。

 クラウドがさらに進化し、テレビがこれまでの役割を終えて変身し、家電や自動車が自動化から手動化し、日常生活では喫茶店を始めとする飲食店や、文化施設としての映画館や図書館が、さらには学校がその役割を多様化させて行くことでしょう。

 高齢化社会では、スピードを競うシステムは適合しないと思います。
 自動化は、人にもの足らなさを感じさせます。
 我が家では、洗濯機を二層式に変えました。
 手動による感触は、生きていく上で大事な感覚を目覚めさせます。
 目で見る、耳で聞く、鼻で嗅ぐ、舌で味わう等々。
 その意味では、今のままでは、ネットショッピングや電子書籍には、未来がないと私は見ています。手触りが、目を瞑った時の感触が大事だと思うからです。

 物事の速度をゆっくりと落として、さまざまなことを手動化していかないと、人々は息苦しく感じると共に、満足した日々を送れないと思います。

 妄言多謝
 
 
 
----------------- 以下、再録掲載 ---------------------
 
〔またMV社のこと〈1998.10.01〉〕
 
 昨春、本【ハイテク問はず語り】の「2年目」の記事として、「不可解なMV社という会社(1997.3.28)」を掲載しました。そのMV社に関して、また不愉快な思いをしています。
 今度は、ソフトウェアではなくて、ハードウェアでの話です。

 現在わたしは、Macintoshの7600/200というパソコンを主に活用しています。ただし、8100/80AVという初代のパワーマッキントッシュも、現役で併用しています。その初代パワーマック8100を最新のG3マシンにするボードが開発されました。この夏にも店頭に並ぶはずが、どの店も入荷未定のためということで、予約の受付もしてくれませんでした。そのボードを、たまたま足を向けた大阪日本橋の「OAシステムプラザ」という店で見かけました。

 店頭にあったのは、CPUクロックが215MHzのものでした。8100をG3化するボードは、もう一種類、他社から発表されていますが、私はこのアメリカのニューワーテクノロジー社のボードをねらっていました。ただし、このボードの日本での発売元が、あのMV社であったために、過去の無責任で不愉快な対応にいやな思いをさせられていたので、積極的に購入するための手は打っていませんでした。
 実は、他の会社が扱ってくれたらと、密かに期待しながら待っていたのです。しかし、目の前にボードがあると、それも、他のどの店にも入荷していないボードを手にして、すぐに購入を決意しました。新たにG3マシンを買う気はなく、初代パワーマック8100を生き返らせたかったからです。
 私の8100は、その「OAシステムプラザ」で購入したものだったことも、一つの縁だと思われました。私のMacintoshの師である中村氏と一緒に購入したものだけに、愛着も思い入れも満杯のパソコンなのです。ただし、1994年4月に購入したものは「Quadra840AV」というものであり、その後、1995年1月にロジックボードをアップグレードして「8100/80AV」に格上げしました。最初からアップグレードを前提にして購入したものでした。

 とにかく、ここで買わない手はないと意を決しました。ただし、本当に欲しかったのは、もう一つグレードの高いCPUクロックが250MHzのものだったので、店員さんにそのことを尋ねると、念のために倉庫を探してくれて、ちょうど一つあったとのこと。
 出来過ぎた話のようですが、ラッキーなときはこんなものなので、「MAXpower G3 PDS 7100/8100 240/1M/160」というボードをすぐに貰いました。税込みで125,790円でした。ついでに、娘が使っている初代6100/66用のG3ボードを調べて貰ったのですが、これは入荷が未定とのことでした。

 さて、このボードを8100に取り付けるにあたって、とんでもないことがありました。
 説明書通りに作業を進めると、どうしてもボードに取り付けられている金具を半田で溶かして外すか、無理矢理力ずくで折り取って外すことになります。迷ったのですが、説明書通りに進めるために、それも熱を加えないためにも、ペンチで金具を切り取りました。そして、取り付けが終わってパソコンに電源を入れると、起動途中でストップします。

 後でわかったのですが、これはマニュアルの不備と説明不足のためであり、金具を外す必要はなかったとのことです。これは、MV社にいろいろな不具合を問い合わせている中でわかったことです。それがわかっているなら、なんとかその旨を商品に添付するか、ケースに注意書きを貼っておいてほしいものです。あの会社に誠意を感じないのは、こんなことがあるからです。

 電話での話では、金具を取り外したところを、絶縁テープを使って接触を防ぐとよいとのこと。その処置を施すとパソコンが起動するようになりました。すぐに対処方法を教えて貰えたということは、そのような事例が多くあるということなのでしょう。
 それはうまくいきました。ところが次に、起動したパソコンが不安定なのです。少し操作をすると、すぐに画面がフリーズするのです。後はウンともスンとも言わないので、背面のボタンを押して電源を切るしかなくなります。

 起きた症状は、以下のようなものです。


1-エクセル98は、起動途中でキャンセルされる。
 再度実行すると、日本語機能が働かなくなり、表示がすべて文字化けする

2-イーサーネットで他の機種とデータ転送をしている途中で、突然接続が切断される。

3-ウィンドウを開いてスクロールバーを操作中、数回スクロールさせると画面がフリーズする。
 リセットもできなくなり、やむをえず本体背面のボタンで電源を落とすことになる。

4-ソフトのインストール中にフリーズし、インストールできた分としてのファイルの断片がハードディスクに残る。

5-ダイアログウインドウ内で、ファイルやフォルダを選択中に、突然フリーズする。

6-アップルメニューを開いている内にフリーズする。

7-ファインダー上でファイルをコピーなどしているときに、ファイルをドラッグしてウインドウから引き出した瞬間にフリーズする。

8-コンフリクトを障害の原因と思い詰めていたために、コンフリクトキャッチャーで調べたりもしました。
 しかし、これもフリーズを繰り返すために、うまく検査できませんでした。

 MV社に電話をして、またまた、上記の症状を説明しようとすると、すぐに「8100/80AV」で使っているなら、すぐにそのボードを送り返してくれたら、不具合が起こらないようにして送り返してくれるとのこと。
 これまた素早い回答だったので、このような苦情がたくさんあったのでしょう。明日、早速送ることにします。着払いで送っていいかと確認すると、不明朗ながら「OK」とのことでした。
 また、21インチと17インチのモニタを二台接続して使用しているため、Radiusの「Precision Color」も使えるようにして貰いたいという希望も添えました。

 さて、後日戻ってくるボードは、うまく動くものになっているのでしょうか。結果が楽しみです。

 パソコン関連機器に関して、これまでに私がメーカーに商品を返送などしてまともなものに取り替えてもらったものを、思いつくままに列記しておきましょう。


 ○NECのPC-386マシン用内蔵3.5インチドライブ。親切でした。

 ○八戸ファームウェアのエプソンPC-386マシン用のFM音源ボックス。誠意を感じました。

 ○エレコムのハードディスク。この対応は失礼千万でした。

 ○シャープのビデオ機器。不誠実な対応はもう論外です。

 ○コンテックのパソコン用ビデオコンバータ。誠実に交換してもらいました。

 ○8100用アップル内蔵CD-ROM。交換してもらいました。好意的でした。

 ○8100用アクセラレータカード。ソフマップに引き取りの後、返金してもらいました。

 ○カシオのフリップトップ腕時計。無責任で不誠実でした。

 ○マグの17インチモニタ。宅急便で送るのが大変でしたが、誠意を感じました。

 ○ソニーの21インチモニタ。この対応には、大満足です。

 ○NECのターミナルアダプタ。二度とも好感の持てる対応でした。

 ○キャノンのレーザープリンタのトナー。取次のソフマップは、誠意のかけらもないものでした。

 たくさんの欠陥商品が店頭に並んでいます。私は当たりが悪いせいか、よく不良品・欠陥品を手にします。おかしいと思ったら、メーカーに返送することに限ります。とにかく、コンピュータ関連の商品は未成熟なのですから。

 昨春の「不可解なMV社という会社(1997.3.28)」という拙文の末尾で、次のように記しました。

 「日本のソフト産業を育てていくために一利用者がこのようにして協力をしていくのも、大変な忍耐と努力と資金と時間が必要であることが、お分かりいただけたでしょうか。日本のパソコンに関しては、ハードもソフトも製品の仕上がり以前の人間の問題が未成熟だと思われます。
 こんな業界を、われわれは、今しばらく、みんなで健全なものになるように根気強く育成していきましょう。」

 最近は、こうしたボランティア精神でパソコンに接することに、少し疲れました。
 以上のような不具合を解消するために、膨大な時間を費やすことは日常といえます。
 コンピュータがまだまだ未完成な道具であることを痛感しています。
 このような無駄としか言えない時間を、貴重な人生の中に設けなくてもいいように、パソコン業界はもう少し誠意のある商品の渡し方をしてほしいものです。
 というより、アメリカで開発されたものを横流しして日本の市場に投入するやり方は、どうも感心しません。
 日本で販売するにあたって、いろいろと工夫をしておられるのでしょうが、結果としては無責任で不誠実極まりない販売となっているのが多いのは事実です。

(つづく)
 
----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年3月22日 (日)

再録(19-1)不可解なMVという会社(1997.3.28)

 コンピュータとの付き合いが、すでに35年もの長きにわたっています。
 本ブログで何度か記したように、私の初めてのコンピュータ体験は、1980年のマイコンキット【〈TK-80〉(Training Kit μCOM80)】(日本電気 (NEC) 半導体事業部−現在のルネサス エレクトロニクス))でした。

 初期の頃、今から30年前は、まだ市場が未成熟だったこともあり、ハードやソフトの供給会社のユーザーサポートやサービスは、まさに手探り状態でした。

 そうした時期のあれやこれやを、4回に分けて再録しておきます。
 この一連の「再録」は、〈大和まほろば発 へぐり通信〉の【ハイテク問はず語り】というコーナーから発信していた情報を本ブログに取り込み、アーカイブズの一環とするものです。
 
 
----------------- 以下、再録掲載 ---------------------
 
〔不可解なMVという会社(1997.3.28)〕
 
 1994年6月に、「Photoshop2.5J」(フォトショップ)を購入しました。前後して、「Premiere2.0」(プレミア)も買いました。
 1994年10月に、「Photoshop3.0J」へのアップグレードが公表されました。しかし、いつまで待ってもその連絡が来ないのです。

 1995年2月22日、MV社の「MCユーザー管理センター」という所へ電話で確認すると、私のユーザー登録手続きが未了とのことでした。登録カードはちゃんと郵送していたのにですよ。すぐに登録作業をするので、それが完了したらバージョンアップの案内を送ってくれるそうです。のんびりしたのどかな話です。

 1995年5月上旬、バージョンアップ手続き書類がまだ届かないので、それを催促する電話をしました。

 1995年5月18日 「Photoshop3.0J」へのアップグレードの案内書が届きました。ただし、届けられた書類は前年秋に発送したと思われるものをコピーしただけの一枚の紙でした。それによると、アップグレード製品の送付は、94年11月発売以降とあります。半年以上も経っているのに「以降」という文面を送りつけるのは、間違いではないにしても、正常な神経ではないと思います。ましてや、お詫びの手紙があってしかるべきではなかったでしょうか。送られて来た封筒の差出人は、「MV社」となっていました。

 なお、封筒の中には、「Photoshop」の用紙だけで、同時に登録したはずの「Premiere」のバージョンアップ書類は入っていないのです。先の電話で、この二点の手続きをしたい旨の電話をしたのに、まったく話が通じていないようです。担当者はMと名乗られる方でした。社内で登録手続きをどのように管理しておられるのかは、一ユーザーには関係のないことです。早急にというより、すでに市場に新製品が出て半年以上経っているので、一日も早く送ってほしいのです。「Premiere」のバージョンアップ手続きの書類は、後日送ってもらえることになりました。

 「Photoshop」の振込などの手配を5月24日にし、製品の到着を待っていました。ところが一ヶ月半後の7月に送られてきた「Photoshop3.0J」の宅配便の中には、「Premiere」の書類がみあたらないのです。また、奈良の自宅から東京のMV社まで電話をすることにしました。昼間なので、電話代もばかになりません。すぐに送りますと言われましたが、それでもなかなか来ません。

 8月9日に、また電話をして催促をしました。その時に、サポートの窓口をMV社からシステムソフトに変更したい意向を伝えました。「Photoshop」は、いくつかの会社がユーザーサポートを請け負っていました。自分が購入した製品によって、サポートをどこが担当するか異なるのです。私の窓口変更の申し出に、何か言い訳をおっしゃっていましたが、手続き方法は結局私には理解できませんでした。その手続き書類も、ついに来ませんでした。

 さて、「Premiere」のバージョンアップ書類をやっとのことで手にしたのは、何とそれから1ヶ月後のことでした。それも、1年以上も前の「1994年6月吉日」と明記された「アップグレードのご案内」という紙キレです。もうバージョンアップをする気もなくなりました。当のソフトもしだいに使わなくなっていたので、この「Premiere」は更新せずにそのままゴミと化していきました。戸外の物置に転がっていた「Premiere2.0」を今回取り出し、挟んであったこれまでのやりとりのメモなどを見ながら、この文章を認めています。

 1997年3月28日、つまり、今日です。そんなこんなのアドビの製品について、また困ったことに巻き込まれました。昨秋、「Photoshop」は4.0にバージョンアップしていました。3.0を活用している私は、バージョンアップの案内が届くのを心待ちにしていました。しかし、年が改まっても通知は何も来ないのです。痺れを切らせて、ついに電話をしました。すると、ユーザー管理がアドビに一元化されたとのことでした。そして数週間がたってから、中々繋がらない電話を、辛抱強くかけることになりました。繋がるまでに丸三日かかりました。これは、パソコンユーザーにとっては常識です。著名なメーカーほど、売れ筋ソフトほど、質問はファックスに限るのです。しかし、私は直接相手と話さないと、信用できなくなってしまいました。ファックスだって、事務所の机にポイの可能性も大なのですから。直接言葉を交わして話をしても、メーカーは無視やど忘れをするのですから、そこは自分を納得させるためにも、電話の問い合わせとならざるをえないのです。

 ようやく繋がった電話口で、正規ユーザーであるしるしの登録番号を言うと、相手が確認のために言う住所の番地がちがっているのです。まったく違う数字で登録されていました。書類が私の手元に届かないはずです。かつては、MV社からは正確な番地で封書が届き、「Photoshop」も宅配便で届いたのにです。MV社からアドビに名簿が移管されたことに伴い、私の住所の番地が文字バケしてしまったのだろう、ということにしておきましょうか。

 電話口での確認でさらに驚きました。私の名前で登録されているユーザー番号の登録データによると、今私が持っている「Photoshop」のバージョンは、なんと旧版の「2.5」だそうです。MV社から送られてきたあの「Photoshop3.0J」は、今使用しているものは、一体なんなのでしょうか。

 それはさておき、とにかく至急バージョンアップの書類を送ってくれるそうです。期待せずに待つことにします。同じことが繰り返されるのは世の常。次は、本年5月に催促の電話をすることになるのかもしれません。このインターネットのホームページで表示している画像は、すべて私が正規の登録をしている(したはずの)「Photoshop」で作成したものであることを、重ねて申し添えておきます

 日本のソフト産業を育てていくために一利用者がこのようにして協力をしていくのも、大変な忍耐と努力と資金と時間が必要であることが、お分かりいただけたでしょうか。日本のパソコンに関しては、ハードもソフトも製品の仕上がり以前の人間の問題が未成熟だと思われます。

 こんな業界を、われわれは、今しばらく、みんなで健全なものになるように根気強く育成していきましょう。

(つづく)
 
----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年3月21日 (土)

不調の iPhone を4台目に交換すべきか

 また、iPhone 6 Plus の日本語入力が遅くなり、ほとんど使い物にならなくなりました。
 その遅さは、auショップの店員さんからもお墨付きです。
 こんなiPhone は初めて見ました、と。

 昨年10月以来、この半年で2回も本体を無償で交換してもらっているので、現在は3台目の iPhone 6 Plus を使っています。

 これまでのトラブルの経緯は、「4ヶ月で3台目の本体交換となったiPhone6 Plus」(2015年02月25日)に記した通りです。

 この不調は、ソフトウェア起因のものではなく、かといってハードウェア起因とも言い切れないものだ、とアップルの担当者は言っています。原因不明として説明は放棄され、結果としては本体の無償交換で片づけられています。

 これでまたアップルストアへ持参しても、またまたまた4台目を渡されるだけなので、そのために行く気力は喪失しています。バックアップしてあるデータから復元し、いろいろと微調整するのに、意外と時間がかかるのです。

 一連の不具合が日本語入力システムに起因するものとしか思えないので、登録したユーザー単語の分量やデータ形式等に関係するのかもしれません。アップルは否定しますが。

 この登録した単語は、一語ずつしか削除できません。しかも、一単語を削除するのに10秒ほどかかり、次の削除対象の単語を指定するまでに、また10秒ほど待たされます。つまり、一単語を削除するのに、最低20秒から30秒かかります。
 時間の合間に削除を続けています。しかし、まだその効果はありません。
 他にも、いろいろと試していることがあります。しかし、今はそれを省きます。

 ネットで調べてみると、iPhone の登録単語の一括削除や一括登録の記事があります。iCloud と連携しての登録・削除の方法のようです。しかし、いずれも個人の裏技公開とでもいうべきものであり、アップルの正式な対処方法は見当たりません。

 今は、非常に快適に動作しているATOK pad というアプリに日本語の文章を書き、それをコピー&ペーストしてメールなどに移し替えて送信しています。メールの送信画面で直接日本語を入力など、とてもできないほど動きが緩慢です。そのため、メールの表題部分を書く時が、一番ストレスを感じるのです。また、申し訳ないことに、「Re:~」のままで返信ぜさるを得ません。

 そんな状況なので、今の私の iPhone は閲覧専用の状態にあります。
 そのせいもあり、メールなどの返信が滞っています。
 これまでは、片道2時間弱の電車の中で、メールの返信などの対処をしてきました。それが、日本語を入力するのが大変なので、自宅に帰ってパソコンからメールを送ることになっているのです。それにともない、メールによる迅速な対応ができなくなりました。申し訳ないことです。

 日常的に電話をまったく使わなくなり、連絡はメールに頼っていました。
 こうした生活は、見直す時期なのかもしれません。
 マッキントッシュにはフェイスタイムがあるので、電話を活用した生活を復活させてもいいかもしれません。
 マックのコミュニケーションツールとしては、メッセージがあり、エバーノートの通知機能があります。
 メールだけに頼らず、クラウドの活用を考えたいと思います。
 さらには、古来の手紙という通信手段も、まだ日本では機能しています。
 私は、手書きの字が下手なので、30年前に、これ幸いと、真っ先にワープロに飛びつきました。
 その原点に立ち返り、コミュニケーションツールについて考えてみろ、ということなのかもしれません。

 いましばらくは、メールをいただいても、反応の悪い日々が続きそうです。
 ご理解のほどを、よろしくお願いいたします。
 
 
 

2015年3月 8日 (日)

第3回「近代日本の日記文化と自己表象」研究会に参加

 午前中に『源氏物語』の翻字に関する打ち合わせをしてから、午後は、立川で開催される研究会に出席するために、仲御徒町駅から立川駅に急行しました。

 昨日来の寒さは厳しいながらも、予報されていた雨はほとんど降りませんでした。

 今回で3回目となる「近代日本の日記文化と自己表象」という研究会は、国文学研究資料館の機関研究員である田中祐介氏が主催する、非常に魅力的な研究会なのです。
 前回は、私が担当する国際連携研究集会とバッティングしたために、出席できませんでした。

 この研究会は、若い研究者の方々の活発な意見交換がなされるので、門外漢の私は聞いているだけで身体中の細胞が活性化されます。
 このテーマに関しては、谷崎潤一郎や池田亀鑑に関連して、昭和初期の時代に興味を持ったことから、以来ずっと気になっていたものです。
 また、目が見えないにもかかわらず40年以上も木活字で日記を残した葛原勾当のことを知ってからは、さらに問題意識が深まって来ています。

 みなさんからの刺激を受けながら、さらに勉強を進めていきたいと思っての参加です。
 今日も、幅広い分野から20名の参加者を得、興味深い話題が展開しました。

 今回の発表から、1つの疑問が私の中に生まれました。
 それは、日記を認めた方の権利はどこまで保障されているのか、ということです。

 今日の発表で紹介された事例に、終戦の日に書いたことが、後に本人はそんなことを書いた覚えがない、とおっしゃっていたという報告があったことに端を発しています。それは、書かれた内容が信頼できるか、という視点での紹介でした。
 確かに、この一見平和な世の中になってからは、そのような過去の発言は今となっては慎むべきことだと言えます。しかし、終戦の日の発言としては、十分に理解できます。人間は急には変われないのですから。

 すると、今の社会や自己の置かれた状況から見ると、本人にとって内心では過去の自分の気持ちを見知らぬ人の前に晒されたくなくても、公表という現実に抗することは個人ではできない社会になっている、ということが浮き彫りにされたのです。個人の人権というのは、過去の日記が公にされることで人前に晒され、不本意な批判にされされます。著作者の人権が、こうした個人の日記にはどのように配慮されて公開されるのでしょうか。

 この点について、休憩時間に発表者にお尋ねしました。しかし、これまでにそのような指摘をうけたことがないし、日記を書かれたご本人もこの日記を読む会に参加されていた、ということで了解済みとされていました。しかし、著作権や人権についての検討は十分にはなされていない、ということだったのです。
 理と情が混在した説明でした。

 文献資料を扱う者の一人として、このあたりの地固めなしに個人の日記を公開することは、非常に危うい調査研究に陥りはしないか、と心もとなく思いました。
 日記の著者や所有者との信頼関係を大切にしておられることは理解できました。しかし、法的な人権や著作権の権利関係となると、話はまた別のことになります。

 おそらく遺漏はなかろうかと思います。しかし、今日の時点では、この問題への意識が乏しいように思われたので、あえてここに記して、このテーマで議論する時のみんなの話題にでもなれば、と思って記す次第です。
 個人と社会の接点については、慎重の上にも敏感でなければ人権は守られませんから。

 真実を知るためなら、本人や家族や親族や地域社会の人々への配慮が軽くなる、ということはないはずです。特に日記は、公開を意識していたかという問題以前に、個人の信条や感情が吐露されるものです。その表現が直接的であることが多いだけに、しかも文章を書くことの専門家ではない方の日記が多いだけに、資料的な価値が高いからといって、後世の人間がそのすべてを正義感のもとにありのままに、白日の下に晒していいとは思われません。人には尊厳があるのですから。

 このテーマには、さまざまな問題が内在しています。
 興味本位に走らず、日記に記されたひとつずつを丁寧に読み解き、その筆者のありようにも思いを致しながら、書かれた状況と心境を踏まえた読み方を心がける必要性を痛感しました。
 その内容を公開するにあたっては、さらなる配慮が求められます。

 第3回のプログラムを、記録として残しておきます。


【開催日時】
 2015年3月7日(土) 13:30-17:30

【開催場所】
 国文学研究資料館2階、第1会議室

【研究会次第】
 1. 新参加者紹介(13:30-13:45)
 2. 報告事項(13:45-14:10)
   新刊紹介
   古書店「風船舎」のご紹介
   『月刊ニューズレター 現代の大学問題を視野に入れた教育史研究を求めて』への寄稿
   『リポート笠間』第58号での当研究会の紹介記事
   国際学会Asian Studies Conference Japan(2015年6月開催)の発表申請通過
    (パネリスト:柿本真代・大岡響子・田中祐介・中野綾子・M. William Steele)
   「女性の日記から学ぶ会」が保有する日記帳の目録化進捗
   2016年度開催のシンポジウムと展示会に向けて
   次回以降の会場変更について

  3. 研究報告(14:20-17:30)
   「個人の財産を社会の遺産に-「女性の日記から学ぶ会」の活動を通して」
    (島利栄子、女性の日記から学ぶ会代表)
   「農民日記をつづるということ―近代農村における日記行為の表象をめぐって」
    (河内聡子、宮城学院女子大学非常勤講師)


 
 

2015年2月27日 (金)

京都駅前で充実した時間を過ごす

 民族学博物館の広瀬浩二郎さんと、京都駅前東のメルパルクで食事をしながら、目の不自由な方と一緒に『源氏物語』の写本を読むことで、今後の検討課題について打ち合わせや相談をしました。

 今日は、昨日出来たばかりの、木の板に凸字を浮き上がらせた試作品を触ってもらいました。
 これは、目が見えない方にも古写本『源氏物語』が読める環境を構築しよう、というテーマに協力していただいている、関口裕未さんの労作です。


150228_hiraganaa


 左は、墨で書いた雰囲気を残しながら、線の重なり具合に段差を設けています。
 右は、2画目の縦棒が、曲線ではなくて直線にしてあります。

 関口さんは、明治大学で日向一雅先生のご指導を受けられた方です。三省堂の『現代新国語辞典』の監修者の一人でもあり、言葉や文字に関して斬新で興味深い提案を数多くいただいています。その1つの実作の成果が、この試作品です。
 実際に板に平仮名を彫ることで、少しずつ手応えを得ながら試行錯誤を重ねて進んでいるところなのです。

 広瀬さんからは、触常者の立場から多くのアドバイスをいただきました。
 板に刻まれた文字が、3段階の高さになっていることは、非常にユニークだとのことでした。
 また、墨の濃淡や太い細いなどが指先に伝わって来る造作なので、手書き文字の感触や風合いを感得する意味ではよくできている、とのことでした。
 実際には、「あ・い・う・え・お」まで出来ています。
 また、仮名文字の説明文も、関口さんは作っておられます。
 例えば、「あ」はこんな具合です。


◇現在の平仮名「あ」の説明
三画
 ① 左から右へ横線。
 ② 一画目横線の真ん中を通って、長い縦線。
 ③ 一画目横線の終わりの下のあたりから、左下ななめに下がる。このとき、線の始めは、後で書く曲線とすぐに交わり、縦線の下の方を通って左下ななめに下がる。線はそのまま左上ななめに短く上がってから、丸を書くように、右上ななめに少しずつ上がり、縦線の真ん中を通って、線の始めも通ってから、右下ななめ、左下ななめと下がり、大きな曲線を書く。
◎特徴
 二画目縦線の左側は、曲線の内側に楕円形の半円ができる。縦線の右側は、線の内側に小さな逆三角形ができる。
※木刻凸字では、三画目の形が、なぞってもなかなかイメージしにくいので、同じ線の形「の」「め」「ぬ」と一緒に学習すると分かりやすいかもしれません。

 この説明に対して、広瀬さんは、よくわかる説明だと感心しておられました。ただし、詳しすぎるので、実際に木刻凸字を触りながら耳からこの説明を聞くのであれば、もっと簡単な短い説明文で大丈夫だ、とも。また、線が流れる方向は、時計の針が指す方向で説明すれば十分に伝わるそうです。

 こうして、目が見えなくても自学自習で平仮名を触読できる環境を、着実に構築しています。
 とにかく、何でもやってみよう、ということで取り組んでいますので、何かひらめきがありましたら、ご教示いただけると助かります。

 今は木の感触を大切にしています。しかし、3Dプリンタが普及すれば、もっと精巧な文字を浮き上がらせることも可能となることでしょう。
 そうは言っても、やはり木の風合いは大事にしたいと思っていますが……

 この「あ」を見ていると、今から32年前に父の川柳句集『ひとつぶのむぎ』の私家版を自宅で作成したことを思い出しました。あの時は、NECのPC-8822という漢字プリンタを使って印字したものを版下にしたものです。それは、1つの文字を16×16の点で印字するプリンタでした。実際には、縦に8本のピンが少しズレて2列あり、それで16の点が一列にあるかのように見える仕掛けになっていました。
 その印字例をあげます。インクが紙に染み込んでいることと、シルクスクリーンによるオフセット印刷なので、文字が滲んだ感じなのはそのせいです。


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 そして、この文字を見ている内に、最近私が使い出した多機能型点字ディスプレイ「ブレイルメモ スマート16」の点字表示部に連想が至りました。


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 この点字表示部は、1マスに4つのピンが2列ずつ並んでいて、1行で16文字の表示ができます。このピンが出たり入ったりすることで、点字を表示するのです。そのピンの動きを見ていて、かつての16ピンのドットプリンタが文字を印字していた時のことを思い出したのです。

 そこで、この「ブレイルメモ スマート16」を縦に置いてみました。
 2マスに平仮名1文字を表示すれば、そのまま縦に指を這わせると、写本をなぞることに通ずることに気付いたのです。


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 そのことを広瀬さんに話すと、平仮名という文字を認識できるかどうかは別として、横に表示されていく点字を読む機械を縦にする発想をおもしろがってくれました。
 これは、意外といい線をいく思いつきだということで、今後の可能性が膨らみ、話も弾んでいきました。

 今日の広瀬さんの反応を見たところでは、目が見えなくても古写本に筆で書かれた仮名文字は読むことが出来る、という感触を得ました。今後とも、さらなるチャレンジをしていきたいと思います。

 時間が来たので、そのままメルパルクの上階で開催された、総合研究大学院大学の教授会に一緒に行きました。

 終わるとすぐに、駅前西のキャンパスプラザ京都で、伊藤科研(A)の研究会です。
 教授会が予定よりも大幅に延びたので、遅れて駆けつけることになりました。
 関西のメンバーの方々との情報交換を兼ねた、本年度の成果報告会でもあります。

 その席上、清水婦久子先生がご所蔵の、末松謙澄が英訳した『源氏物語』の初版本を見せてくださいました。これは珍しい本です。


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 ちょうど、ラリー・ウォーカー先生が末松謙澄訳『源氏物語』の話をしてくださったこともあり、みんなで手に取って本の手触りを実感しました。
 この科研にふさわしいエピソードとなりました。

 ひき続き駅前で懇談会。時間を忘れて、22時近くまで語り合いました。
 荒木浩先生と海野圭介先生は、共にご多忙の中を教授会終了後に駆けつけてくださいました。そして、研究会が終わると、すぐにまた次の仕事へと向かわれました。
 みなさんお忙しい中にもかかわらず、少しでも時間を割いて参加していただき、本当にありがとうございました。

 目が回るほどの忙しさながら、今日も充実した1日となりました。
 
 
 

2015年2月25日 (水)

4ヶ月で3台目の本体交換となったiPhone6 Plus

 日常的に活用している iPhone6 Plus が不調でした。結果として、またもや本体交換となりました。これで、同じ機種の iPhone をこの4ヶ月の間に3台も手にしたことになります。

 昨年10月に iPhone 5から iPhone 6 Plus 128G に機種変更しました。しかし、その10日後には新しいものと本体を交換してもらうことになった経緯があります。日本語変換の不具合によるものです。
 そのことは、以下の記事にまとめています。
 
「iPhone 6 Plus のトラブルの対処方法」(2014年10月07日)
 
「iPhone 6 Plus が欠陥商品のため本体交換となる」(2014年10月17日)
 
 その2台目の iPhone 6が、その後もトラブル続きでした。
 
「依然として続く iPhone 6 Plus128G のトラブル」(2014年11月16日)
 
 昨年末には、もうどうしようもないほどに、日本語の入力と変換が異常に遅い日々となりました。
 例えば、平仮名を入力していて、2文字目から10カウントダウン状態となります。表示された変換候補を選ぶと、また10カウントダウンとなります。つまり、平仮名5文字の漢字変換に、約1分もかかります。使い物にならない以上に、ストレスが溜まって神経が参ってしまいます。

 ついにたまりかねてアップルストア銀座に持参し、症状を確認してもらった結果、また本体交換となりました。

 先週行っていたイギリスでは、iPhone 6がモタモタするのでメモができず、小型の手帳に手書きで書き留めたものを、宿に帰ってからパソコンに入力し直していました。
 移動中に、文章をテキスト化できないのです。

 アップルストア銀座の担当者が確認されたことは、この日本語入力の不具合がハードウェアによるものか、ソフトウェアに起因するものか、ということでした。
 今回の場合も、何度も初期化して復元を繰り返しても発生するので、本体の交換ということになりました。

 決して、私が機器を乱暴に扱っているわけではありません。

 iPhone 6の初期化と復元には、5時間以上もかかります。それを何度もさせられています。諦めずに根気で付き合うしかないのです。自ずと、その時間は確実に私の生活から吸い上げられ消えていっているのが実状です。

 今は、時間を見つけては新しい iPhone 6に、アプリの設定や同期するデータなどの確認をしています。iPhone の本体が入れ替わると、何かと面倒なデータの引っ越しや微調整の雑務を抱えることとなります。そのために膨大な時間も浪費します。

 私と欠陥商品との付き合いは、もう日常化しています。その点では慣れっこです。
 快適な生活を送るためには致し方ないこととはいえ、無駄な時間と心身共に蓄積する疲労は、できることなら避けたいものです。

 それにしても、新しいものを手にすると、いつも不具合や問題を抱え込むことになります。その確率たるや、異様に高いのです。
 宝くじに当たるのならばまだしも、欠陥品と格闘する徒労の中から得られるものは何もありません。元の状態に戻って、それで普通なのですから。

 このiPhone以外にもアップルの3つの製品で問題があり、これも銀座のカウンターで解決していただきました。
 このことは、また機会を改めて記します。
 
 
 

2015年2月19日 (木)

羽田空港で Wi-Fiがつながらなくて焦る

 空港の搭乗ゲート前で、どうしたことかWi-Fiにつながらないのです。

 ブログをアップしようとした時のことです。
 「I」と「1」のことは、道中にメモとして書いていたので、離陸前にそれだけでもアップしようとしたのです。

 空港では、海外も含めてよくWi-Fiにつなげてインターネットを使います。インターネットの初期の頃は、クレジットカードで利用料金を引き落とす方式でした。しかし、今はどこの空港でも無料で使えます。もちろん、インドのインディラガンジー空港でも。

 それが、どうしたことか、接続エラーばかりです。30分以上も試みていたら、後5分で搭乗手続きを開始するというアナウンスがありました。
 焦ります。ここでアップしておかないと、7年以上も毎日ブログを書いてアップしてきたことが途切れてしまいます。
 他人さまから見ればどうでもいいことでしょう。しかし、当の本人にすると、1つの励みが途絶えることは避けたいのです。祈る気持ちで、いろいろな手だてを尽くしました。

 カウンターの方に事情を話して、最後に搭乗したい旨を伝えておきました。あまりにも必死の形相だったのか、気の毒がってくださいました。
 ギリギリまで接続に挑んだかいがあってか、最後の搭乗客から2番前でゲートインできました。

 つながらなかった原因はわかりません。ノートパソコンだけでなく、iPhone もインターネットにつながらなかったので、ブログにアップする手だてを取り上げられた状態でした。

 とにかく、搭乗直前とはいえ、事なきを得ました。いくつかのメールも、一斉に送信されるサウンドが聞こえたので、とにかくホットして機内の座席に着きました。

 もっとも、こんな時に限って機体のトラブルでもあったのか、1時間以上も離陸しないのです。
 12時間半もの長旅です。のんびりとシートに身体を埋めて待っていました。
 旅先では、何でもありなのです。
 
 
 

紛らわしいターミナル「I」と「1」(続き)

 昨日は、記事を書きかけのままで搭乗したので、今ロンドンの宿から続きを書いています。

 羽田空港に向かう東京モノレールの中で、車内放送を耳にして何か胸騒ぎをおぼえました。

 手元の「e-チケット」の搭乗ターミナルに「1」とあるので、「羽田空港第1ビル」で降りるはずでした。しかし、その駅の2つ前に「羽田空港国際線ビル駅」という駅があるのです。どうも気がかりなので、何やらおかしいと思い、とにかくその「羽田空港国際線ビル駅」で飛び降りました。とっさの判断です。
 1人で旅に出るときには、こんなことはしばしばです。大事に至らない前に、何かアクションを起こすようにしています。

 その感が当たっていました。国内線と国際線でターミナルが分かれていたのです。
 すぐにインフォメーションカウンターで確認すると、この「羽田空港国際線ビル駅」から国際線が出発するとのことです。

 手にしていた「e-チケット」を見せると、そこに印刷されている「1(いち)」と見える文字は、実はインターナショナルの「I(アイ)」です、とのことでした。よく間違えられる方がいらっしゃいます、と。
 いや、ターミナルに「1」と「2」があれば、普通はこれは「I(アイ)」ではなくて「1(いち)」だと思います。おまけに、帰りの便のロンドンヒースロー空港はターミナル「5」から出発となっているので、「5」の上に印刷されているターミナル番号は「1」だと思うのが自然です。
 「I」と「1」の紛らわしい文字は、昨日の記事で掲載しました。もう一度ここに転載しておきます。


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 羽田空港から国際線が飛ぶようになって何年経つでしょうか。2005年11月に、羽田から韓国へ行きました。あの時はどうして行ったのか、どうもよく思い出せません。
 この羽田空港の「I(アイ)」というターミナルの表示は、私だけが勘違いしたのか、それとも他にもいらっしゃるのか。とにかく紛らわしいので、早急に止めてほしいものです。

2015年2月17日 (火)

パンチカードの鋏が見つかる

 かつて、パンチカードというもので情報を整理している時代がありました。
 実際に私は、昭和55年(1980)から数年間、パンチカードで勤務校の情報の整理や、身の回りの整理をしていました。

 このことは、「懐かしいパンチカードシステム」(2012/10/22)に詳しく書きましたので、その実際は記事に譲ります。

 さて、このパンチカードは、実際には鋏でカードの端に並ぶ小さな穴を切り取るのです。
 その鋏が、ひょんなことから見つかりました。まさに遺品です。

141215_panchi


 コンピュータの草創期から情報処理に関係しておられた方には、懐かしい道具ではないかと思います。まさか、いまでもこの鋏を使っている、という方はいらっしゃらないとは思いますが……

 そういえば、駅員さんが改札口で、切符をリズミカルな手さばきでパンチしておられたことを思い出します。自動改札になった今では、あれも懐かしい風景です。

 持ち物を整理していると、こうしていろいろなものが顔を出します。
 これも、家族に言わせるとガラクタ以外の何ものでもない、ということになりますが……
 
 
 

2015年2月16日 (月)

再録(18)パンチカードから思い出すままに

 〈へぐり通信〉の【ハイテク問はず語り】(3年目/1997.10.1〜1998.9.30)に、今から40年ほど前にパンチカードを使っていたことから、その後のパソコン利用の一端を記事にしています。
 パーソナルなコンピュータ遍歴史の一部として、以下に再録しておきます。

 なお、パンチカードの実態については、この次に記します。
 
 
----------------- 以下、再録掲載 ---------------------
 
  〔年賀状で19年前を思い出す〈1998.1.4〉〕
 
 
 今年いただいた年賀状の中に、すっかり忘れていたことを思い出させてくれるものがありました。次のような文章です。


 机で、カードのはしにパンチで穴をあけて、あみ棒のような物をさしこんでいたのを思い出しました。
 棒をふってバラバラとおちてくるカードを見ながら「手動式コンピュータ」とか言っていたと思います。
 あとをかたずけるのが、とてもたいへんそうでした。

 今から19年前に、私はこんなことをしていたのです。「パンチカードシステム」というものでした。恥ずかしくなるような話ですが、これは1979(昭和54)年のことです。拙著『新・文学資料整理術パソコン奮戦記』(34頁、昭和61年、桜楓社刊)に、この辺の事情を書いています。私が初めてコンピュータなるものに触れる、丁度一年前のことです。

 世界初の情報処理用のチップとしてのCPUは、インテルという会社が1971年に作りました。もっとも、これは日本が発注した電卓用であって、コンピュータとはまだ結びついていません。
 1976年に、NECがTK-80というトレーニングボードを発売します。1980年に、私が初めて触ったコンピュータがこれです。
 その後、Apple II・TRS-80・PET-2001・BASIC MASTER LEVEL1・MZ-80Kというものを、大阪日本橋の電気屋で触りました。お店に並ぶコンピュータに触れたのは、発売から相当時間がたってからでした。
 1979年になって、やっと日本初のパソコンと呼べるPC-8001が発売されたのです。このコンピュータが、私が最初にマスターしたパソコンと言えるものです。もっとも、最初はパーコンと呼ばれていましたが。

 その後、パソコンと呼ばれたマイコンは、とにかく日常生活に投げ込まれ、そして溶け込むように仕組まれてきました。しかし、コンピュータ業界の身勝手な思惑に反して、依然として未熟な情報処理機器であることを、今でも各所で露呈しているのが実体です。さらに進化を遂げて、快適な生活のために、より一層貢献してほしいものです。そのためにも、我々はコンピュータ業界に資金援助をしているのですから。

 それにしても、今のパソコンは、思ったほど進化しなかったように思います。まだまだ日常的にトラブルが多発し、使用を中断して技術屋さんに修理や調整をしてもらうことがよくあります。各メーカーやソフトハウスのユーザーサポートの電話は、今でもなかなか繋がりません。それだけ、使えなくて困っている人が溢れているということです。身近にアドバイスをもらえる知人がいないと、パソコンは十分に活用できないというのが実状でしょう。
 自動車のようにパソコンが進歩しなかったのは、メーカーが先端技術を追いすぎたために、利用環境をかえりみなかった怠慢が原因だったと、私は思っています。

 まだまだ、コンピュータ業界はやるべきことがあるはずです。豊かな生活の環境づくりを手助けするためにも、今しばらくコンピュータ業界を育成するためにも、我々一般ユーザーは、莫大な資金と膨大な時間を投資しつづけることになると思われます。それが、我々ユーザーのささやかな支援だとも言えます。コンピュータ業界の方は、こうした浄財と献身を有効に生かして、より快適な社会を支える情報機器を開発・提供してほしいものです。
 
----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年2月15日 (日)

再録(17)17年前の「私のコンピュータ経験と通信環境」

 これまでのコンピュータとの関わりについて、いろいろな資料を整理しています。
 この一連の「再録」は、〈大和まほろば発 へぐり通信〉から発信していた情報のすべてを本ブログの中に取り込み、総整理を進めているものです。
 〈へぐり通信〉は、平成18年以降は更新をしていません。こちらへの移行を終えしだいに、そのすべてを閉じようと思っています。

 さて、〈へぐり通信〉には「新・奮戦記」というコーナーがあります。
 その中の【ハイテク問はず語り】から、今は順次「再録」として記事を移動させているところです。
 今回は、[3年目/1997.10.1〜1998.9.30]の中から、毎年その末尾に付していた「私のコンピュータ経験と通信環境」を再現します。

 この項目は、現在のところ「1998年8月2日」の状況しか記録が残っていません。
 私がインターネットにホームページを開設し、情報を公開し出したのは1995年9月です。ただし、その当初のコンピュータの環境は、まだ正確には確認できていません。めまぐるしくコンピュータの環境が変転したので、記録の掘り起こしが追いついていないのです。
 いずれまた、ということにしておきます。

 なお、下記の記事の中に『源氏物語別本集成』が「全17巻」となっているのは、当初は索引2巻を予定していたためです。

 それにしても、当時のハードディスクやメモリの容量の少なさには驚きます。私が現在日常的に使っているノートパソコンは、1テラのフラッシュストレージに16ギガのメモリを搭載しています。隔世の感があります。
 当時、家庭内にソーホーの環境を構築していたこと、またモニタを2台並べ、カラーレーザープリンタを使いながら、それでいて通信にはダイアルアップという、何ともアンバランスな状況だったこともわかります。

 「音響カプラ」も、どんな形で何に使うのかも、今ではご存知ない方が多くなりました。

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 電話口にカポッと取り付ける「音響カプラ」は、海外から通信をする時などには必須のアイテムでした。今から31年前の、通信用の道具の一部です。
 こうしたものまで保管しているので、家中がガラクタだらけで困ると、いつも苦情を言われています。
 
 この〈へぐり通信〉における情報の更新状況については、【 履 歴 一 覧 】をご覧ください。
 
----------------- 以下、再録掲載 ---------------------
 
  〔私のコンピュータ経験と通信環境〕
 
 私の初めてのコンピュータ体験は、1980年のマイコンキットNEC〈TK-80〉でした。
 1981年にPC-8001で半角カタカナによる『源氏物語』の本文データベースに着手。
 現在刊行中の『源氏物語別本集成』(おうふう、全17巻、既刊9巻)の原点です。
 1984年に、PC-9801F2と音響カプラによるコンピュータ通信を開始するが続かず。
 オリベッティ・NEC・富士通・EPSON・日本ゲートウェイを経て、現在はAppleとSONYのコンピュータを使用中。

  ◇インターネット活用のためのハード&ソフト◇

●CPU:APPLE-PPC-7600
●OS:MacOS-8.0
●メモリ:160M
●H D:6G(内蔵)+4G(外付)
●ルーター:NTT-TE東京-MN128-SOHO
●モニタ:SONY-CPD-20sf3 + MAG-MXE17S
●プリンタ:Apple ColorLaserWriter 12/600PS-J
●プロバイダ:まほろば(ダイアルUP接続)
●インターネット関係で利用する機会の多いソフト
(フリーソフトを除く):
 Netscape・Photoshop・Excel・ColorMagician7・
 ファイルメーカーPro・ホームページPro・クラリスメール
 
----------------- 以上、再録掲載 ---------------------
 
 
 

2015年2月14日 (土)

「Kindle for Mac」の提供とネットショッピングに思う

 昨日のニュースで、アマゾンが2015年2月13日より、電子書籍に対応した「Kindle」用の無料アプリケーション「Kindle for Mac 日本語版」を提供し出した、ということを知りました。
 Windows向け閲覧アプリ「Kindle for PC」は、先月公開されていたそうです。

 これには、本文を検索する機能もあるとのことです。それがどの程度のものなのか、今はわかりません。ただし、以下の事情から、手に入れて調べてみようとは、今は思っていません。

 ちょうど一昨日の12日に、私は本ブログで「電子書籍は検索と参照に特化したものになってほしい」(2015年02月12日)という記事を書いたばかりでした。

 その中で、《Macintoshに非対応》のストアを列記した後、次のように書きました。


「アマゾン」には、私が探し求めている『源氏物語』に関する資料的価値の高い電子書籍(Kindle 版)は、まだないようでした。

 また、その前日には、「マックで読めない電子書籍を購入後にキャンセル」(2015年02月11日)という記事を書き、電子書籍の使い勝手の悪さを指摘しました。

 こんな記事を書いた直後にアマゾンのニュースを目にしたので、その偶然がなせるタイミングをおもしろく思っています。

 もっとも、私はアマゾンは意識して利用しないようにしています。
 近年、「アメリカ抜きで考える」ということを実践しているので、このいかにもアメリカ的な強引な押し売りに嫌悪感を抱いています。

 もちろん、現代社会が「アメリカ抜き」にしては考えられない状況に落とし込められていることは、十分に承知しています。
 今こうして文章を書いているパソコンは、さすがに Windows は忌避していても、アップルというアメリカの企業の商品を大いに活用しているところです。

 私は、ソニーとアップルの製品に心酔していました。それが、今はソニーが瓦解してしまい、情報文具に関して、私にとってはソニーが消えてアップルだけになってしまったのです。アップルというアメリカの企業しか選べないのは、「アメリカ抜きで考える」上での対応関係とバランスが崩れています。

 大学に関しても、ハーバード大学、コロンビア大学、カルフォルニア大学や、米国議会図書館などなど、お世話になっている所はたくさんあります。しかし、それは「アメリカ抜きで考える」上でのバランスを取る意味では、これでいいのだと自分勝手な理屈を捏ねくり回して、自分を納得させています。

 私は、ネットショッピングを、これまた意識して利用していません。
 本を買うのに、大急ぎで子供に本を届ける時に、アマゾンは避けつつも他のサイトの書店を利用したことがあります。このことは今でも、罪悪感として気持ちの中にしっかりと残っています。
 それは、日本各地にある本屋さんの存在を無視し、小売り店の頭越しに本を移動したことに対してのものです。

 居ながらにして物流を我が物にできるネットショッピングは、確かに便利です。しかし、歴史と文化とこれからの人間のありようを考える時、その存在に大いなる疑問を持っているのです。

 社会の流れに棹さすことはできない、とは理解しています。しかし、気持ちの問題として、ネットショッピングはしたくないのです。

 商品の内容や性能や価格について、ネットで調べられることは便利です。関連して何が必要になるかも、その段階でわかるので、ネットの情報検索は重宝しています。しかし、買う段になると、やはりお店に足を運び、店頭で実物を見て買うようにしています。

 本にしても、情報文具にしても、実際に手にして現物を見て触ることで、購入を見送ったことは数知れずあります。虚像と実像、視覚と触覚の違いが、購買行為に密接に関わっているようです。

 以前、「インドで思ったこと」(2011/2/24)という拙文で、変わりゆくものへの躊躇いを記しました。変わらないでほしい、という気持ちは、どうしようもないと思います。そんな中に、本屋さんの存在が明滅します。

 書店に留まらず、図書館や資料館をも巻き込んで、ネットショッピングで本を買うことの意味を、あらためて自問してみたいと思うようになりました。
 何かすっきりとした解決策や妥協点に思い至ったら、またここに書くことにします。
 
 
 

2015年2月13日 (金)

仮名文字に関する2つの研究会に参加

 今日は、2つの研究会が一部重複して同時進行でありました。共にメンバーとなっているので、慌ただしい参加となりました。

 まず、入口敦志先生が研究代表者としてスタートされたばかりの【表記の文化学 ―ひらがなとカタカナ―】です。これは、国家的規模で推進されている「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」(大規模学術フロンティア事業)における共同研究です。

 今日は今西祐一郎館長の挨拶と問題提起で、第一回目の研究会が始まりました。
 多彩なメンバーが集っています。私は、中古文学の領域からの参加です。
 時代も分野も異なる先生方のコラボレーションとなるので、今後の成果が楽しみです。
 私が来月から行く天理図書館の調査は、この研究の一環となるものです。

 別会場では、少し時間をずらして、今西館長科研の最終回となる研究会がありました。
 これは、私が5年間お世話をした科研の会です。今回が最後の研究会なので、私も現在進めている研究の一部を発表しました。

 今日の私の発表は、「次世代に引き継ぐ翻字資料作成に関する提言 ─変体仮名を混在させて表記すること─」と題するものです。
 今取り組んでいる〈変体仮名混合版〉による翻字について発表をしました。

 内容は、すでに本ブログで公開したことが中心です。
 今日は、最近整理した資料をもとにして、ハーバード大学本「須磨」と「蜻蛉」、そして国立歴史民俗博物館本「鈴虫」の3本が、同じ文化圏で書写された写本であることを報告しました。
 変体仮名の文字遣いを通してわかったことの一例として、特徴的な字母表記である「ものかたり」という文字がどのように表記されているか、ということをとりあげたものです。


150213_katari


 「可多り」「可多里」「可堂里」「か多り」と書写されている例の検討です。
 これは、変体仮名を混在させた翻字資料があるからこそ可能な研究となります。
 ここからも、三本に書写された文字の表記傾向が明確にうかがえます。
 〈変体仮名混合版〉による翻字は、次世代に引き渡す翻字資料として、今後とも有益なデータとなることでしょう。

 今日は統計学の手法を導入した若手の発表が2つもあり、活発なやりとりがなされました。
 仮名で書くか漢字で書くかというテーマは、まだまだ検討課題が山積しています。

 現在、研究報告書の第4号の編集が、プロジェクト研究員の阿部さんのもとで進んでいます。3月には出来上がりますので、しばらくお待ちください。
 昨秋カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で実施した、国際研究集会の報告などが掲載されています。
 
 
 

2015年2月12日 (木)

電子書籍は検索と参照に特化したものになってほしい

 ネット上で、電子書籍取り扱い店における Macintosh への対応状況を見ました。
 これは昨日書いたように、「honto」で本を購入して失敗した後に、慌てて調べたものです。
 今の時期の実態が知りたくて、ざっと確認したものです。他にもあることでしょう。以下に上げる情報が不正確で間違っていることもあるかもしれません。他意はありませんので、その点はご寛恕のほどを。

 急速に進化している市場でしょうから、当然のことながら日々変化していると思われます。
 先週は、まだ電子書籍販売の完成度が非常に幼稚な段階で購入手続きをしてしまった、ということのようです。

《Macintoshに対応(ブラウザによる閲覧を含む)》
・「Yahoo!ブックストア」「BookLive!」「eBookJapan」「紀伊国屋書店 Kinoppy」

《Macintoshに非対応》
・「honto」「電子文庫パブリ」「Neowing」「漫画全巻ドットコム」「セブンebookリーダー」「GALAPAGOS STORE」

 「アマゾン」には、私が探し求めている『源氏物語』に関する資料的価値の高い電子書籍(Kindle 版)は、まだないようでした。

 「honto」で苦い思いをした後、いろいろとネットをさまよい、結局は紀伊国屋書店で購入することにしました。

「紀伊国屋書店 Kinoppy for Mac」には、すでに利用者から、多くの不具合が報告されていました。致命的な情報もありました。システムとして未熟で、問題点は解消されていないようです。
 ただし、今後のことを考えて、もろもろのことを承知で購入することにしました。大手書店の電子書籍であり、ここの動きを追うのもいいか、と思ったからです。

 とにかく、Macintosh に対応している電子書籍がわずかなので、海外にも販売力を持つこの会社は、様子見をするのには最適でしょう。

 もっとも現実の話、「紀伊国屋書店 Kinoppy for Mac」はネットでの動作が遅すぎて、ジッと画面を見つめながら待つのが大変でした。さらには、注文しようとしてもなかなか正確に発注できないのです。これは、ハード的な問題は何もなくて、ソフトウェアの問題だといえます。

 全集など、冊数が多い場合にはまさに1日がかりでの注文となります。
 書店に行ったほうが遥かに早く注文が終わりそうです。

 また、ウェブ上の本棚に置いてからカートに移動しても、注文リストに取りこぼしがあるので、また最初からカートに入れ直すことになります。大変レトロな購入システムでした。

 紀伊国屋書店のシステムがいつ構築されたサイトかはわかりません。しかし、あまりにも処理速度が遅すぎます。20年前の8ビット時代の産物に近いものです。若手のプログラマーにシステムを組み直してもらったほうがいいと思います。いいプログラマーが確保できなかったままに、見切り発車をしたもののようです。

 また、支払いでは何度も画面を行ったり来たりします。これは、クリックをしながら、非常に不安になります。精神衛生上よくない購入方法です。紀伊国屋書店が信用できない方には、とても前には進めません。非常に危ういサイトだと思いました。

 さらには、購入後に膨大な時間が吸い取られます。それは、購入した書籍のダウンロードとライセンスの認証において、気の遠くなる時間がかかったからです。

 私は、小学館の古典セレクション『源氏物語』16冊を、一晩で読めるような状態にできませんでした。まさに徹夜してもだめで、だいたい30時間以上かかります。
 しかも、16冊の内、どうしたわけか第6巻は5回もダウンロードとライセンス認証をさせられました。第14巻に関しては8回、第16巻は11回もダウンロードとラインセンス認証をしました。


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 2日たってからも、まだこの3冊はその中身を読めなかったのです。それは、そうこうしているうちに、すでに手続きが終わったはずの巻が、またグレーになって読むことができなくなるからです。仕方がないので、またダウンロードとライセンス認証をします。

 そんなことをしている内に、ライセンス処理が終了したはずのものが、目を離すといつしか「ダウンロード待機中」と表示されます。まさに、モグラ叩きの世界です。

 これでは寝ることもできず、一晩中クリックを繰り返します。それでもしばらくして、5巻分がグレーに変化してしまい、どうしても読めません。
 次のような「ファイルが破損しています」というエラー表示が何度も出て、またダウンロードとライセンス認証をさせられます。


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 うまくいったと思っていても、翌日になると、また本の表紙がグレーになっているものもあります。


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 いつ読めなくなるのかわからないので、購入した本の姿が目の前の画面に表示されていても、運不運に左右されます。
 印刷物として販売されている本ならば、手元にある本のページが開けないことはありません。開いたら白紙だった、ということもありません。電子書籍には、この怖さがつきまといます。

 さらには、昨日は中身が読めたのに今日はダメで、昨日は読めなかった巻が今日は読めることがありました。これには参りました。もう、ロシアンルーレットの世界です。引き金を引いてみないとわからないのです。閲覧アプリを起動してみないと、その本が読めるか読めないのかがわからないのですから。16冊の内のどれが今日は読めるのかが当て物では、何のための書籍なのかわかりません。

 こんな調子だと、数ヶ月後には「あなたはこの書籍を読む権利がありません」というアラートが出かねません。

 『源氏物語大成』もこの流れで、13冊を一括で購入しました。しかし、これなどはもっとひどくて、もう力尽きました。この調子では内容を確認できるようになるのはいつのことでしょうか。

 後でわかりました。このシステムはシングルタスクのようです。同時に2冊や3冊のマルチタスクの処理ができないのです。20年前ならいざしらず、今どきこんなレベルで商売をしているのだとは、愕然としました。
 ということは、一日に1冊ずつ購入する人ならば、私のように無駄な時間を浪費することもないということになるようです。

 とにかく、人類はとてつもなく購入者に負担を強いるシステムを、しかもお金を払わせて構築したようです。それに乗ってしまい、自分の時間を捨てる私などは、まさに過渡期というよりもごく初期の苦労話を語るための先兵役となっています。

 まだ2バイトの平仮名や漢字が使えない時代に、半角カタカナで『源氏物語』の本文データベースを構築していた頃から、さまざまな未完成のままに投げ出された、未熟な技術と付き合ってきました。これまでがそうであったように、今回のお粗末なシステムとの出会いも宿命なのでしょう。

 さらには、購読できた本について文字列の検索ができないのにも驚きました。まさに、画像が表示されているだけなのです。

 エバーノートでは、保存した写真の中の文字列までも検索できます。そんな時代にありながら、商品として販売されている書籍であっても、今回の本は検索に対応していないのです。今や、PDFは日常的に文字列が検索でき、コピー&ペーストができる時代です。紀伊国屋書店のシステムに限らず、現在の日本の電子書籍システムで購読できることになっている本に対して、時代錯誤を実感することとなりました。
 この点において、日本人は進化しなかったようです。

 書籍を裁断して自炊でPDF化したデータなら、文字列を自由に検索できます。今回のような、前時代的な電子書籍に膨大な時間と手間暇をかけて画面で見るだけのものよりも、個人的な利用であれば自炊の方が語句検索も部分コピーもできるのでずっと実用的です。
 本末転倒です。しかし、事実です。

 実際に、私も個人的には、今回購入した電子書籍のPDF版を、部分的には持っていて使っています。自炊で作成したPDFは、中の文字列が検索できます。部分的なコピーもできます。それが電子書籍では、あえて自虐的に、検索もコピーもできないようにされているのです。

 必要な情報が記述されている場所を、自分で自炊して作成したPDFで事前に確認しておきます。そしてそれを、外でお話をしたり発表をする時に、あらかじめ調べてあった電子書籍の当該箇所をモニタに表示する、という使い方になりそうです。

 人前で見ていただく時のためだけに、この電子書籍は使用することになります。個人的に自炊して作ったデータはあくまでも個人的な使用に限定されています。そのため、公的な場面で提示することはできないので、こうして購入した電子書籍の必要な部分をモニタに映すためだけに、今回は購入したことになりました。

 次の写真が Macintosh の本棚に並んだ電子書籍の姿です。


150209_book1pc


 iPhone では、次のように並んでいます。


150209_iphone2


 これは、違法なことはしていない、ということを言わんとするだけのための電子書籍の姿です。本末転倒です。しかし、これが今は現実です。こんなものが本だと言えるのかは、はなはだ疑問でもあります。

 私は、ジャパンナレッジの契約もしています。多くの本が利用できます。しかし、その検索に関しては非常に貧弱です。不正確です。
 電子書籍のあるべき姿については、さらなる検討が必要です。

 結論は、利用者から料金を徴収して販売するほどには、今の電子書籍およびそのリーダーは完成度が高くない、ということに尽きます。
 それを承知で、今それを体験する程度にしかすぎないものの利用価値を認めるかどうか、というのが、現在の購買予定者に委ねられた検討課題となっています。

 もちろん、数年後にはこんなていたらくであろうはずがありません。今が過渡期の、電子書籍が出回るごく初期だからこそ、こんな状態で市場に投げ出されているのです。
 コンピュータの初期がそうであったように、通信がそうであったように、過去は一気に新しい流れを形成し、便利なものへと変身します。
 電子書籍も、そうなることを期待しましょう。

 私は、電子書籍で本を読むことはないと思っています。
 検索したり、参照したりと、資料的な価値しか電子書籍には認めていません。
 そうした用途に特化したものとして、育ってほしいと思います。
 自分の目で読む本は、紙に印刷されたものに今後とも変わりはないと思っています。
 
 
 

2015年2月11日 (水)

マックで読めない電子書籍を購入後にキャンセル

 今回の話は、かつてクラッシュして雲散霧消した文章を再現したものでもなく、過去のホームページのデータを復元したものでもありません。先週、2015年2月7日の出来事です。
 マックユーザーにとって、今のところ電子書籍は使い勝手が悪いし、電子書店の対応も不親切だということを体験しました。

 以下、小学館から発売されている『古典セレクション『源氏物語』』(全16冊)を購入した時の顛末を記します。
 ネットを通して、「honto」という電子書籍ストアで購入した事例です。


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 利用可能デバイスとして[PC][iPhone][iPad][Android]とあります。
 マックユーザーである私は、[Android]以外の3つのデバイスで使えるものだと思いました。
 しかし、ここにある[PC]とは、パーソナルコンピュータのことではなくて、Windowsマシンのことだったのです。Macintoshは[PC]ではなかったのです。

 本の表紙アイコンの左下にある[立ち読みする]を選択すると、閲覧のための「hont ビューアアプリ」をダウンロードすることになります。そして、次の画面が表示されます。


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 これによって、私が使っている Macintosh がこの電子書籍においては非対応であることがわかります。
 Macintosh においては、仮想の Windows 環境下においても使えないということも、左下に小さく書いてあります。

 しかし、書籍の中身はわかっているからと[立ち読み]をしないで、購入のために本のアイコンをクリックすると、次の画面へと進みます。私はこのステップを踏んだのです。

 そこで、「ご購入前にご利用中のデバイスが対応しているかご確認ください。」というハイライト部分をクリックすると、電子書籍のすべてに次のような表示が出ます。


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 ここで、「対応デバイス」が【PC】で「コンテンツタイプ」が【EPUB】という情報を確認した後、そのまま購入手続きをすると、私がいつも使っているパソコン(Macintosh)では読めない電子書籍を購入したことになったのです。

 【PC】とは、Windowsマシンだけではありません。Macintosh もあります。
 【EPUB】は Macintosh に対応しています。
 Macintosh の標準添付ソフトである「iBooks」は「EPUB」対応です。
 私は、資料をPDF化したものを、この「iBooks」とエバーノートで管理し、折々に内容を確認しています。

 結果的には、情報不足と購入手続き案内の不親切さから、私にとっては使えないものを購入した事態となったわけです。

 電子書籍のほとんどは、iPhone などのモバイル端末では読むことができます。しかし、パソコンとスマホの両方で閲覧できないと、本来の意味をなしません。iPhone や iPad などの小さな画面では、やはり視認性や情報の閲覧性に欠けるのです。

 Macintosh では読めないものだったので、hontoお客様センターへ次の連絡をして相談をしました。


■問い合わせ項目︰電子書籍の購入・閲覧について
■ご使用の機器︰PC
■ご使用の機種︰MacBook Pro
電子書籍を購入しました。
しかし、私はMacintoshユーザーです。
購入前に確認した「利用中のデバイス」が「PC」で「コンテンツタイプ」が「EPUB」となっていたので、Macintoshでも使えると思って購入しました。
しかし、ビューアーアプリのダウンロードの段階になって、はじめてMacintoshが非対応端末だと切り捨てられました。
「EPUB」はMacintoshに対応しています。
Macintoshの標準ソフト「iBooks」は「EPUB」対応です。
「PC」とは、Windowsマシンだけではありません。
差別的な対応をされた思いでいます。
何か閲覧するツールか対処策を教えてもらえませんでしょうか。
iPhone では閲覧できています。
ただし、画面が小さいので不便です。
また、検索機能があるようなのに、実際にはできません。
これも、何か方法があるのでしょうか。
以上、2点につき回答をお願いします。

 この問い合わせに対して、hontoお客様センターから届いた回答は、以下の内容でした。

「対応端末は Windowsの一部のバージョンにのみ」
「「Mac OS」を含めた他OSには未対応で、かつ対応予定は未定」
「専用のhontoビューアアプリ以外のアプリでは閲覧できない」

 これに続けて、


※hontoビューアアプリの対応条件については「hontoビューアアプリ」ページであらかじめご案内しているため、個別の商品ページやご注文の手続き中には詳細を表示しておりません。

という回答も付されていました。
 この表現には無責任さを感じました。

 さらに、「検索ができない」という質問に関する回答も、「画像として処理されている」ということで、ピンボケで責任回避のものでした。

 そこで、私は次のようにキャンセル方法を問いました。


ご主旨は理解できています。
ただし、その明記がなかったため、「利用中のデバイス」が「PC」で「コンテンツタイプ」が「EPUB」という情報を頼りに、購入手続きをしてしまいました。
結果的には、情報不足により私が使えないものを購入した事態となったわけです。
本品の購入をキャンセルするための手続きを教えて下さい。
よろしくお願いします。

 これに対して、hontoお客様センターからからは次の回答がありました。


通常、電子書籍はデジタルコンテンツという性質上、一度ご注文を確定されますとダウンロードの有無によらずキャンセルや紙書籍への交換は承れません。
しかしながら、このたびは伺いましたご事情から、キャンセルのご希望について弊社対応を確認いたします。
詳細が確認できましたらあらためてご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。
また、このたびいただいた対応OSやご購入手続き時の表記内容についてのご意見を参考とさせていただき、より分かり易いご案内がさし上げられるよう検討を重ねてまいります。

 そして翌日、以下のキャンセルの手配を終えたという連絡がありました。


このたび伺いましたご事情から、以下のご注文電子書籍は今回に限りキャンセルを承ります。
キャンセル手続きは完了しておりますので、現在のご注文の状況はマイページ内の「ご注文・ご購入履歴」にてご確認ください。

 私からは、次のお礼の返信を送りました。


電子書籍のキャンセルに関して、マイページより確認しました。
お手数をおかけしました。

 返金には応じてもらえたとはいえ、何とも不親切な冷たい対応でした。
 電子書籍の購入は、こんなに低レベルなやりとりで行われているのでしょうか。
 私が Macintosh を使っている、ということに起因するとはいえ、あまりにも差別的な扱いだと思いました。
 
 
 

2015年2月 8日 (日)

ウェアラブルコンピュータ「UP24」を身につけて

 現在私は、「UP24」という自分の睡眠、歩数、距離、消費カロリー、活動時間、非活動時間などの生活リズムを記録する腕輪を身に付けています。まさに、ウェアラブルコンピュータを装着した日々です。

 この使い心地と機能については、「京洛逍遥(326)三条河原町からバスで帰宅」(2014年07月06日)で紹介した通りです。

 今では、毎日送られてくる私の生活リズムに関するコメントを楽しみにしています。私の日々のデータを開発元である Jawbone 社が世界各国から届く日々のデータを分析し(?)、現在の私の記録や身体の状況を踏まえた(?)さまざまな意見や提案はもとより、到達目標もアドバイスしてくれるのです。
 例えば、昨日は次の3つのコメントが届きました。


(1)有用な趣味
 鉛筆を削りましょう。写真を撮りましょう。ギターをつま弾きましょう。創造的な趣味を持つ従業員は課外活動に手を付けるだけの人に比べてオフィスでの業績ランクが 30% 高いとサンフランシスコ州立大学が報告しています。

(2)朝の健康
 1日中元気でいられるように、卵やオートミールなどを食べてタンパク質と全粒粉を取りましょう。甘い菓子パンやシリアルは控えること。朝食に気を配るのは体に気を配ることと同じです。

(3)土曜日を有効に過ごそう
 週末がやってきました。1 週間前の 8290 歩を更新できるように、土曜日は挑戦あるのみです。時間を有効活用してください!

 (3)は、私が先週の土曜日に歩いた歩数が「8,290歩」であることを踏まえての、励ましのコメントとなっています。こうして送られてくるコメントやアドバイスは、相手を褒めることでやる気を起こさせる、ということに徹しているようです。

 それぞれのコメントのリンク先をたどると、Jawbone社のさらなる詳細なアドバイスを見ることができます。ただし、そこは英語のページなので、これが日本語になっているとおもしろいと思っています。
 こうしたサポートが、この商品のいいところだと思います。

 もっとも、アメリカでの生活者を対象としたコメントなので、日本にいる私にはピンボケのアドバイスが多いのはご愛嬌です。私の生活習慣はアメリカ化されていません。というよりも、「アメリカ抜きで考えよう」という考え方に同調した生活なので、異文化体験を日々していることになり、このコメントを楽しんでいます。

 この「UP24」は、アップルストアでも販売されているものです。
 しかし、「Apple Watch」が今年の4月に発売されると、こうした機能はすべて重複し、さらにアップルならではの多彩な活用が可能になるはずです。当然、この「UP24」は見劣りがすることになるのです。

 さて、「UP24」はあと2ヶ月で起死回生の変身ができるのか、非常に興味深いところです。
 
 
 

2015年2月 7日 (土)

再録(16)続・カシオの欠陥腕時計(1996.12.22)

 2ヶ月後に発売される「Apple Watch」を、どの段階で手にしようかと思案中です。
 しかし、いつも私はワケアリ商品を渡されるので、そのタイミングが難しいのです。

 それはさておき、昨日の「再録(15)カシオの欠陥腕時計とのお付き合い(1996.12.7)」の続きです。
 新商品につきものの、最新技術が製品化に追いついていない実情が見えてきます。
 
********************** 以下、再録掲載 **********************
 
 裏蓋が突然浮き上がったために修理に出したカシオの腕時計が、ようやく返ってきました。
 修理報告書は、下記のようになっています。


    処理内容
       ケース部部品不良裏蓋交換
       デジタル部その他モジュール調整
    請求明細
       バツク2(727) ×1
       デンチ    ×1
    請求明細
       部品代   2,300
       技術調整料 2,300
       消費税    138
     合計      ¥4,738

 要するに、はずれかかった時計の裏蓋を交換し、電池を替え、時計機能の調整と点検をした、ということなのでしょう
 裏蓋の刻印が〔517871〕から〔537948〕に変わりました。アナログ部とデジタル部の時刻は同じ時間を示しています。本来は当たり前のことなのですが、この時計の場合は重要な点です。調整してくださったようです。しばらく使ってみましょう。といっても、外出以外は腕に付けないので、一年の半分以上は机の上に置かれた状態ですが。
 なお、以前の二回と同様に、今回も修理技術者の方は福西氏でした。形状の珍しい時計なので、修理をしながら同一人物のものであることは、お気づきのことでしょう。よりによってこんなに調子の悪い製品を手にした私を、気の毒がってくださったのではないかと、勝手に想像しています。
 本当に、私は機械運が悪いのです。大量生産品の中でも、特に出来の悪い方のものが手元に届きます。いずれ、手にした不良品をオンパレードでご紹介します。
 さて、今回の問題点を整理しておきます。

 1.何故に裏蓋が浮き上がり、使用不可能になったのか。
 ちゃちな構造であったのはわかりますが、製品化にあたっての詰めが甘かったとしか言いようがないように思います。
 もしこの製品を頻繁に腕に付けていたら、もっと早くこのような事態にみまわれたことでしょう。
 あまり腕にするなということだと、少し意地悪に解釈しておきます。

 2.電池を交換されたが、これは前回の修理でも交換されていたのです。
 つまり、この時計は、一年半で電池も寿命に近づくということでしょうか。
 説明書にあるような頻度ではデジタル部の表示やブザーを使っていないので、規格として明記された2年以上は電池の寿命があると思うのですが。
 この電池交換費用も、被害者の私が負担することには、少し疑問を感じます。

 3.電池の寿命には誤差があるとしても、電池の交換をするたびにデータが消えてしまいます。
 ということは、1年半ごとに電話番号などを入れ直す仕様になっているということなのです。
 時計に片仮名を入力するのは、意外と面倒です。これまでに、三回も入れ直しました。
 もうデータを記憶させるのはやめますが、これが3万円もするカシオの時計です。
 最近は、データを消さずに電池を入れ替えるものがあるようです。
 1年半前のカシオの技術では、この価格帯では不可能なことだったようです。
 早く先端技術の水準に達してほしいと思います。
 
 結局は、このような製品を購入した私が一番甘かったことになります。他の製品の場合とは違い、生命に別状がないのでたいした問題ではありません。私の見る目と運が悪かったのです。この時計は、部屋の片隅であと1年半ほど、ひっそりと余生を送ってもらうことになります。可能な限り外出の際に連れて出ることにしますが、愛着がなくなっているので出番はますます少なくなりそうです。
 カシオには、製品企画段階での詰めと、出荷前の点検をしっかりとやってほしいと思います。
 
********************** 以上、再録掲載 **********************
 
 
 

2015年2月 6日 (金)

再録(15)カシオの欠陥腕時計とのお付き合い(1996.12.7)

 私は時計が大好きです。壁掛け時計も置き時計も腕時計も、私の身辺には至る所にあります。常に視野の中に時計がないと、どうも落ち着かないのです。
 しかも、数字が表示されるデジタルよりも、針がクルクルと回る方が好きです。

 アップルは昨秋、「iWatch」を発売するはずでした。しかし、それが今春に延期され、その時計型のウェラブルデバイスが「Apple Watch」という名前になって、2015年4月に出荷される予定だという発表がありました。
 この出現によって、これまでの時計の概念が大きく変わることでしょう。
 今から大いに楽しみにしています。

 そんな待ち遠しい状況なので、これまでに書いたままで私のホームページに放置されていた時計の記事を、本ブログに再録します。20年も前に購入した時計に関する記事です。
 当時私が腕につけていたその時計は、アナログとデジタルとが融合したコンピュータウォッチでした。偶然、ネットで画像を見つけました。その姿は、こんな感じです。


150206_databank


 上の写真の左が、普通に腕にはめている状態です。そして、その文字盤を手前から向こうに起こすと、中は右のように、データを表示する液晶パネルとキー入力用のタッチパネルになっていました。ただし、以下の記事に記すように、不具合がいろいろとある時計でもありました。
 
********************** 以下、再録掲載 **********************
 
 カシオの腕時計の一部には問題があると思います。その顛末を記しておきます。

 《1》1995.2.20 「CASIO DATABANK FLIPTOP」を購入。
    〔時計本体裏蓋刻印番号 727一IA-1000 517871〕
 フリップトップというスタイルで、ウルトラ警備隊が腕にしているような、蓋の開く形です。外見は普通のアナログ時計なのですが、蓋を起こして開くと、内部は計算や電話帖やメモが入力できる機能を持ったデジタル時計になっているのです。少し厚くて重たいのですが、多機能なので気に入りました。あまり時計をしないほうなので、便利ならいいのです。
 購入後すぐに、内側の時計表示部分である液晶パネルに貼られていた保護用のビニールを剥がした時、透明板に波型のにじみ模様がキワとして明瞭に見えるのに気付きました。ビニールを貼るための粘着糊の一部と思い、自然に取れるのを待つことにしました。しかし、数日しても取れず、ぬるま湯でパネルを拭いても取れません。パネルが見にくいので、購入店に持ち込んで診てもらうと、メーカーヘ送り返して修理をするとのことです。2週間もかかるそうです。春先のしぱらくは時計が放せない生活が続くこともあり、すぐに修理には出さず、仕方なく使用していました。

 《2》1995.4.24 不具合発生のため修理を依頼する。
 1.アナログの針が、分針と秒針が少しずつずれていくのです。4月1日に時報で正確に針を合わせました。ところが、2週間で20秒ほど秒針が進み、分針が少しずつ遅れるようにしてずれてくるのです。
 2.さらに、4月1日に正確に合わせたアナログとデジタル部分で、2週間で29秒ほどずれるのに気付きました。デジタル表示部分が29秒進んでいるのです。製品仕様によると、平均月差±20秒以内とあります。使用されているCMOS-LSIチップが不良品ではないのか、点検してもらうことにしました。
 3.時計をして走っている時に、二度ほど上蓋が開いて、少し危険な思いをしました。この接合開閉部分の調整もお願いしました。
 4.電話番号を記憶させているので、修理の際はデータのバックアップをしながらをお願いしました。電話などの文字入力には結構時間がかかるものです。時計を預けて不便な生活になるは、データの入れ直しをさせられるはでは、あまりにやり切れないので、あえて依頼したのです。
 5.この時計を1ケ月半ほど使用しての感想は、次のようなものでした。まず、製品としての仕上りが大分お粗末なようです。特に、時計機能の信頼性の欠如については、計算機メーカーだけに人ごとながらその技術力に危惧を感じました。価格も相当な額(3万円)を設定してあるのですから。10年以上前にカシオ社のパソコンやワープロを使っていたのですが、その頃の製品コンセプトとマシンの仕上がりが良かった記憶があったので、この種の未完成の製品を手にすると、市場に出す前の機能点検の甘さを感じます。よくある「これは仕様である」ということなら、新しいもの頂けないかとも依頼しました。私は本製品のテスターでもモニターでもなく、数万円という対価を支払った一購入者ですから、精度の低いLSIと長く付き合うことは希望しない旨を伝えました。
 ◎1995.5.19 修理完了
 ◎1995.5.24 受け取る。
 「修理報告書」によると、処理内容は〈アナログ部その他ムーブメント洗浄〉〈デジタル部その他モジュール交換〉とあります。請求金額は〈無償〉でした。しかし、お願いしたはずなのに、入力していたデータは、完全に消えていました。事前に確認はありませんでした。再度、電話番号などを入力しました。また、修理完了の時計を受け取った時、すでに外と中の時計に2秒の誤差がありましたが、これくらいならと使用を再開することにしました。

 《3》1996.2.19 やはり時計不調。保証期間満了前日に修理に出す。
 1.1995.10.1より1996.2.19までの5ヶ月ほどの間に、アナログ・デジタル共に2分も進むのです。ただし、内外の時計の差はありません。
 2.電話番号などを登録しているので、消えないように作業を進めてもらえないかと依頼しました。修理担当者と話をしました。この機種は分解修理にかかった段階でデータはどうしても消えてしまうとのことです。データをバックアップする端子がないそうです。3万円もするデジタル時計にしては、お粗末な設計仕様だと思いました。
 ◎1996.3.4 修理完了
 ◎1996.3.7 受け取る。
 「修理報告書」によると、修理内容は、〈デジタル部その他トリマーコン調整〉とのこと。当然のことながら、請求金額は〈無償〉でした。今回もまた、電話番号などを入力しなおしました。10年以上も前に、パソコンでデータを入出力できるEPSONのタッチパネル形式の腕時計を使っていたことを思い出しました。あれからコンピュータは驚くほど進歩したのに、腕時計にデータを入力する作業はかえって不便になったように思います。

 《4》1996.11.28 時計が使用不能になる。
 時計の裏蓋が浮き上がり、爪が入るほどの隙間ができていました。指で押すとはめ込むことができます。しかし、すぐにポコッと浮き上がるのです。しばらくしてから、時計が止まっているのに気付きました。内部のデジタル表示部分も消えています。裏蓋を押さえつけても、まったく動かないのです。購入店に持ち込んで修理依頼をすると、有償とのこと。それでも、とにかく修理に出しました。本日受けた連絡によると、見積額は4500円でした。お願いすることにしました。修理が完了しても、また電話番号を入力する仕事が待っています。暇つぶしに困ったときにやろうと思っています。

 その後の経過は、またここに追記します。
 なお、カシオの時計に関しては、6年前に時刻表が記憶させられる〈DATABANK〉というデジタル時計を購入しました。ところが、使用して2年ほどで液晶パネルの表示がおかしくなり、修理代金が購入価格より高かったので、同じ機種を買い換えたことがあります。
 というと、いかにも私が時計を酷使しているかのように思われるかもしれませんが、ごく普通に時計を利用しているつもりです。外出するときだけ時計をしますので、時計を身につける時間はすくない部類ではないでしょうか。
 
********************** 以上、再録掲載 **********************
 
 
 

2015年2月 4日 (水)

iPhone版アプリの「エバーノート」が復旧しました

 昨秋10月下旬以降、2ヶ月以上にわたって


iPhone6 の「エバーノート」が起動してすぐにクラッシュする

という状況が継続していました。

 この現象については、昨年末12月下旬に「iOS 版 Evernote Ver.7.6.3.313347」にアップデートしたあたりから、iPhone6 のエバーノートやそのデータに起因するクラッシュがなくなったように思われました。

 年末年始と様子を見ていました。
 約1ヶ月が経過し、今はまったくクラッシュが発生しません。

 いろいろなことを確認しては検証していたので、何が直接の原因かは素人の私にはわかりません。
 また、サポート担当者の指示にしたがって、さまざまなことをさせられました。いずれも、問題の解決には至りませんでした。

 10月下旬に発生したクラッシュの連発を受けて、11月にサポート窓口に相談を持ちかけて以来、30通以上も担当者とメールのやりとりをすることとなりました。パソコンや iPhone の膨大なログなども提供しました。数百行ものログを送ったこともあります。

 こうしたトラブルは、ユーザーが諦めたらそれで終わりです。これまでの30年にわたるコンピュータ体験から、ユーザーが身を引いたらいけないことを学んでいます。一歩も引かず、何とかしてほしい、という気持ちを根気強く訴える以外に、対処策は引き出せないのです。

 しかし、原因や理由はともかく、サポート担当者のアドバイスとは別の要因と思われる状況の中で、このトラブルは収束したかと思われます。

 そこで、このアカウントの「プレミアム契約期間」に関して、2ヶ月延長というサポートは適用されないものか、サポート担当者に問い合わせをしました。

 Macintosh ではそのアカウントで使えていたとはいえ、戸外で重宝して活用していたiPhoneで利用できなかったため、パソコンでのエバーノートの使用も、データの破壊が拡散するのを恐れて控えていたのが実情です。

 使えなかった期間がそのまま契約期間に入っていることに釈然としないものがあり、このことをサポート担当者に確認したのです。

 現在私は、エバーノートのプレミアム版を複数本契約しています。科研などで使用している数本は不都合なく使い続けているので、この個人用で利用しているアプリに関してだけ、アカウントの契約期間延長の確認をしたのです。

 これに対して、サポート担当者からの回答は以下のように利用者に理解を示したものでした。


「この度ご不便お掛けいたしました期間に関しましては、当該プレミアム期間相当、プレミアムの延長にご利用いただけます、Evernote ポイント、適用させていただければと存じます」

「2ヶ月のプレミアム延長にご利用いただけます、Evernoteポイント20ポイントを適用させていただきました。」

 この連絡が、問い合わせてすぐに届きました。

 不自由な思いと、歯がゆい思いをしていただけに、今回の対処は、当時が取り戻せるものではないにしても、契約期間の延長で多少の気分転換にはなります。

 今回のトラブルの原因が、エバーノートにあることが明らかだったからでもあります。潔い、気持ちのいい対応だといえます。

 これが、サポート担当者からの提案であったら、さらによかったと思います。ダメでもともと、という気持ちで言ってみる、ということでの解決は、まだサポート体勢が確立されていない、ということでもあります。

 エバーノートはいいソフトウェアなので、多くの方に推奨しています。それだけに、さらなるサポートの見直しをしてほしいと思います。
 
 
 

2015年2月 1日 (日)

祝「日本盲教育史研究会」の公式ウェブサイト公開

 インターネット上に、「日本盲教育史研究会の公式ウェブサイト」が本日より公開されました。


150201_mosiweb


 事務局長である岸博実先生から会員宛の連絡では、以下のように閲覧できないブラウザがあるとのことです。


現時点では、インターネットを閲覧するためのブラウザのうち、問題なく動作すると確認できているのはInternet Explorer、Mozilla Firefox、NetReader、スマホ、Safari(iPadのブラウザ)です。

私がチェックした範囲では、Google Chrome や Operaにおいては「HOME以外のコンテンツに移動できない」という問題が生じます。機能やコンテンツなどはすべて国際標準に基づいて作成していただいていまして、この現象が起きる理由はブラウザ側にあるのか、私のパソコンの設定にかかわるものと思われます。もし、同様のことが起きましたら、Internet ExplorerやMozilla Firefoxなどの利用をご検討ください。

 現在私が使っているマッキントッシュの環境では、「safari」と「Firefox」では問題なく閲覧できます。しかし、「Google chrome」と「Opera」では、確かに「HOME」以外のセクションに、今日の時点では移動できませんでした。
 最近、「safari」では不具合が多くて「Google chrome」で閲覧することが増えました。ただし、「Firefox」はめったに使いません。
 こうしたブラウザの問題は、ほとんどのマッキントッシュ・ユーザーは「safari」を利用していると思われるので、あまり問題ではありません。「Google chrome」と「Opera」については、もう少し様子を見ることにしましょう。

 とにかく、こうして「日本盲教育史研究会」の公式ウェブサイトが開設されたことは、みなさまの活動内容がわかり、関連する情報を収集することにおいても、非常にありがたい環境が提供されたことになります。
 このサイトのますますの充実を楽しみにしたいと思います。
 
 
 

2015年1月31日 (土)

読書雑記(117)嶺重慎・広瀬浩二郎編『知のバリアフリー』

 『知のバリアフリー 「障害」で学びを拡げる』(嶺重慎・広瀬浩二郎編/京都大学障害学生支援ルーム協力、京都大学学術出版会、2014.12)を読みました。私が現在抱え込んでいる問題意識に、多方面から知的刺激をもらえる本でした。


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 その問題意識とは、目の不自由な方々と一緒にハーバード大学本『源氏物語』が読めないか、というものです。
 普通の墨字が読めない方が、それも変体仮名など読めるはずがない、というのが一般的な反応です。しかし、私は可能だとの確信を抱いています。精神論ではなくて、具体的な感触としてそう思っています。そのための試行錯誤も始めています。

 今後は、その具体的な成果を少しずつ提示して確認しながら、牛歩のさまであっても、一歩ずつ前に向かって進んで行くつもりです。その意味からも、本書からは多くのヒントをいただきました。

 本書の目次の詳細は、「京都大学学術出版会のホームページ」で確認できます。

 巻頭には、触ってわかる触地図が2種類付されています。琵琶湖周辺の地図が、点図(凹凸の点線や点のパターン)とサーモフォーム(プラスチックシートの真空熱処理成形)によって、触る口絵となっています。次の写真は、サーモフォームの地図から、比叡山・京都駅・平等院の部分を抽出したものです。京都駅と平等院の位置を示す○の下に、点字で「きょーとえき」「びょーどーいん」と書かれています。中央を左右に走る太い波線は東海道新幹線です。


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 平面の高低や凸部のエッジが指に感触として伝わるので、筆で書かれた仮名文字の認識を課題としている私にとって、これを触るとイメージが拡がります。

 本書は、さまざまな方々が「障害」を切り口にして、大学などにおける実情をもとにした「障害学習」について語るものです。その内容は20人の方々の「物の見方や考え方」が、多岐にわたって展開します。聴覚障害に関する部分からは、古写本を触読する際に「音」が果たす役割を考えるヒントをいただきました。

 以下では、私がチェックした箇所を引用することで、これからあれこれ考えるための手控えにしたいと思います。
 多くのヒントが鏤められた本なので、課題にぶつかる度に本書を繙くことになると思います。
 


■「現在の学問体系は、ほとんど障害者の存在を前提にしないところで成り立っています。「障害学習」という新しい視座で学問の再構築を行い、その成果を社会に発信することが、21世紀における大学の役割ではないでしょうか」(嶺重、 ix 頁)

■「視覚障害者にとって日本史はハードルの高い学問分野です。点字使用者が自力で古文書を解読するのは不可能ですし、ボランティアも専門知識がなければ、史料を正確に点訳・音訳できません。古文書については、大学院の先輩に「チューター」という形で音読・パソコン入力していただき、どうにかこうにか論文を読み書きしました。」(広瀬、11頁)

■「皮肉なことに、本来、学生の理解を助ける手段である視聴覚教材を使用することが、障害学生に対する情報伝達をより複雑なものにしています。たとえば、ビデオを使用する場合、聴覚障害学生には、字幕の付与や内容の解説文が必要になります。」(佐野、25頁)

■「私は、「自分の出している音」がわからないことに最も悩みました。生活音の問題です。私の母は健聴者で、聞こえる人の立場から、聞こえない人がどう振る舞う必要があるのかを教えてくれます。そのアドバイスの中に、生活音に気をつけたほうが良い、というものもありました。聞こえない人は自分の出す音に無頓着になりがちだから、知らず知らずのうちに周囲の人に不快な思いをさせている場合もあるかもしれない、と。でも私は自分の出している音がどうしてもわかりません。一人暮らしを始めてしばらくの間は、どんな音が迷惑なのかよくわからず、家事ひとつにもひどく気を遣いました。」(岡森、53頁)

■「iOSやAndroidなどのモバイルOSではVoiceOverやTalkbackといったスクリーンリーダーが標準搭載されるようになりました。とてもすばらしいことです。アプリケーションの開発者がアクセシビリティに配慮して開発を行えば、障害のある人もない人も使えるアプリケーションを開発することができます。また点字携帯端末をスマートフォンに接続することもできます。これにより、点字携帯端末でスマートフォンを操作したり、メールやチャットなどを点字で読んだり書いたりできるようになります。」(石川、91頁)

■「昨日できないことを今日はできるようにしたい。今日わからないことを明日はわかるようになりたい。そういう気持ちをエンパワーするのがアクセシビリティなのです。」(石川、97頁)

■「「みんなと同じにできるように頑張ろう・努力しよう・鍛えよう」と考える前に、「自分なりに楽にできる方法はないか?」と一緒に考えます。「迷惑をかけないように」と考える前に「困ったときは周囲に頼んでみよう」と実際にやってみます。「できるだけ間違わないように」ではなく、合い言葉は「失敗は学ぶチャンス」、周囲も「転ばぬ先の杖を出さないように」だったりします。」(近藤、100頁)

■「ヘレンケラー・ホーンとは、画面をなぞる指の動きを察知して文字情報を得る電話なのでした。上下、左右の指の動きの組み合わせで点字を入力でき、スマホが点字のパターンに合わせて振動することによって、使用者は自分の入力を確認することができます。あっと驚く発想の転換です。」(嶺重、139頁)

■「アナログ的な情報の取り扱い、たとえば、古文書などもその例です。草書などで書かれた手紙などはまず読めません。その内容を知るだけなら、他人に読んで貰ったり、点訳して貰ったりすることで解決できるかも知れませんが、その文字をどう読むかが問われる場合には対応は不可能です。」(尾関、208頁)

■「私は、すべての視覚障害者に、とは言いませんが、希望する者には、漢字・漢文の教育が十分に与えられるよう希望します(高等部の選択科目で十分でしょう)。そのためには、点字で漢字を表現する方法を工夫する必要があります。現在、8点や6点の漢点字と呼ばれるものがありますが、この目的のためには不充分に思われます。」(尾関、211頁)

■「明朝体は、漢字の横線などに細い線が使われており、弱視の方には見えにくいのです。すべての線が同じ太さで、線と線がくっついているところ、離れているところがはっきりわかることが、読みやすいフォントの条件です。」(嶺重、219頁)

■「見常者(見ることに依拠して生活する人)中心の社会で視覚障害者が「健康で文化的」な日々を過ごすためには、苦労と工夫が必要です。苦労を克服(軽減)するのが「障害者史」、工夫を積み重ねるのが「盲人史」という発想になります。
(中略)
「同じ」を追求する進化が障害者史、「違う」にこだわる深化が盲人史につながっています。」(広瀬、234頁)

■「共活のポイントは、複数の基準を持つことです。「盲=目が見えない」は現代日本では否定的にとらえられており、少なからぬ盲学校が「視覚特別支援学校」に名称変更しました。公文書等では「盲人」に代わって「視覚障害者」が使用されています。それでは、「盲=視覚に依拠しないライフスタイル」と定義してみてはどうでしょうか。すると、「盲」のプラスの要素が浮かび上がってきます。」(広瀬、255頁)


 
 
 

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2015年1月27日 (火)

死後に私のブログはどうなるか

 今、毎日ブログを書いています。
 このサイトに掲載した記事としては、2007年6月以降、これが2,825本目の投稿です。
 その内容は多岐にわたるものです。

 私がインターネットにホームページを開設したのが1995年9月なので、これまでに公開した記事は5,000本を越えていることでしょう。
 そのうち、2つのサイトがクラッシュしたために、多くのデータが消滅しました。いまだに再建できていない記事が多数あります。消え去った記事の再生は、可能なものは再構築していますが、ほんの微々たるものです。

 もっとも、そんな暇があったらもっと研究をし、活字論文を発表し、印刷媒体としての研究書をまとめて刊行しろ、と言われそうです。
 しかし、私は今、活字による印刷に魅力を感じていません。デジタル版が生き残るとも思ってはいません。それだけに、活字印刷とデジタルの融合した研究発表媒体を模索しているところです。

 その意味では、一研究者として日常の存在証明と共に、日々の研究経過と報告をウェブ上に記すのは、活動と研究の内容が見えやすい、個人研究のアウトプットの媒体としては意義のあるものだと思っています。人間をさらけ出すところにも魅力を感じます。

 研究活動の一端をネットに公開するのは、リアルタイムに誰にでも手にしてもらえる点から、さらなる活用が期待されます。特に若手研究者は、印刷媒体にしがみつかずに、もっとネットによる発信を心がけるといい成果に結びつくと思います。何よりも、自分が育っていくのです。

 印刷物でないと成果として認めてもらえない、従来の学問の世界特有のしがらみは理解しているつもりです。しかし、ネットによる成果の公開には、予想をはるかに越える多くの方からのコメントが得られて有益です。

 そんな中で、ネットに掲載した私案の公開については、研究論文以上に多くの方からのコメントがいただけるのです。さらなる研究の質的向上に有益なことが多いのが現実です。
 これは、私が未熟な原稿を印刷していたからだと言われればそれまでです。しかし、広くネットに公開すると、さまざまな分野の方から、ありがたい意見がいただけることは事実です。これは、自分の研究にとっては貴重なステップとなるものです。意見をいただく中で、また意見を交換する中で、自分が成長していくのです。

 印刷による原稿の公開は、脱稿から配布までの時間的なロスと、読者からの教示の量と速さを考えると、いろいろと問題があります。今、時代はさまざまな発表形態や媒体を選べます。何事にもリスクはあります。そこをどう使い分けるか、ということもあります。

 もっとも、私はほとんど電子テキストでの読書はしません。内容を検索する時に、便利に利用しているだけです。文章を読むのは、やはり印刷物です。この棲み分けが、今後の課題だと思います。

 勝手なことを書きました。読み捨ててください。
 ウェブと書き手について、死との話に戻ります。

 私が日々デジタル化した文章や写真をウェブに流すのは、自分の生存証明と生活環境が死後に再現されることを、ある程度意識してのもです。

 私の死後に、我かく生きたりという存在証明を、未来に向けたデジタル空間に漂流させておくことにもなります。
 死後にも地球上のネットスペースを漂う浮遊感は、自分では体感できないだけに楽しさがあります。

 そんな折、毎月購読しているパソコン情報誌『Mac Fan』の9月号に、興味深い特集記事が掲載されていました。


デジタル時代の「死んだらどうなる?」

 気にしつつも、日々の忙しさに追われていて、つい「いつか」という問題として埋没していました。
 それが、あらためて今この問題を確認しておきたい、と思うようになりました。

 この雑誌の記事には、次のサブタイトルがあります。


今のうちに
考えておくべき
「形のない資産」の
遺し方・消し方

 さらに、次のように特集の趣旨が記されています。


もしも自分が突然この世を去ることになったとき、それまで更新していたブログやSNSはどんな道を辿るのか?
そして、自分のマシンの中にあるデジタル資産は誰かに引き継げるのだろうか?
生前に知っておくべき「形のない資産」の遺し方・消し方を解説していこう。

 この記事は、漠然と気になっていたことを、ズバリと解説するものでした。
 以下、取り上げられている項目を、私の興味のままに整理しておきます。

自分の死後、どのようなデジタルデータが残るのか?
 ここでは、「デジタル遺言サービス」を提供する「ラストメッセージ」の、死後のデータ削除を手助けするものなどが紹介されています。

ブログやSNSのアカウントは本人の死後どうなるのか?
 故人のページは船員のいない船と同じで、放置・消滅・引き継ぎ・墓化・荒らされることになるとか。不特定多数の他人に荒らされ、多くの人に迷惑をかけることは、故人はどうしようもないだけにしのびない事態となります。

第三者が故人のブログやSNSを処理する方法はあるか?
 遺族や友人が、勝手に故人のページに手を入れることはできません。フェイスブックの「追悼アカウント」や、ツイッターの「亡くなられたユーザーに関するご連絡」などの対応が紹介されています。

生前に自分ができることは何か?
 グーグルの「アカウント無効化管理ツール」や、ヤフーの「Yahoo!エンディング」などを例にして説明されています。終活が具体的なイメージで見え出します。

 そのほか、次の見出しにも気になる内容が記されています。

デジタル資産の相続はどこまでできるか?

本人の死後、MacやiPhone内のデータをどうするか

Mac内の特定のデータを封印するには

iPhone内のデータを死後見られたくない場合は?

 いろいろな問題点と対処策がまとめてあります。

 いつかその日が来ることは確かなので、私もこうしたことへの対応の準備を始めたところです。
 
 
 

2015年1月25日 (日)

作成中の翻字データベースを〈源氏物語翻字文庫〉と総称する

 これまで、約30年にわたって作成していた〈源氏物語本文データベース〉を、〈源氏物語別本集成〉(略称は「GBS」)という総称で管理していました。これを、本年より「変体仮名混合版」に移行することにしたのを契機に、〈源氏物語翻字文庫〉(略称は「GHB」)という呼び方に改称したいと思います。

 今年に入ってから、『源氏物語別本集成 続』で提示していた凡例の見直しをした結果を、以下の記事にまとめました。

(1)「『源氏物語』を「変体仮名混合版」にする方針で一大決心」(2015年01月15日)

(2)「昨日の「変体仮名混合版」の具体例と確認」(2015年01月16日)

(3)「「変体仮名混合版」を後押しする手厳しくもありがたい批判」(2015年01月17日)

(4)「『源氏物語』の翻字本文に関する凡例の改訂(その1)」(2015年01月18日)

(5)「『源氏物語』の翻字本文に関する凡例の改訂(その2)」(2015年01月19日)

(6)「『源氏物語』の翻字本文に関する凡例の改訂(その3)」(2015年01月21日)

 今回は、その最後として、凡例の冒頭部分の文言の見直しを提示します。赤字の部分が、今回補訂した箇所です。
 これで、「変体仮名混合版」へ移行するにあたって、作業と利用に関して基本的な方針を確定したことになります。

 今後は、この凡例を補訂しながら、これまでのデータベースを〈源氏物語翻字文庫〉における「変体仮名混合版」として再生することに着手したいと思います。


〈源氏物語翻字文庫〉凡例 (2015.01.25)

(1) 本データベースは、『源氏物語』の本文が諸本間でどのような異同を持つものであるかを、容易に一覧できるようにした「変体仮名混合版」である。平成一四年に完結した『源氏物語別本集成 全一五巻』と、『源氏物語別本集成 続 全一五巻』(内、平成一七年に第七巻まで刊行済)を引き継ぐ形で、諸本の本文が変体仮名においては字母レベルで確認できるようになっている。

(2) 本書の底本に使用した写本は、別本とされている〈陽明文庫本〉である。〈いわゆる青表紙本〉や〈河内本〉とは異なる本文を伝える書写伝本を、現在のところ一応は〈別本〉と呼んでいる。その中でも、陽明文庫蔵の別本(三十九帖)は高い評価がなされており、現存する諸本を対校するにあたっての底本にふさわしいものである。ただし、陽明文庫本には本文の性質を異にする一五帖の写本が含まれている(「紅葉賀」「花宴」「明石」「絵合」「松風」「初音」「藤袴」「若菜上・下」「柏木」「横笛」「匂宮」「紅梅」「竹河」「夢浮橋」)。これらは、〈いわゆる青表紙本〉と呼ばれている本文群である。『源氏物語別本集成』では、陽明文庫本において別本とは言えない巻々には、他の別本を充てることで対処した。たとえば、『源氏物語別本集成 第二巻』で「紅葉賀」と「花宴」の底本に、天理図書館蔵〈麦生本〉を使用したのがそれである。しかし、『源氏物語別本集成 続』では、陽明文庫本のすべての巻を底本として採用した。

(3) 『源氏物語別本集成 続』における本文掲示のレイアウトは、『源氏物語別本集成』と大きく異なっている。『源氏物語別本集成 続』では、底本である陽明文庫本毎半葉に対する本文の諸相を、見開きで確認できるようにした。
 まず、見開き右頁上段右側の二段分の囲み中に、底本陽明文庫本の翻刻本文を掲げる。文節単位の区切りを中黒点(・)で明示したものである。その左側には、同じく二段分の囲みの中に、底本陽明文庫本の校訂本文を掲げた。
 陽明文庫本の校訂本文の提示は、『源氏物語別本集成 続』が初めての試みであった。これは、本文異同を確認するにあたって、あくまでも物語本文の流れを読み取る際の手助けとなるような試案として作成したものである。
 校訂本文の随所に、物語の内容を知る手がかりとなるように、小見出しを付した。校訂本文作成にあたっては、『CD─ROM古典大観 源氏物語』(伊井春樹編、角川書店、平成一一年)に収録されている、大島本の校訂方針を参照した。小見出しは、デジタルテキストのために作成された伊井版の改訂版である。

(4) 校異欄は、見開き右頁三段目から左頁にかけて、上掲の陽明文庫本の翻刻本文に対する諸本の異同のすべてを示した。『源氏物語別本集成』では、底本と同じ本文は、異同を示す校合本以外の本を引き算することによって判明する仕様となっていた。『源氏物語別本集成 続』では、その掲出方法を変更し、底本と同じ本文を有する写本の名称を、底本本文の直下に示し、諸本の異同の様態をより把握しやすくした。

(5) 校異欄において、底本本文に続く「・・・・・・」の後に付した一〇桁の算用数字(010001-000)は、『源氏物語』における当該文節の位置を知るために、目安として当てた通し番号である。『源氏物語別本集成』の時は、六桁の数字であったものを、『源氏物語別本集成 続』から一〇桁に拡張した。
 例えば、「010001-000」における最初の六桁は、『源氏物語別本集成』と同じ意味を持っている。つまり、底本本文を文節毎に区切った時に使用した通し番号(六桁の数字)は、本続編でもそのまま継承している。そして、ハイフォン(-)に続く三桁の数字が、『源氏物語別本集成』における文節認定の変更と、今後予想される異本異文の総合管理のために新たに付加したものである。この一〇桁の番号は、『源氏物語』におけるすべての異本異文までをも文節番号で取り扱える研究環境を提供することを視野に入れて、『源氏物語別本集成 続』から導入したものである。
 これにより、国冬本「鈴虫」における五〇〇文字以上の異文をも、文節番号によって取り扱うことができるようになる。『源氏物語』におけることばの位相が、その文節番号という位置づけによって把握でき、また語句が存在する場所の特定のみならず、諸本との異同を相対化できるようになる。なお、この番号の最初の二桁の数字は、『源氏物語』の巻順を示している。「桐壺」を「01」とし、以下順次連続する番号を当てて、「夢浮橋」が「54」となる。
 長編の巻で文節番号が五桁になる巻に関しては、文節番号の最初の二桁を記号〈A・B・C〉を用いて、次のように表記した。
  「若菜上」一〇二三四番目の文節番号 → 34A234-000
   同   一一二三四番目の文節番号 → 34B234-000

(6) 『源氏物語別本集成』では、書写本に書き込まれたもののうち、振りがな・振り漢字・主語・引歌・説明的注釈などは取りあげず、本文異同に関するものだけを、補足事項として注記していた。ただし、特殊な読みをする語句に読みがなが付されているものなどは、適宜取り上げる場合があった。これを、『源氏物語別本集成 続』では、そのすべてを取り上げて校合した。ただし、天理河内本などにある、鉛筆書きの書き込みなどは一切とらない。

(7) 『源氏物語別本集成 続』より、改丁(頁)箇所を明示することとなった。写本での確認を容易にするためと、書写状態を知るための手がかりの一つを提供するためである。改丁(頁)箇所には、改丁された頁の最初の文字を指して「/あ〈改頁〉」と表記する。丁数は明記しない。

(8) 本書に収載した各諸写本の本文は、とくに断らない限りは、原本に直接あたるか影印刊行物およびマイクロフイルムや紙焼写真によって、複数の担当者が翻刻確認した後に対校したものである。担当者は、「作業担当者一覧」に明記した。

(9) 本書の内容は、情報文具を利用した研究にも対応できるように、データーベースを目指して作成されている。語句検索や各本文の位相が分析研究しやすいように、利用法を考慮して元データは構成してある。本書作成にあたっては、以下の「A」~「E」の方針をたてて資料の整理・編集をおこなった。

(10) 新たに「変体仮名混合版」を作成するにあたって、漢字表記及び字母表記に関しては次の翻字方針で対処した。
  「見る」などで「見」が意味を有する場合は、「見る/見〈漢字〉」とする。
  「形見/〈漢字〉」「身つから/身〈漢字〉」「見くるし/見〈漢字〉」「世けん/世〈漢字〉」などの場合も、「/〈漢字〉」という付加情報としての識別記号を用いて、漢字であることを明示する。


 
 
 

NPO法人〈源氏物語電子資料館〉広報室より

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